ブレインダイブ

ユア教 教祖ユア

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序章・対の戦い編

1-18 18 精神世界の緋色視点 私達

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「ねぇねぇ…暇だよぉ!」

幼い緋色が駄々をこねている。しかし、片手には剣を持っている。

「だからって…私達のところに来ないでよ。あんたの管轄はここじゃない。第三地区でしょー」

双子緋色の片割れが言う。片方はロングスカート。片方はガウチョを履いている。

「また新しい言葉を作ってー!覚えるのめんどいよ…」

「めんどいのはこっち。私が表面なの。」

普通の緋色が愚痴っている。

「煩いなぁ…!弱虫!」

「はぁ!?私のほうが弱いけどあんたよりかは身分上だからね!?」

「そんなに身分が高い訳じゃないでしょ!?」

争い始めた。

「煩い!煩い煩い煩い煩い煩い煩い!」

双子のガウチョ緋色が叫ぶ。

「どいつもこいつも!喧嘩しないで!あんたらが騒ぐと来るの!」

そう言うと二人が黙る。

「た、確かに…」

制服が申し訳無さそうにしている。

すると、幼い緋色が顔色を変えた。

「ご、ごめんなさい…ちょっと遅かったかも…」

すると、もう一人の緋色が二人の首を掴む。二人は宙に浮いている。

「ねえ…しつこいんだけど。」

「執行者…の緋色………いつもより…苦しいんだけど……?」

「あ……う…」

「ッチ!」

二人を床に叩きつける。

「私に従いなさい。従わない奴は嫌いよ。」

「ご、ごめんごめん。ちょっと頭に血が上った。」

制服の緋色は叩きながら立ち上がった。

「私の身分が上なんだよ。敬語を使えよ…!」

執行者の緋色が蹴り上げたところを制服の緋色はしっかりと受け止める。

「るせぇよ。調子乗んなって。結局は、ブチギレ緋色と拒否緋色が全てなんだからさ。この二人と関われるのは私だけ。主人格舐めんなよってハナシ。」

「舐めてるのはお前の方だろう…!」

「本体に言えよ。そんな事。確かに身分は大事だけど、私を媒体にして子供緋色や、執行者緋色と繋がってる。それに、私は反骨精神で生きてるから。」

「この野郎…」

「しつこいよ。執行者の緋色。」

双子緋色のスカートの方が言う。

「帰ってよ…私等関係無いのにさ。それとも私等と戦うの…?」

「そろそろここを荒らされたくはないの。どうする?」

ガウチョの緋色がクスクスと笑いながら言う。

「………わかったよ。帰る。じゃあな。」

執行者の緋色は帰っていった。

「悪い!まじで助かった!」

制服の緋色が、頭を下げる。

「潔く帰っていったけど…もしかして、二人位高いの?」

「第三位よ。私達は。」

「へー!私第六位だから、3つも上なんだね!」

「私もあと一つ上だったらもうちょい楽かもね…」

「そういえば主人格が第五位って、やっぱり弱いから?」

「ちょっと癪に障るけど…違うよ。拒否の緋色が本来は主人格なのよ。」

「本体が色々隠そうとしてるもんね~でも、あれはちょっと必死すぎ…」

「そうそう。その必死さを隠す為に私が表面で出てるわけ。」

「でも、普通の緋色さ…夏希が来たとき、やらかしてたね~」

「死にたいって言っちゃったあれね~口滑った…」

「まあ、なんとかなったからいいけど…」

ロングスカートを履いている緋色は上を見上げる。

「いつになったら…私達は幸せになれるのかな。」

「学園に入ったら…って思ってたけどね。」

「それでもマシだよ。百億倍マシだね。」

「小学園が、酷いだけさ。どこに行っても蔑まれてさ。認められなくてさ。何度死にたくなっても死なせてくれないよ。ハハ…」

「何度も死にかけて、死にたくなって…そこでやっと精神世界と繋がっても、本体は私達を頼らなかった。」

「何しても意味無いからね。あの中で一番強いあの人を倒さないと…無駄。」

「今の私達でも…勝てない。」

「まぁ、どうせ誰も頼らないよ。」

普通の緋色は乾いた声で笑う。

「みふゆ?あの子には私を頼ったよ?一緒に遊んだよ?」

「でも…誰よりも恨んでいるのは美冬じゃないさ。」

「……だぁれ?私、知らない。」

「そういえば、そっちは生まれたのは卒業後だったよね。」

「だけど、私のカンリしてる記憶はどれもこれも壊したいものなの…!」

「無邪気な狂気が君そのものだし、あるのはそういう記憶だらけなのは仕方無いね。」

「ねぇ…皆、何かの感情が精神世界の緋色を作ってるんでしょ?」

「そうだよ。」

「何で、皆が居るの?なつき?が最初に来たとき、ありえないって…」

「それはね、本体が緋色を否定してるからだよ。自分は何なのか…よく分からない。」

「それでも、記憶はあって、感情があって…」

「でもそれらは皆醜いんだ。」

「私の事を普通の緋色って言うけど…普通じゃない。」

「私達は…なんの為にいるの?」

「戒めだよ。罪を忘れない為に。私の自由を奪われた事を忘れない為に。」

「その為に私達は位を与えられ、そして戦う。」

「位って…何で必要なの…?私は戦う為に?」

「戦えるから貰えるんだよ。そして…私達の本当の名前を知った時…私達はチカラを得る。」

「本体はさ…精神世界の私達を利用する事しか思ってないみたいだし。そう思っている間は、私達も本体も強くはなれない。」

「私達って弱いのね!じゃあ…普通の緋色!私と一緒に遊びましょ!」

「何で?」

「強くなる為によ!絶対に大地の涙はまた来るわ!その時は私の所で舐り殺してやるわ!アハハハハ!絶対に…私をコケにしてくれた分は倍返しよ…!」

「ええ…なんで私がやるの…双子の緋色より強くなれないんだよね。」

「じゃあ!何時強くなるのよ!」

普通の緋色が目つきが変わった。

「理不尽な時とか…命令されたとき…人に命令されたくないんだよね。ここは精神世界といえども、ここはただの魂の情報で作られた場所。魂の器だよ。でも、魂の底から嫌いなんだよ。」

「ふ~ん。分かんない。それよりも、嫌いな人を殺したい!殺したい人と遊びたいの!皆つまんない。直ぐに死んじゃうもの。でも、大地の涙は死ななかった。私が遊ばれた。だから、今度は私が遊ぶの!」

「殺し合いを遊びだと思うのが恐ろしいわー」

普通の緋色は棒読みだ。

「でも、遊びたいなら付き合うよ。」

普通の緋色は笑う。その顔は小学園の頃かつてを思い出させる。

「精神世界の分身の緋色じゃない、精神世界の本物の緋色が出て来るまで…私達はこの世界を守る義務がある。」

子供の緋色は笑う。その顔は純粋に狂気に満ちている。

「アハハ!そうね!本来は私達なんて居ないものね!」

今までガラスのような白い半透明の長剣は紅く濁っていく。

「私が、私達が…私達で無くなるまで…全部壊さないとね!アハハハハ!」

子供の緋色は狂ったように剣を振り回す。

乱雑に振り回しているように見えるが、全て普通の緋色の首を狙っている。

普通の緋色は縮地や電光石火を使いながら避けていく。

「そんな事してたら、体力切れちゃうんじゃない!」

「(小)威力なら3日続けれるよ!舐めないでよね!」

そして二人は飽きるまで戦い続けた。
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