チートがなくても最強です!?〜最弱勇者はハードモードの異世界を策略と悪知恵で必死こいて生きていく〜

ソリダス

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第六章 カラマス編

第六十四話 惨状を作りし者

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 「――なんだったんだ?こいつら」


 「多分、討伐隊のはずだけど……」


 「ねぇ、やっぱり俺の話聞いてないよね?平和的に解決しようって言ったの、全く聞いてなかったよね?……いや、もういいや……それよりも、このあとどうしよう……?」


 俺たちは呆れたような表情で、地面に横たわっている討伐隊の鎧を身に着けた男たちを眺める。


 彼らの顔面は、デイモスによる一方的な攻撃により、もはや原型を留めていないほどパンパンに腫れ上がっていた。

 ……とはいっても、骨が折れたり血が出たりしているわけではないので、デイモスも相手が生身の人間ということでだいぶ手加減はしてくれたのだろう。


 手加減の方向性にいささか問題があるようではあるが。


 それはともかくとして。


  「ちょっと尋問してみようか」


 そう呟いたのはヴェルデだった。


 その意見には俺も同意だ。

 彼らは、今回の事件に関する何かしらの情報を握っているのは確実だ。ならば、こいつらにボスがどこにいるかを聞き出すことは合理的な結論といえる。


 ……まぁ元々、こいつらから情報を聞き出すつもりだったからいいんだけど。『平和的に』か『暴力的に』かの違いだから、過程はどうあれ結果は大体俺の希望通りに進んでる。


 ……ただ、尋問となるとひとつ気になることがある。


 それは――。


 「――あなた達のボスはどこにいるか、教えなさい」


 ヴェルデは冷徹な口調で、地面に転がっている『ステープ』と名乗った男に問い詰めた。

 そうして返ってきた言葉は。


 「ヘテテテスヘテテス」


 うん、まあ、でしょうね。


 顔面がパンパンに腫れ、目も口も3の字みたいになっててまともに開けないんだから、この返答は当然っちゃ当然だ。

 ならば、他の隊員はどうか。


 「フゴフガ」

 「オデノカダダハボドボドダ!!」

 「オンドゥルルラギッタンディスカー!」


 「ダメだ、何言ってっかさっぱり分からん」


 そりゃそうだ。

 だって、彼らの顔のパーツも今は全部3で完成されているんだもん。


 デイモスが真顔で言ったことに、俺もヴェルデも頷いて同意する。


 だけど、それならそれで別の方法を使うまで。


 「いいか、今からする質問に『はい』だったら首を縦に、『いいえ』だったら首を横に振れ。もし、協力しなかったり、嘘をついたりした時はお前たちは簀巻きになって、町中をうろついてるあいつらの目の前に転がされる。……ちなみに、この魔法使いは嘘をついているかどうかが分かる魔法を使えるからな」


 俺はヴェルデを指してそう言い放った。

 ……まぁ、今の発言は嘘だけど。


 だが、今の彼らに判断する方法はない。


 彼らは悔しげな表情(パンパンに腫れててあんまよく分からんが)を浮かべ、公園のさらに奥……その同じ方向を指差した。


 

 ◆◆◆◆


 

 先へ進むと、少し開けた空間が現れた。

 俺たちは慎重に足を踏み入れる。


 そこには一つだけ、ポツンと取り残されたように朽ちかけたベンチが設置されており、そこに腰掛ける人影が見えた。

 だが、これだけ木々に囲まれた公園の奥ということもあり、座っている人物の顔付近にちょうど木々の影が重なっているため、この距離では顔をしっかりと視認することは難しい。


 けれど、あのベンチに座っている奴が、今回の事件の黒幕で間違いないだろうということは、すぐに皆察しがついた。


 「あんたがこの惨状を作り出した元凶か」


 俺の問いかけを受けたベンチに座る人物は、ゆっくりとした動作で立ち上がった。

 そして、こちらに歩いて近寄ってくるが、その時ある違和感に気がついた。


 ……杖をついているのか?


 一歩一歩踏み出すと、その足音から僅かに遅れて『トン、トン』と地面に硬質な物が当たる音が届いてくる。

 『敵が杖をついている』ということを認識した瞬間、俺の脳裏に最悪のイメージが浮かんだ。

 違っていてほしい……俺のおかしな勘違いであれ……。


 俺は祈るような気持ちで、近寄ってくる敵の顔を見つめた。


 ……しかし、その祈りはこの過酷な異世界の神に届くことはなかった。


 「――よォ、遅かったじゃねぇか、兄ちゃんたち。もしかしたら来ないんじゃねぇかって考え始めてたところだ」


 目の前から聞こえてきた声、そして見えたその顔に、俺たちは目と耳を疑った。


 

 そこにいたのは、以前に酒場で話を聞かせてくれた杖をついた老人だった。


 

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