凜恋心

降谷みやび

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心恋凛 ~If…シリーズ~

If.2…もし後ろの二人で手を打っていたら…(battle25)

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八戒の腕の中では顔を赤らめてとろんとした様子での雅がいる。

「次の街か村までどのくらいかかる」
「飛ばしたところで夜中になるかと…」
「急ぐぞ」

そうして車に乗せると八戒は急いでジープを出す。前に街を出てからそれ程遠くないところにあるとは言え、既に日は沈みかけていたもののいまの雅にとっては相当しんどいものになっているはずだった。

「なぁ、『びやく』ってそんなにヤバイの?」
「まぁ、子供には必要ないもんだけど……」
「ガキって言うなよ!」
「大丈夫……だょ?……ご…くぅ。ハァハァ」
「すげぇ調子悪そうだぞ?」
「本当に……へっき…ハァハァ…」
「なぁ、八戒!」
「間違っても、雅には触らないであげてくださいね?」
「こんなにしんどそうなのにか?」

しかし、ジープの揺れで悟浄にもたれ掛かる状態になってしまった時だ。

「ンァ…ッッ!」
「悪い…」
「……あのガキ…次会ったら容赦しねぇ…」
「三蔵、どうします?」
「どうもこうもねぇ、野宿でなんかヤれるか」
「やるって何を?」
「悟空……それは……」
「八戒、少しスピード落とせるか?」
「何言ってやがる」
「場所交代すんだよ。ジープの縁にでも凭れた方が多少はいいだろうが。」

その悟浄の言葉を聞いて、八戒は少しスピードを緩める。

「これでどうです?」
「雅、こっちこい」

そう言って悟浄と場所を入れ替わる雅。しかし、時間が経つにつれ雅の体も異変が大きく表れてくる。

「ア…ンァア…!」
「すみません、少し揺れますよ?」

揺れが大きくなればその分雅の嬌声も、大きく甘く、聞こえてくる。

「な…なぁ、何か俺…変な感じだ」
「心配ないですよ、悟空、男性の性みたいなものですから」
「ってか、三蔵が一番危ぇんじゃねえの?この状況って……」
「うるせえよ…」
「そう言われましても、僕自身もなぁんか久しぶりに……危ない感じですけど…」
「ァア…ンァ…ッフゥ…」
「てめえら…聞いてんじゃねえよ…」
「そう言ってもさ!三蔵!!」

そんな時だった。するっと悟浄の右腕に雅は腕を絡める。そのまま巻き付いて悟浄の唇を奪った。

「雅…ッッ…」
「……あぁあ…ヤっちゃいましたね」
「…くそ」
「三蔵?悟浄が悪い訳じゃないですからね?」
「解ってる!!」

苛立ちも大きくなるものの媚薬の成分で我を忘れている雅はもう止める事は出来なかった。

「クチュ…チュ…」
「みや…ン…」
「ごじょ…ぉ…もっと…」

自ら悟浄の首に腕を回し、舌を射し込んでは絡め合う。それに応える悟浄も満更ではなかった。

「…ーー・・!!!俺も!」
「ちょっ!悟空!?」
「ふざけんなよ!てめえら!」
「三蔵まで暴れないでください、お願いですから…」
「八戒!飛ばせ、」
「十分飛ばしてます」
「…チッ…」

悟空も加担し、雅の体は弄ばれるかの様に二人に触られている。全てさらけ出さんばかりの雅だったが、理由が理由だけに三蔵もどうにも出来ずにいた。

「ン…気持ち…ぃ」
「俺も…なんかすっげぇ気持ちい…」
「おい、悟空…離せ」
「やだ!!」
「悟浄…ぉ」

潤む瞳で見上げられれば悟浄の理性も吹っ飛んだ。そのまま雅に誘われるがまま手は胸元に行く。

「動くジープの上ってのがちょっと色気ねえんだけどなぁ…」
「黙れ、クソ河童!」
「悟浄ばっかずりぃだろ!」
「黙れ猿!!」
「こういう時は三蔵助手席で残念ね…」
「ははは、僕なんて運転席ですけどね?」
「くっそ……マジで殺す…」
「やめてください?仕掛けたのは雅ですよ?」
「調子に乗りすぎだろうが…あいつらは…!!」

それでも雅の嬌声は止まることも無く、悟浄や悟空の吐息も熱くなっている。

「…八戒…止めろ」
「え…でも…」
「いいから止めろ…」
「はい…」

そう言われ一旦止めた八戒。ジープが止まると、くるりとを変えた三蔵は雅の体を二人から奪い取るかの様に抱き上げ自身の膝にのせた。

「…出せ」
「え?」
「次の街に急げって言ってんだよ」
「あ、はい」

次々に要求してくる三蔵に戸惑いながらも八戒はジープを出す。その間、膝の上に乗せられた雅は三蔵の首に巻き付いて唇を重ねる。

「あぁあ、結局こうなるのね?」
「三蔵ずりいよ!俺も…」
「いやぁ、僕なんて隣なんですけどね?」

そう言いながら八戒はジープのアクセルを緩めること無く走らせている。後ろの二人は中途半端にお預けを食らい、助手席では三蔵の愛撫に甘い声が響いている。

「アァ…ン…三蔵…もっと」
「黙ってろ…」

本来ならば聞き倒したい言葉をキスで塞ぐ。

「三蔵?まさか本当にでするんですか?」
「こいつを楽にしてやるだけだ。」
「まぁじか……三蔵…」
「黙ってろ、っつか聞くな」

首に巻き付いている雅の首筋に唇を寄せ、服の裾から手を手繰りいれる。

「ァア…ン…」
「啼くなって言ってんだろうが…」
「ン…チュク…」

酸素不足など気に止める事もないまま、雅は三蔵の唇を求め、胸元をまさぐる手に痺れるような快感を覚え始めていた。

「あーぁあ、なぁんで人の見てなきゃなんねぇのかねぇ。あんな良い顔見せられながら。」
「三蔵ズリぃな」
「ははは、僕なんて真隣ですしね」

そのうちに三蔵の右手は雅の下腹部へ進み、秘部を捉える。その瞬間に今まで以上の甘い声が聞こえ、体を反らせた。

「チッ…啼くなって言うのが解んねぇのか」
「三蔵?無理な話ですよ?」
「雅、気持ち良さそうだけど…俺…なんか…」
「言うな猿、俺もだ」
「あーらら。皆さん発情期の犬みたいですね」

しかし三蔵の指は雅の中に進み、ぐちゅりと掻き乱していく。左手で抱き締めながら三蔵は雅の耳元で話し出した。

「イクならイケ……」
「アッンァ…さんぞ…ぉ…ンァ…!」
「ほら、イッちまえ。楽になるぞ」

そう言いながら指をグッと折り曲げた。良いところに当たったのかビクンと体を反らした雅。

「あーあ、イッたな。ありゃ」
「…ですね」
「なぁ三蔵…俺も『死にてぇのか』……やっぱいい」

くたりと三蔵の肩口に凭れかかり、息も絶え絶えになった頃、ようやく街が見えてきたのだった。
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