30 / 32
30 忙しい朝
しおりを挟む
今日は朝から犬神家中がバタバタしていた。
花奈の寝室の隣にある広い衣装部屋では、花奈と夕翔が横に並んで立っており、2人の式神たちが忙しく動き回っているところだ。
『——姫様、髪が結い終わりました』
フウは花奈の長い髪をゆるく編み込み、桃色の紐で結び終えた。
「フウ、ありがとう。次はこれを着ればいいのね?」
襦袢のような薄手の肌着を着ていた花奈は、前にかけられた衣装を指差した。
『左様でございます。ミツ、ヨツは姫様の着付けを。私は化粧にうつりますので』
『はい!』
『はーい!』
ミツは、桃色の花びらが散りばめられたクリーム色の着物を花奈の背中側から着せ、ヨツは紐で腰辺り結んだ。
それから2体の式神たちは赤い袴、白い狩衣を次々に着せていく。
一方の夕翔は——。
顔を青くしながら立っていた。
『——モモ、最後の紐はこう結ぶのだ』
『はーい』
モモはイツに教わりながら夕翔の着付けを行なっていた。
夕翔も花奈と同様に神職が身につけるような服をまとっている。
白い狩衣の下——袴は青く、内側の着物は水色だ。
「花奈……本当に俺も伊月さんの国王就任式に出席していいの? 非公式とはいえ、俺たちの結婚の儀もその後にするとか……急すぎない? っていうか、なんでギリギリまで言わなかったんだよ……」
花奈は目を泳がせた。
今日の朝——正確に言うと約30分前、夕翔は花奈から『重要な2つの儀式』について突然聞かされ、急いで着替えを始めて今に至っている。
当然、夕翔は心の準備が全くできていない。
「昨日は言いそびれちゃって……。国王就任式はゆうちゃんのお披露目も含まれてるから出てくれないと困るんだよ~」
「仕方ない、で済まされないんだけど……? 学校とかの身近な自己紹介とは全然違うんだからな」
夕翔は眉間にしわを寄せていた。
昨晩の花奈は両親のことでずっと泣いていたので、話す雰囲気ではなかったことを夕翔も理解していた。
それでも、人生を左右しかねないイベントが立て続けに行われるため、誰でも時間の余裕は欲しいと思うはずだ。
「とりあえず、式典後のお披露目時間はニコニコして民に手を振ってればいいから。私が全部説明するから大丈夫だって」
「話さなくていいならマシか……?」
「そうそう。それに、結婚の儀は早めに終わらせておかないと、ゆうちゃんは自由に行動しにくいでしょ?」
「まあ……」
夕翔は今のところ転移術で花奈と伊月の部屋、離れの専用浴室にしか行ったことがなかった。
まだ全く知らない世界——部屋の外へすら出る勇気はない。
『嫌われたらどうしよう』、『余所者は帰れ、といわれるんじゃないか』などと悪い考えが頭をめぐり、今さらながら怖くなっていた。
「でもなー……自由に行動できるからといって、この世界の人とうまく会話できる自信はないなー」
「ゆうちゃんは私の記憶でこの世界のことは把握してるんだから大丈夫だって」
「う~ん……この国のことはわかってても、他国のことはよく知らないぞ? 俺、異国人設定だろ?」
「問題ないよ。他の国と交流がほぼ断絶状態だから、みんな知らないんだって」
「そうか……それは都合がいいな。いや、しかし……王族の花奈にふさわしい男だって思われなさそうだから、やっぱり不安だ……」
夕翔は次々と不安を口に出し、最後にうなだれた。
花奈は眉根を寄せる。
「本当に急でごめんね……。ゆうちゃんの側から離れないようにするから」
「本当?」
「私がゆうちゃんを守ってあげる!」
「頼んだ」
夕翔は花奈の両手を力強く握りしめた。
安心材料を得た夕翔は、少しだけ気持ちが楽になる。
その後、着替えを完了した2人は、花奈の転移術で式典会場へ移動した。
***
国王就任式が厳かに行われた後、会場2階の細長いバルコニーへ、伊月・花奈・夕翔は移動した。
『伊月様~!』
『新国王様~!』
最初に伊月がバルコニーから顔を出した瞬間、会場前広場に集まっていた多くの民が歓声の声を上げた。
『花奈様~!』
続いて、花奈にも歓声が湧く。
『おい、あれは誰だ?』
『花奈様の横にいる男を知ってるか?』
次に夕翔が緊張の面持ちで顔を出すと、民は一斉にざわついた。
その淀んだ雰囲気に夕翔の心は一気に沈む。
今すぐ部屋へ帰りたい、という思いが夕翔の中を占めていった……。
「静粛に願います」
妖術で声を覚醒させた伊月の言葉が響き渡り、あたりは静まり返った。
「急な就任式にもかかわらずここに集まってくれた皆様、本当に感謝いたします。昨日お伝えした通り、前国王とその王妃は急死しました。本当に悲しいことです。皆様はさぞかし不安に思っていることでしょう。しかし、私がここに約束いたします。より良い国にしていくことを。そのためには皆様の協力が必要です。一緒にこの国をつくっていきましょう!」
『伊月様~!』
『より良い国を!』
『さらなる発展を!』
伊月へ向けて歓声が上がる。
前国王夫妻はいかにも独裁的な振る舞いだったので、民は早く代替わりしてほしいと願っていた。
花奈は妖術の実力や明るい性格で人気はあったが、伊月も引けを取らず民からの人望は厚い。
そのため、伊月が国王になることを反対した者は貴族の一部だけだった。
民は大歓迎ムードだ。
「——さて、先ほどから気になっている方も多いとは存じますが……姉の花奈から報告がございます」
伊月は花奈の方へ顔を向け、視線で合図を送った。
花奈は頷き、口を開く。
「皆様、私からご報告したいことがあります。本日、隣にいる夕翔さんと私は結婚の儀を執り行います。国王と王妃が亡くなったすぐのことで不謹慎だとも思いましたが……」
花奈は父親の顔を思い出したことで一気に悲しみが溢れ出し、言葉を詰まらせる。
隣に立っていた夕翔は花奈の手をそっと握る。
花奈は夕翔の手をぎゅっと握りしめ、再び口を開く。
「……暗い雰囲気を払拭するために、敢えて今日執り行うことに決めました。どうしても、伊月国王の門出を明るいものにしたかったからです。皆様、勝手な振る舞いをどうかご容赦ください」
花奈は頭を深々と下げた。
夕翔も同じように頭を下げる。
花奈の苦しい葛藤が民にも伝わり、いたるところですすり泣きや嗚咽が聞こえていた。
「約1年前から、私は犬神国を離れて様々な国を訪れていました。この国をさらに発展させたい、と思ったからです。その旅の途中で夕翔さんと出会い、結婚を決意した次第です。夕翔さんはまだ犬神国に来て数日ですので、温かい心でお迎えくださると幸いです。どうか、よろしくお願いいたします」
花奈が再び深々と頭を下げると、歓声と拍手で湧いた。
『花奈様~!』
『花奈様おめでとう!』
『おめでとう!』
「さあ、ゆうちゃん、手を振って」
「うん……」
夕翔はぎこちなく右手を振る。
「笑顔がかたいよ」
「そうか……」
夕翔は無理やり口角を上げた。
夕翔との出会いに関する説明はもちろん嘘だったが、誰もそれを証明することはできないため問題はなかった。
横で聞いていた伊月は『うまい嘘をつくな』と思いながら、姉の話術に感嘆していた。
そして、この混乱した状況で花奈がいてくれてよかった、と思わずにはいられなかった。
花奈の寝室の隣にある広い衣装部屋では、花奈と夕翔が横に並んで立っており、2人の式神たちが忙しく動き回っているところだ。
『——姫様、髪が結い終わりました』
フウは花奈の長い髪をゆるく編み込み、桃色の紐で結び終えた。
「フウ、ありがとう。次はこれを着ればいいのね?」
襦袢のような薄手の肌着を着ていた花奈は、前にかけられた衣装を指差した。
『左様でございます。ミツ、ヨツは姫様の着付けを。私は化粧にうつりますので』
『はい!』
『はーい!』
ミツは、桃色の花びらが散りばめられたクリーム色の着物を花奈の背中側から着せ、ヨツは紐で腰辺り結んだ。
それから2体の式神たちは赤い袴、白い狩衣を次々に着せていく。
一方の夕翔は——。
顔を青くしながら立っていた。
『——モモ、最後の紐はこう結ぶのだ』
『はーい』
モモはイツに教わりながら夕翔の着付けを行なっていた。
夕翔も花奈と同様に神職が身につけるような服をまとっている。
白い狩衣の下——袴は青く、内側の着物は水色だ。
「花奈……本当に俺も伊月さんの国王就任式に出席していいの? 非公式とはいえ、俺たちの結婚の儀もその後にするとか……急すぎない? っていうか、なんでギリギリまで言わなかったんだよ……」
花奈は目を泳がせた。
今日の朝——正確に言うと約30分前、夕翔は花奈から『重要な2つの儀式』について突然聞かされ、急いで着替えを始めて今に至っている。
当然、夕翔は心の準備が全くできていない。
「昨日は言いそびれちゃって……。国王就任式はゆうちゃんのお披露目も含まれてるから出てくれないと困るんだよ~」
「仕方ない、で済まされないんだけど……? 学校とかの身近な自己紹介とは全然違うんだからな」
夕翔は眉間にしわを寄せていた。
昨晩の花奈は両親のことでずっと泣いていたので、話す雰囲気ではなかったことを夕翔も理解していた。
それでも、人生を左右しかねないイベントが立て続けに行われるため、誰でも時間の余裕は欲しいと思うはずだ。
「とりあえず、式典後のお披露目時間はニコニコして民に手を振ってればいいから。私が全部説明するから大丈夫だって」
「話さなくていいならマシか……?」
「そうそう。それに、結婚の儀は早めに終わらせておかないと、ゆうちゃんは自由に行動しにくいでしょ?」
「まあ……」
夕翔は今のところ転移術で花奈と伊月の部屋、離れの専用浴室にしか行ったことがなかった。
まだ全く知らない世界——部屋の外へすら出る勇気はない。
『嫌われたらどうしよう』、『余所者は帰れ、といわれるんじゃないか』などと悪い考えが頭をめぐり、今さらながら怖くなっていた。
「でもなー……自由に行動できるからといって、この世界の人とうまく会話できる自信はないなー」
「ゆうちゃんは私の記憶でこの世界のことは把握してるんだから大丈夫だって」
「う~ん……この国のことはわかってても、他国のことはよく知らないぞ? 俺、異国人設定だろ?」
「問題ないよ。他の国と交流がほぼ断絶状態だから、みんな知らないんだって」
「そうか……それは都合がいいな。いや、しかし……王族の花奈にふさわしい男だって思われなさそうだから、やっぱり不安だ……」
夕翔は次々と不安を口に出し、最後にうなだれた。
花奈は眉根を寄せる。
「本当に急でごめんね……。ゆうちゃんの側から離れないようにするから」
「本当?」
「私がゆうちゃんを守ってあげる!」
「頼んだ」
夕翔は花奈の両手を力強く握りしめた。
安心材料を得た夕翔は、少しだけ気持ちが楽になる。
その後、着替えを完了した2人は、花奈の転移術で式典会場へ移動した。
***
国王就任式が厳かに行われた後、会場2階の細長いバルコニーへ、伊月・花奈・夕翔は移動した。
『伊月様~!』
『新国王様~!』
最初に伊月がバルコニーから顔を出した瞬間、会場前広場に集まっていた多くの民が歓声の声を上げた。
『花奈様~!』
続いて、花奈にも歓声が湧く。
『おい、あれは誰だ?』
『花奈様の横にいる男を知ってるか?』
次に夕翔が緊張の面持ちで顔を出すと、民は一斉にざわついた。
その淀んだ雰囲気に夕翔の心は一気に沈む。
今すぐ部屋へ帰りたい、という思いが夕翔の中を占めていった……。
「静粛に願います」
妖術で声を覚醒させた伊月の言葉が響き渡り、あたりは静まり返った。
「急な就任式にもかかわらずここに集まってくれた皆様、本当に感謝いたします。昨日お伝えした通り、前国王とその王妃は急死しました。本当に悲しいことです。皆様はさぞかし不安に思っていることでしょう。しかし、私がここに約束いたします。より良い国にしていくことを。そのためには皆様の協力が必要です。一緒にこの国をつくっていきましょう!」
『伊月様~!』
『より良い国を!』
『さらなる発展を!』
伊月へ向けて歓声が上がる。
前国王夫妻はいかにも独裁的な振る舞いだったので、民は早く代替わりしてほしいと願っていた。
花奈は妖術の実力や明るい性格で人気はあったが、伊月も引けを取らず民からの人望は厚い。
そのため、伊月が国王になることを反対した者は貴族の一部だけだった。
民は大歓迎ムードだ。
「——さて、先ほどから気になっている方も多いとは存じますが……姉の花奈から報告がございます」
伊月は花奈の方へ顔を向け、視線で合図を送った。
花奈は頷き、口を開く。
「皆様、私からご報告したいことがあります。本日、隣にいる夕翔さんと私は結婚の儀を執り行います。国王と王妃が亡くなったすぐのことで不謹慎だとも思いましたが……」
花奈は父親の顔を思い出したことで一気に悲しみが溢れ出し、言葉を詰まらせる。
隣に立っていた夕翔は花奈の手をそっと握る。
花奈は夕翔の手をぎゅっと握りしめ、再び口を開く。
「……暗い雰囲気を払拭するために、敢えて今日執り行うことに決めました。どうしても、伊月国王の門出を明るいものにしたかったからです。皆様、勝手な振る舞いをどうかご容赦ください」
花奈は頭を深々と下げた。
夕翔も同じように頭を下げる。
花奈の苦しい葛藤が民にも伝わり、いたるところですすり泣きや嗚咽が聞こえていた。
「約1年前から、私は犬神国を離れて様々な国を訪れていました。この国をさらに発展させたい、と思ったからです。その旅の途中で夕翔さんと出会い、結婚を決意した次第です。夕翔さんはまだ犬神国に来て数日ですので、温かい心でお迎えくださると幸いです。どうか、よろしくお願いいたします」
花奈が再び深々と頭を下げると、歓声と拍手で湧いた。
『花奈様~!』
『花奈様おめでとう!』
『おめでとう!』
「さあ、ゆうちゃん、手を振って」
「うん……」
夕翔はぎこちなく右手を振る。
「笑顔がかたいよ」
「そうか……」
夕翔は無理やり口角を上げた。
夕翔との出会いに関する説明はもちろん嘘だったが、誰もそれを証明することはできないため問題はなかった。
横で聞いていた伊月は『うまい嘘をつくな』と思いながら、姉の話術に感嘆していた。
そして、この混乱した状況で花奈がいてくれてよかった、と思わずにはいられなかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
専業プウタ
恋愛
25歳の桜田未来は中学生から10年以上引きこもりだったが、2人暮らしの母親の死により外に出なくてはならなくなる。城ヶ崎冬馬は女遊びの激しい大手アパレルブランドの副社長。彼をストーカーから身を張って助けた事で未来は一時的に記憶喪失に陥る。冬馬はちょっとした興味から、未来は自分の恋人だったと偽る。冬馬は未来の純粋さと直向きさに惹かれていき、嘘が明らかになる日を恐れながらも未来の為に自分を変えていく。そして、未来は恐れもなくし、愛する人の胸に飛び込み夢を叶える扉を自ら開くのだった。
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる