チートがなくても最強です!?〜最弱勇者はハードモードの異世界を策略と悪知恵で必死こいて生きていく〜

ソリダス

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第二章 ドッデ村編

第十三話 そうだ、原始に帰ろう。

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 「―――落とし穴だと?」


 俺と向かい合って話している村長は、表情に不快感を露わにしながらそう言った。


 「そうです。正直に言って、ドラゴンを倒せる可能性が高い作戦はそれ以外にありません」


 そう。

 俺がマンモスチョコを見て思いついた作戦というのは『落とし穴』の事だ。


 俺は会議室に戻ってすぐに、落とし穴を使ってドラゴンを倒す作戦を提案した。

 話し終えた時には皆、椅子に腰掛けたまま茫然とした表情で俺の方を向いていたが、しばらくするとようやくフリーズしていた脳が動き始めたのか、「無駄だ」「ふざけるな」等の声があちこちから飛んできた。

 罵声が飛び交っていたが、村長が手を軽く上げてそれらを制する。

 すると、ピタリと周囲からの声が止まった。


 村長は一度咳払いをしてから、話を始めた。


 「突然部屋を飛び出しておいて、戻ってきたと思ったら『落とし穴でドラゴンを倒す』だと?……貴様は、我々を舐めているのか?落とし穴を使ってなどと……我々には猿人程度の知能しかないとでも言いたいのか?」


 おっと、村長さんのこめかみにはっきりと青筋が浮いてらっしゃる。

 人間って怒ると本当に青筋浮かび上がるのか、知らなかった。

 ……違う、そうじゃない。


 俺はなんとか弁解しようとする。


 「いや、決してそういうわけでは……」


 だが、興奮状態の村長は聞く耳を持たない。


 「そもそもだ!落とし穴などという野蛮な方法が、あのドラゴンに効くはずがないだろうが!それにドラゴンが埋まるほどのぐらいの穴がたった一日で掘れるのか?」


 だが、その点は大丈夫。

 ちゃんと考えてるから。

 俺はすぅと軽く息を吸い込み、村長に真剣な表情でこう言った。


 「重機を使えば可能である、と私は考えています」


 コンビニ近くで舗装工事をしていたあのショベルカー。あれを使えば落とし穴を掘る事ぐらいは造作もない。

 ……と、俺は考えていた。

 しかし、やはりこの異世界はそう上手くは行かないらしい。


 「ふざけるな!重機を使った程度でドラゴンを埋める事が出来るほど深い穴を掘れるわけがないだろう!それに、ドラゴンが目覚めるまでそれほど時間もないのだぞ!」


 ………ドラゴンが目覚めるまで時間ないとか初耳なんだが。

 まぁけど、俺の思ったようにいかないのは心の何処かで分かってた。こんなのが何回も続いてるから、そろそろ嫌でも分かるってもんで。


 「……ちなみにですけど、ドラゴンが目覚めるまで、あとどのくらい時間があります?」


 俺がそう尋ねると村長ではなく、椅子に腰掛けていた隊長が立ち上がってこう答えた。


 「あと1日、よくて2日ってところだな」


 「重機を使ってドラゴンが埋まるくらいの穴を掘るのに掛かる時間は?」


 「ざっと見積もって、一週間」


 はい、詰んだ。


 「よし、じゃあ逃げよう」


 落とし穴が出来ないんじゃ、しょうがないな。

 ……これは、あれだから。

 敵前逃亡とか、そんなんじゃないから。

 皆の生命を守るために仕方なく、撤退するだけだから。

 ショウガナイ、ショウガナイ。


 俺は誰にともなくそんな言い訳を頭の中で呟いていた。


 そんなネガティブ思考に染まりつつあった俺を、ある人の言葉によって一気にポジティブ方向へと変わった。


 「――ドラゴンを埋めるぐらいの穴だったら俺の土属性の魔法で作れるが?」


 「たっ、隊長殿ッ!?」


 「マジっすか!やったぜ。」


 村長含めその他大勢は驚いたような表情になり、俺はといえば嬉しさのあまりその場で小躍りを始めた。


 「他に有効な作戦なんてないんだ。やるしかないだろう。それに……」


 ここで隊長は、言葉と言葉の間を勿体ぶるように一呼吸空ける。

 そして隊長は、俺の方に視線を向けてニヤリと笑いかけてきた。


 「……他にも何か、考えがあるんだろう?」


 その口調からは、既に何かを確信しているような雰囲気を強く感じた。

 ならばと、そんな隊長に向かって俺もニヤリと笑い返し、こう答えた。 


 「………すいません。これからみんなで考えていけばいいかなと思ってました」

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