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9 夕翔の変化
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「ゆうちゃん、目を瞑って」
「ん? わかった……」
夕翔は花奈に背中を向け、膝を抱えたまま目を瞑った。
花奈はゆっくり近づき、首に息を吹きかけた。
「やめっ! 何やってるんだよ! それダメ!」
夕翔は真っ赤な顔で首を両手で押さえる。
——やっぱり……。
花奈は夕翔から少し離れ、ミツに念話する。
『ミツ、ゆうちゃんの状態は?』
『あの……姫様に……よ、欲情を抱いたようです』
ミツは動揺しながら答えた。
それを一緒に聞いていたフウは、赤くした顔を前足で覆う。
『ありがとう。もうしばらくゆうちゃんの観察お願いね~』
『はい、畏まりました』
花奈は夕翔を満面な笑みで見つめる。
「どうやら抑制されてたものが解放みたいだね。どんな気分?」
「そ、そんなこと聞くなよ!? それに俺はよくわかってない!」
「ふ~ん。じゃあ、私と一緒に勉強する? この世界ってどういう感じなのかもしりたいし~」
「1人でやってくれー!」
真っ赤な顔の夕翔はそう言い捨て、2階へ駆け上がった。
放置された花奈は呆れ顔を浮かべる。
『はあ……まさかあんなお子様だったなんて。フウ、そう思わない?』
『仕方ありませんよ。それを知らずに成長しているのですから。あの感じだと、骨抜きにするのは時間の問題かと。姫様はお美しいですから』
『外見だけ気に入られても不満だけど? ゆうちゃんには私の内面も好きになってほしいの』
『それは難しいですね。姫様は向こう見ずでおてんばですから……』
フウは難癖をつけてきたので、花奈は口を尖らせた。
*
夕翔の寝室。
夕翔は布団に潜り込み、膝を抱えて丸まっていた。
——はあ、あんな恥ずかしい状態さらけ出して……情けない。花奈が美人すぎて見てられなかった。あ゛ー! どうしよう、これから同棲続けられるのか? そうだ! しばらくは犬の状態を保ってもらえば……。
*
1時間後。
「——ゆうちゃーん! お腹すいたー!」
扉の向こうから花奈の声が聞こえ、夕翔はため息をつく。
——おちつけ、俺。大丈夫だ。花奈は犬、犬……。
そう念じながら夕翔は扉を開けた。
「調子はどう?」
花奈は夕翔の顔を覗き込んだ。
夕翔はすぐに顔を赤くする。
「今から作るよ……」
夕翔は花奈から目をそらした。
「おねがいしまーす」
花奈は嬉しそうに先に階段を降りていった。
*
キッチン。
「——手伝うよ~」
「おう……悪いな。じゃあ、玉ねぎみじん切りして」
夕翔は少し照れながらお願いした。
「うん」
——ゆうちゃんの反応、可愛すぎ! 抱きつきたいけど、刺激強いみたいだからな……。しばらくはソフトにしてあげないとね~。
花奈はまだ慣れない手つきで玉ねぎを切り始めた。
「——あ~! 目が痛い!」
泣きながら刻む花奈を見て、夕翔は吹き出す。
「まだあるから頼むぞ」
「はーい……」
——こういうとこ、可愛いんだよな……。
その後、花奈は夕翔の作り方を見ながらオムライスを完成させた。
「は~! 美味し~い! この卵の固さで綺麗に焼くの難しいんだよねー」
花奈は大盛りのオムライスを満面の笑みでパクパク食べていた。
夕翔が調理した卵はトロトロ半熟で、見た目も完璧だ。
「それはよかった。花奈はもう少し練習しないとな……」
夕翔は自分のオムライスを見て眉尻を下げる。
ケチャップライスの上に乗ったぐちゃぐちゃの卵は、花奈が調理したものだ。
「毎日練習するね!」
「毎回オムライスは嫌だから、ほどほどに頼むな……。そうだ、しばらく俺の前では犬になってくれないか? 都合が悪い時は人型になってくれて構わないから」
「え? なんで? 人型でどんどんアピールしていい、って言ってくれたよね?」
「うーん……その時はな」
「もしかして、発情期に困惑してる?」
夕翔は顔を真っ赤にした。
「なんで、そう言葉ではっきり言うんだよ!」
「そうしないと伝わらないこともあるでしょ? 異世界人だから齟齬があったら困るし」
「はあ……」
夕翔はうなだれる。
——俺がこうしてひた隠しにしてるのに……。苦労が台無しだよ。
「ゆうちゃんが困惑するのも理解できるよ。だって今までそんな期間なかったんだから。せっかく一緒に住んでるんだから、私が慣れさせてあげるよ~」
花奈はそう言うと、夕翔の耳に息を吹きかけた。
「あ゛あっ! ダメ! ストップ!」
夕翔はスプーンを落とし、急いで花奈と距離を取る。
「えー! これくらいでダメなの? やっぱり強制的に女の人に慣れないとね~」
——可愛すぎでしょ。
花奈はにやけながら夕翔を見つめる。
「頼むから、そっとしておいてくれ……」
その後、花奈は不意打ちで夕翔を軽く触り続けたが……。
夕翔はその度に過剰に反応してしまい、最終的には怒らせてしまった。
*
その日の深夜。
雨が降っていたこともあり、夕翔は花奈と一緒に寝ていた。
「——はあ~、やっぱり犬の花奈っていいな~」
夕翔は布団の中で花奈を撫で回していた。
「違う意味で拒否されてる感じ。結構傷つくけど?」
「ごめんな~」
夕翔はお詫びに撫でまくる。
花奈は不満を抱いていたが、結局なでなでが気持ちよくて目をとローンとさせる。
——やっぱり犬の花奈ならなんともない。むしろ、こうやって触りたくなるんだよな~。あー、でもどうしよう! 花奈が人型の時は自分の体が思うように制御できない! 触られるだけでやばい!
夕翔は顔を左右に振って忘れようとするが……。
人型の花奈の綺麗な足や膨らんだ胸元などを想像してしまい……。
——あ゛~! 俺はどうなってしまうんだー!
夕翔は心の中で叫んだ。
***
夕翔たちがベッドに入った頃——。
人気のない公園に1人の男がいた。
ひどい雨の中、傘をさしていない。
片手に白い物体を握りしめ、それに向かってブツブツと何か言っている。
『——貴様、犬壱嗣斗の式神だな?』
『えー……勘違い違いではありませんか?』
その白い物体は、花奈を探していた嗣斗の式神だった。
『国王様に報告してもいいんだぞ? そうすれば、お前の主人は——』
『わ、わかりました。認めますから、それだけは……』
『なら、この世界で得た情報を全て渡せ』
『はい……』
嗣斗の式神は、その男に食われてしまった。
『なるほど、この近くに姫様が……』
「ん? わかった……」
夕翔は花奈に背中を向け、膝を抱えたまま目を瞑った。
花奈はゆっくり近づき、首に息を吹きかけた。
「やめっ! 何やってるんだよ! それダメ!」
夕翔は真っ赤な顔で首を両手で押さえる。
——やっぱり……。
花奈は夕翔から少し離れ、ミツに念話する。
『ミツ、ゆうちゃんの状態は?』
『あの……姫様に……よ、欲情を抱いたようです』
ミツは動揺しながら答えた。
それを一緒に聞いていたフウは、赤くした顔を前足で覆う。
『ありがとう。もうしばらくゆうちゃんの観察お願いね~』
『はい、畏まりました』
花奈は夕翔を満面な笑みで見つめる。
「どうやら抑制されてたものが解放みたいだね。どんな気分?」
「そ、そんなこと聞くなよ!? それに俺はよくわかってない!」
「ふ~ん。じゃあ、私と一緒に勉強する? この世界ってどういう感じなのかもしりたいし~」
「1人でやってくれー!」
真っ赤な顔の夕翔はそう言い捨て、2階へ駆け上がった。
放置された花奈は呆れ顔を浮かべる。
『はあ……まさかあんなお子様だったなんて。フウ、そう思わない?』
『仕方ありませんよ。それを知らずに成長しているのですから。あの感じだと、骨抜きにするのは時間の問題かと。姫様はお美しいですから』
『外見だけ気に入られても不満だけど? ゆうちゃんには私の内面も好きになってほしいの』
『それは難しいですね。姫様は向こう見ずでおてんばですから……』
フウは難癖をつけてきたので、花奈は口を尖らせた。
*
夕翔の寝室。
夕翔は布団に潜り込み、膝を抱えて丸まっていた。
——はあ、あんな恥ずかしい状態さらけ出して……情けない。花奈が美人すぎて見てられなかった。あ゛ー! どうしよう、これから同棲続けられるのか? そうだ! しばらくは犬の状態を保ってもらえば……。
*
1時間後。
「——ゆうちゃーん! お腹すいたー!」
扉の向こうから花奈の声が聞こえ、夕翔はため息をつく。
——おちつけ、俺。大丈夫だ。花奈は犬、犬……。
そう念じながら夕翔は扉を開けた。
「調子はどう?」
花奈は夕翔の顔を覗き込んだ。
夕翔はすぐに顔を赤くする。
「今から作るよ……」
夕翔は花奈から目をそらした。
「おねがいしまーす」
花奈は嬉しそうに先に階段を降りていった。
*
キッチン。
「——手伝うよ~」
「おう……悪いな。じゃあ、玉ねぎみじん切りして」
夕翔は少し照れながらお願いした。
「うん」
——ゆうちゃんの反応、可愛すぎ! 抱きつきたいけど、刺激強いみたいだからな……。しばらくはソフトにしてあげないとね~。
花奈はまだ慣れない手つきで玉ねぎを切り始めた。
「——あ~! 目が痛い!」
泣きながら刻む花奈を見て、夕翔は吹き出す。
「まだあるから頼むぞ」
「はーい……」
——こういうとこ、可愛いんだよな……。
その後、花奈は夕翔の作り方を見ながらオムライスを完成させた。
「は~! 美味し~い! この卵の固さで綺麗に焼くの難しいんだよねー」
花奈は大盛りのオムライスを満面の笑みでパクパク食べていた。
夕翔が調理した卵はトロトロ半熟で、見た目も完璧だ。
「それはよかった。花奈はもう少し練習しないとな……」
夕翔は自分のオムライスを見て眉尻を下げる。
ケチャップライスの上に乗ったぐちゃぐちゃの卵は、花奈が調理したものだ。
「毎日練習するね!」
「毎回オムライスは嫌だから、ほどほどに頼むな……。そうだ、しばらく俺の前では犬になってくれないか? 都合が悪い時は人型になってくれて構わないから」
「え? なんで? 人型でどんどんアピールしていい、って言ってくれたよね?」
「うーん……その時はな」
「もしかして、発情期に困惑してる?」
夕翔は顔を真っ赤にした。
「なんで、そう言葉ではっきり言うんだよ!」
「そうしないと伝わらないこともあるでしょ? 異世界人だから齟齬があったら困るし」
「はあ……」
夕翔はうなだれる。
——俺がこうしてひた隠しにしてるのに……。苦労が台無しだよ。
「ゆうちゃんが困惑するのも理解できるよ。だって今までそんな期間なかったんだから。せっかく一緒に住んでるんだから、私が慣れさせてあげるよ~」
花奈はそう言うと、夕翔の耳に息を吹きかけた。
「あ゛あっ! ダメ! ストップ!」
夕翔はスプーンを落とし、急いで花奈と距離を取る。
「えー! これくらいでダメなの? やっぱり強制的に女の人に慣れないとね~」
——可愛すぎでしょ。
花奈はにやけながら夕翔を見つめる。
「頼むから、そっとしておいてくれ……」
その後、花奈は不意打ちで夕翔を軽く触り続けたが……。
夕翔はその度に過剰に反応してしまい、最終的には怒らせてしまった。
*
その日の深夜。
雨が降っていたこともあり、夕翔は花奈と一緒に寝ていた。
「——はあ~、やっぱり犬の花奈っていいな~」
夕翔は布団の中で花奈を撫で回していた。
「違う意味で拒否されてる感じ。結構傷つくけど?」
「ごめんな~」
夕翔はお詫びに撫でまくる。
花奈は不満を抱いていたが、結局なでなでが気持ちよくて目をとローンとさせる。
——やっぱり犬の花奈ならなんともない。むしろ、こうやって触りたくなるんだよな~。あー、でもどうしよう! 花奈が人型の時は自分の体が思うように制御できない! 触られるだけでやばい!
夕翔は顔を左右に振って忘れようとするが……。
人型の花奈の綺麗な足や膨らんだ胸元などを想像してしまい……。
——あ゛~! 俺はどうなってしまうんだー!
夕翔は心の中で叫んだ。
***
夕翔たちがベッドに入った頃——。
人気のない公園に1人の男がいた。
ひどい雨の中、傘をさしていない。
片手に白い物体を握りしめ、それに向かってブツブツと何か言っている。
『——貴様、犬壱嗣斗の式神だな?』
『えー……勘違い違いではありませんか?』
その白い物体は、花奈を探していた嗣斗の式神だった。
『国王様に報告してもいいんだぞ? そうすれば、お前の主人は——』
『わ、わかりました。認めますから、それだけは……』
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