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第50話 ユウヤ本戦トーナメントへ
しおりを挟む「場外! 勝者、ユウヤ!」
「「「「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」」
「勝った! 勝ちました! ユウヤ様、目にも止まらぬ連続攻撃でキュクロ様を追い詰め、場外へと追いやってしまいました! あっという間にキュクロ様を追い詰めたユウヤ様! これにより、5連勝で本戦出場が決定いたしましたぁ!」
「参ったな……場外か……」
審判の声で、俺の勝ちが宣言され、観客達の歓声と一緒にアナウンさんの実況も聞こえる。
なんとか押し切れたなぁ。
「キュクロさんが足元に入られるのを嫌って、後ろに下がり続けてくれましたからね。何とかなりました」
「あの一瞬で、そんな事を考えてたのか……こりゃ、かなわんなぁ……」
「キュクロさんこそ、その大きな体であの機敏な動きは凄いと思いますよ?」
「言っただろ、俺は力じゃなく、器用なのが自慢だってよ?」
「ははは。その器用さで翻弄されてたら、俺が負けてたかもしれませんね」
器用に動き、棍棒を駆使して俺を翻弄して来るキュクロさんか……あまり想像できないが、もしその通りになってたら俺の方が負けてたのかもしれない。
今回はステージが狭い事と、キュクロさんとの対格差で、俺が内側に入り込むのを嫌って後ろに下がったおかげで勝てただけだろうな。
本戦のステージだったらもっと大きいから、ステージ端に追い詰めて場外……とはいかないだろうしなぁ。
「本戦、がんばれよ! 俺に勝ったんだ、すぐに負けたら承知しないからな、ユウヤ様!」
「はい、頑張ります!」
キュクロさんと話し、ステージから降りて控室へと向かう。
キュクロさんの言う通り、勝って来た相手のためにも、本戦も頑張らないとな。
「ん?」
控室前まで来たところで、入り口に立っているお姉さんに気付く。
審判をしていたサキュバスっぽい人と同じ種族なようだけど、こんなところでどうしたんだろう?
さっき、ステージに行く前はいなかったと思うんだけど……。
「ユウヤ様、お疲れ様です。本戦出場、おめでとうございます」
「はぁ、ありがとうございます」
「本戦出場者には、トーナメントの対戦順を決めるくじがありますので、こちらを……」
どうやら、そのお姉さんは本戦トーナメントへの案内だったらしい。
持っていた箱を差し出し、俺にくじをひかせるお姉さん。
「んーと……これかな」
「はい。25番ですね。それでは、本戦開始までしばらくお待ち下さい」
「はい」
俺が引いた番号を確認して、去って行くお姉さんを見送る。
25番って事は……結構後の方かな?
本戦は、中央の大きなステージで行われ、予選のように同時進行じゃないから、しばらく休む時間がありそうだ。
……実は、さっきキュクロさんから食らった棍棒の一撃……まだ痛いんだよなぁ。
痛みが引くまでは、控室でおとなしく休んでおこう。
「ユウヤ様も、無事本戦出場を果たしたようですな」
「あ、アムドさん。はい、何とか勝てました。キュクロさん相手は危なかったですけど……」
「はっはっは、キュクロは巨体を器用に使い、死角があるように見せて、どこに来られても対処できるよう訓練してますからな」
テントの中にいたアムドさんに話しかけられ、しばらくそのまま時間を潰す。
話してた方が、痛みの事を考えずに済むからありがたい。
ちなみに、アムドさんも無事本戦へ出場できるらしい。
敵として当たったら、強敵になる事間違いなしだろうなぁ。
「本戦トーナメントの表ができました。出場者は各自、確認して下さい」
予選が終わった後少しして、テントの中にサキュバスのお姉さんが入って来た。
トーナメント表は、各控室と、観客向けの場所に設置され、誰でも見る事ができるらしく、俺とアムドさんはテントを出て確認。
「ユウヤ様とは、別のブロックのようですな……」
「そうみたいですね。対戦するとなると……決勝って事になりますね?」
「そうですな。しかし……こちらにはバハムーがいるのか……」
「バハムーさん、巨体で力があるので、強敵でしょうね」
「しかり。ですが、ユウヤ様の方こそ、油断されぬよう……」
「俺もですか?」
「そちらのブロックには、リッちゃんがいるようですので……」
「あぁ、確かに。順調に勝ち進めれば、準決勝で当たりますね……」
トーナメントを確認しながら、アムドさんと話す。
アムドさんの方は準決勝でバハムーさん。
俺の方は準決勝でリッちゃんと当たるようだ。
アムドさんとバハムーさんは、お互い四天王同士で見ごたえがありそうだし、俺の方は四天王のリッちゃんか……ちょっと厳しいなぁ。
リッちゃんに勝てたとしても、その先にはアムドさんかバハムーさんと決勝で対戦する事になる。
連続で強敵と対戦かぁ……。
「皆様、お待たせ致しました! いよいよ本戦、決勝トーナメントの開催です!」
「始まったようだね……」
テントでしばらく考え事をしていると、アナウンさんの声が聞こえ、トーナメントが開始された事を知る。
いよいよ、という感じで緊張感が沸いて来たが、それで全力が出せなくなってしまってはいけない。
自分を落ち着かせるように目を閉じる。
……予選開始前のアムドさんみたいになってるな。
「ユウヤさん、ステージへ」
「はい」
案内の人に呼ばれ、本戦のステージへと向かう。
これから先は、予選と違ってしっかり勝ち進んできた魔物ばかりだ。
対戦相手は全て強敵と考え、全力で戦おう。
「来ました! 今大会唯一の人間、ユウヤ様です! 四天王のキュクロ様を倒し、本戦へと出場を果たした戦いは、見る者をうならせるものでした! 今回はどのような戦いを見せてくれるのか、目が離せません! 対するは……」
「ユウヤパパ、しっかり本戦まで出場で来たな……」
「……マリーちゃん? 魔王モードなんだ。それで審判をするの?」
「そうだ。我は魔王であるからな。民衆の視線が集まるこの場で、子供の姿ではいられまい」
アナウンさんの、大袈裟な実況を聞きながらステージへと上がると、待っていたのは大男姿のマリーちゃん。
……この姿を相手にマリーちゃんと呼ぶのは、少しためらいがあるな。
まぁ、大勢の魔物に見られるのだから、見栄えを気にしてこの姿になるのも納得だ。
「キュクロとの戦い、見事だったぞ。優勝、期待しておるからな?」
「魔王が、一人に肩入れして良いのか?」
「なに、審判としては公平でないといけないが、個人としては、応援するくらいかまわないだろう?」
「確かに、ね」
幻魔法の影響で、尊大な喋り方をするマリーちゃん。
それでも、やっぱり中身はマリーちゃんらしく、俺を応援してくれるようだ。
これだけ近くで娘が応援してくれてるんだ、頑張らないとな。
見た目大男を娘というのも、なんだか微妙な気分だけど……。
「決まったぁ! ユウヤ様の拳が相手の顔面に突き刺さる! 倒れたまま動かない! これは再起不能か!?」
「勝者、ユウヤ!」
「「「「わぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」」
さすがに再起不能じゃないとは思うが……。
審判であるマリーちゃんの宣言を聞いて、ステージを降りる。
対戦相手の魔物は、俺の拳を顔面に受けて、気絶してるだけだろう。
……身体強化(極限)に慣れて無かったら、もっと強い力で顔を吹っ飛ばしてた可能性もあるから、慣れていて良かったと思う。
マリーちゃんの目の前で、魔物を殺して失格になるわけにはいかないからな。
「えーと、これで3回勝ったから……次は準決勝か。リッちゃんも順調に勝ち進んでるみたいだし、対戦は確実かぁ。さて、どうするか……」
運が良いのか悪いのか、今までの対戦で魔法を使って来る魔物はいなかった。
魔法を使う前に倒した……という事もあるかもしれないが、それでも対魔法と考えると、ちょっと失敗だったかもしれない。
この世界に来て、魔法を見る機会が少なく、どう対処して良いのかわからないからなぁ。
どんな魔法があるのかも、よく知らないし……。
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