男子高校生が異世界行ったら小さくなった

秦谷さつき

文字の大きさ

大中小

2 / 9

第1章

駄女神に出会う

しおりを挟む

目が覚めると白い部屋の中にいた。ここは病院なのかと考えるが、体という概念がないのか宙に浮いている感覚だ。見渡すと白一色の場所であった。すると背後から優しい声を掛けられる。
「貴方が橘千歳たちばなちとせさんですか？」
ふわりとした甘い匂いがした。後ろを振り向くと金髪碧眼の美女がいた。女神のような美しい人にいきなりはなしかけられ、少し噛んでしまった。
「は、はい。そうですけど…」
すると、目の前の美女はいきなり土下座の姿勢になる。
「誠に申し訳ありません。私は地球を管理している者です。こちらの手違いにより、橘千歳さんを事故死させてしまいました。謝っても謝りきりません。」
後半は涙声になりながらそう言ってきた。
「えっ、いや…」
いきなりのことに戸惑う。しかし、幼馴染の蓮には別れの挨拶をしっかりとしたいという気持ちはあったが、他に別れを言う家族も生きていないため、あまり怒っていなかった。
「それじゃあ、俺はこの後天国か地獄にでも行くんですか？」
女神様っぽい人に尋ねる。
彼女は首を振って答えた。
「いいえ、貴方の天寿は86歳の今日でした。ですから、貴方は残りちょうど70年寿命が残っているわけです。」
それじゃあ、それまでどこかにいないといけないのかと考えると
「その通りです。貴方には3つの選択肢があります」
この女神様っぽい人は意思を読み取れるのか？
そんなことを考えると、にっこりと微笑む彼女。
「1つは天界で70年間過ごすこと。輪廻転生までの順番待ちをしてもらうわけです。これは全く危険はありません。70年間日向ぼっこをする感じになります。」
さらっと流されたが、この人相手の意思が読めるぞ。
ツッコミどころが多い。とゆうか、70年間ひなたぼっこはやばい。魂？は傷つかなくても、精神が死にそうだ。これは…却下だな。
「2つ目は私たちのお手伝いをすることです。いわゆる死神になります。ですが、こちらは私たちの手違いで死なせてしまったのに、私たちの下で働かせることになるので、あまりオススメ出来ません。」
こんな美人の下で働けるならむしろご褒美ではないだろうか。でも、美人は3日で飽きると言うしな。候補としておこう。
「3つ目は異世界に転生することです。こちらはそちらの世界でいう剣と魔法の世界です。魔物と隣り合わせでとても危険となっています。」
これを聞いた瞬間心はもう決まっていた。
「3つ目でお願いします」
俺は異世界のアニメや小説が大好きだった。小さい頃から憧れていて、いつか絶対行きたいと思っていたのだ。
「本当によろしいのですか？とても危険なんですよ？」
「はいっ！」
迷わずに即答する。
「では、異世界について説明しますね。この異世界では·····」
ついでに彼女が女神様だということも教わる。
女神様が言ったことをまとめると
・異世界にはたくさんの種族がおり、魔物と戦っている
・世界のパワーバランスが崩れるため、強い力は与えられない。(勇者として召喚されると、強い力が貰える)
・転生する時に黒髪黒目は目立つので新しい体を作る時に変える。その時に共通語も話せるようにしておく。
・70年以上も生きられる。
・異世界から来たことは信頼できる人にしか言わないほうがいい。(悪用を防ぐため)
だいたいこの5つのことについて教えてくれた。
後半になるにつれて口調が軽くなってきたことが嬉しいのは、ここだけの秘密だ。
「じゃあ、お待ちかねの贈り物ギフトを与える時間といきたいのだけど、なにか要望はある？」
「医療関係のものと鑑定と魔法を使えるようにしたいです。」
医療関係は魔法が進んでいる分、医療が乏しいと聞いたからだ。鑑定はこうゆう類の小説とかでは、必ずと言っていいほど出てくるし、魔法は純粋に憧れである。
「わかったわ。では、【救済措置】【簡易鑑定】を新しい体に付加するわね。あと属性魔法を1つ以上確定を付けてっと…そろそろ時間みたい。最後に聞きたいこととかある？」
よかった。ずっと聞きたいことがあったのだ。
「…蓮、、死ぬ直前に隣に居た人は無事ですか？」
思い出したら、涙が出てきてしまった。
「えぇ、大丈夫よ。押された時の打撲位で、命に別状はないわ」
ほっと胸を撫で下ろす。
「贈り物ギフトの説明出来なくてごめんね、都市まで20分くらい歩いて着ける所に転生させるから。魔物にも会わないようにするけど気をつけてね。簡易鑑定と言えば調べられるから、あとは頑張ってね」
そう女神様が言うと、俺の足？元が光り輝く。
「いろいろお世話になりました」
感謝を込めて、頭？を下げた
「こちらこそ、手違いで亡くならせてしまって」
女神様は優しく笑い、手を振ってくれた。
そして、その後の言葉を一生忘れることはないだろう。

「あっ、やばっ」

女神様は焦った顔をする。
そしてその直後、俺は本日2度目の意識を失うのであった。

しおりを挟む