選ばれたのはケモナーでした

竹端景

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第六章 ケモナーと水のクランと風の宮

お茶会の準備

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「重たい」
「俺よりましだろ…ごてごてしすぎて…動けない…」
「僕、お兄ちゃんを乗せてるもん!重いもん!」
「んじゃ、俺は留守番」
「や!」

 頬を膨らませるケルンだが、俺を置き去りにすることなく連れていくらしい。
 どうしてこうなったんだろうか。

 水のクラン戦の優勝という喜んでいいのかわからないものを得たことで、一番最初に俺たちに起こった出来事がある。

 映画関連の契約だ。正確にいうなら映写機の構造と映画のノウハウを教えてほしいとサイジャルから申し出があったのだ。
 来年からアニメ映画専門の授業を開講するらしいが、その講師に俺を指名されたが断って、ハトさんを推薦しておいた。本人は嫌がっているが結婚をするんだし、給与もそこそこいいんだからなるべきだ。
 アニメ映画に俺が関わらなくて済むっていう目的のためにも講師になってもらう。

 映写機はボリンさんに権利があるからあちらに聞いて権利費とかを支払ってくれといった。発明者としてボリンさんに丸投げをしたんだが、ボリンさんが軽くうめいたほど書類の束あったが、それに合うだけの金額も支払われるそうだ。

「今までの借金をもう一度しても釣りが出る」

 とケルンに見せれない悪人顔をしていたので、父様にも手紙で教えておいた。変な物を作るか買いそうな予感しかないから、諦めて貯金してもらおう。

『ペンギンさん物語』に関してはそのうち王都で上映することになった。そのあと色んな都市で上映予定だ。映写機とフィルムの生産ができしだいというところだが、一台は屋敷にすでに運んで母様たちが見ている。ランディなんかも見てくれているらしく、手紙がすぐに来た。

 まったく動じてないケルンはいいが、恥ずかしくて俺は頭を抱えた。あのくっさい演技が評価されるとは思いたくなかった。
 ケルンの演技についてかなり、評判がよくて、ペンギンさん物語のペギン役の子はどこの劇団員なのか?との問い合わせがあったほどだ。
 スタッフロールでも出演者は隠してあったから、そんな問い合わせも変ではない…のか?反響が大きすぎて俺の思考力すら停止しそうなのだ。

 クラン戦が終わって三日も経つっていうのに、まだ上映しているうえに満席だからな。
 しかも続編のアフレコをしようという動きがクラン内で起こっているし…ケルンがやる気になったら構わないが今はやらないだろう。

「若様。坊ちゃま。しゃんとなさいませ。礼服にしわができてしまいます。さぁ、仕上げにこちらをお付けください」
「エフデ様。猫背ですよ」

 フィオナが針子として屋敷からサイジャルに来ている。エセニアも手伝いにきているが、針子ではなくフィオナの荷物持ちだ。

「フィオナ。もう少し飾りを減らせないか?」
「フィオナー、重いよー」
「なりません。礼服は格式あるものです…若様や坊ちゃまが辱しめられぬようにしっかりとご用意いたしますから」

 絶対に曲げない、屋敷で一番頑固なフィオナがいう。俺たちはまたため息をついた。
 礼服でも種類があるが、一番いい礼服を着ることになってしまった。

 祝福のときに着た貴族服のさらにごてごてした服だ。動きにくい。
 背中にはフェスマルク家の紋章わ背負って紋付き袴ならぬ紋付き貴族服という有り様だ。

 ごてごてしているのは、ご先祖様が今まで得てきた勲章を縫いつけているからだ。
 ケルンはさらにシルクハットみたいな帽子にバッチのようにしてまで勲章がつけてある。
 顔がいいってのはずるい。まっすぐに立てば絵になるほど似合っている。

 けど、普通に考えてここまで飾るのはかなりありえない。

「何でサイジャルのお偉いさんに会うってだけでここまでするんだ?」
「旦那様からのご指示です」
「父様からの?」

 フィオナに疑問をぶつければ父様からの指示だという。あの父様がここまでしろというほどってことなのか?

「お茶を飲むのも大変なんだねー」
「大変なんだなー」

 すでに疲れてきたがお茶会を楽しめるのだろうか?ケルンの顔色を見ながらミルディタクシーを利用せねばならないな。ケルンの方が俺よりも数的には飾りがつけられているから重い上に、俺を手放す気がないから、さらに重い。

 それにしても、絵になるケルンと比べて俺はというと本当にひどい。俺は体のほとんどが、勲章まみれで勲章を着ているみたいといってもいいほどだ。

「もっと緊張感を持ってください…サイジャルの理事会の一人と会うのですよ?」

 呆れた顔のエセニアと軽く肩を回しているミルディに、様々な方向からおかしなところがないかを確認しているフィオナ。
 三者三様の動きを見ながら昨日のことを思い出した。
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