チートがなくても最強です!?〜最弱勇者はハードモードの異世界を策略と悪知恵で必死こいて生きていく〜

ソリダス

文字の大きさ
10 / 81
第二章 ドッデ村編

第十話 異世界戦法

しおりを挟む
 俺と隊長は公民館の会議室に戻ってきた。

 そして部屋の中に入るなり、村長から声を掛けられる。


 「どうだ?あれを見てもまだ倒せるというか?」


 「いやぁ…、俺らが見に行った時は寝てたんで、起きて動いてる所を見ないと、ちょっと分かんないですねぇ…」


 俺は震える声で曖昧にはぐらかした。


 魔王の初手がドラゴンとは……。魔王の奴、もうちょいパワーバランスを考えてくれよ…。

 ドラゴンって言ったら……あれだろ?RPGとかではラスボスとして出てきたり、物語の終盤に出てくるボスだろ?

 えっ?そんな奴と冒険の旅に出たばかりの俺が戦うの?

 いや、そりゃあ、魔法とかドカーーン!みたいな強い攻撃が出来ればワンチャンあるんだろうけどさ。

 生憎、俺は魔法も使えないし、武器が角材だし、特殊能力とかいうのも持ってないし、身体能力も平均程度だし、武器が角材だし。


 やべぇ、勝てる気が全くしない。もう、ここまでくると逆に清々しいね!


 と、ここで突然俺の脳内に一つの可能性が浮かび上がる。もし、この予想が正しければ、まだ勝機はあるぞ……!

 いつもは自分の低スペ脳みそを恨めしく思ってばかりだが、今回ばかりは褒めてやらねばなるまい。


 俺の脳内ビジョンに、動物を愛でるムツゴロウさん並に脳みそを可愛がっている俺、という全く理解不能なイメージが流れるが、頭を横に振ってなんとかそれを払う。


 そして俺はその可能性を確信に変えるために、早速聞いてみることにした。


「そういえば、討伐隊はどんな作戦を立ててドラゴンと戦ったんですか?」


 俺は隊長にそう尋ねた。


 文明レベルが俺がいた現代日本くらいなのは分かった。それはもう、嫌というほどに。

 だが、もしかしたら戦術に関しては、俺の知っている異世界らしく敵の正面から堂々と魔法をぶっ放したり、特殊能力で無双することが中心の、いわゆる脳筋スタイルの可能性がある。

 さらに言えば、5000もの敵兵を300人で包囲して殲滅を図るぶっ飛び戦法まであるかもしれない。

 それならば、まだ俺の考える作戦の方がマシだ。ごく僅かではあるが勝てる可能性はある。


 隊長は俯き少し考え込むような仕草を見せたが、しばらくしてふっとため息を吐き顔を上げた。


 「……まぁいいだろう。では、簡単に説明しておこう。まずは攻撃対象――ドラゴンを作戦内で決めていたポイントまで誘導。ドラゴンがポイントに到着し次第、タイミングを計り周囲に潜伏していた各魔法使いが最大火力の魔法を一斉放射。その攻撃でドラゴンが怯んだ隙に、魔法使いが次の魔法の詠唱を終えるまでの時間稼ぎも兼ねて接近戦特化の特殊能力持ちが一撃離脱で少しずつ体力を減らし―――」





 ―――俺の記憶はここで途切れている。


 何か適当な理由をつけてあの部屋を飛び出したような気がするが、いまいちはっきり思い出せない。

 ただ唯一、隊長が述べた作戦の内容を聞いた時に、俺の心の中に未だかつて経験したことがないほどの絶望を感じた事は覚えている。


 真っ向勝負でドラゴンに負けたのなら、まだ、望みはあったのだ。たとえそれが、極々僅かな望みだったとしても。


 だが、俺が聞いた作戦内容は、予想していた真っ向勝負とは対極に位置するものだった。

 地形を最大限利用し、潜伏し、敵の死角から攻撃を加える……。


 俺が元いた世界にも、それに少し近い戦術があった。『ゲリラ戦法』の名で知られていたそれを、対モンスター戦用に応用した作戦………、俺はそんな印象を受けた。


 故に、絶望した。


 その戦術を用いてもまるで敵わぬ、ドラゴンという生き物の底知れぬ強さに。



 人間は耐え難いストレスを感じると、自分の身を守るために自己防衛本能を働かせる事があるという。

 そのひとつが『記憶の忘却』だ。

 これまでは自分とは関係の無い、一生そんな体験をする事はないと思っていた。


 ……人生、何が起こるか分からないね!(ヤケクソ)


 そしてふと気がついた時には、俺はフラフラと覚束ない足取りで村の中を歩いていた。


 足を止めて周囲を見遣ると一般的な住宅が建ち並び、少し離れた道路ではショベルカーやブルドーザーなどの重機が舗装工事のために騒音を放っていた。


 あぁ、重機もあるのか……。


 もはや驚く事すらほとんどなくなった俺は、工事現場からすぐに視線を外してまた歩き始めた。

 しばらく歩いたところで前方にコンビニがあるのを見つけた。

 俺はゆっくりとそのコンビニに歩を進めながら思考する。


 確かに今回の話は精神的に堪えたが、そこから得たこともあった。


 それは少し前から俺の中にあった疑問……これがさっきの話を聞いて確信を得た。


 俺はこの異世界に滅茶苦茶嫌われている、という最悪な確信が。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

チート魔力のせいで神レベルの連中に狙われましたが、守銭奴なので金稼ぎします

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
――自由を手に入れるために、なにがあっても金は稼ぎます―― 金さえあれば人生はどうにでもなる―― そう信じている守銭奴、鏡谷知里(28)。 交通事故で死んだはずの彼が目を覚ますと、そこは剣と魔法の異世界。 しかもなぜか、規格外のチート魔力を手に入れていた。 だがその力は、本来存在してはいけないものだった。 知里の魔力は、封印されていた伝説の冒険者の魔力と重なったことで生まれた世界のバランスを崩す力。 その異常な魔力に目を付けたのは、この世界を裏から支配する存在―― 「世界を束ねる管理者」 神にも等しい力を持つ彼らは、知里を危険視し始める。 巻き込まれたくない。 戦いたくもない。 知里が望むのはただ一つ。 金を稼いで楽して生きること。 しかし純粋すぎる仲間に振り回され、事件に巻き込まれ、気付けば世界の管理者と敵対する羽目に――。 守銭奴のチート魔力持ち冒険者 VS 世界を支配する管理者。 金のために生きる男が、望まぬまま世界の頂点と戦うことになる 巻き込まれ系異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

追放されたS級清掃員、配信切り忘れで伝説になる「ただのゴミ掃除」と言って神話級ドラゴンを消し飛ばしていたら世界中がパニックになってますが?

あとりえむ
ファンタジー
【5話ごとのサクッと読める構成です!】全60話 完結しました。読者の皆様ありがとうございます! 世界を救ったのは、聖剣ではなく「洗剤」でした。 「君のやり方は古いんだよ」 不当な理由でS級クランを追放された、ベテラン清掃員・灰坂ソウジ(38歳)。 職を失った彼だったが、実は彼にはとんでもない秘密があった。 呪いのゴーグルのせいで、あらゆる怪物が「汚れ」にしか見えないのだ。 ・神話級ドラゴン  ⇒ 換気扇の頑固な油汚れ(洗剤で瞬殺) ・深淵の邪神  ⇒ トイレの配管詰まり(スッポンで解決) ・次元の裂け目  ⇒ 天井の雨漏りシミ(洗濯機で丸洗い) 「あー、ここ汚れてるな。チャチャッと落としておくか」 本人はただ業務として掃除をしているだけなのに、その姿は世界中で配信され、人類最強の英雄として崇められていく! 可愛い元ダンジョン・コアや、潔癖症の聖女も入社し、会社は今日も大忙し。 一方、彼を追放した元クランは、汚れ(モンスター)に埋もれて破滅寸前で……? 「地球が汚れてる? じゃあ、一回丸洗いしますか」 最強の清掃員が、モップ片手に世界をピカピカにする、痛快・勘違い無双ファンタジー! 【免責事項】 この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

処理中です...