ブレインダイブ

ユア教 教祖ユア

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参章・昇りし太陽編

3‐33 90 奏恵・その他視点 闇夜

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奏恵視点

「…はぁ……もう何でこうなるの…」

ついでに目の前には、知っている人が居る。

「…か…」

喋ろうとした彼女の口を塞ぐ。

「黙って。」

(恐らく偽物。…それに、私の図星とか滅茶苦茶突いてくるんだろうなぁ…)

「…私は行かなきゃいけないの。」

全速力でこの場を去る。

絶対に此処にはお姉ちゃんはいない。

「待ってくれ………行くな!奏恵!…その先に、良い未来があるって限らないんだぞ!その先にあるのは希望でもなんでもないんだぞ!ちっぽけなお前に!何ができるんだっていうんだ!奏恵!」

その声に誰にも聞こえない程の小さな声で言う。

「…知ってるよ…」




智花視点

急にクラスメートが現れて罵詈雑言を言ってきた。

「…この間抜け!」

「何で貴方を優先しないといけないの!?」

(なにこれ?)

はっきり言って、この人達の事は興味無い。

「………温室育ちの人達にあんまり言われてもね…」

香露音先輩とか、夏希先輩とか…

私にはいつも誰かに苦しめられた時助けてくれる人がいる。

だから、彼が居なくなった時に助けようと思えた。

もう死にたくない。だから戦いたくない。それは今でも思う。

でも、この私の武器は戦う為の物だから。

私の心はこの太刀と共にある。

この太刀があればどんな壁だろうと斬り倒せる。

だから、何を言われても無意味。前とは違う。

探す為に私はこの人達を無視し歩いた。

「…お前は変わってない!弱いまま何一つ!」

「強く無い癖に!強者ぶらないで!」

その言葉さえも、今の私には効かない。私が強くなればそんな言葉も言えなくなるから。

「私は…強者じゃないけど、もう負けないって決めた。過去とは決別した。だから、もう黙って。」

私はやらなきゃいけないことがある。





夏希視点

少ししたら全員が戻ってきた。

「やっぱり…予想はしてたけど…緋色先輩と香露音先輩と大地の涙が居ないですね。」

光ちゃんは辺りを見渡しながら言う。

「そうだね…」

此処には夏希だけしか先輩が居ないからしっかりするしかない、

「…取り敢えず、待ってもしょうが無いから行こうか。」

「…はい…」

歩く度に、不穏な予感がした。

何処かで誰かが戦っている…そんな気がした。

すると、急に悪寒が走る。

(…何…これ?)

もしかしたら、建物が変形しているのかもしれない。

「………これ…」

鶴ちゃんが何かを見つけ出す。

それは小さな粒だった。

「…気のせい…かな…」

奏恵ちゃんが今度は鶴ちゃんの所に行き、覗き込む。

「んー…ちょっと貸して。」

奏恵ちゃんが手に持った瞬間、黒い粒から数十センチの蔦が急速に伸びた。

「うわっ…!」

しかし、数秒経てばその蔦は枯れた。

「…気持ち悪い…蔦だね…………」

この粒は恐らく蔦の種の様な物だろう。

良く見ると、大量にその種が落ちている。

「…わざと…あるの…?」

夏希は更に嫌な予感がして、全員に叫ぶ様に言う。

「走って!ここから離れて!」

「三人は良いんですか!?」

「あの人達なら多分大丈夫!今は…それどころじゃないと思う!」

早くここから出ないといけない。

そんな気持ちが焼き付いて離れない。

(この種…もしかしたら…黒い霧に何か作用するのかも…!黒い霧はモンスターになるし…蔦もモンスターになる何かが起きるかもしれない。…黒い霧が無いから今の所何もないのかも知れないけど…!)

やはり予想は合っていた。

後ろから黒い霧が5人を襲う。

「……やばい…!」

全員で逃げる。

「誰か黒い霧を晴らせる能力ないの~!」

「…疾風の旅人だったらいけたんじゃ…?」

「出来ても追い返すだけだから、あんまり変わらないんじゃない?」

「何で、鶴と光はそんなに平常なのー!?」

「そんなことより、蔦が急速に伸びてます…!」

やはり黒い霧で成長する蔦だったらしい。

モンスターに変化させるような霧を糧に成長する植物が無害なんて有り得ない。

「あ!見て!扉が先にある!」

全速力で走りその扉を開ける。

「た…助かった…?」

「寿命が…縮んだ気がする…」

「あー…………こっちの方が…寿命縮まない?」

光ちゃんの指差す方へ目を向けるとそこには檻に囚われた大型モンスターが居た。

「…縮む。」

夏希は冷や汗を流した。

何故囚われているのか。

モンスターは動かない。

これは一体何なのか。

もし動いて、夏希達に敵対すれば自分達で倒せるだろうか。

(ううん…倒せる倒せないじゃなくて…倒すんだ…!)

「…皆…構えて。」

全員が武器を持ち構える。

(さあ…どう来る?)

夏希はただひたすらにモンスターを睨み付けた。







此処は青い世界。

「…また…精神世界に…?」

夏希は精神世界に飛ばされたみたいだった。

だったら、これは恐らくあのモンスターの精神世界。

「…あのモンスターも…元は人間…だったんだね…」

精神世界の主を目指し歩く。

人間だった時の美しい記憶は黒い霧によって隠され、汚染され…もう見る事は出来ない。

代わりに誰かを殺し、痛みつけられた記憶画の鮮やかに映し出されている。

精神世界は誰よりもボロボロだ。

この荒れ様になる理由は簡単だ。その理由は洗脳されているからだ。

誰に洗脳されたかも凡その想像がつく。

何故大地の涙がこのモンスターを洗脳したのかは置いといて、モンスターを生かす理由は何なのだろう。

それに…今の大地の涙がこんな事をするとは思えない。

じゃあ…何故大地の涙が…?

「…殺してやる…!」

主は死にかけの声で叫んでいた。

「殺してはいけない…………!いや…殺さなくてはいけないんだ!」

明らかに自分の言っている事に矛盾している。

恐らく洗脳のせいだろうか。

ふと、夏希は考える。

私が洗脳を書き換えたらいいのではないか…と。

いや…危険だ。あまりにも危険過ぎる。

仮に今の夏希に出来るかどうか危うい。

仮に出来たとしても今より凶暴になるかもしれない。

それでも……………

苦しんでいるこの人を…助けてあげたい。

「私は…貴方を救ってあげられる。」

それが、破滅の道でも。

私達は死なずに…そして…モンスターに堕ちた人間貴方達を救う方法が必ずある。

そう願わずにはいられない。それに…それを叶えるために…私はここにいる。

それは…

私の我儘かな?

…皆…分かってくれるかな。

私の我儘に。

私の理想を。

私は私の理想を叶えたいの。

私は今覚悟を決める。

「私は…貴方を救う。」










「グワアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

「…!?」

夏希は少し目眩するが、何とか耐えた。

モンスターは檻を壊し、暴れ始める。

「こいつは…元は氷結の能力者だった!」

「え…!?ひ、人…!?」

「…黒い霧があんだけあるんだから…不思議じゃないけど……!」

「…5人で…特殊モンスターを…倒せるんでしょうか…」

「その為に今まで頑張ったんでしょ!…やるよ!…これが終わったら…皆で帰れる!…誰も死なずに、帰れる!」

この戦いに勝利を齎し、希望を祈る。

(私達に勇気を…!)

精神掌握を使う。

(大地の涙よりも強い洗脳は出来なかったけど…書き換えは何とかなった…後は、モンスターとして弱体化してくれたら…良いんだけど…!)

大地の涙の洗脳は複雑過ぎて完全には消しされなかった。

だから、強引に力業で洗脳を書き換えた。

それが凶と出るか吉と出るか。

急に隣の方が凍てつく槍が降り注いだ。

「鶴!」

「…死ぬかと思った…」

ギリギリで避けた様だ。

明らかに音速を超えた攻撃だ。殆ど見えなかった。

モンスターは雄叫びを上げ更に攻撃をする。

氷の槍が大量に生成される。

「光!お願い!」

「魔法剣…!」

魔法剣青い炎を纏った智花ちゃんが真っ先に飛び出す。

「月面斬り(大)…!」

そして、夏希が攻撃を仕掛ける。

悪夢殺しナイトメアイーター(中)…!」

「グガアアアア!」(…イタイ………イタイ………!)

夏希に洗脳されてるから、更にダメージを与えられている筈だ。

その心の声も聞こえ始めた。

「グルルルルル…」(コワサレタ………コワス…!)

凍てつくレーザーが噴出される。

聖なる光ホーリーバースト(大)…!!!……この……負ける…ものか…!」

幾ら奏恵ちゃんでも長くは保たない。

「智花!鶴!」

「オケ!」

「…分かってる…!」

二人はモンスターに攻撃する。

「黒の一閃(大)…!」

「月影(大)…!」

モンスターは驚いた表情を浮かべる。

モンスターはレーザー攻撃を即座に止めた。

「グゥ…」(……コロス…シンデモコロス…!)

夏希は危機を感じた。

「2人!下がって!」

「え…!」

モンスターは咆哮を上げる。モンスターの体から吹雪が夏希達を突き刺す様に吹く。

「つぅ…!」

「…グルルルルル…!」(…ユルサナイ………!)

氷まみれで身動きができない鶴ちゃんに爪で攻撃する。

「………唐傘(小)…!」

後ろに吹き飛ばされ、壁に罅が入る程の衝撃を受けた。

更にモンスターは追撃する。

「グルルラアアアアアア!」(コロ…シテ………ヤル…!)

「鶴ちゃんに近付かせない…!悪夢殺し(大)!」

「雷球(大)!」

モンスターはよろける。

「………舐めないで……!黒の一閃(大)…!!!」

モンスターは後ろに吹き飛ぶ。

「………私達は…帰るんだ………………………!」

奏恵ちゃんに治療され更に鶴ちゃんの声が強くなる。

「棚見と一緒に……………………私達と共に…………!」
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