雷撃の紋章

ユア教 教祖ユア

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8章 呪いは浸食する

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奏道・閃撃視点

(それにしても、やらかした…呪術師の毒をもろに喰らった。療に治してもらうにも、時間がかかるし、こいつら殺してからだな。)

右腕を刺され、いつの間にか毒が回っていた。

毒の痣が現れてから気付いた。

それも、首まで広がっている。

(そいつを殺しても、治ってないってことは、療に治してもらわないといけない。)

「颯斗。何分保ちそう?」

「…15分。」

「分かった、速攻で殲滅しましょう。」

「…悪い。」

「大丈夫よ。」

奏道は魔法が使えない。

戦うのはエレストのような素で戦う事になる。

橋本よりも明らかに不利である。

誰よりも不利だからこその戦い方があるのだ。

呪術師は襲い掛かってくる。

遠距離の呪術を二人が簡単に避けてしまうからだ。

療は盾で攻撃を防ぐ。

そして、槍で攻撃し返す。

「刮目しろ!『繚乱の舞』!」

鮮やかに奏道だけを避けるような斬撃で、呪術師を斬り捨てていく。

「小賢しい奴め!」

「爆破しかできないお前らの知能の低さ故の発言か?それ。」

「貴様っ…!!」

(あーあ、また怒らせて、もう!)

二人がかりで閃撃を襲う。

「ピキりすぎだろ!あっはは!!!」

閃撃はハイになってきている。

「この化け物が…!」

「平気で人を殺す集団の!お前らが言えたことじゃないだろ!?」

乱舞の攻撃で、呪術師の右腕が斬り落とされる。

「腕が無くなっても!痛みを感じないお前らがそれを言うのか!?」

呪術によって、閃撃の乱舞の紋章のような攻撃が生まれる。

「パクリはよくないぞ!」

「自身の力を模倣された呪術によって、殺されるがいい!」

「パクリは所詮下位互換にしかならないぜ!」

閃撃は呪術師の顔を掴んだ。

「本当に俺の紋章の力を見たのか?」

そう言った後片目を剣で突き刺した。

「貴様あああああ!!!」

毒が大分回ってきたのにもかかわらず、閃撃はむしろ楽しくなっていた。

彼はれっきとした戦闘狂バーサーカーだ。

「颯斗!早く終わらすわよ!」

「あ、ああ!分かってる!」

「半殺しにしてから、お前らを強制的に呪術師にしてやるよ!!!」

「やってみろよ!俺らに!」

呪術の爆撃が二人を襲う。

(そんな雑に爆撃されたら、颯斗の場所が分からなくなる!こっちは愛ちゃんや優と違って、魔法が一切使えないのに!)

奏道の足元に火種が生まれる。

一瞬で爆発した。

(呪術の発動時間短すぎ!)

避けた先に呪術師がいる。

奏道は直ぐに槍を向けた。

(そうよ、呪術師は平気で私を殺せる集団なのよ!副団長の私が躊躇うも何もあるものですか!)

すると、背後に気配を感じ、後ろを振り返った瞬間、肩を突き刺された。

「…!!!」

痛みで顔がゆがむ。

「良いな、その顔!」

もう一人からも、背中を刺される。

鎧を貫通している。

「そういう顔を我々は見たい!」

「気持ち悪いわね、本当に!!!!!」

奏道の左手の紋章が光り始める。

槍で肩の剣を折り、更に剣を引き抜き、自身に治療する。

「お前、治癒士ヒーラーか…!」

盾で呪術師の顔面を殴り、呪術師は地面に転げ落ちる。

背後から心臓付近を突き刺される。

「俺の女に手を出すとは良い度胸じゃねえか!」

閃撃は呪術師を蹴り飛ばす。

剣が奏道の身体から引き抜かれる。

その怪我すらも一瞬にして治る。

「先ずは貴方からよ!」

立ち上がろうとした呪術師を再び盾で殴り、槍を喉元に突き刺した。

「ぐっ…はっ…」

「足りないの…?ならもう一度おいたしてあげる!!」

首元を引き抜き、心臓を突き刺す。

「紋章の旅団副団長を…舐めないで。」

弱くてはいけない。

自分の傷は直ぐに治せるのだから、傷を恐れてはいけない。

判断を間違えては、優先順位を間違えてはいけない。

それが、副団長としての責任だ。

「おいおい、お前の仲間が死んじまったぞ!!」

「っ…!」

閃撃の紋章が更に強く光り始める。

「これで生きてると良いな!!!『絶命の剣舞』!」

「こんなもの避ければいい話…」

すると、光の糸のようなものが、呪術師の首元に繋がれる。

「残念だ、この技はだからな。」

「そんなものがある訳…」

どれだけ逃げても、閃撃は近付いていく。

「地獄で後悔して死ね。」

呪術師の頭が吹き飛ぶ。

「流石に死ぬだろ、これなら…」

「颯斗!」

奏道は閃撃に向かって走る。

「『回復の加護』。もう、激しく動きすぎ!もう少しでお陀仏になるわよ!」

「あ、ああ…ごめん、でも、ほら、療だって、見る側が痛くなるような戦い方をしてたし…」

奏道はムスっとしながら治癒をしていく。

「…はい、できたよ。」

「お、効く~~~!やっと楽になったよ、流石療だな!」

「はいはい。…それにしても、皆何もないと良いけど…」

と、奏道が言った瞬間雷の光が大空を埋め尽くした。

「フ~~~!フラグ建築士過ぎるな!」

閃撃は爆笑した後、冷静に戻って言った。

「ま、あっちはエレスト達がいるはずだけどー?」




エレスト視点


「ああ、もう…一生魔導撃ってるのにアンデット減らない…!」

エウルは息が上がっている。

トーラスもエレストも必死に戦っている。

「お陰で俺が楽だから助かる。」

トーラスは笑いながら言う。

「さ、久し振りの呪術師との戦闘だ。」

トーラスは本を開く。

紙が飛び散っていく。

「なんだ…これは…」

「本型魔法具『幾星霜』…序章『魔符』。ま、正確に言えば、本に魔力を流し過ぎて、魔法具化しただけだが。」

二人を取り囲むように、紙が舞っている。

呪術師はアンデットを召喚するが、何故か紙の外に弾かれる。

「…結界か?」

「この紙は結界みたいになってる。そういう魔法が発動している。」

「面白いな。お前を殺して、奪ってやろう。」

「俺しか使えないから諦めな。」

トーラスは片眼鏡を外した。

(俺の特異体質は魔力探知を視覚的に勝手にしてること。お陰で、この眼鏡が無いと、普通の人が見える普通の景色が見えない。)

トーラスは魔力の流れだけでしか見えなかった。

だから、それを止めるための片眼鏡を作った。

トーラスは神聖魔力の塊みたいなものだ。

普通の魔力の方が圧倒的に少ない。

勿論、妹の方が神聖魔力はあるだろうが、故郷がおかしいだけ。

普通は神聖魔力がある方が珍しい。

「お前が異常なように俺も異常だよ。」

浅村の神聖魔力量も普通と比べたら、異常に多い。

(これが終わったら、聞いてみたいな。使じゃない筈の人間がなぜあんなにもっているのか。)

呪術師のいる場所だけ影のように見える。

「まあ、いい。さっさと終わらせる。」

「そんなもの、姿を消せばどうとでもなる。」

見た目は姿が消えているのだろうが、トーラスにとっては、いつ消えたか分からないように、そこに存在している。

「お前なんかは、始まりの時点で終わるんだよ。序章…『魔符・剣』。」

魔符が短剣の姿に変わり、呪術師を一斉に貫いた。

「呪術師なんて、対して強くない。危機感が無い奴は戦う場所を間違える。」

呪術師は倒れていく。

「そんな…ことは…」

トーラスは追加で剣で刺す。

「…」

トーラスは片眼鏡を着けなおし、本を閉じた。





浅村、橋本視点


「え?ちょ…うそ、待って…」

浅村は倒れ声も発さず意識を失った。

治癒魔法をかけても、早く奏道の元に行かなければ助からない。

(どうする、私…撤退する?)

「よっしゃああ!うぇい!勝った勝った!お前ら雑ー魚!」

煽り声も橋本の耳に入らない。

「お前は殺さないでやるよ。俺の行くことを邪魔しないならな。」

(撤退したら、ダメだ。既に一つ突破されて、二つ目もされたら…救護室の人が危ない。)

「何で庇ったんですか?私に何が出来るって言うんです…」

ここで撤退したら沢山の人間が殺される。

ここで呪術師と戦って、勝ったとしても浅村が生きれると保証はない。

そもそも勝てるのか分からない。

「で?どうするの?」

その言葉に橋本は冷や汗を流した。
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