君は私であり、逆も然り

ユア教 教祖ユア

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私は誰だ

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「死ぬ事が本当に救われると思っているんですか?」

自分はずっと精神科の医者に言われた言葉がずっと頭に残っている。

言われた時に動揺した。

家の物を壊して、親にバレた時みたいにドキッとした。

(…あんまり今日は酔えない。)

君の声もあまり聞こえない。

情動的な状態から、凪いでいる状態に変わったのだろうか。

君という存在がいないだけでとても楽だ。

非常に助かるところではある。

(テスト期間で忙し過ぎて、病院行けてないんだよな…)

それだけじゃなく、歯医者も行かないといけない。

死にたいとか諸々思っている割に、自分のやらないといけない事がずっと流れるように出てくる。

死んでも、世界は回る。

自分という存在はこの世界でたった1人しかいない。

でも、替えなんて幾らでもいる。

特に自分の様な凡人には。

しかし、そうやって思う度に、反論しようとする自分もいる。

大学初めての夏休みの時、犬が街中で歩いているのを見つけた。

飼い主はいない。

首輪も無い。

此処に野良犬がいるとは聞いてない。

赤信号なのに、交差点のど真ん中で歩いている。

自分は一人の同じ部活の人と帰っていた。

「捕まえんと!」

見ないふりをするつもりだった自分と裏腹に、もう一人の子は叫んだ。

仕方ないから、自転車を降りて走り出した。

5分位の格闘の末、何とかして捕まえた。

捕まえたところで何したらいいか分からなかった。

通りかかった人達が全員優しかったから、飼い主も見つかって事なきを得た。

まあ、自意識過剰というか、自信過剰かもしれないが、自分は犬を飼っていて、犬の暴れても離さない掴み方を知っている。

背後から抱きかかえた自分のファインプレーはそこそこあった。

確かに、自分の替えは幾らでもいる。

でも、その場にいたのはその替えではなく、自分だ。

あの記憶は、きっと自分がいる意味を教えてくれるのに役立つはずだ。

きっとこの平穏な心情は長くは続かない。

また、君が現れる。

今だから、多少の苛つきも抑え込めるが、それが果たして情動的な状態で出来るのかどうか分からない。

情緒不安定な部分は直さないといけない。

(いつになったら…変わる必要が無くなるんだろう。)

正直、自分を責めながら、自分を変えようとするのは疲れた。

無理に自分を変えたくなくなってきた。

今の自分を赦せるようになれば、いいんだろうか。

どうしたらいい。

自分の心に対する悩みを抱えた時に毎回思う。

楽になりたい。

早く、自分は精神疾患を持ち合わせていると、決めつけてほしい。

それでも、私は普通の人だと見止めて欲しいと思うのは、我儘だろうか。

その我儘すらも認めて欲しいと思うのは厚かましいだろうか。

物事に対して、たまに感情が雲隠れするときもあれば、自分の気持ちが分からない時がある。

その自分がそう思うのは駄目だとはどうしても思いたくない。

ようやく出てきた、自分の気持ちを、自分の意思をどうにかして理解されずとも、認めて欲しい。

理解も許しも求めやしない。

容認が欲しいだけだ。

薄っぺらい多様性を押し付けて、理解した気になってるくらいなら、目の前にいる自分を理解する努力をしてほしい。

「…つってもなあ。私の生きる意味なんて…」

生きることが苦痛なら、死ぬしかないんて暴論過ぎる。

正常な思考の時はちゃんとわかる。

でも、異常になってるときはもう死ぬ事にしか思考がいかない。

普通の時と普通じゃない時に同じことを言われたら感じ方は違うだろう。

死ぬ意味もいる意味も無い自分には、一体何があるのだろう。
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