ブレインダイブ

ユア教 教祖ユア

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序章・対の戦い編

1-22 22 緋色視点 残酷さが美しい

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「…………夏希、とうとう開眼した能力を戦闘に使い始めた…」

夏希達の試験をずっと緋色は見ていた。

(戦闘に使うような人じゃないと思ってたけど…しかも、洗脳してまでさ。)

二回目の試験は相手相手だったので無理だと判断したのだろう。

一人は暗殺者も居たので、洗脳をその人に使っていたら夏希は多分死んでいた。

「あ…春斗。と、鶴ちゃん。あと……誰だっけ?何か見た事あるような………確か…春斗の先輩だっけ?」

名前は覚えてないし、能力も知らない。

しかし、何故か弱そうとは一片も思わなかった。

緋色はその人にアナライズをかけてみる。

「笛伴 裕貴……雷神持ってるんだ。」

雷神を見たのは初めてだ。烈火の華の雷版の様な能力だ。

しかし、それ以外の情報を信じれない。隠蔽されている気がする。

春斗から聞いたが、どうやら大地の涙の息子らしい。

アナライズの能力が人より優秀な理由だろう。

(それでも、自分の能力をちゃんと理解して使いこなしてる。二人も戦いやすそうにしているし。)

簡単に三人は2回戦を突破していた。

それ以降の試合は無く、緋色は明日の準備をする為に試験会場を出た。

「緋色さん。お久しぶりです。」

声をかけられ緋色は振り向く。朱の流星だった。

「こんにちは。」

「明日くらいですかね?外に出るのは。」

「そうです。」

「外は何が起きるか分かりません。天から水が降ってきたりします。いつ降ってきてもいいように常時その撥水コートを着た方がいいですよ。」

「わ、分かりました。ありがとうございます。」

「何も起きない事を祈っときます。」

それだけ言って朱の流星は去っていった。





次の日になった。緋色は用意をして直ぐに家を出る。

家族には試験を見に行くと嘘を言ってある。

外に向かう扉に辿り着く。

「大きい……これが…外に行く扉。」

外に行く為の手続きを軽く済ませて、外に出ようとすると声が聞こえた。

「緋色!緋色だよね?」

「………そうだよ。久しぶり。。」

緋色の前に柊が居た。

(あのカスめ。まだ居たの…)

そう思っていると、柊は頭を下げた。

「緋色。ごめんね。私…やり過ぎちゃった。」

相変わらず反省の色が見えない鼻につく言い方だ。

やり過ぎではない。やってはいけない事をしていた。何故それを認めないのだろうか。

「…でね。そのお詫びとして、一緒に行かない?この人達ね、新人に親切に教えてくれる人達なの。だから緋色も一緒に教えてもらおうよ!」

物凄く気色悪い位態度が豹変している。

なにかあるが、断ると後々面倒なので嫌々承諾する。

「分かった。良いよ。」

やはり、何かあるのだろう。物凄く下品に笑い、柊は嬉しそうに言う。

「やった!じゃあ行こう!」

外に出る。

「うわぁ…………これは…中じゃ見れないな…こんな世界…!」

大きい木々達。滴る水の音。子供と同じ大きさ程の岩。

人が何一つてをつけていない、つけられない場所はこうも美しいものなのか…と緋色は美しさに溜息をついた。

「緋色!もっと凄いのが見れるんだよ!」

そう言い、柊は緋色を連れ出した。

グイグイと強く腕を引っ張っていく。

「奥に行くつもりは無いんだけど…」

「大丈夫だって。モンスターが出てくる場所に行ってないから。」

「ねえ……」

緋色は違和感を感じた部分を即座に言う。

「何でモンスターが出てくる場所じゃないって分かるの?柊さん。本当にあの人達親切な人?」

すると、柊は立ち止まった。

「ねぇ…知ってる?ここは外。ルールなんて存在しない。何でもありなんだよ。」

この後の展開は想像がついてしまう。

「だから?」

聞き返すと、親切な人達は緋色の周りを囲い始めた。

「私に楯突いたよね?あんた如きに生意気だと思わない?だからさ、私に喧嘩売ったら如何なるか教えてあげるわ。」

(うわぁ…………)

「弱い奴はカモにされるだけよ。弱肉強食なのよ!全員で此奴を殺すわよ!」

「殺さないと殺されるって事?…外に出てこんな事する予定は無いんだけどなぁ…!」

「私達を殺せると思い上がってるんじゃないわよ!」

全員にアナライズをすぐにかける。合計5人。

烈火の華、ドラゴンスレイヤー、夜の騎士ナイトオブナイト、ハンター、ウィザード。

えげつない面子だ。烈火の華、ドラゴンスレイヤー、夜の騎士ナイトオブナイトはあまり居ない。

少しレアな能力だ。それだけでなく全員が資格所持者だ。

簡単に勝てない相手を、今から殺さなくてはならない。

そうしないと殺される。

「電光石火(中)!」

まず夜の騎士ナイトオブナイトが攻撃を仕掛けてきた。

「武器生成(中)…!グッ……この…!」

やはり、資格所持者の攻撃は比べ物にならない位に重い。

(それでも…精神世界の誰とも繋がらない…!これ位…一人でする…!)

「死線誘導・乱舞(中)!」

緋色の頬ギリギリを掠った。森林のせいでいつもより不規則だ。

試験の時の決闘の世界とは比べ物にならない。

「ぐっ……!」

「縮地(中)……隼(小)!」

緋色は防御の隙を与えずに首に斬り込んだ。大量の鮮血が飛び散る。

周りは動揺している。

「此奴…何の躊躇もなく……人を殺しやがった…!」

「この野郎!俺のダチの仇…!龍神之剛(大)!」

「殺される方が…悪いんだろ…!死線誘導・始点回帰(中)…!」

死線がドラゴンスレイヤーの周りを囲む。

「私だって…………!死線誘導・終点回帰(中)…!」

ドラゴンスレイヤーは死線に締め付けられる。

「死線誘導・折損(大)…!」

バキバキバキッ…!!と、聞くに耐えない音が鳴り響く。

本当に嫌な音だ。あまりにも痛々しい。

「ひっ………!ひ…光矢・乱数ラムダ…!」

恐怖で足が竦んでいる。そんな状態で攻撃されても緋色は当たらない。

「攻撃せずに、逃げれば良いと思うんだけどなぁ…!」

緋色はウィザードの額に銃剣を突きつけた。そして、引き金を引く。

「あと…二人…!」

ハンターは何処かに隠れている。

「ハンターの癖に気配隠蔽下手くそ過ぎないか…?」

死線を木に引っ掛け、飛び越える。その先にはハンターがいた。

驚いている。

「何で…!気配隠蔽したんだぞ…!」

「粗悪なもので隠せれると思うなって…!」

思い切り剣を振り降ろしたが、防御される。 

「この…!」

「私は気配察知をすれば直ぐに分かる。そんな付け焼き刃で…隠れれると思うなよ…!」

「だが、俺はハンターだ!この距離で避けれるわけが無いだろう!魔導式光線(大)!」

しかし、緋色は武器で簡単に受け流した。

「出来るよ。舐めると死ぬよ。」

そのまま、緋色はハンターの首に剣を突き刺した。

引き抜くと血が大量に噴き出す。

「………あとは…柊さん。やっぱり反省してないんだね。私を…あんな目に合わせておいて。」

「な………ぐ、紅蓮・矢(中)…!」

緋色は唐傘で防ぎ、剣で叩きつけて無効化する。

「決闘してわかったでしょ。もう…私の方が強いの。」

「あんた如きが…!」

「まだ、プライドが無駄に高いんだね。それ、一体どれ程の価値があるの?」

銃を柊に突きつけた。

「………!!本当に私を殺す気…!?」

「当たり前だよ。何言ってんの?」

「わ、私達、小学園からの仲じゃない!同じ歳から入って、同じクラスで仲良くしてたじゃん!」

「だから?何?」

「そんな友達を殺せるの?有り得ない!最低よ!」

緋色は太腿を撃ち抜いた。

「友達…?誰がいつ?そんな馬鹿げたこと言ったの?友達な訳…そっちの方が有り得ない。」

「この……!この化け物…!人殺し!人の心持ってないのね!」

「こっちの台詞だよ。………変わってないね。」

少し緋色は笑う。しかし、目に光は一片も無い。

「は…?」

「知性の感じられない会話。無駄にあるゴミに等しいプライド。そして、自分がまるで世界の中心にいると思い上がっているおめでたい思考。」

「は!?ふざけんじゃないわよ!言って良い事と悪い事があるでしょう!?」

「そっちの方が殺しやすい。終わりにしよう。君はずっとゴミクズで変わりはしない。それが全てなんだよ。…柊さん。」

「な…ちょ……と…本気で殺す気!?」

緋色は眉間に突きつけて撃ち抜いた。周りを見れば、木々が血で濡れている。

それだけでなく、緋色自身にも大量の血が付いていた。

「……ハハハ…撥水コートを常時着る理由ってこれか…」

緋色は服と顔の血は持っている水で流した。大地が赤く染まる。

それでも、肝心な服は血で汚れてない。

すると、緋色は気配をまた察知した。

「………今度こそは…モンスター…!次から次へと…!」

四足歩行の小型モンスター。それが緋色を囲む様に居る。

「こんな奴らばっかりって事…!?この世界は!!」

一斉に襲い掛かってきた。

「死線誘導・殺戮…!」

一気に5袋くらい殺せたが、まだまだ終わらない。

(取り敢えず真ん中から外れないと!)

「縮地(中)…!」

そのまま逃げる。しかし、この速度で逃げ切れない程にモンスターは速い。

木の枝を縮地で渡り続ける。

「死線誘導・回帰(中)…!!」

一瞬で死線を張り、元に戻す。勝手に突っ込んでくれて、一気に10体が地に落ちた。

すると、木の枝が体重に耐えられないのか、折れてしまった。

「ひゃ…!?」

緋色は変な声を出しながら落ちた。

「う~~~~…いってて…………あっ…!」

お腹に痛みも走る。

もう、目の前でモンスターが居る。何も動けない、反応が出来ない。

「今助ける!鎌鼬(中)!」

目の前のモンスターが惨殺される。

「大丈夫か………あ…」

「あ…ひ、久しぶり…………橋本君。」

橋本 智輝はしもと ともきは小学園の知り合いだ。

優秀でとても真面目な彼は、緋色に対して特に何もされてない。

たまーーーに、困った時に助けてくれた。本当にたまーーーーに。

「樫妻さん。大丈夫…?怪我は?」

「大丈夫。足は捻ったけど、歩けない程じゃない。それにもう…無能力者じゃない。」

「え!?本当に!?それはおめでとう!花嵐(中)!」

花吹雪を巻き上げ、モンスターを切り裂いていく。

「橋本君が能力使ってるの何気に初めて見たよ。疾風の旅人なんだねー…死線誘導・回帰(中)!」

纏めてモンスターを締め付けそのまま折損で仕留めた。

やはり死線誘導・回帰は攻撃には向いてないが、捕まえたり物壊すことに便利だ。

二人は背中を合わせながら会話する。

「初めて見たよ。その能力。鎌鼬(中)…!」

「私が命名権貰ったくらいだしね。あ……武器壊れた。鎌鼬(小)。」

緋色はもう一度武器生成をし、銃剣を作り出す。

「こんなにモンスターっているもんなの?死線誘導・乱舞(中)!…ああ足止め程度にしかならない…!!」

「それでも、大分マシだよ。盆東風ぼんごち(大)…!」

専用武器がチャクラムなだけあって範囲攻撃が優秀だ。

「そろそろしつこい!!」

緋色は最後の一体のモンスターの眉間を刺した。

辺りはモンスターの残骸で散らばっている。

「はぁ…はぁ……!終わった…?」

太陽が既に真上を過ぎている。ずっと外に出てから戦っている気がする。

「どうやら、そうみたいだ。」

「私、一応、外に出るの初めてだけど、ハード過ぎでしょ…」

「え…本当に!?それにしては動けてたんじゃないか!?だって異形なんて初めて見たんだろ。」

「そうだよ。死骸の匂いがこんなにキツイなんて知らなかったよ。」

そう言い、緋色は落ちていたモンスターの残骸を拾い始める。

「これが素材なの?」

「ああ、あんまり俺も触りたくないけどな。」

二人は集めて鞄の中に入れた。

どうやらこれくらい集まれば、子供が貰える毎月の小遣い程度になるらしい。

欲しいのは緋色の武器の素材か、高価な素材だ。

高価な素材は無理だ…と緋色は思った。

まだまだ、緋色は単独でモンスターと戦える程の力は備わっていない。

いつまでもいつまでも…精神世界の緋色と繋がる訳にはいかない。

「これを拾うだけで時間がかかった…」

「お疲れ。」

「どうも。」

外の世界は重労働だ。もう既に帰りたい。予定より6時間くらい早いが。

「いつ…資格取ったの?橋本君は。」

「結構前だよ。そこから3、4ヶ月に1回外に出てる。誰にも言ってないから、あんまり知っている人居ないけど。」

「そう。」

無言が続く。確かに敵では無いが、小学園の仕打ちの時に助けられた覚えは一度立ってない。

確かに、たまーーーに助けてくれた事はあるがそれは虐めの時じゃない。

だから、緋色は橋本の事を敵では無いが味方だとは思っていない。

「そろそろ休憩終わろうか。長居するとモンスターが寄ってくる。」

「分かった。」

「初めてなんだろ?外に来たのは。少し、中の世界手前に行こう。ちょっと奥に行き過ぎだ。」

奥に行き過ぎなのは緋色のせいではない。

歩いている間に、気配を察知した。

「橋本…君。」

「ああ…分かってる。」

物凄く大きなモンスターだ。二人で勝てると思えない。

「気配隠蔽は…?」

「出来るよ。」

二人は気配を隠し、見つからない様に歩く。

「グォォワァ゙ーー!!」

モンスターは急に絶叫する。

(こっち……見てない…?)

気配が動いてから、橋本の声は同時だった。

「逃げるぞ!」

二人は高速で逃げる。ずっと縮地を使い続けながら逃げていく。

「何でバレるんだよ…!!」

「知らねぇ!少なくとも、あのモンスターは気配察知が上手いんだよ!」

「絶対に逃げ切れないね!ほら、徐々に近づかれてる…!」

モンスターの走る音がまるで爆弾の様に大きい。

「がァアアアアアアア!!!」

雄叫びをした瞬間、真空波が広がった。二人は吹き飛ばされる。

「ぐぅ……!」

「樫妻さん!」

緋色は思い切り背中を強打した。身体に力が入らない。

「この…!秋嵐しゅうらん(大)!」

足を斬りつけるが全く効いていない。モンスターは緋色に突進する。

「あんまり使いたくないけど………!疾風式・天つ風!」

橋本はブーストを使った。暴風が橋本を中心に吹き荒れる。

さっきまでと違い、モンスターへの攻撃が通じる。

「す、凄い…これが…橋本君の能力のブースト…」

流石の強さで少し、尊敬してしまった。

「これで…最後だ!!さらいの風(大)!!!」

身体をズタズタに切り裂きモンスターは倒れる。

「大丈夫か?樫妻さん。」

「2度も助けられたね…」

緋色はフラフラになりながら立ち上がる。背中はズキズキと痛むが重症ほどではない。

「助けられて良かったよ。」

「此奴の残骸は…?」

するとモンスターはぴくりと動いた。触手のようなモノが生成される。

「樫妻さん!!!!」

緋色の前にいくように走って来た。そして両手を広げたまま身体は動かない。

すると、橋本は吐血する。よく見ると、心臓を貫かれている。

モンスターは死んだふりをしていた。誰も気付かなかった。

前に倒れる橋本を正面から掴む。

「……橋本………君………!」

「怪我は………無い……ね?」

「う………うん…!だけど…!!」

掠れた声で緋色に言う。

「………最後に見る顔が……樫妻だとは思わなかったよ………まぁ…まだマシだよな…………………ゴメンな…」

「え………?」

「あの時…助けてやれ………無くて……………俺は………あの時…………良心と…正義に従えば……………良かったのに……自分の…弱さで……………」

「その言葉を…何で今………!生きて…………謝罪してよ!!!」

また、暴風が吹き荒れる。橋本は最後の力を振り絞っている。

「ごめん…………早く…もっと早く………!!!!言えば……良かったな………これも…自分の弱さ……………なんだ。」

橋本は自分のポケットから小さい手帳を取り出し緋色に託す。

「これは全て………俺が……蓄えた知識……………少なくとも…………ゴミにはならないさ…」

暴風が触手を切り刻む。再生され、破壊されの繰り返しだ。

「樫妻…お前に………託す…3年位同じクラスだった……………よしみってことでさ…」

力が抜けて地面に伏せる。同時に風が止んだ。

「何で…!今言うの!今死ぬの!橋本!!!」

モンスターは待ってくれない。また突進してきた。

「縮地(中)…………!」

ギリギリ避け、緋色は叫ぶ。

「なんで…………!やっと…この世界で…殺さなくていい人が、味方がいたのに!!!何で!殺したんだ!!!!!!」

怒りで頭がおかしくなりそうだ。

「自力でやろうって思ってたのに…無理みたいだよ…………お前をぶっ殺さないと気が済まない。来いよ。こういう時に、一番向いてるのは君だろ?」

精神世界の緋色と繋がる。第二位の怒りに染まる緋色が目覚める。

「ぶっ殺してやる!!!」

殺し合いが始まった。
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