夫婦で異世界召喚されたので魔王の味方をしたら小さな女の子でした~身体強化(極限)と全魔法反射でのんびり魔界を満喫~

龍央

文字の大きさ
33 / 57

第33話 運動会準備のため運動場へ

しおりを挟む


「いてぇ……」
「あまり無理はしないでね、ユウヤさん?」
「それはわかってるんだけどねぇ……」
「良い所までは行っていたのじゃ」

 あれからしばらく、ドラゴンシャドーとの訓練を続けて、今は昼食時。
 食堂でクックさんの料理に舌鼓を打ちながら、攻撃に当たってしまった場所の痛みを堪える。
 今までは攻撃を避けるだけだったから、痛みを感じる事はほぼなかったけど、今回は反撃の事も考えて訓練してるから、よく何かの攻撃に当たってしまう。
 おかげで、体の一部が打ち身のようになっていて、今もズキズキと痛い。

 体を回転させての攻撃とか、噛み付いて来る攻撃とかは避けられるようになって来たんだけど、どうしても反撃する時、俺自身に隙ができてしまう。
 痛みがひどくなって、俺の動きが鈍くなってきたところで、今日の訓練は終了だ。
 ハイルンさんの所へ行って、治療して来いとマリーちゃんに勧められたが、一人で行く事に危機感を感じるから、痛みを我慢してやり過ごそう。

「それにしてもじゃ、ユウヤパパはどんどん動きが良くなるのじゃ。身体強化(極限)に慣れて来たのじゃ?」
「それもあるとは思うけど、身体強化(極限)も強くなって来てるみたいだからな」
「強くじゃ? つまり、ユウヤパパの力も強くなるという事かじゃ?」
「詳しくはわからないけど、そういう事みたいだ。初めて発動させた時と比べれば、体の動きが軽いからな」
「成る程じゃ。凄い能力なのじゃ……さすがユウヤパパじゃ!」
「ははは、俺自身の能力とは、胸を張って言えないんだけどな?」

 マリーちゃんと身体能力(極限)の事を話しながら、食事を進める。
 心配そうにしているカリナさんには悪いけど、頑張ると決めたからなぁ……一度決めた事はやり通さないと、カリナさんにもマリーちゃんにも顔向けできない。

 それにしても、身体強化(極限)はこの世界に来る時、神様にもらった能力だ。
 まだ自分の物……とはっきり言うのには、ちょっと抵抗がある。
 ……もしかしたら、そう考える事で身体強化(極限)が、力を発揮する妨げになっているのかもしれないけどな。
 ま、もう少し能力を使って、慣れて来たら自然とそう思えるようになれるのかもしれないな。


「昼食を食べた後は、運動会の準備じゃ。ユウヤパパは大丈夫じゃ?」
「大丈夫だよ。もうほとんど痛みも引いたからね。準備くらいなら手伝える」
「私ももちろん手伝うわよ?」
「……私もです。手伝って少しでも、存在感をアピールしないと……」

 心配してくれるマリーちゃんに大丈夫と言い、運動会の準備をするため城を出る。
 カリナさんとクラリッサさんも、できることで手伝ってくれてるから、準備も順調なようだ。
 ……しかしクラリッサさん、そんな事で存在感を示さなくても……とは思うが、訓練中は戦う事に集中していたため、今の今まで忘れていた俺が何か言える事は無さそうだ……ごめん、クラリッサさん。

「それじゃ、運動場へ行くのじゃ! バハムー!」
「はっ!」

 城を出た所で、マリーちゃんがバハムーさんを呼ぶ。
 いつも思うけど、マリーちゃんが叫んだだけで、何処にいてもバハムーさんが来るのは何故だろう……?
 バハムーさんだって、いつも暇をしているわけじゃないはずなのに……いや、暇なのか?

「何だ、ユウヤ?」
「いえ、何でいつもマリーちゃんが呼んだら、すぐに来れるのかなぁ? と考えてまして……」

 首を傾げながらバハムーさんを見ていたら、見咎められてしまった。
 シャドーと違って、本人はさすがの迫力で、俺には考えていた事を正直に話すしかできない。
 ……もっと訓練で慣れないといけないな、これは。

「マリー様の声には、魔力が込められているからな。どれだけ遠くにいても聞こえるのだ。それに、マリー様から直々の要請だぞ? これですぐに駆け付けねば、四天王の1柱失格だ」
「……そうなんですね」

 魔力を込めたマリーちゃんの声が聞こえる事で、バハムーさんは飛んで来るらしいけど……それができるから、四天王になってる……なんて事はないよね?
 バハムーさんにマリーちゃんが頼む時、いつも移動する時ばかりだから、もしかしたら移動用とマリーちゃんは考えてるのかもしれない……と想像して、すぐに止めた。
 マリーちゃんにも、何か考えがあってバハムーさんを四天王にしてるんだよな、うん。

「では、出発じゃ。飛ぶのじゃ、バハムー!」
「畏まりました!」

 皆でバハムーさんの背中に乗り、運動場へ向けて飛び立つバハムーさん。
 乗り慣れて来たからか、最近バハムーさんは俺が乗る事を渋る様子はない。
 ……渋っても、最後は必ずマリーちゃんに言われて飛ぶことになるから、諦めたのかもしれないが。
 高速で飛ぶバハムーさんには、何度か乗るうちに俺だけじゃなくカリナさんも、クラリッサさんも慣れて来たようだ。
 初めて乗った時は、降りた後にフラフラしていたけど、最近そんな様子はない。

「到着、じゃ!」

 マリーちゃんは、バハムーさんが地面に降り立った瞬間に、その背中から飛び降りる。
 建物の4階か5階くらいの高さがあるけど、マリーちゃんは平気みたいだ。
 俺も、身体強化(極限)を使えば大丈夫だろうけど、カリナさん達を支えて降りないといけないから、そんな事はしない。

「もうずいぶん形になってきたわねぇ」
「そうじゃな。運動会の開催は近いのじゃ!」

 バハムーさんから降りて、以前に俺が耕した場所を見渡すカリナさん。
 今もそこかしこで魔物達が、なにかしらの準備をしている様子を眺める。

 そこかしこに並んで設置されてるテントは、大きな魔物も入れる物から、小さな物まで様々だ。
 運動会でよくある、日を遮るためのテントで、4本足に屋根のように布が張られた形が懐かしい。
 ……でも、日差しの無い魔界で、日を遮るテントって必要なのだろうか?

「……あれはなんだ?」
「あれはじゃ、種目を行う範囲を決めておるのじゃ!」

 地面に白線ならぬ、人の足が入りそうな幅の溝が、そこら中に伸びていた。
 マリーちゃんに聞いてみると、それを使って種目を行う場所の目印にしてるみたいだ。
 運動場は広いから、ある程度の種目を同時に行う事はわかってたが、地面に書かれているのが白線では無く、溝という所が魔物っぽい。
 実際に運動会が開催される時には埋められるらしいが、準備中は足がはまり込まないように気を付けよう。

「では、マリー達も準備開始じゃ!」
「おう、任せろ」
「頑張るわ」
「……ここで存在感を……」

 マリーちゃんの言葉で、各々散らばり、運動会の準備を手伝い始める。
 カリナさんやクラリッサさんは、力仕事以外で、細々とした事を手伝うらしい……球入れの入れ物を作ったりだとかだな。
 マリーちゃんは、責任者というか主催者なので、問題が起きて準備が滞ってないかの確認や、各場所への指示を出したりとかだな。
 さすがに、マリーちゃんが荷物を運んだり、何かを組み立てたりするような実務は、周囲の魔物に止められたらしい。

「さて……俺は、と……」
「お前はこっちだ、ユウヤ」

 俺も手伝おうと、手が足りて無い場所を探そうとしたら、バハムーさんの爪でひょいっと運ばれた。

「……バハムーさん?」
「ユウヤは俺に、アームバトルで勝つくらいだからな。力仕事が良いだろう?」

 そう言われてバハムーさんに運ばれてきた場所は、大きな岩がいくつも転がっている所だった。

「これ、何するためにここにあるんですか?」
「これは岩転がし用の岩だ」
「あぁ、成る程……って、大き過ぎじゃないですか!?」
「大型の魔物も参加する競技だからな。これくらいの大きさでないといかんのだ」

 転がっている岩は、縦5メートル、横5メートルくらいの大きさだ。
 この大きさの岩が転がって来たら、人間なんて簡単にぺちゃんこになるだろうなぁ。


しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~

チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!? 魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで! 心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく-- 美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!

#密売じゃありません!ミツバイギフトで最高に美味しい果物作ったら、領主令息が夫になった件について

国府知里
ファンタジー
「がんばっても報われなかったあなたに」“スローライフ成り上がりファンタジー”  人生に疲れ果てた北村めぐみは、目覚めると異世界の農村で少女グレイスとして転生していた。この世界では6歳で神から“ギフト”を授かるという。グレイスが得た謎の力「ミツバイ」は、果物を蜜のように甘くするという奇跡の力だった!村を、領地を、やがて王国までも変えていく果樹栽培の物語がいま始まる――。美味しさが未来を育てる、異世界農業×スローライフ・ファンタジー!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

転生貴族の領地経営〜現代知識で領地を豊かにして成り上がる

ファンタジー
ネーデル王国の北のリーディア辺境伯家には天才的な少年レイトがいた。しかしその少年の正体は現代日本から転生してきた転生者だった。 レイトが洗礼を受けた際、圧倒的な量の魔力やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のレイトを辺境伯領の北の異種族の住むハーデミア領を治める領主とした。しかしハーデミア領は貧困に喘いだ貧乏領地だった。 これはそんなレイトが異世界の領地を経営し、領地を豊かにして成り上がる物語である。

処理中です...