君は私であり、逆も然り

ユア教 教祖ユア

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笑えるくらい虚像

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「…これは夢か。」

自分は現実だと思っていた映像に、少し悲しくなりながらそう言った。

今もまだ、元カレと同じ時間を過ごしている夢を見ている。

なんという虚像だ。

そんな日はもう来ないのに。

馬鹿馬鹿しい。

こんな気持ち悪い夢を見る自分に、嫌悪的な感情を抱かざる負えない。

「またか。」

最近の夢はずっとこれだ。

自分は空想の世界から抜け出せなくなりそうで、危機感を感じる。

こんな馬鹿馬鹿しい世界があるものか。

空想の世界にいたところで、何も生まれない。

何も起きない。

何も、何も。

何もならない。

「勘弁してくれ…」

現実にそうなりたいだけで、夢で満足したいわけじゃない。

夢で出会うのは悲しくなる。

それよりも、自分が病気みたいで嫌だ。

未だに、精神疾患を持ち合わせていると信じたくない。

正確に言えば、病気と思われる理由を増やしたくないってところだろうか。

「…チッ。用意しよ。ホント、くっだらねえ…」

自分への発言は可愛らしくない。

もう少し、女の子らしい言葉でも言えばいいのだろうが。

顔を洗い、化粧水と乳液で肌を整える。

コンタクトを両目に入れて、景色がはっきりと映る。

「うわ、ぶっす。」

自分の顔を程々に罵りながら、外出着に着替えてメイク道具を取り出す。

自分の顔は一般的に可愛くない。

ハッキリ言ってブスである。

まあ別に、それに関しては、もうちょい何とかならなかったのか位しか考えていない。

結構どうでもいい。

無駄に小さい奥二重の目もアイプチで頑張ってみたことはあるが、アイプチが負けて諦めた。

それに、平行二重が出来ず、精々末広二重でその幅も微々たるものなので、アイプチしたとて、という感想だ。

その上、肌荒れが酷い。

ニキビ跡で肌が真っ赤っかで、目の周りだけは赤くないから、メガネザルみたいで気持ち悪い。

下地を緑色と無色とピンク色を混ぜて、顔にベタベタに塗り込む。

それでなんとか、肌の赤みを誤魔化して肌を白くする。

キープミストを馬鹿みたいに噴射して乾いてから、フファンデーションを塗りたくる。

自分は最近の流行から逆行するかのように、メイクした感厚塗りが好きだ。

あと、肌に関するコンプレックスが大きいから、勝手に厚塗りしてしまうのだろう。

その後に、クリームチークをつける。

中顔面短縮とか、正直よく分からない。

というかそもそも、自分は丸顔寄りで面長とかではない。

目の下に入れて、ついでのクマ隠し。

パウダーをテキトーはたいて、顔とノーズシャドウを輪郭を削るように、影を入れる。

アイシャドウを自分のセンス(笑)でいい感じにして、無駄に濃い眉毛をこれもテキトーにあしらう。

ハイライトを気分で入れて、リップを塗って、自分の完成だ。

40分位かかるので、毎回早起きしないといけない。

因みに、初心者の人はこの上の文章と同じ順序でメイクすると良い。

(日焼け止めも塗る場合は最初。以下順序同じ。)

メイクでそれらしい顔になるのだから、素晴らしいものだ。

メイクを落とせば思ったよりも醜い自分の顔が浮かび上がる。

都合の良い自分の顔を現実の顔のように考える事もまた、空想。

ま、これに関しては、殆どの時間をメイクをしている自分の顔になっているわけだし、仕方ないことかもしれない。

今日は牛乳と卵を買う。

メイクをするほどの予定ではないのにした理由は、最近してないから、というくだらないものだ。

人生はこんなにもくだらないもので溢れているみたいだ。

悲しいと思わず、くだらないと反で嗤う程度の事だけで、一日が終わればなんと楽だろう。

買い物を済ませ、スマホを見ると、知り合いから連絡が来ていた。

去年に寮に住んでいた、元隣人だ。

彼女はまあ一年しか住む理由がなかったため、今はもういない。

彼女は少し遠い場所にいるから、彼女が引っ越してから、一年経ってから一度も会ってない。


暇やから電話して


という簡単なものだ。

自分は、簡単に、


いいで


とだけ返した。

自分には味方が居ないと思っていた。

絶対的な見方が欲しかった。

イエスマンが欲しい訳じゃない。

でも、肯定はしてほしい。

そんな味方が欲しかった。

中高の時は、まさしく四面楚歌状態だった。

味方が居ないとかではない。敵しかいない。

絶望的に、どうしようもなかった。

大学の時も別に味方が居ないとおもった。

明確に敵という存在もいないから、どうすればいいのか分からない。

誰か…と思っていたけど、そんな頭を抱える必要はそういえばなかった。

彼女だ。

この子が居ると思って、ハッとした。

通話を開始する。

内容の無い会話しかしていない。

自分が病んだみたいな話も、自分がどうでも良い事のように話し、水に流す。

お互いゲームに夢中で無言の時間もあった。

それでも、なぜか楽しかった。

こんな日々を、久し振りに感じた。

欲していたのかもしれない。

つまらなさそうにしているだろう、君に自分が言う。

「楽しいわー、何の会話もしてなくても。」

「それな。」

彼女もそれに反応した。
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