凜恋心

降谷みやび

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優しいバースディ (おまけ)

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それから夕飯にパーティーをして、夜遅くまで楽しんだ。お開きになったのは夜中近かった。三人にお礼を言って雅は嬉しそうに部屋に戻る。

「八戒も三蔵も、おやすみ…」
「あぁ」
「お休みなさい」

そうして時期に眠りについた雅。規則正しい寝息を聞いた八戒は椅子に座る三蔵に声をかける。

「三蔵?」
「なんだ」
「今日はすみませんでした。邪魔ばかりしてしまって…」
「気にするな。大したことじゃない。」
「…ですが…」
「あのなぁ、八戒。お前が来た訳じゃない。悟空がしっかりと人の話を聞かなかったから悪いんだろうが。それに、今夜出来ないからって二度と出来なくなる訳じゃねえだろ」
「…三蔵の口から悟浄みたいな台詞が出てくるとは思っても見ませんでした…」
「おいっ!」
「……でも、今日は特別な日でしょう?二人に取って…」
「そうでもねえよ」
「だって二人の初めての誕生日じゃないですか…」
「あのな、これから先いくらでも誕生日なんか祝えるだろうし、それに嫌ってほどイベントだってふえてくる。俺がなにも言わなくても、それを知れば雅は同然でもイベント毎に何かしたいと言い出すだろうな…」
「そうでしょうね」
「ま、それなりに俺も付き合ってやるよ…」
「…三蔵…本当に変わりましたね…」
「何言ってんだ」
「いえ…本当に……そんな顔、こうして同室で、こんな話でもしなければ見れなかったと思うと、僕はラッキーです」
「……フン…」
「そうだ三蔵?コーヒーのお代わりにブランデー、入れますか?」
「良いな」
「えぇ。三蔵?お誕生日おめでとうございます」
「…フン…」

そうして二人で少し遅い乾杯をしなおしたのだった。
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