1,860 / 1,955
再び別行動へ
しおりを挟む「とりあえず、そのゴブリンのいる方へ向かおう」
「了解したのだわー」
何はともあれ、ゴブリンなら何度も対処してきたし、ヘルサル防衛線の時のような数でなければ、多少多くてもなんとでもなる。
それに、できるだけ村には近づけたくないしと、まずはゴブリンが見えるくらいの位置へ移動を開始。
「確かに、エルサの言う通り数が多いね」
「細かな数はわからないけど、数十……百、はいないかしら」
「それくらいだろうな」
「数体程度のゴブリンであれば、村の人達でもなんとかなるでしょうけど、さすがにこの数が押し寄せたら、被害は大きなものになるかもしれません」
「最悪の場合、村が全滅する可能性も考えられますね」
ひしめき合う程の数になっているゴブリンの集団は、動いているというか、そらからだと一つの生き物が蠢いているようにすら見えるため、正確な数はわからない。
それでもおそらく百は越えないかも? というくらいの規模だ。
ヘルサル防衛線で、おびただしい数のゴブリンを見ていた俺達からすると、ちょっと多いなぁというくらいの感想だけど、村の人達にとっては脅威以外の何物でもないだろう。
放っておいたら、村に甚大な被害が出るだろう事は想像に難くない……当然放っておく気はないけど。
「この数なら、皆で一気にやっちゃった方がいいかな?」
「待つのじゃリク。ここは、モニカ達とワシ達に任せるんじゃ。ちょうど、多めの数の魔物と戦っておきたいと考えていたところじゃからの。もちろん、主に戦うのはモニカ達じゃが」
「エアラハールさん? でも……」
「まだ、村はもう一つあるじゃろう? そちらの村が無事という保証はない。むしろ、こちら側の村に魔物が迫っているのなら、もう一つの村にも迫っていてもおかしくないと考えるんじゃ」
「それは確かに……」
点在する魔物の集団は、ただ野に放たれているだけで何者かの意思や命令を受けてはいないだろう、というのはこれまでの事でわかっているし、レッタさんも予想しているところだ。
けどだからって、もう一つの村が安全という保証は何もないし、むしろこちら側に魔物が近付いているのなら、もう片方にも魔物が迫っている可能性が高いと考える方が自然、かな?
「ここは任せて、リクさん。さすがにあの数は大変かもしれないけど、私達も訓練して、リクさんのようにとは決して言わないけど、それでも実力を付けているわ。もちろん、それを過信してゴブリンが相手だからって見くびるつもりはないけどね」
「もう少し私達を信頼してくれてもいいんだぞ、リク」
「それはまぁ、もちろん信頼しているし、これまでの経験と訓練で実力も上がっているのは、俺もわかっているよ」
「こちらはゴブリンが相手ですから、私達が後れを取る事はありません。ただ、もう一つの村に魔物が迫っていると仮定したら、そちらはどんな魔物かまだわかりません。ですがリク様なら、どんな魔物が相手でも大丈夫でしょう」
確かにフィネさんの言うように、こちらがゴブリンだからって次もゴブリンだという事にはならないか。
むしろこちらに多くのゴブリンがいる事が、他の場所にゴブリンがいる可能性すら減らしていると言える。
「わかった。それじゃあこっちはモニカさん達に任せるよ」
「えぇ、任せて!」
数が数だから、ちょっとした怪我をするなどの心配があったんだけど、モニカさん達もやる気みたいだし、ここはエアラハールさんの言う通り任せる事にしよう。
その代わり、もう一つの村に魔物が迫っていたらそちらは俺が全力で対処する事に決めた。
いやまぁ、やり過ぎると後で色々と言われたりするので、加減はするけども。
その後、少しだけ打ち合わせをしてゴブリンから少し離れた場所で、モニカさん達がエルサから降りる。
ゴブリンと戦うメンバーは、モニカさん、ソフィー、フィネさんの三人チームに、状況を見てエアラハールさんとアマリーラさんが参加だ。
アマリーラさんは渋るかと思ったけど、うんうんと唸る程手紙修正の事を考えていたのもあってか、憂さ晴らしじゃないけどゴブリンを相手に暴れる機会を窺う様子でもあった。
まぁ、仲間に被害が出ないのなら、存分に暴れてくれてもいいんだけど……その辺りはエアラハールさんが判断してくれるだろう。
もう一つの村に向かうのは、エルサに乗って俺、ユノ、ロジーナ、レッタさんにリネルトさんだ。
リネルトさんはモニカさん達と一緒かなと思ったんだけど、実戦訓練の監督役してだね。
魔力的な事は、ユノとロジーナがいればいいけど、魔物の種類や数によって錆びた剣を使うかなど、俺がどう戦うかを考えてくれるとの事だ。
事前に、エアラハールさんとはある程度話し合って、色んな状況を想定しているらしいし。
ユノとロジーナは、魔物の特徴はある程度わかるし、ロジーナに至っては魔物を創った存在でもあるけど、詳細まではっきりと覚えているわけではないってのもある。
デュラホースのような悪い意味で印象深い魔物はまた別なんだろうけど、創ってから独自の進化をしたり、帝国が復元させるうえで多少違う事もあるだろうから、別の方面からの知識は必要だね。
「それじゃモニカさん。ソフィー達も、気を付けて!」
「えぇ。リクさんにはあまり必要ないってわかっているけど、そっちも気を付けて!」
モニカさん達に手を振り、上昇するエルサに乗って別行動開始だ。
西側にあるもう一つの村へと向かう途中、村を背にする位置でゴブリンへと向かうモニカさん達が見えた。
位置取りとしてはまぁ、数が多いため打ち漏らしができるだけ村や畑の方に行かないように、それを背にする感じだね。
絶対じゃないけど、エルサが戻って来るまでは逃がしてしまう可能性もあるからだろう。
「さて、こっちは……と。あれだね。やっぱりいたかぁ」
「だわ。誰かが狙ったわけじゃなくても、こういう事もあるのだわ? フラグ、と言うんだったのだわ?」
「エルサ、それはまた俺の記憶からか……まぁ、散々どちらの村にもなんて話をしていたから、合っているんだろうけど」
別に俺達が話していたから、別々の魔物が二つの村に迫っている……というわけではないだろうけど、それでもフラグという言葉を信じたくなるよね。
今俺達の眼下では、大きな四足歩行の魔物が約二十体程、村の畑に向かって走っている。
西側の村は東側の村より少し大きく、村の東西に畑を作っているようだ。
その西にある畑、さらに北西から魔物が近付いているってわけだ……こちらは、現時点での距離も近く、移動速度も速いため、ゴブリンよりも先に到着すると予想できる。
ゴブリンを全員で討伐した後、改めてこちらに来ていたら間に合わなかっただろう。
少なくとも、作物には大きな被害が出ていたと思われる。
「あの魔物は……鹿、かな?」
「アクリス、という魔物ですねぇ。温厚というわけではありませんがぁ、よっぽど近付いたり刺激したりしなければ、人を襲う事は稀な魔物ですぅ」
眼下を走る魔物を見て、その種族名をリネルトさんが教えてくれた。
鹿のような見た目のアクリスという魔物か……マックスさんに教えてもらっていた魔物知識は一部だけど、その中にはない魔物で初めて見るね――。
0
あなたにおすすめの小説
科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜
難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」
高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。
だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや——
「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」
「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」
剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める!
魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」
魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」
神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」
次々と編み出される新技術に、世界は驚愕!
やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め——
「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」
最強の頭脳戦が今、幕を開ける——!
これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語!
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
『山』から降りてきた男に、現代ダンジョンは温すぎる
暁刀魚
ファンタジー
社会勉強のため、幼い頃から暮らしていた山を降りて現代で生活を始めた男、草埜コウジ。
なんと現代ではダンジョンと呼ばれる場所が当たり前に存在し、多くの人々がそのダンジョンに潜っていた。
食い扶持を稼ぐため、山で鍛えた体を鈍らせないため、ダンジョンに潜ることを決意するコウジ。
そんな彼に、受付のお姉さんは言う。「この加護薬を飲めばダンジョンの中で死にかけても、脱出できるんですよ」
コウジは返す。「命の危険がない戦場は温すぎるから、その薬は飲まない」。
かくして、本来なら飲むはずだった加護薬を飲まずに探索者となったコウジ。
もとよりそんなもの必要ない実力でダンジョンを蹂躙する中、その高すぎる実力でバズりつつ、ダンジョンで起きていた問題に直面していく。
なお、加護薬を飲まずに直接モンスターを倒すと、加護薬を呑んでモンスターを倒すよりパワーアップできることが途中で判明した。
カクヨム様にも投稿しています。
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
湖畔の賢者
そらまめ
ファンタジー
秋山透はソロキャンプに向かう途中で突然目の前に現れた次元の裂け目に呑まれ、歪んでゆく視界、そして自分の体までもが波打つように歪み、彼は自然と目を閉じた。目蓋に明るさを感じ、ゆっくりと目を開けると大樹の横で車はエンジンを止めて停まっていた。
ゆっくりと彼は車から降りて側にある大樹に触れた。そのまま上着のポケット中からスマホ取り出し確認すると圏外表示。縋るようにマップアプリで場所を確認するも……位置情報取得出来ずに不明と。
彼は大きく落胆し、大樹にもたれ掛かるように背を預け、そのまま力なく崩れ落ちた。
「あははは、まいったな。どこなんだ、ここは」
そう力なく呟き苦笑いしながら、不安から両手で顔を覆った。
楽しみにしていたキャンプから一転し、ほぼ絶望に近い状況に見舞われた。
目にしたことも聞いたこともない。空間の裂け目に呑まれ、知らない場所へ。
そんな突然の不幸に見舞われた秋山透の物語。
異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件
さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ!
食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。
侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。
「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」
気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。
いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。
料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!
異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?
よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ!
こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ!
これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・
どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。
周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ?
俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ?
それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ!
よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・
え?俺様チート持ちだって?チートって何だ?
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる