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第一章 はじまりの王都編
第六話 サラリーマンは見た!
しおりを挟むはい、というわけでさっきの公園に戻って参りました。
あの城から強制的に追い出され、これからの冒険の助けになるような物も貰えず、集めたアイテムも全て没収。
そしてなによりも、次の目的地が見つからないのが一番辛い。
なんかもう……マジでする事がない。
異世界に召喚された勇者っつったら普通はさ、勝手に色々な事件に巻き込まれてそれを解決して仲間増えて、みたいな感じじゃないのか?
『する事ない』とか間違っても出てこないはずなんじゃないの?
……まぁ、グチグチと何を言っても振り出しに戻っちゃったんだし、これからの事を考えないといけないな。
とりあえず事態の進展を図るためにポケットやらなんやらを漁ってみるが、出てきたのは電波が繋がらない圏外のスマホやティッシュ、ハンカチくらいだ。
「くっそー……、片やスマホやらチートやらで無双してハーレム作ってるってのに、俺ときたら武器は角材、ハーレムもチートもない。挙句に全くイベントが起こらない。まさに『詰んだ』状態なわけだ。………やっべ、今すげぇ家に帰りたい」
ふむ、やはり俺は異世界召喚されて早々に詰んでしまったようだ。であればする事は一つだけだ。
―――そして俺は考える事をやめた。
しばらくの間、虚ろな目で手に持ったヒノキの棒と雲一つない青空を交互に眺めていると、どこからか声が聞こえてきた。
「ねぇ奥さん、知ってる?」
「なになに?」
ふと声の聞こえてきた方向を見ると何人かの女性が談笑し、幼稚園くらいの子どもたちが遊んでいる光景が目に入ってきた。
そういえばここは公園だったな、と思い出す。
特にすることもないので、子どもたちの母親であろう女性達の話を盗み聞きする。
「この町から南の方に小さな村があるじゃない?ほら、えーと……」
「南の方?……あぁ、ドッデ村ね。その村がどうかしたの?」
「そうそう、ドッデ村よ!…でね、また出たらしいわよ……『モンスター』が」
「!!!!!!」
『モンスター』という単語を聞いた瞬間、俺は思わずベンチから勢い良く立ち上がってしまった。
来たよ、モンスター!これだよ!これを待っていたんだよ、俺は!
己の命を懸けて凶悪かつ強力なモンスターへと立ち向かう!
一歩間違えば即、死に繋がる状況の中で俺は、雨の様に降り注ぐモンスターの攻撃を紙一重で躱しながら徐々に距離を詰めていく!
そして剣が届く距離まで近づき、一気に攻撃しとどめを刺す!
これぞまさに冒険!まさに勇者ァ!
―――ふと我に返ると、おれは座っていたベンチに片足を乗せ、透き通った青空に向かって握った拳を高く突き上げていた。
ママさん達から『なんだコイツ』みたいな目で見られていたので、咳払いで誤魔化し再びベンチに腰掛ける。
ママさん達は俺への警戒を残しながら、再び話に戻る。
「……もし本当にモンスターが出たのなら、討伐隊が出てるんじゃないの?」
「ほとんどの隊員が重傷で壊滅状態だそうよ」
「あら~嫌ねぇ、近頃は強いモンスターが多くて」
そこまで聞いた俺は無言で立ち上がり、公園の出口へと向かってゆっくりと歩き始める。
次の目的地が決まった。
次はドッデ村に向かうことにする
さあ、相棒!今こそお前の力を俺に見せてくれ!
………勇者のメインウェポンが『ヒノキの棒』ってどうなってんだ、いやマジで。
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