ブレインダイブ

ユア教 教祖ユア

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弐章・選ばれし勇者編

2-16 48 大地の涙・その他視点 魂への復讐

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緋色視点

「はっきり言っていい?」

「どうぞ。」

「泣いていい?」

「駄目です。」

緋色と春斗が会話している。

既に緋色は後悔している。

「というかそもそも、樫妻先輩が悪いんですからね!朱の流星に聞きゃあ良かったんです!」

「いやぁ…………世界をやり直す事を知っていそうな人は大地の涙だったから……だって外の世界に行く前にあの人、私に魂に関する忠告したんだよね。」

「そんな事が…」

「私も知らなかった。…というか、3人とも戦ってるよ。」

「ほんとだー」

「おお………勝った…………」

「はや!」

「というか、そっちが駄弁ってたからでしょ。」

「まぁ…勝てるかなって。」

「それはそうだけどね?でも、見て?」

「ああ、あれが暗殺者トリオ。」

緋色はアナライズをして分かった。それにこの3人は強い。

個々でも強いのに、団体で来られたらたまったものではない。

「え…?ああ…まぁ、そうそう。暗殺者トリオなんだけど…このままアレが勝ち進むと……」

「………4回戦位に当たりますね………光達と。不安だ…………」

「実力としては多分大丈夫じゃない…?知らんけど。」

「…緋色先輩の言う通りなんですけど………光が…暗所恐怖症で…黒煙使われたら…………」

「あー…………そりゃあ光ちゃんが可愛そうねー…」

「でも、あの人達は、今のところ無能力者と同じ様に、基礎能力しか使ってませんよ?」

「春斗が暗殺者だったら途中死にかけても、それでも基礎能力しか使わない?」

「……使いますね。阿呆ほど使いますね。僕だったら。」

「私暗所恐怖症じゃないから分かんないけど…大変だろうね~…」

それに、簡単に2回戦も突破していった。




香露音視点

割と簡単に進んでいったが、3回戦は少々不安が残る。

しかし、ゆっくりと過ごす事は無理そうだ。

「……何か…可笑しくない…?」

「そうですね…」

緋色と春斗が異変に気付いた。

香露音も気配察知を使わずともその異変に気付く。

観戦席の警備員が物凄く慌てている。

耳を傾けると声が聞こえる。このときばかりは自分の耳の良さを褒めたい。

「此処は中の世界だぞ…?何で、モンスターが…!」

「分からんが、誰かが持ち込んだ可能性がある……!」

香露音は3人に聞いた内容を話す。

「仕方無いなぁ…モンスター討伐に行こ行こ…」

緋色は外の世界で見る目と変わる。

「どうせ、あの人達は仕事が早くて、外には簡単に出られないだろうし…」

緋色は言う。嫌な予感がする。しかし、香露音は一応聞く。

「…最上階から飛び降りるとか無いよね…?」

緋色は笑顔で言う。

「そうだけど?」

本当にこういうとびっきりの笑顔の時は何でこんなに頭のネジが外れた事を言うのだろう…?

しかし、これしかない。多分。最後の希望だ。鶴ちゃんに聞こう。

「…何か塞がれてない所ないの…?」

「…………」

黙って首を横に振る。仕方無い、飛ぼう。



という事で、屋上に来た。

「緋色が早いの…何で………」

「あそこの壊れかけの時計台あるじゃん…?あそこのでっかい時計のところで座ってたんだよ。そこに行くまでの道がアスレチックだった。」

「えぇ…」

見ると、モンスターがいる。

しかし、試験会場の外はもう既に避難が終わっている。

試験会場自体が避難場所でもあるので、出口が塞がれている理由だ。

「はい、いっくよー…」

緋色は棚見君と香露音の腕を掴む。

「嘘でしょ!?心の準備はさせてくれないんですね!?」

香露音は鶴ちゃんの腕を掴む。

「頑張ります…!」

「さんはーい!」

緋色は一気に飛び降りる。何で直ぐに出来るのか。

「死線誘導・蜘蛛の巣(大)!」

死線がネットの代わりになり、全員の衝撃を消した。

「僕、紐無しバンジー嫌すぎるんですけど…………」

もう遅い。

「文句は後に聞いてあげるから!いくよ!」

「…了解ですー」

渋々と剣を構える。

初めて見るモンスターだ。

うじゃうじゃいる訳でもないが、見るからに強そうなのが分かる。

「鶴ちゃん、いける?」

「勿論……です…!」

4人は、武器を構え戦い始めた。




大地の涙視点

1週間後の約束の日が来た。

かつて、謎の建物と中の世界とを繋がった扉。

オンボロの壊れかけた時計台へと向かう。

「フフ…そこが全てだったわね。」

あの日からずっと似合わぬ服を着た。

得意でも無いメイクをし始めた。

鬱陶しくて結っていた髪を降ろしている。

気持ち悪い様な喋り方もし始めた。

「……此処に来るのは久し振りね。」

いちいち降りるのが面倒臭い。

それにいつ崩れるかわからないが、それでもこっそりと登ろうとする人達が居るのはこの景色に魅入られているからだろう。

「…………別に、無償で死神について教えても良いのよ、緋色さん?」

しかし、それをしなかったのには理由がある。

「どうせ………また繰り返すわ。その時の敵は…モンスターじゃない。………私よ。大地の涙よ…!」

すると、その時計台からもう一人の自分が出てきた。

後ろには扉がある。この私は、あの建物の中に入った自分だ。

「やっぱり……私はあの建物をある程度扱えるのね。」

「………私を利用するなんて…さすが私ね。」

「良いじゃない。どうせ私も外の世界行くわ。」

「フン。だから何よ。」

もう一人の大地の涙の後ろからモンスターが溢れていく。

「沢山拾ったわね…」

「洗脳しまくったわ。あとは貴方の使いようよ。」

モンスターを街に解き放つ。

もう既に通報している。試験会場も今は封鎖状態だ。

あの4人はどうにかしてモンスターを討伐に来る。

そこを狙う。

もう一人の大地の涙は既に帰ったようだ。扉はもう無い。

「緋色さん…?この理不尽から戦ってみなさい。決意を私に見せて?」

以前、息子の開眼させる為に必要かと思い必殺型を作った。

形にしたが、結局、上手い事にならず、息子さえも洗脳してしまった。

だから、息子が死なない世界線では初めてだろう。

必殺型のブーストを使うのは。

「貴方の周りの誰一人死なない世界線。……その時を待っているわ。……絶対に今回じゃ終わらない。………だって貴方達は…!弱いもの。」

それだけじゃあ足りない。

確かに強いのかもしれない。

それでも足りない。

これで、大地の涙である、私が勝てばそれまでの事。

その先は絶対に進まない。

「もう一度…狂ってやるわ!!何度でも!そして教えてあげる…!何度でも…!」

この先は地獄だと。

洗脳される恐怖を。

洗脳できない屈辱を。

その綻びにある破滅を。

「タイムリミットは1時間。私のブーストは耐久出来るように作ってる。それまでに!私の洗脳から勝ってみなさい!洗脳式・魂への復讐!!!」

世界の色が変わっていく。私の手からガスの様なものが噴射されていく。

「モンスター達?樫妻 緋色、羽柴士 香露音、五十嵐 鶴、棚見 春斗。この4人だけ攻撃しなさい。それ以外、一瞬でも触れたら自決しなさい。」

このブーストの発動対象は今のところこの4人だけ。

あとから、この人達の味方をするのであれば同じ事をする。

「一気に洗脳に畳み掛ければ、洗脳出来るかしら?緋色さん?」

かつての狂っている自分を取り戻す。

「フフ。ああ…貴方の洗脳された姿を見せて?」

もっと狂え。

精神世界で捨てられた私をもう一度繋がれ。

魂に干渉し続けた私だから出来る事よ。

精神世界の私と繋がれるのは、今まで干渉し続けたからよ。

(緋色さんが繋がれる理由は知らないけどね。)

前回の私も同じ事をするのだろうか。

あの時はきっと、やり直していないからまた別の方法をとるだろうが。

それでも、やり直す事をどこかで察してそうだ。

「例えば、…また洗脳しにいくわね~とかね。」

さあ、地獄の始まりよ。
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