【完結】君の声が聴こえる

雪則

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すれ違い

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どうだ!


感謝で言葉もでないか!


「あ、ありがとう。
大切にするね!」


え、なんか微妙な反応…


「あれ?…嬉しくなかったかな?」


「いや!そんなことないよ!本当にありがとう!」


うわぁ…失敗したなぁ…


嘘へただよ。


「ねぇ…履いてみて?そうしたら気に入ってもらえるよきっと!」



なんかこの雰囲気をかえたくて必死だった。


気を使われてるのがもろにわかって…。


「ね!いいでしょ!?」


幸治は困った顔をしていた。


「あ…明日履いてくるからさ!その時に見せるよ!」



「え…なにそれ?」


少しカチンときた。


どうして履いてもくれないの?


「ちょっとだけだから!」


幸治の態度が気にくわなかった私は、


半ば強引に靴を履かせようと、


机に囲まれた足元を覗き込もうとした。


「いいって言ってるだろ!!」


静かな図書館に突然響き渡った幸治の声。


幸治のこんなに怒ったところは初めてみた。


急に涙が溢れだした。



「ご、ごめん…あすか。」



きづくと私は何も言わずにその場から逃げていた。


こんな状況で帰ってどうするの?


きっと幸治にも理由が…




だめだ…


涙が止まらない…


わかんないよ幸治…



ひどいよ…



結局そのまま私は家に帰った。


途中で何度も後ろを降りかえったけど、



幸治は追いかけてはこなかった。


なにもやる気がおきない。


これは失恋なのかな…?


まだなにも伝えてないのに。



もう幸治と笑顔で話す自信がない。



電話もかけられない。


なんていったらいいかわからないよ。


メールなら打てたかな?



もう会えないのかな。



幸治はどうして電話もくれないの…?



もう私なんて嫌いになっちゃったのかな。




ずっと携帯を握りしめて



お風呂のときも音に気づける場所においた



ご飯のときだって




声がききたいよ。



ベッドでただ携帯の待ち受けを見つめていた。



何度も画面が消えて…


くしゃくしゃになった自分の顔がうつった。








その時だった、



携帯が鳴る。



幸治からだ!!


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