選ばれたのはケモナーでした

竹端景

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第三章 運命の出会いとケモナー

発明品

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 さて、父様の仕事をみたいとはいったものの、どうするのだろうか?おそらくエレス様たちが入っていった部屋に父様はいるのだろうけど、ケルンを連れていかなったのは、なにか理由があるはずだ。
 堂々とは入れないが、なにか手があるのだろうか?

「では行くか…とはいえ簡単には入れない…が首席のお子さんの頼みだ。そう、大事な大事なお子さんの頼みなら…これ使ってもいいよなぁ…」

 そういってボリンさんが近くの机から何かを持ってきた。それは、どこにでもあるような羽ペンだった。
 ただ、黄金に輝いているから、高そうにみえるけど。

「ボリンさん、それはなんですかー?」
「これか?…ちょぉぉぉっと高級品を使って作った物でな。名付けて『姿隠しの羽』!」

 そういって、ヒラヒラと羽ペンをふっている。普通の羽ペンにしかみえないが高級な材料はなんなんだろ?羽自体か?
 確かに金とか使ってそうだし、高いかも。

「おい、ボリンさんの悪い癖がでたぞ…たぶん太陽鳥の羽だろ?金貨百枚が最低いるくっそたけぇ素材…いつ経費にしたんだ?」
「そりゃ、次席になったからな…しかしまた裏でなんか作ってたのかよ。あの研究バカ」
「実務の次席、研究の三席だったからなぁ…ああ…次席に帰ってきてほしいなあ…あの冷めた瞳がたまらん…はあはあ…」
「黒焦げにされるぞ」

 …あ、うん。ボリンさんから俺と似たような気配を感じるな。主に予算を考えず作るってことに。
 あとどうも前にいた次席って人は怖い人みたいだ。もしその人がいたら、ケルンには近づかないようにいっておこう。

「うっせぇ!これはちゃんと首席の許可はとってんだよ!…ごほっ!んで、ケルン…あ、今更だがよ…言葉遣いこれで許してくんねぇか?俺、あんまり敬語できねぇからよぉ」
「うん。いいよー…ボリンさんは、貴族の礼儀作法は苦手なんですか?」
 
 少々不思議に思ったのだ。ボリンさん苗字が貴族っぽいのにどうも口調が貴族らしくない。
 ボリンさんは何故かいいにくそうに、ほほをかいて、口を開いた。

「俺は…あー…そのだなぁ…正式な家の子じゃねぇんだよ。元々は母親の出の王都の鍛冶町育ちでな。んで、ちょこっと才能があったみたいでよ。親父が来て、ガキの頃に学園に入ったんだよ」

 ケルンを前にしてだからか、詳しくはいわないみたいだが、話してくれた内容から察するに、側室…ではないな。鍛冶町で育ったということは、奉公人から産まれた私生児で、魔力が高かったから学園に入った…ってところか。
 だから、敬語で話すのが苦手なのだろうな。

「爺の影響なんだろうけど…俺はなんか作ってる方が好きなんだよ。爺に金が要るからやってんだけど…こういう宮勤めはどうも…な…」

 『姿隠しの羽』を手でいじりながらぶっきらぼうにボリンさんがいう。
 その姿がなぜだかティルカに被って見えた。こういう話し方や出稼ぎにきているみたいなボリンさんをみると、どうしてもそう思える。
 ケルンもなんだか、寂しい気持ちを抱いたようだ。

「僕も!僕もねー、作ったり描いてるときが楽しくて好きー!発明とかも大好き!」
「そうかそうか。んじゃ、こいつの説明をしてやろう!」

 そういって、晴れやかな顔になりながら、ボリンさんが説明をしだした。

「いいか?これは太陽鳥っていう鳥の羽だ。太陽鳥は太陽がある時には見えるが、太陽が沈むと見えなくなる鳥だ。しかも、こいつは太陽があるときは全身が炎になっていて、太陽があるかぎり、ずっと雲の上だ。もしその状態で殺せたとしても、そのまま焼けて灰しか残らない」

 どうやらかなり入手何度が高い鳥らしい。日中でしか手に入らず、かといって、雲の上に行っても相手は火の塊だ。その上、生きたまま捕まえないと何も残らない。
 金貨百枚が最安値というのもわからなくもない。

「この羽はとある冒険者がたまたま見つけた物でな…かなり予算を使ったけれど…なんとか競り落としたものだ」
「その金でうまいもん食わせろ!」
「そうだそうだ!ついでにいい酒もだ!」
「るっせぇ!カビパンくわせっぞ!…ごほん。えー…うちの研究室で色々実験をして、その太陽鳥の性質を持った魔道具の製作に成功したというわけだ」

 外野のヤジにもめげるどころか、怒鳴り返してボリンさんがにやっとして『姿隠しの羽』をふっている。
 太陽鳥の性質か…となると、一つだな。

「所有者が魔力を流すと、夜になった太陽鳥のように、透明になるっていう魔道具だ」
「すごーい!」

 やはり透明化の魔道具らしい。
 なんというか、危ない物を作っているんだな。犯罪とかに使われそうだ。まぁ、材料が稀少だからそんなには作れないだろうけどな。

「それじゃ、それで父様のところへ?」
「そうだ!では、早速…あっ…ケルン。お前さんは魔力を流せるか?」
「魔力を流す?」

 魔力を流すってなんだ?魔法を使うならわかるんだけど。

「えーとだな…とりあえず魔法を使ったつもりで魔力を俺の手にぶつけろ。詠唱はなしでな。とにかく、なんでもいいから魔法を使うつもりで、送ってみろ」
「わかったー!」

 魔法を使ったつもりで、送る。簡単にいうがケルンはまったく理解していないぞ…仕方ないか。

 ケルン、なんの魔法を使うつもりでいるんだ?
「んーと…ライトでもいい?」
「それでいいぞ」

 ボリンさんがいいと返事をしてくれたし、ライトな…これくらい?…もうちょい多めか?…前に使ったのはこんぐらいだったかな?改めて思うと難しいぞ?…これでいいか。

 ケルン、できたぞ。
「うん!ボリンさん、手を貸してください!」
「おうよ。失敗してもいいから…な…って!んだこれ!」

 ボリンさんの手を触った瞬間にいつもライトで使うほどの魔力をこめて渡したのだが、ボリンさんが変な声を出している。やっぱり、足りなかったか?
 微調整が難しいんだよな。

「少なかった?」

 そうきくと、ボリンさんは首を横にふった。

「ちげぇよ!逆だ逆!多いぞ!…俺の全魔力分はあるぞ!…それをぽんと渡すとは…さすが首席のお子さん…素質あるな」
「えへへー。僕ね、魔力がねー多いんだよーすごい?」
「すげぇわ…」

 多いんだよなぁ。
 那由多だからな。那由多。日常生活でまず使わないからなぁ。

「これで子供だろ?魔力値がまだまだこれからだし…大人になったら、首席を越えそうだな…」
「父様より大きくなるの?そうだと嬉しいなぁー!僕ね、ちっちゃくてかわいいってね、ミケ君とメリアちゃんにいわれたの…」
 いや、ケルン身長の話じゃないぞ?

 文通の会話でも何度か書かれたのだ。小さくてかわいいと。
 確かに。確かにだ!二人の方が少し、ほんのこぶし一つ分ほどだけ!身長が高かったからな。エレス様も高かったし…二人の方が成長が早いんだろ。個人差だ。
 それに、父様も母様も身長は高いから大丈夫だ。
 たぶん。

「ミケ君とメリアちゃん?…まぁ、でっかくなるだろ。よく食べて遊んで早く寝ろよ?おっさんからの助言な?」
「うん!いーっぱい食べて、いーっぱい遊んで、寝ます!」
「よっしゃ!その調子だ!」

 あはははっと二人で笑ってしまった。

「和やかにしてるけど、これからあの人たち盗み聞きしにいくんだろ?」
「現在のロイヤルメイジの管理者が正々堂々、犯罪行為を行うもよう。新聞にタレこんだら一面間違いなし」
「あの人、実験もできるからってやってるけどよ…許可申請なしとか主席が怒るのわかっててやってんだろ?しかも何かあったら首席の息子さんを盾にする気だぞ。さすが研究室班やることが汚い」

 色々と聞こえてきたけど、父様の部屋にいざ進入だ!
 仮に怒られるのはボリンさんだと俺は思うけどな。




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三章はあと二話で終わる予定です。
裏話はこれまた長くなるかもですが、過去編などもあります。
少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
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