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初恋の話
4-3.負担
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どうやって切り出せば、ダニスは話を聞かせてくれるだろうか。「それじゃあまたね」と言って母親が部屋から出ていったあと、リーシャはそればかりを繰り返し考えた。
聞きたいことはたくさんあるのに、うまく話をまとめることが出来ないでいる。
(中途半端な質問をしたら、きっといつものように話を遮られて終わってしまう)
過去の話をしたくないと言っている人に話してもらうには、一体どうするのが一番いいのだろう。
現状、ただ少しの共通点が見えただけで、ダニスの思い出の女の子がリーシャであると確定したわけではない。どうしてダニスが昔の話をしたがらないのかも、正直よく分からないのだ。
リーシャがダニスの思い出の女の子なら、別に頭の中を覗く必要もないだろう。結婚の約束をしたなんて嘘はつかずに、最初から普通に昔話をしてくれてもいいのではないかと思う。まあ、頭の中を覗かれたとか嘘をついていたとか、その辺りもダニスの口から聞いたわけではないし、全てリーシャの予想でしかないのだけれど。
はぁと深く息を吐き出してから立ち上がる。
とにかく今のうちに頭の中を整理しておこうと、引き出しから取り出した手帳をテーブルの上に置いた。まだ何も書かれていない真っ白なページを開き、ダニスに聞きたいことを順番に記していく。
どうしてリーシャが結婚の約束をした相手が自分だなんて嘘を吐いたのか。
契約書や指輪のことを、どうしてダニスが知っていたのか。
ダニスがずっと好きだった女の子とは最後に喧嘩して、本当にそれ以来ずっと会っていないのだろうか。
――そしてその相手は、本当は私だったりしない?
もし私だったとしたら、どうしてあの日から態度が変わってしまったのか教えて欲しい。何か幻滅させるようなことを言ってしまったのなら、ダニスが好きになった昔の自分に近づけるように頑張るのに。と、そこまで書いたところで、リーシャは一度ペンを止める。
自分の頭の中を整理したくて書き出してみたけれど、こうやって並べてみるとぐちゃぐちゃで最悪だ。クリスや母親から聞いた情報を都合よく解釈して、自分にとって理想通りの物語になるように組み立てている気がする。
期待してしまった分だけ、間違っていたらと考えて怖くなる。
結局、リーシャは人から聞いた情報しか持っていないのだ。ダニスに直接なにかを話してもらえたわけではないし、話してもらえない理由も分からない。
「何も分からないくせに、私は何を聞きたいの……」
泣いているかのような情けない独り言が、静かな室内にポツリと落ちた。
ダニスの想っている相手が本当は私だったらいいのに。そんな自分勝手な我儘に現実を近付けるため、都合のいい期待を膨らませていた自分に気付く。自嘲するような乾いた笑い声が、勝手にリーシャの口から溢れた。
冷静になるにつれて、早くダニスの話が聞きたいと浮かれていた気持ちが、どんどん萎んで無くなっていく。
話がしたいだなんて、結局は自分の気持ちの押し付けにしかならないのだ。
結婚はするけれど、これからも初恋の女の子を勝手に好きでいるつもりだと面と向かって宣言された。それなのに、政略結婚だけど私は好きですなんてリーシャが伝えたら、ダニスはきっと困るだろう。
自分の気持ちを知って欲しいのか、認めて欲しいのか。それすらもよく分からなくなってきた。
どれだけ考えても何が最善なのかがよく分からず、しかし結論が出なくとも時間が進めば自然と夜になる。
いくらダニスが多忙と言っても、この時間まで忙しくしていることは稀だ。特別に約束していなくとも、夜になればダニスと二人きりで過ごす時間になってしまう。
(なんだか、いつも以上に気まずいな)
勝手に話を聞いて、勝手に悩んで、小さなことで期待して、あとになって恥ずかしくなった。私のことを好きなのかもしれない……なんて、思い返してみると馬鹿みたいに浮かれた妄想だ。もしも今頭の中を覗かれたりしたら、恥ずかしくて死んでしまう。
「リーシャ、そろそろベッドに入ろう」
名前を呼ばれて顔を上げる。
好きな人が相手だったらこんなに淡々と誘わないのかなと、比べてまた虚しくなった。
今日もいつも通りに子供を作る行為をしようと、それだけの言葉だ。初めて抱かれた時のような、柔らかくて甘い空気はもう二度と体験できないのかもしれない。
自分だけが意識しているのだと思うと、やっぱり少し寂しくなる。
「……毎日しなくても、いいんじゃないかなって思うんです」
拗ねて捻くれたことを言ってしまったと、口に出してから気付く。慌てて訂正しようとソファから立ち上がると、困ったような笑みを向けられて心臓がぐっと苦しくなった。
「出来るだけ負担にならないようにしてるんだけど、それでも駄目?」
「……っいえ、ごめんなさい。今日は少しいろいろと考えてて、こんなこと言うつもりではなかったんですけど……」
「ああ、うん。気分じゃない時は今みたいに言ってくれていいよ。今後完全にしないっていうのは難しいけど、嫌なことを強いてるのは俺も分かってるから」
俺も、という言葉に、またズキズキと胸が傷んだ。嫌な行為だとダニスは思っているのかと、そんなことを考えてまた苦しくなる。
確かに、慣らして挿れて後処理をしてと、全部ダニスに任せっぱなしなのだ。必要な行為とはいえ、それなりに面倒くさいだろう。
(どうせそんな風に思われているなら、少しくらい話してもいいかなぁ)
どうせ面倒くさいのなら、もう一つくらい面倒くさいことを言っても変わらないだろう。
ダニスが大切にしてきた「好き」という気持ちを、リーシャは尊重したいと思ったのだ。だけど少しくらい、こっちの気持ちだって知って欲しい。今日知って期待してしまった気持ちを、少しくらい分かって欲しい。
この期待が見当違いなものなら、否定してくれても構わないのだ。分からないままだとまたどこかで期待して、ただ一人で悩んでしまう時間が苦しいから。
小さく息を吐いてから視線を合わせ、ゆっくりと声を出す。
「……あの、少しだけ話をしてもいいですか?」
「うん?」
「こ、子供の頃に、私と喧嘩してそのままになってました、よね……?」
本当は「なってましたか?」と質問の形にする予定だったけれど、分かりやすく表情を曇らせたダニスを見て、咄嗟に言葉を変えてしまった。
すぅっと細くなった瞳に見下ろされ、薄く笑みを貼り付けた唇がゆっくり動いて言葉を紡ぐ。
「……急に何? そんな昔のこと持ち出してきて、何か言いたいことでもあるの?」
「えっ……? あ、その、今日お母様と話をしていて、私がルビリアにいた時に仲良くしていた子と喧嘩して、泣きながら帰ってそれきりになってしまったって話を……あの、ダニス様?」
「うん、だから何? あの時から俺のことが嫌いで、やっぱり結婚なんかしたくないとか、そういう話?」
「え……」
伸ばされた腕が首の後ろに回り、顔が近付いたと思った瞬間には唇が触れていた。
キスをされるのは久しぶりで、至近距離で視線が絡むと心臓がバクバクと早くなる。
「は……」
「あー……本当、なんでどんどん余計な事ばっかり思い出しちゃうんだろうね? ずっと忘れてくれていたらよかったのに」
「だ、ダニス様……?」
「俺は態度に出さないって言った。リーシャも、昔の話なんてもうしないでよ」
一度消そうとしたはずの期待がまた膨れてしまう。
本当に昔からの知り合いなのだと、政略結婚じゃないかもしれないと、そんな期待が消えてくれない。
「……昔の話、私はしたいです」
「意味ないでしょ。何? 謝ったら許してくれるの?」
「え……?」
「謝りたかったよ、ずっと。俺はずっと会いたかった」
話を聞くのが怖いとリーシャが悩んだように、ダニスも話をするのが怖いと悩んだりしたのだろうか。
どんな話になるのか分からないけれど、今ならきっと、ダニスの本音に触れることが出来る。
「……会いに、行けなくてごめんなさい」
忘れてしまってごめんなさいと同義の謝罪を口にする。
言った瞬間に力一杯に抱き締められて、軋んだ身体が少しだけ痛かった。
聞きたいことはたくさんあるのに、うまく話をまとめることが出来ないでいる。
(中途半端な質問をしたら、きっといつものように話を遮られて終わってしまう)
過去の話をしたくないと言っている人に話してもらうには、一体どうするのが一番いいのだろう。
現状、ただ少しの共通点が見えただけで、ダニスの思い出の女の子がリーシャであると確定したわけではない。どうしてダニスが昔の話をしたがらないのかも、正直よく分からないのだ。
リーシャがダニスの思い出の女の子なら、別に頭の中を覗く必要もないだろう。結婚の約束をしたなんて嘘はつかずに、最初から普通に昔話をしてくれてもいいのではないかと思う。まあ、頭の中を覗かれたとか嘘をついていたとか、その辺りもダニスの口から聞いたわけではないし、全てリーシャの予想でしかないのだけれど。
はぁと深く息を吐き出してから立ち上がる。
とにかく今のうちに頭の中を整理しておこうと、引き出しから取り出した手帳をテーブルの上に置いた。まだ何も書かれていない真っ白なページを開き、ダニスに聞きたいことを順番に記していく。
どうしてリーシャが結婚の約束をした相手が自分だなんて嘘を吐いたのか。
契約書や指輪のことを、どうしてダニスが知っていたのか。
ダニスがずっと好きだった女の子とは最後に喧嘩して、本当にそれ以来ずっと会っていないのだろうか。
――そしてその相手は、本当は私だったりしない?
もし私だったとしたら、どうしてあの日から態度が変わってしまったのか教えて欲しい。何か幻滅させるようなことを言ってしまったのなら、ダニスが好きになった昔の自分に近づけるように頑張るのに。と、そこまで書いたところで、リーシャは一度ペンを止める。
自分の頭の中を整理したくて書き出してみたけれど、こうやって並べてみるとぐちゃぐちゃで最悪だ。クリスや母親から聞いた情報を都合よく解釈して、自分にとって理想通りの物語になるように組み立てている気がする。
期待してしまった分だけ、間違っていたらと考えて怖くなる。
結局、リーシャは人から聞いた情報しか持っていないのだ。ダニスに直接なにかを話してもらえたわけではないし、話してもらえない理由も分からない。
「何も分からないくせに、私は何を聞きたいの……」
泣いているかのような情けない独り言が、静かな室内にポツリと落ちた。
ダニスの想っている相手が本当は私だったらいいのに。そんな自分勝手な我儘に現実を近付けるため、都合のいい期待を膨らませていた自分に気付く。自嘲するような乾いた笑い声が、勝手にリーシャの口から溢れた。
冷静になるにつれて、早くダニスの話が聞きたいと浮かれていた気持ちが、どんどん萎んで無くなっていく。
話がしたいだなんて、結局は自分の気持ちの押し付けにしかならないのだ。
結婚はするけれど、これからも初恋の女の子を勝手に好きでいるつもりだと面と向かって宣言された。それなのに、政略結婚だけど私は好きですなんてリーシャが伝えたら、ダニスはきっと困るだろう。
自分の気持ちを知って欲しいのか、認めて欲しいのか。それすらもよく分からなくなってきた。
どれだけ考えても何が最善なのかがよく分からず、しかし結論が出なくとも時間が進めば自然と夜になる。
いくらダニスが多忙と言っても、この時間まで忙しくしていることは稀だ。特別に約束していなくとも、夜になればダニスと二人きりで過ごす時間になってしまう。
(なんだか、いつも以上に気まずいな)
勝手に話を聞いて、勝手に悩んで、小さなことで期待して、あとになって恥ずかしくなった。私のことを好きなのかもしれない……なんて、思い返してみると馬鹿みたいに浮かれた妄想だ。もしも今頭の中を覗かれたりしたら、恥ずかしくて死んでしまう。
「リーシャ、そろそろベッドに入ろう」
名前を呼ばれて顔を上げる。
好きな人が相手だったらこんなに淡々と誘わないのかなと、比べてまた虚しくなった。
今日もいつも通りに子供を作る行為をしようと、それだけの言葉だ。初めて抱かれた時のような、柔らかくて甘い空気はもう二度と体験できないのかもしれない。
自分だけが意識しているのだと思うと、やっぱり少し寂しくなる。
「……毎日しなくても、いいんじゃないかなって思うんです」
拗ねて捻くれたことを言ってしまったと、口に出してから気付く。慌てて訂正しようとソファから立ち上がると、困ったような笑みを向けられて心臓がぐっと苦しくなった。
「出来るだけ負担にならないようにしてるんだけど、それでも駄目?」
「……っいえ、ごめんなさい。今日は少しいろいろと考えてて、こんなこと言うつもりではなかったんですけど……」
「ああ、うん。気分じゃない時は今みたいに言ってくれていいよ。今後完全にしないっていうのは難しいけど、嫌なことを強いてるのは俺も分かってるから」
俺も、という言葉に、またズキズキと胸が傷んだ。嫌な行為だとダニスは思っているのかと、そんなことを考えてまた苦しくなる。
確かに、慣らして挿れて後処理をしてと、全部ダニスに任せっぱなしなのだ。必要な行為とはいえ、それなりに面倒くさいだろう。
(どうせそんな風に思われているなら、少しくらい話してもいいかなぁ)
どうせ面倒くさいのなら、もう一つくらい面倒くさいことを言っても変わらないだろう。
ダニスが大切にしてきた「好き」という気持ちを、リーシャは尊重したいと思ったのだ。だけど少しくらい、こっちの気持ちだって知って欲しい。今日知って期待してしまった気持ちを、少しくらい分かって欲しい。
この期待が見当違いなものなら、否定してくれても構わないのだ。分からないままだとまたどこかで期待して、ただ一人で悩んでしまう時間が苦しいから。
小さく息を吐いてから視線を合わせ、ゆっくりと声を出す。
「……あの、少しだけ話をしてもいいですか?」
「うん?」
「こ、子供の頃に、私と喧嘩してそのままになってました、よね……?」
本当は「なってましたか?」と質問の形にする予定だったけれど、分かりやすく表情を曇らせたダニスを見て、咄嗟に言葉を変えてしまった。
すぅっと細くなった瞳に見下ろされ、薄く笑みを貼り付けた唇がゆっくり動いて言葉を紡ぐ。
「……急に何? そんな昔のこと持ち出してきて、何か言いたいことでもあるの?」
「えっ……? あ、その、今日お母様と話をしていて、私がルビリアにいた時に仲良くしていた子と喧嘩して、泣きながら帰ってそれきりになってしまったって話を……あの、ダニス様?」
「うん、だから何? あの時から俺のことが嫌いで、やっぱり結婚なんかしたくないとか、そういう話?」
「え……」
伸ばされた腕が首の後ろに回り、顔が近付いたと思った瞬間には唇が触れていた。
キスをされるのは久しぶりで、至近距離で視線が絡むと心臓がバクバクと早くなる。
「は……」
「あー……本当、なんでどんどん余計な事ばっかり思い出しちゃうんだろうね? ずっと忘れてくれていたらよかったのに」
「だ、ダニス様……?」
「俺は態度に出さないって言った。リーシャも、昔の話なんてもうしないでよ」
一度消そうとしたはずの期待がまた膨れてしまう。
本当に昔からの知り合いなのだと、政略結婚じゃないかもしれないと、そんな期待が消えてくれない。
「……昔の話、私はしたいです」
「意味ないでしょ。何? 謝ったら許してくれるの?」
「え……?」
「謝りたかったよ、ずっと。俺はずっと会いたかった」
話を聞くのが怖いとリーシャが悩んだように、ダニスも話をするのが怖いと悩んだりしたのだろうか。
どんな話になるのか分からないけれど、今ならきっと、ダニスの本音に触れることが出来る。
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