転生した悪役第一皇子は第二皇子に思うままにされるが気付かない

くまだった

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突き抜けた腹黒第二皇子の執着がすぎる点について

2 誘拐された

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 国の行事で離宮に行く際に、無理を言って兄上の馬車に一緒に乗った。この時はまだ正妃と側妃も少ないが交流があった。めったに言わない我儘だが、おれの母はおれに止めるよう言ってきた。
 兄上の馬車の前で、「一緒にのる」と言い張っていると、兄上が「いいよ」と返事をし、おれに手を伸ばしてきた。おれは兄上の腕を引っ張って馬車の中に入った。しぶる正妃も最後には許してくれたが、かなり怒っていたようだ。



 兄上の手を握る。絶対に離さない。小さくて柔らかい手だ。

 馬車内では兄上の膝にしがみつく。

 「ルオ、こっちおいで」

 兄上は、いまだ舌足らずなのかレオがルオに聞こえる。

 それを聞くと堪らない気持ちになる。

 兄ぶっておれを座面に寝かせて膝枕をしてくれる。

 おれは兄上の膝の上に頭をのせ、柔らかいお腹を抱きしめて兄上を堪能する。



 馬車が急に止まったと思うと、外が騒がしい。荒々しい音が聞こえる。剣を交える音も。

 静かになったと思ったら、馬車が急発進する。

 途中フードを被った男たちが、扉を開けたかと思うと側にいた侍女を切り捨て、二人とも簡単に袋に入れられて運ばれた。

 「レオ!」

 兄上の声が聞こえる。真っ暗な袋の中で乱暴にどこかに連れて行かれる。

 

 袋から出されると、ジメジメした窓のない地下室だった。

 蝋燭が一本壁にユラユラと揺れているから空気はどこからか入ってきているのだろう。



 縄で縛られていないので、二人で無事を確認して抱きしめ合う。

 おれは恐怖よりも兄上と二人でいれることが嬉しかった。怯えているけれど、おれの前で強気な兄上が愛おしい。

 「大丈夫だよ。ルオおれがいるからね」おれはぎゅっと兄上の服を握った。



 ガチャリと重い音が聞こえると、蝋燭を持った男が入ってきた。上半身は裸でだらしなくヨレヨレのチョッキを着ている。

 男は髪の色でステファンを判別し、つまみあげると顔を見て口笛を吹いた。下卑た笑いをする。

 「こりゃいいや」

 嬲るように兄を殴る。

 あきらかに遊んでいるが、華奢な兄上は嬲られながら苦痛の声を上げる。涙に濡れた顔を見て男は喜んでいる。



 「お前が悪いんだ。平民が苦しんでるいるっていうのに贅沢しやがって」

 兄上の服を無理矢理剥がしていく、床に寝かせて大きな手で兄上のきめ細かい肌をまさぐっていく。

 ざらついた手が触れていく度、兄上の肌が擦れて赤くなる。

 男の目がぎらぎらして、赤い顔から興奮していることがわかる。

 兄は泣きながら体を震わせている。



 男の荒い息と淫靡な空気が、暗い地下室に流れている。男は汚い陽の物を取り出して、白い兄上の肌にこすりつけて下卑た笑いをする。



 おれは恐怖と理由のわからない興奮で震えていた。何かはわからないが男の一挙一動に泣く兄上の表情や姿を一つも見逃してはいけないと、息を潜めて見ていた。



 大きな音がして男の仲間が入ってきた。

 「何してんだテメ。それ以上やったらただじゃすませねーぞ。壊れたら取引できねーだろ」

 手を出すなと頭を叩かれている。男は誤魔化すように兄上を持ち上げて、床に放り投げる。おれの前に血と涙と埃で汚れた兄上が転がってきた。兄上の腹部には男の体液がナメクジが這ったようにてらてらと光っていた。

 男がまた殴ろうと手を振り上げた。兄はおれに気付くと庇うようにおれの前に座る。

 「ルオに手を出したら許さない」

 もうすでに殴られて怖いはずなのに、弟のおれを助けようとする姿に感動する。



 今まで殴られたこともないだろうに。

 「ルオ後ろに下がって」とおれを庇おうとする。

 男がちっと舌打ちしながら兄上を軽く蹴っている。

 兄上が「あ」と言って倒れこむ。「ルオ逃げて」必死に顔を上げて俺に訴えてくる。涙を流しながらの懇願に体が震える。傷つけられながらもおれを庇う兄が尊い。

 まだしっつこく兄上に構おうとする男が許せない。この兄上に触っていいのも、傷つけていいのも、涙を見てもいいのはおれだけなんだ。何人も兄上に触るのを許さない。

 おれのなかで雷を受けたような天啓が落ちてきた。



 おれは兄上のために存在している。兄上はおれのために存在している。



 それが正解だった。



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