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1-3 仕事も色々
第14話 人生に色を 2
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「それにしてもヤマトさんって話しやすくて楽しいわ。こんな事まで友人以外に打ち明けたのはあなたが初めてよ」
「そう言っていただけて幸いです。普段お仕事は何を?」
「私を励ましてくれた友人たちの伝手で、レストランやパン屋さんで給仕の仕事をしているわ。氷を卸すのは三日に一度ぐらいかしら」
「そうなんですね。それで休日には依頼を出して話し相手を募ったりと」
「いいえ実はヤマトさんが初めてなの」
「え、よく酒場には来られるんですよね?」
「氷を卸すようになってこっちだけじゃなくて、冒険者ギルドさんとの繋がりが出来たでしょ? あの子の憧れた冒険者さんってどんな人たちなんだろうかって興味が出てきて、賑やかな雰囲気を分けてもらうだけじゃなくて話してみたいと思ったの」
「それで今回依頼されたわけですね」
初対面だが話を聞くに、相当立ち直ってきてはいるようだな。
金に物を言わせた金持ちの変な依頼かと警戒していたが、事情を知れば悪い仕事では無かったな。
その後も、とりとめのない世間話やリーフルを愛でたりして時間が過ぎて行った。
そろそろ指定された時間が過ぎるので、話を切り上げようかと思ったが、俺に一つアイデアが浮かんだ。
「ダナさんの作り出す氷は、形や大きさは自由に変えられるものですか?」
「そうねぇ、複雑な形は出来ないし、大きさも残りの魔力次第ね」
「縦横高さそれぞれ10センチメートルぐらいの四角い氷を生み出すことは可能でしょうか?」
「……? やってみるわ」
そう言うと手をかざし、ダナさんは俺の要望通りの四角い氷をテーブルの上に作り出した。
「ダナさんが酒場に来る理由がもう一つ出来るかもしれません」
「どういうことかしら?」
「氷菓子です。ダナさんがここで氷菓子を販売できれば、更なる収入にもなるし賑やかで楽しくないですか?」
「それはそうね……でも氷でお菓子ってどんなものかしら」
「俺に考えがあります。三日後にまたギルドで待ち合わせましょう。ダナさんにはその間に用意しておいて欲しいものが……」
そうして俺達は三日後の再会の約束をしてギルドを後にした。
◇
今日は例の約束の日、準備したものを携えてギルドへと向かった。
「ホホーホ(ナカマ)」
「ふふ、こんにちはリーフルちゃん。ヤマトさん」
「こんにちはダナさん。お伝えしたものは大丈夫でしょうか?」
「一応二種類用意してきたわ。ヤマトさんの想像した物に仕上がっていればいいのだけど」
長持ちする食べられる氷と、ジンネマンから交換で手に入れた鉋。
そこから閃いた俺の考えは"かき氷"だ。
ダナさんには、果物のジャムを砂糖水で薄めて、氷にかける"シロップ"もどきの調理をお願いしていた。
俺の方はと言うと、ジンネマンから交換で手に入れた鉋を使い、鍛冶屋に説明しながら、氷を固定し手動で氷を薄く削れる機械を作製していた。
「それでは早速試してみましょう。ダナさん氷をお願いします」
作製したかき氷機をテーブルに取り出し、酒場で氷受けとして都合のよさそうな食器を借りて実際に作ってみる。
「食器を下に置いて、ここに氷をセットしまして、こうグルグルと回します」
かき氷機は上手く動いてくれて、薄く削られた氷がキラキラと光を反射しながら食器に積み重なっていく。
「すごい! 綺麗に削れるものねぇ」
「これにダナさんに用意して頂いたシロップをかけます。赤いのはベリ──イチゴに似た果物──ですかね?」
スプーンを使い味を確認し、ベリシロップを氷に回しかける。
甘さはいい塩梅で、粘度も想定通りのいい具合のシロップだ。
削られた氷は、日本に居た頃食べた物より若干荒く、完ぺきとまではいかないが"かき氷"が再現できたと言っていいレベルにはできたと思う。
「どうぞ。食べてみてください」
「わぁ、見た目華やかで綺麗ね。それじゃあいただくわね。……んー!冷たくて甘い、食感も新鮮ですごく美味しいわ!」
「俺はシディ──レモンに似た果物──を頂いてみます。んん!甘酸っぱくて冷たくて美味しい、成功ですね」
「すごいわヤマトさん! よくこんなお菓子を思いつきましたね」
「たまたまピンときただけですよ」
俺の発明でないことを正直に言えないのは少し後ろめたいが、この世界でかき氷が食べられるようになったのは素直に嬉しい。
「氷を卸す日についでに、ここでかき氷を販売されるといいと思います。この機械はダナさんに差し上げますので」
「このお菓子の名前"かき氷"と言うのね、でもいいのかしら。……そうね、そうするわ、この酒場で販売させていただけるようにお願いするとして、ヤマトさんにはおいくらお支払いすればいいかしら?」
「準備にかかったお金は高額ではないですし、アイデア料として今後私の分のかき氷は無料ということでどうでしょうか」
「……ふふ、そういう事でしたらいつでも食べにいらしてくださいね」
「ホーホホ(タベモノ)」
「リーフルは食べられないかな、お腹壊すからね」
「ホー! (テキ)」
「ははは」 「ふふ」
ダナさんの日常に少しは色を添えられただろうか。
溶けて混ざり合うかき氷を眺めつつそんな事を思った。
「そう言っていただけて幸いです。普段お仕事は何を?」
「私を励ましてくれた友人たちの伝手で、レストランやパン屋さんで給仕の仕事をしているわ。氷を卸すのは三日に一度ぐらいかしら」
「そうなんですね。それで休日には依頼を出して話し相手を募ったりと」
「いいえ実はヤマトさんが初めてなの」
「え、よく酒場には来られるんですよね?」
「氷を卸すようになってこっちだけじゃなくて、冒険者ギルドさんとの繋がりが出来たでしょ? あの子の憧れた冒険者さんってどんな人たちなんだろうかって興味が出てきて、賑やかな雰囲気を分けてもらうだけじゃなくて話してみたいと思ったの」
「それで今回依頼されたわけですね」
初対面だが話を聞くに、相当立ち直ってきてはいるようだな。
金に物を言わせた金持ちの変な依頼かと警戒していたが、事情を知れば悪い仕事では無かったな。
その後も、とりとめのない世間話やリーフルを愛でたりして時間が過ぎて行った。
そろそろ指定された時間が過ぎるので、話を切り上げようかと思ったが、俺に一つアイデアが浮かんだ。
「ダナさんの作り出す氷は、形や大きさは自由に変えられるものですか?」
「そうねぇ、複雑な形は出来ないし、大きさも残りの魔力次第ね」
「縦横高さそれぞれ10センチメートルぐらいの四角い氷を生み出すことは可能でしょうか?」
「……? やってみるわ」
そう言うと手をかざし、ダナさんは俺の要望通りの四角い氷をテーブルの上に作り出した。
「ダナさんが酒場に来る理由がもう一つ出来るかもしれません」
「どういうことかしら?」
「氷菓子です。ダナさんがここで氷菓子を販売できれば、更なる収入にもなるし賑やかで楽しくないですか?」
「それはそうね……でも氷でお菓子ってどんなものかしら」
「俺に考えがあります。三日後にまたギルドで待ち合わせましょう。ダナさんにはその間に用意しておいて欲しいものが……」
そうして俺達は三日後の再会の約束をしてギルドを後にした。
◇
今日は例の約束の日、準備したものを携えてギルドへと向かった。
「ホホーホ(ナカマ)」
「ふふ、こんにちはリーフルちゃん。ヤマトさん」
「こんにちはダナさん。お伝えしたものは大丈夫でしょうか?」
「一応二種類用意してきたわ。ヤマトさんの想像した物に仕上がっていればいいのだけど」
長持ちする食べられる氷と、ジンネマンから交換で手に入れた鉋。
そこから閃いた俺の考えは"かき氷"だ。
ダナさんには、果物のジャムを砂糖水で薄めて、氷にかける"シロップ"もどきの調理をお願いしていた。
俺の方はと言うと、ジンネマンから交換で手に入れた鉋を使い、鍛冶屋に説明しながら、氷を固定し手動で氷を薄く削れる機械を作製していた。
「それでは早速試してみましょう。ダナさん氷をお願いします」
作製したかき氷機をテーブルに取り出し、酒場で氷受けとして都合のよさそうな食器を借りて実際に作ってみる。
「食器を下に置いて、ここに氷をセットしまして、こうグルグルと回します」
かき氷機は上手く動いてくれて、薄く削られた氷がキラキラと光を反射しながら食器に積み重なっていく。
「すごい! 綺麗に削れるものねぇ」
「これにダナさんに用意して頂いたシロップをかけます。赤いのはベリ──イチゴに似た果物──ですかね?」
スプーンを使い味を確認し、ベリシロップを氷に回しかける。
甘さはいい塩梅で、粘度も想定通りのいい具合のシロップだ。
削られた氷は、日本に居た頃食べた物より若干荒く、完ぺきとまではいかないが"かき氷"が再現できたと言っていいレベルにはできたと思う。
「どうぞ。食べてみてください」
「わぁ、見た目華やかで綺麗ね。それじゃあいただくわね。……んー!冷たくて甘い、食感も新鮮ですごく美味しいわ!」
「俺はシディ──レモンに似た果物──を頂いてみます。んん!甘酸っぱくて冷たくて美味しい、成功ですね」
「すごいわヤマトさん! よくこんなお菓子を思いつきましたね」
「たまたまピンときただけですよ」
俺の発明でないことを正直に言えないのは少し後ろめたいが、この世界でかき氷が食べられるようになったのは素直に嬉しい。
「氷を卸す日についでに、ここでかき氷を販売されるといいと思います。この機械はダナさんに差し上げますので」
「このお菓子の名前"かき氷"と言うのね、でもいいのかしら。……そうね、そうするわ、この酒場で販売させていただけるようにお願いするとして、ヤマトさんにはおいくらお支払いすればいいかしら?」
「準備にかかったお金は高額ではないですし、アイデア料として今後私の分のかき氷は無料ということでどうでしょうか」
「……ふふ、そういう事でしたらいつでも食べにいらしてくださいね」
「ホーホホ(タベモノ)」
「リーフルは食べられないかな、お腹壊すからね」
「ホー! (テキ)」
「ははは」 「ふふ」
ダナさんの日常に少しは色を添えられただろうか。
溶けて混ざり合うかき氷を眺めつつそんな事を思った。
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