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5 双子と冒険者ギルド
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ドゴオオォーーーン
サングルアイ共和国、北のジュラの大森林ダンジョンにある見張りの塔に駐在する狼獣人のギルド職員は深夜遅くに響く異様な大地の変動に大きな耳と鼻をピクピクと動かした。
「おい、こりゃ~何かが起きたな、ギルドマスターに報告を通信鳥を飛ばせ」
「あぁ、そうだな」
「後、調査員の派遣も頼むぞ」
「あぁ、了解した」
次の日の朝、竜司と双子のカリンとリョウは冒険者ギルドに来ていた。
「ほっほ~ぅ人間の町に来たのは久しぶりじゃ」
ヨルドはカリンのポシェットから顔を出しながらキョロキョロと町並みを見渡した。
「キュイ、キュイ」
隣を歩くリョウの肩に乗っているスイも、どこか楽しげに町並みを見渡して鳴いた。
「カリン、リョウ、こっちだ」
「「はーい」」
竜司と一緒に受付の奥にある個室に双子が入って行くとギルドマスターのチャールズと受付のお姉さんが手を振って立っていた。
「よく来たねカリン、リョウ、竜司から話しは聞いてるよ、カリンは精霊使い、リョウはテイマーの登録だね」
「「うん!」」
双子が元気に返事を返すとチャールズはニッコリと微笑み双子の頭をモフモフの手でポンポンと優しく叩いた。
「それでは、カリンお嬢様から登録します。こちらにギルドカードを出して下さい」
受付のお姉さんは礼儀正しくカリンに話し掛けた。
カリンは少し緊張した様子で頷くとポシェットから手のひらサイズのギルドカードを取り出した。
ヨルドは急いでポシェットから這い出してカリンの肩によじ登ると水晶をじっと興味深く見詰めていた。
「次に精霊紋を水晶に手の甲をかざして下さい」
水晶は精霊紋に反応して光るとカードに精霊使いの文字が転写された。
「はい。問題ありません無事登録が完了致しました」
淡々と業務を進めて行く受付のお姉さんの目にクリスタルドラゴンの子竜スイが映る、お姉さんは一瞬目を細めるが何も見なかった様に今度はリョウの方に向き合い声を掛けた。
「それでは次にリョウお坊ちゃま、こちらにギルドカードをお出し下さい。それから同じように、水晶に契約紋をかざして下さい」
リョウもポシェットからギルドカードを取り出し水晶に手の甲をかざそうとしてハッとして手を引っ込めた。
「あっ、あの僕は…」
「あぁ、そうだったリョウ君は普通の水晶ではダメだったね。悪いけどギルドの倉庫に閉まってある特別な水晶を持って来てくれるかな?」
チャールズが受付嬢に頼むと受付のお姉さんも何か思い出したのか頷くと急ぎ立ち上がりお辞儀をして部屋を出て行った。
リョウは申し訳なさそうに俯いた。
カリンとリョウが始めて冒険者ギルドに登録したのは1年前の事だった。
3歳にして魔力を発現し始めた双子に美鈴は悩み、チャールズに相談を持ち掛けた。
当時、島には、まだ学校が建設途中だった為、魔法の使い方を教えられるのがギルドに登録している冒険者の魔法使いしかいなかった。
普通、冒険者ギルドの登録は5歳からだったのだが双子の魔法の才能が凄まじく野放しにするのは危険だと判断したチャールズは特別に双子を登録する事にした。
そして冒険者ギルドで魔法の勉強をさせる事で話がついた。ギルドの診療所で生まれ診療所を遊び場としていた双子にギルドの皆は自分の子供と同じように接していたので皆快く双子を迎え入れた。
特に強面で目付きの鋭い魔法使いのお婆さんドロシーは顔に似合わず大の子供好きで、双子の事は魔法の使い方だけでなく、生活の知恵から躾から暇な時は、一緒に遊んだりもしてくれた。
双子も魔法使いのお婆さんドロシーが大好きだった。
その時に双子のギルドカードを作ったのだが、何故だかリョウのカードを作る時だけ、レベルと魔法適正を計る水晶が凄まじい光と共に弾け飛んでしまった。それにはチャールズを含め皆びっくりしてしまったが後日、竜司が、どこからか持ち帰った特別な水晶で無事登録する事が出来た。
「これで、リョウお坊ちゃまも無事登録が終わりましたよ、お疲れ様でした」
「あっ、はい、ありがとうございました!」
リョウが丁寧に頭を下げると受付のお姉さんはクスクスと笑いながらカードをリョウに返却した。そこにはドラゴンテイマーと書かれていた。リョウはカードを大事に大事にポシェットにしまった。
「竜司、少し話しがあるんだが?」
「なんだ、チャールズ?」
「北のジュラ大森林ダンジョンに新たに洞窟のダンジョンが発生した」
「はっ、マジか?」
「あぁ、大真面目だよ、ギルド職員が洞窟と洞窟の入り口で魔物の存在を確認した、だが彼等の手には負えない高ランクの魔物らしい竜司のSランクパーティ[黒煙]で調査して貰えないだろうか?」
チャールズも竜司もダンジョン内に新たなダンジョンが発生する事例は聞いた事がなかった。
「分かった。直ぐに仲間に連絡を取る少し待ってくれ」
竜司はギルドカードを手に取るとパーティメンバー4人に緊急事態召集命令、エアーメールと唱えるとカードが一瞬青白く光った。
「よし、早ければ昼前までには集まるだろう」
「あぁ、竜司助かるよ、僕は引き続き情報を集めてみるよ」
「あぁ、頼むぞ」
「「パパお仕事?」」
カリンはソファーからピョンと飛び降りて、リョウはスイを抱きしめながら竜司に聞いた。
「あぁ、カリン、リョウ、ごめんな、悪いが二人は先に帰るか?送って行くぞ」
「ううん、まだ遊んで行きたい」
「僕も今日はギルド図書館に行きたい」
「そうかい、二人はギルド職員が責任を持って見ているよ夕方には美鈴君に此方に寄って貰うように連絡を入れておくよ」
チャールズはのっそり、のっそりと動き出した。
「カリンお姉ちゃんはどうするの?」
「私も今日は一緒に図書館に行くわ」
「儂もじゃ」
「あらヨルドまだ居たの?」
「なんじゃと、儂だってまだ遊びたりんのじゃ」
「あはは、スイも一緒に行こうね」
「キュイ」
「それでは竜司また後でメンバーが揃い次第、僕の執務室で打ち合わせだ」
「了解した」
ギルド図書館はギルドの地下一階から地下三階まであり町で一番広い図書館だった。受付のお姉さんは二人を図書館まで送り届けると仕事に戻って行った。
「よし、僕は今日はドラゴンテイマーの事についての本を調べるぞ」
「う~ん、私は魔法書を読み直そうかしら」
「えっ、どうして?」
「ほら、フォレストウルフの時魔法が発動しなかったじゃない」
「うん。焦って呪文間違えたんじゃないの?」
「違うわよ、私、間違えてないわよ」
「フム、カリン、お前さん魔力を封じられているのに気がついていなかったのか?」
ヨルドの言葉にカリンとリョウは、驚き口をぽっかりと開いて停止した。
「えぇ、ヨルドどういう事、私の魔法、封印されているの、なんで、どうして?」
「どうしてかは分からんが、封印した者なら分かるぞ」
「誰なの?」
カリンは机の上で本を眺めているヨルドを摘まもうとした。ヨルドはヒョイとかわしカリンの頭の上に逃げるとフリフリと腰を振って踊った。
「ヨルド、勿体振らないで早く教えなさいよ!」
カリンが大声で怒鳴ると、リョウは慌てて咄嗟にカリンの口を塞いだ。図書館の管理人の女性が怪訝な顔でカリンを見つめた。カリンは汗をかきながら顔を反らした。
「フムフム、ほれ、カリンに封印を施した者の魔力とスイの傷を治した塗り薬を作った者の魔力が同じ魔力じゃった」
ヨルドは腰に手を当てて、ふん反り返ると、双子にそう告げた。
「…まさか、ママなの?」
「そう言う事じゃな」
頷くヨルドにカリンもリョウも困惑した。
サングルアイ共和国、北のジュラの大森林ダンジョンにある見張りの塔に駐在する狼獣人のギルド職員は深夜遅くに響く異様な大地の変動に大きな耳と鼻をピクピクと動かした。
「おい、こりゃ~何かが起きたな、ギルドマスターに報告を通信鳥を飛ばせ」
「あぁ、そうだな」
「後、調査員の派遣も頼むぞ」
「あぁ、了解した」
次の日の朝、竜司と双子のカリンとリョウは冒険者ギルドに来ていた。
「ほっほ~ぅ人間の町に来たのは久しぶりじゃ」
ヨルドはカリンのポシェットから顔を出しながらキョロキョロと町並みを見渡した。
「キュイ、キュイ」
隣を歩くリョウの肩に乗っているスイも、どこか楽しげに町並みを見渡して鳴いた。
「カリン、リョウ、こっちだ」
「「はーい」」
竜司と一緒に受付の奥にある個室に双子が入って行くとギルドマスターのチャールズと受付のお姉さんが手を振って立っていた。
「よく来たねカリン、リョウ、竜司から話しは聞いてるよ、カリンは精霊使い、リョウはテイマーの登録だね」
「「うん!」」
双子が元気に返事を返すとチャールズはニッコリと微笑み双子の頭をモフモフの手でポンポンと優しく叩いた。
「それでは、カリンお嬢様から登録します。こちらにギルドカードを出して下さい」
受付のお姉さんは礼儀正しくカリンに話し掛けた。
カリンは少し緊張した様子で頷くとポシェットから手のひらサイズのギルドカードを取り出した。
ヨルドは急いでポシェットから這い出してカリンの肩によじ登ると水晶をじっと興味深く見詰めていた。
「次に精霊紋を水晶に手の甲をかざして下さい」
水晶は精霊紋に反応して光るとカードに精霊使いの文字が転写された。
「はい。問題ありません無事登録が完了致しました」
淡々と業務を進めて行く受付のお姉さんの目にクリスタルドラゴンの子竜スイが映る、お姉さんは一瞬目を細めるが何も見なかった様に今度はリョウの方に向き合い声を掛けた。
「それでは次にリョウお坊ちゃま、こちらにギルドカードをお出し下さい。それから同じように、水晶に契約紋をかざして下さい」
リョウもポシェットからギルドカードを取り出し水晶に手の甲をかざそうとしてハッとして手を引っ込めた。
「あっ、あの僕は…」
「あぁ、そうだったリョウ君は普通の水晶ではダメだったね。悪いけどギルドの倉庫に閉まってある特別な水晶を持って来てくれるかな?」
チャールズが受付嬢に頼むと受付のお姉さんも何か思い出したのか頷くと急ぎ立ち上がりお辞儀をして部屋を出て行った。
リョウは申し訳なさそうに俯いた。
カリンとリョウが始めて冒険者ギルドに登録したのは1年前の事だった。
3歳にして魔力を発現し始めた双子に美鈴は悩み、チャールズに相談を持ち掛けた。
当時、島には、まだ学校が建設途中だった為、魔法の使い方を教えられるのがギルドに登録している冒険者の魔法使いしかいなかった。
普通、冒険者ギルドの登録は5歳からだったのだが双子の魔法の才能が凄まじく野放しにするのは危険だと判断したチャールズは特別に双子を登録する事にした。
そして冒険者ギルドで魔法の勉強をさせる事で話がついた。ギルドの診療所で生まれ診療所を遊び場としていた双子にギルドの皆は自分の子供と同じように接していたので皆快く双子を迎え入れた。
特に強面で目付きの鋭い魔法使いのお婆さんドロシーは顔に似合わず大の子供好きで、双子の事は魔法の使い方だけでなく、生活の知恵から躾から暇な時は、一緒に遊んだりもしてくれた。
双子も魔法使いのお婆さんドロシーが大好きだった。
その時に双子のギルドカードを作ったのだが、何故だかリョウのカードを作る時だけ、レベルと魔法適正を計る水晶が凄まじい光と共に弾け飛んでしまった。それにはチャールズを含め皆びっくりしてしまったが後日、竜司が、どこからか持ち帰った特別な水晶で無事登録する事が出来た。
「これで、リョウお坊ちゃまも無事登録が終わりましたよ、お疲れ様でした」
「あっ、はい、ありがとうございました!」
リョウが丁寧に頭を下げると受付のお姉さんはクスクスと笑いながらカードをリョウに返却した。そこにはドラゴンテイマーと書かれていた。リョウはカードを大事に大事にポシェットにしまった。
「竜司、少し話しがあるんだが?」
「なんだ、チャールズ?」
「北のジュラ大森林ダンジョンに新たに洞窟のダンジョンが発生した」
「はっ、マジか?」
「あぁ、大真面目だよ、ギルド職員が洞窟と洞窟の入り口で魔物の存在を確認した、だが彼等の手には負えない高ランクの魔物らしい竜司のSランクパーティ[黒煙]で調査して貰えないだろうか?」
チャールズも竜司もダンジョン内に新たなダンジョンが発生する事例は聞いた事がなかった。
「分かった。直ぐに仲間に連絡を取る少し待ってくれ」
竜司はギルドカードを手に取るとパーティメンバー4人に緊急事態召集命令、エアーメールと唱えるとカードが一瞬青白く光った。
「よし、早ければ昼前までには集まるだろう」
「あぁ、竜司助かるよ、僕は引き続き情報を集めてみるよ」
「あぁ、頼むぞ」
「「パパお仕事?」」
カリンはソファーからピョンと飛び降りて、リョウはスイを抱きしめながら竜司に聞いた。
「あぁ、カリン、リョウ、ごめんな、悪いが二人は先に帰るか?送って行くぞ」
「ううん、まだ遊んで行きたい」
「僕も今日はギルド図書館に行きたい」
「そうかい、二人はギルド職員が責任を持って見ているよ夕方には美鈴君に此方に寄って貰うように連絡を入れておくよ」
チャールズはのっそり、のっそりと動き出した。
「カリンお姉ちゃんはどうするの?」
「私も今日は一緒に図書館に行くわ」
「儂もじゃ」
「あらヨルドまだ居たの?」
「なんじゃと、儂だってまだ遊びたりんのじゃ」
「あはは、スイも一緒に行こうね」
「キュイ」
「それでは竜司また後でメンバーが揃い次第、僕の執務室で打ち合わせだ」
「了解した」
ギルド図書館はギルドの地下一階から地下三階まであり町で一番広い図書館だった。受付のお姉さんは二人を図書館まで送り届けると仕事に戻って行った。
「よし、僕は今日はドラゴンテイマーの事についての本を調べるぞ」
「う~ん、私は魔法書を読み直そうかしら」
「えっ、どうして?」
「ほら、フォレストウルフの時魔法が発動しなかったじゃない」
「うん。焦って呪文間違えたんじゃないの?」
「違うわよ、私、間違えてないわよ」
「フム、カリン、お前さん魔力を封じられているのに気がついていなかったのか?」
ヨルドの言葉にカリンとリョウは、驚き口をぽっかりと開いて停止した。
「えぇ、ヨルドどういう事、私の魔法、封印されているの、なんで、どうして?」
「どうしてかは分からんが、封印した者なら分かるぞ」
「誰なの?」
カリンは机の上で本を眺めているヨルドを摘まもうとした。ヨルドはヒョイとかわしカリンの頭の上に逃げるとフリフリと腰を振って踊った。
「ヨルド、勿体振らないで早く教えなさいよ!」
カリンが大声で怒鳴ると、リョウは慌てて咄嗟にカリンの口を塞いだ。図書館の管理人の女性が怪訝な顔でカリンを見つめた。カリンは汗をかきながら顔を反らした。
「フムフム、ほれ、カリンに封印を施した者の魔力とスイの傷を治した塗り薬を作った者の魔力が同じ魔力じゃった」
ヨルドは腰に手を当てて、ふん反り返ると、双子にそう告げた。
「…まさか、ママなの?」
「そう言う事じゃな」
頷くヨルドにカリンもリョウも困惑した。
応援ありがとうございます!
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