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第一話 未知との大遭遇
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東京、渋谷。
小さな町工場から始まり、今や大会社となったスタークラウン社。創業者が亡くなり、一人娘が継いだその企業は、革新的な技術とアイディアで世界中から注目を集めている。そんな企業の本社前には、世紀の一大発表とあって、多くの報道陣が詰めかけていた。
「皆さま、この度は我がスタークラウン社のレセプションにお集まりいただき、誠にありがとうございます。」
司会進行を務めるのは、女性若社長、北星彗である。
「私は、勿体ぶるのが好きではありません。が、これだけはまず言わせていただきます。今回のプレゼンにおいて、未だかつてない大きな夢、大きな希望、そして大きな衝撃を与えることをお約束致します。」
壇上の彗は、得意げな、自信に満ちた笑みを浮かべる。その若さを、世界中のマスコミのシャッター音が包んで行った。
「とにかくご覧になっていただくのが一番です!早速お目にかけましょう!」
そう言うと、彗はマイクのスイッチを切り、逆にインカムのスイッチを入れ、ボソッと呟く。
「山田。しくじらないでよ。」
「お嬢様、公の場ではその名を使わないでくださいとあれほど!誰が聞いているかわからないのですよ!」
山田、と呼ばれた男は小声で反発を向ける。
「あーもう、いいから早くなさい。」
「りょ、了解しました。」
コホン、と彗は間を取り、続けて叫ぶ。
誇りと希望、自信を込めて、盛大に。
「皆さま、大きな拍手と感動でお迎えください!これが、我が社が開発した巨大人型搭乗二足歩行ロボット、『スターウェイブ』シリーズその第一号、『スタードレッド』です!」
湧き上がる拍手、起こるどよめき。
彗の背後から、巨大、と呼ぶにはやはり些か小さいが、大きな衝撃を与えることは間違いない大型ロボットが、ズシリ、ズシリと一歩ずつ地を踏みしめて現れた。
赤いメタリックボディが、陽の光を受けて燦然と輝く。
スタードレッドは、右腕を天に掲げ拳を握り、ポーズをキメた。
その姿は、誰もが夢見た新しい未来を、現実のものにしたのは、誰の目にも明らかであった。
会場は静まり返った。まさか、突如大型ロボットが現実に現れるなど、誰もが予想だにしていなかったからである。
沈黙は破られた。
我に返った人々から、惜しみない賞賛、絶え間ない歓声、そして轟音にもなる拍手が、彗たちに向けて送られる。
高揚と、興奮が襲ってくる。
これには彗だけでなく、コックピットの山田も、身をもって感じていた。
だが、同時に、2人はこうも考えていた。
『この高揚感に、決して酔いしれてはいけない。自分たちの本当の使命は、賞賛を浴びることではない』
「皆さま、ありがとうございます!」
彗は、止まらない熱気を遮った。
「『スターウェイブ』は、人類の可能性を広げる目的で製作されました。搭乗者は、車やバイクといった運転技術さえあれば、誰でも、まるで自らの身体のように操縦することが可能です。深海や宇宙探査、土木作業の広域化、スポーツ…多くの新たな未来を、我々にもたらしてくれることでしょう。」
大袈裟な身振り手振りで周囲を湧かせ、煽る。だがそれは、決して大言ではないであろう。人型搭乗ロボットは、その存在そのものが人類の夢なのだから。
山田の心臓が大きく脈を打つ。大衆が、自分たちを見ている。むしろ、今や世界中が自分たちのことしか見ていないような、そんな錯覚に陥るほどの熱気が、目の前にあるのだ。
「皆さま、これから来る新たな未来と!我がスターウェイブを!大きな期待、感動!そして拍手でお迎えくださいませ!」
報道陣から、シャッター音と大きな拍手が送られる。中には、目を輝かせ、歓声を上げ続ける者も少なくなかった。搭乗者である山田、そして彗は、これを誇らしく受け止めるのであった。
その喜びの音たちを、奪い去る者がいた。
宇宙からの飛来者である。
「あー、んー!マイクテスマイクテス!本日は晴天なり晴天なり!」
若干のハウリング音とともに、宇宙人の声が、喧騒を遮って渋谷の街に響き渡る。
驚きで人々の足は止まり、車もその場でブレーキをかけ、軽いパニック状態であった。
それは、スタークラウン社前も例外ではなく、記者たちはより一層どよめいて、彗たちへ向けていた眼を、空へと移していく。
「あー、俺様はあらゆるケンカに負けたことのない、無敵の帝王!ガッツ=ドーバー様である。君たちにとっては、まぁ早い話が宇宙人だ。この度俺様は、自らの陣地を広げるためにこの星!・・・ち、ちき、ちきう?に、俺様の国を作らせてもらいに来た。」
突然の地球征服演説に、街の人々は事態を飲み込めず、写真を撮る者、見向きもしない者、宇宙人のくせに日本語を喋っている、宇宙人もマイクテストはあんな感じなんだ、とツイッターに拡散させ嘲笑する者、様々だ。
勿論彼らは正真正銘の宇宙人だが、彼らの宇宙船はスゴいため、万能翻訳機能が搭載されているのだ。
「あー、諸君。信用してないな!ツイッター炎上させてるだろ!俺様地球に来て間もないが!アカウント取ったんだぞツイッター!」
彼らの宇宙船はスゴすぎるため、あらゆる星のWi-Fiが繋がるのだ。
「諸君!疑うのならば、証拠を見せてやる!死にたくなかったら、退がるのだなぁ!」
間もなく、宇宙船の下部から、砲塔が伸びてきた。
そして、スクランブル交差点の真ん中に向け、軽~くビームが発せられた。
鈍い大きな音とともに、路面に命中。軽~く爆発が起こる。アスファルトは溶け、燃え上がり、辺りは煙に包まれた。
それまで楽観視していた街の人々も、これには流石に悲鳴を上げざるを得なかった。ツイッター上も、徐々に恐怖の声で埋まっていく。
「というワケだ。俺様は優しいからぁ?住民を無下に殺すつもりはないが・・・早いとこ、この国の偉い人は?出て来た方がいいんじゃないかー。ハァーッハッハッハー!!」
小さな町工場から始まり、今や大会社となったスタークラウン社。創業者が亡くなり、一人娘が継いだその企業は、革新的な技術とアイディアで世界中から注目を集めている。そんな企業の本社前には、世紀の一大発表とあって、多くの報道陣が詰めかけていた。
「皆さま、この度は我がスタークラウン社のレセプションにお集まりいただき、誠にありがとうございます。」
司会進行を務めるのは、女性若社長、北星彗である。
「私は、勿体ぶるのが好きではありません。が、これだけはまず言わせていただきます。今回のプレゼンにおいて、未だかつてない大きな夢、大きな希望、そして大きな衝撃を与えることをお約束致します。」
壇上の彗は、得意げな、自信に満ちた笑みを浮かべる。その若さを、世界中のマスコミのシャッター音が包んで行った。
「とにかくご覧になっていただくのが一番です!早速お目にかけましょう!」
そう言うと、彗はマイクのスイッチを切り、逆にインカムのスイッチを入れ、ボソッと呟く。
「山田。しくじらないでよ。」
「お嬢様、公の場ではその名を使わないでくださいとあれほど!誰が聞いているかわからないのですよ!」
山田、と呼ばれた男は小声で反発を向ける。
「あーもう、いいから早くなさい。」
「りょ、了解しました。」
コホン、と彗は間を取り、続けて叫ぶ。
誇りと希望、自信を込めて、盛大に。
「皆さま、大きな拍手と感動でお迎えください!これが、我が社が開発した巨大人型搭乗二足歩行ロボット、『スターウェイブ』シリーズその第一号、『スタードレッド』です!」
湧き上がる拍手、起こるどよめき。
彗の背後から、巨大、と呼ぶにはやはり些か小さいが、大きな衝撃を与えることは間違いない大型ロボットが、ズシリ、ズシリと一歩ずつ地を踏みしめて現れた。
赤いメタリックボディが、陽の光を受けて燦然と輝く。
スタードレッドは、右腕を天に掲げ拳を握り、ポーズをキメた。
その姿は、誰もが夢見た新しい未来を、現実のものにしたのは、誰の目にも明らかであった。
会場は静まり返った。まさか、突如大型ロボットが現実に現れるなど、誰もが予想だにしていなかったからである。
沈黙は破られた。
我に返った人々から、惜しみない賞賛、絶え間ない歓声、そして轟音にもなる拍手が、彗たちに向けて送られる。
高揚と、興奮が襲ってくる。
これには彗だけでなく、コックピットの山田も、身をもって感じていた。
だが、同時に、2人はこうも考えていた。
『この高揚感に、決して酔いしれてはいけない。自分たちの本当の使命は、賞賛を浴びることではない』
「皆さま、ありがとうございます!」
彗は、止まらない熱気を遮った。
「『スターウェイブ』は、人類の可能性を広げる目的で製作されました。搭乗者は、車やバイクといった運転技術さえあれば、誰でも、まるで自らの身体のように操縦することが可能です。深海や宇宙探査、土木作業の広域化、スポーツ…多くの新たな未来を、我々にもたらしてくれることでしょう。」
大袈裟な身振り手振りで周囲を湧かせ、煽る。だがそれは、決して大言ではないであろう。人型搭乗ロボットは、その存在そのものが人類の夢なのだから。
山田の心臓が大きく脈を打つ。大衆が、自分たちを見ている。むしろ、今や世界中が自分たちのことしか見ていないような、そんな錯覚に陥るほどの熱気が、目の前にあるのだ。
「皆さま、これから来る新たな未来と!我がスターウェイブを!大きな期待、感動!そして拍手でお迎えくださいませ!」
報道陣から、シャッター音と大きな拍手が送られる。中には、目を輝かせ、歓声を上げ続ける者も少なくなかった。搭乗者である山田、そして彗は、これを誇らしく受け止めるのであった。
その喜びの音たちを、奪い去る者がいた。
宇宙からの飛来者である。
「あー、んー!マイクテスマイクテス!本日は晴天なり晴天なり!」
若干のハウリング音とともに、宇宙人の声が、喧騒を遮って渋谷の街に響き渡る。
驚きで人々の足は止まり、車もその場でブレーキをかけ、軽いパニック状態であった。
それは、スタークラウン社前も例外ではなく、記者たちはより一層どよめいて、彗たちへ向けていた眼を、空へと移していく。
「あー、俺様はあらゆるケンカに負けたことのない、無敵の帝王!ガッツ=ドーバー様である。君たちにとっては、まぁ早い話が宇宙人だ。この度俺様は、自らの陣地を広げるためにこの星!・・・ち、ちき、ちきう?に、俺様の国を作らせてもらいに来た。」
突然の地球征服演説に、街の人々は事態を飲み込めず、写真を撮る者、見向きもしない者、宇宙人のくせに日本語を喋っている、宇宙人もマイクテストはあんな感じなんだ、とツイッターに拡散させ嘲笑する者、様々だ。
勿論彼らは正真正銘の宇宙人だが、彼らの宇宙船はスゴいため、万能翻訳機能が搭載されているのだ。
「あー、諸君。信用してないな!ツイッター炎上させてるだろ!俺様地球に来て間もないが!アカウント取ったんだぞツイッター!」
彼らの宇宙船はスゴすぎるため、あらゆる星のWi-Fiが繋がるのだ。
「諸君!疑うのならば、証拠を見せてやる!死にたくなかったら、退がるのだなぁ!」
間もなく、宇宙船の下部から、砲塔が伸びてきた。
そして、スクランブル交差点の真ん中に向け、軽~くビームが発せられた。
鈍い大きな音とともに、路面に命中。軽~く爆発が起こる。アスファルトは溶け、燃え上がり、辺りは煙に包まれた。
それまで楽観視していた街の人々も、これには流石に悲鳴を上げざるを得なかった。ツイッター上も、徐々に恐怖の声で埋まっていく。
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