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タイカイ
球技大会本番!いざ!練習の成果を出すときです。
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其々の体育の授業を使いながらといっても順調に進んできている球技大会の準備。その成果を発揮する日がついにやってきた。チームプレイ、桜のいるチームは順調な仕上がりになっていた。
「よし!今日はやれるだけやろうな!!!」
「そうだね!」
「…で、桜は?」
「あっちよ、THE 実行委員会中」
そう結子に言われながらも望は視線をやる。実行委員の桜は試合以外は実行席に居るのだった。実行委員会もなかで役割がそれぞれ受け持っていた。そんな中でも、桜は結果管理長に任命されていた。くじ運の無さが何とも恨めしい…そう感じていた。そんな桜の姿を見ながら結子は望と話している。
「せっかく美堂先生こっちになったのに、あれじゃぁ話、出来なさそうだね。」
「確かになぁ。でも、あれはあれで桜頑張ってるし。やるからには!!とか言ってそう」
「確かに!そうかもね。望も声かけにくいでしょ」
「いや、牧野、聞いてよ!俺さっき『ミスんなよ?』って声かけたの!そうしたら桜の奴なんて言ったと思う?俺『望邪魔!!』って言われて手でシッシッってされたんだぜ?」
そう笑いながら話し、手で払いのけるしぐさを見せた望。2人で話ている所に、隣のクラスの女の子が2人の傍にやってきた。
「あの、塚原君!」
「ん?何?」
「あの…話があって…」
「なに?」
「……ここじゃ…ちょっと…」
そう言いながらその女の子は結子をちらりとみた。それに気づいた望は即座に答えた。
「ここで話せないって…その程度の事なら俺聞けない。ほか当たって?」
「でも…」
「ごめん、でも俺君の事知らないし…」
「そうかも知れないけど!この子の気持ち察してくれたっていいじゃない?それに隣の牧野さんだって彼女じゃないんでしょ?」
「確かにそうね…」
「まってよ…大丈夫だから…」
そう言うと半泣き状態で立ったままの女の子と、一緒に来た連れ添いの子はその場から立ち去って行った。それを見送った結子は望の方を見ないまま話し出す。
「あぁあ、罪作りな男だ事。」
「は?何言ってんの?」
「あれ、絶対告白する気満々だったよ?」
「…や、待て、でも俺あの子の事本当にしらねぇし、もし告られたって断るよ?」
「可哀想な子…」
「そうですか、そこまで言うなら話聞いて来るか…」
「え、ちょっと!!望?」
「…ばぁか、何焦ってんだよ。行かねぇよ。」
してやったりと言わんばかりの顔で結子を見る望。そんな時、体育館内が一気に歓声に包まれた。そう、ある数名の男子が美堂にフリースロー対決を申し出ていたのだ。丁度、少し空いた空き時間での出来事だった。そうして、それを受けた美堂は、上着を脱いで、ネクタイも外し、実行委員会の机のある場所においてシャツの袖を捲りあげた。ただでさえ人気のある美堂のこの姿に女生徒は黄色い歓声を上げ、携帯の写メを撮りはじめる者もいた。
「キャー!美堂先生頑張って!!!」
「バスケ部の意地みせろぉ!!」
様々な歓声が上がる中、その瞬間には一瞬静かになる。
パシュッ
ボードに当たる事なくネットに吸い込まれていくボール。美堂のボールは外れる事なくキレイに全て吸い込まれていった。それを横目で見て、嬉しそうにはにかみながら、桜は実行委員会の業務を黙々と行っている。そうして試合の点数の書き加え等をしにホワイトボードに向かったその時だった。
美堂達が使っているコートの隣でふざけていた男子生徒の力任せに振り投げたボールは桜をめがけて飛んでくる。それに気付かなかった桜の頭に激しくそれは殴打した。
キャーーー!!
美堂達の勝負を見ていた生徒も当然体育館内に居た生徒、教師…全てが一瞬に空気が止まった。ボールの弾む音とドサリと倒れ込んだ桜の体。近くに居たせいとが駆け寄る中、美堂はその輪に飛び込んでいった。
「桜!」
「夏目さん!!大丈夫!?」
口々に名前を呼ぶも桜は一向に気付かない様子だった。そんな桜をふわりと躊躇う事無く抱き上げた美堂抱き上げる美堂の腕の中で朦朧としたまま、くたっと力が無く、脳震盪を起こしたまま美堂の腕に抱かれた桜を優しいまなざしで見つめたままいる美堂を見て、その光景にまた別の意味でざわつきを見せた体育館内の空気…他の教師にひと言『保健室連れて行きます』と伝えた美堂は上着諸々をその場に残して、桜を抱き上げたまま体育館を出た。その姿を追うのは結子と望だった。
「桜!」
「…あぁ、牧野と塚原か。悪い、夏目欠場にしておいてくれ」
「大丈夫ですけど…」
「先生、大丈夫?」
「心配有難う」
そう伝えると、あまり揺らさず、しかし存分に急いで美堂は保健室へと向かっていった。
「桜、大丈夫か?」
「……」
そう呼びかけるものの、未だ意識は無かった。無言の回答を受け取る美堂は心配が隠せない様子だった。思いっきり空気が入ったボールが当たったのだ。余程大丈夫だとは思うが心配は拭いきれなかった。
「よし!今日はやれるだけやろうな!!!」
「そうだね!」
「…で、桜は?」
「あっちよ、THE 実行委員会中」
そう結子に言われながらも望は視線をやる。実行委員の桜は試合以外は実行席に居るのだった。実行委員会もなかで役割がそれぞれ受け持っていた。そんな中でも、桜は結果管理長に任命されていた。くじ運の無さが何とも恨めしい…そう感じていた。そんな桜の姿を見ながら結子は望と話している。
「せっかく美堂先生こっちになったのに、あれじゃぁ話、出来なさそうだね。」
「確かになぁ。でも、あれはあれで桜頑張ってるし。やるからには!!とか言ってそう」
「確かに!そうかもね。望も声かけにくいでしょ」
「いや、牧野、聞いてよ!俺さっき『ミスんなよ?』って声かけたの!そうしたら桜の奴なんて言ったと思う?俺『望邪魔!!』って言われて手でシッシッってされたんだぜ?」
そう笑いながら話し、手で払いのけるしぐさを見せた望。2人で話ている所に、隣のクラスの女の子が2人の傍にやってきた。
「あの、塚原君!」
「ん?何?」
「あの…話があって…」
「なに?」
「……ここじゃ…ちょっと…」
そう言いながらその女の子は結子をちらりとみた。それに気づいた望は即座に答えた。
「ここで話せないって…その程度の事なら俺聞けない。ほか当たって?」
「でも…」
「ごめん、でも俺君の事知らないし…」
「そうかも知れないけど!この子の気持ち察してくれたっていいじゃない?それに隣の牧野さんだって彼女じゃないんでしょ?」
「確かにそうね…」
「まってよ…大丈夫だから…」
そう言うと半泣き状態で立ったままの女の子と、一緒に来た連れ添いの子はその場から立ち去って行った。それを見送った結子は望の方を見ないまま話し出す。
「あぁあ、罪作りな男だ事。」
「は?何言ってんの?」
「あれ、絶対告白する気満々だったよ?」
「…や、待て、でも俺あの子の事本当にしらねぇし、もし告られたって断るよ?」
「可哀想な子…」
「そうですか、そこまで言うなら話聞いて来るか…」
「え、ちょっと!!望?」
「…ばぁか、何焦ってんだよ。行かねぇよ。」
してやったりと言わんばかりの顔で結子を見る望。そんな時、体育館内が一気に歓声に包まれた。そう、ある数名の男子が美堂にフリースロー対決を申し出ていたのだ。丁度、少し空いた空き時間での出来事だった。そうして、それを受けた美堂は、上着を脱いで、ネクタイも外し、実行委員会の机のある場所においてシャツの袖を捲りあげた。ただでさえ人気のある美堂のこの姿に女生徒は黄色い歓声を上げ、携帯の写メを撮りはじめる者もいた。
「キャー!美堂先生頑張って!!!」
「バスケ部の意地みせろぉ!!」
様々な歓声が上がる中、その瞬間には一瞬静かになる。
パシュッ
ボードに当たる事なくネットに吸い込まれていくボール。美堂のボールは外れる事なくキレイに全て吸い込まれていった。それを横目で見て、嬉しそうにはにかみながら、桜は実行委員会の業務を黙々と行っている。そうして試合の点数の書き加え等をしにホワイトボードに向かったその時だった。
美堂達が使っているコートの隣でふざけていた男子生徒の力任せに振り投げたボールは桜をめがけて飛んでくる。それに気付かなかった桜の頭に激しくそれは殴打した。
キャーーー!!
美堂達の勝負を見ていた生徒も当然体育館内に居た生徒、教師…全てが一瞬に空気が止まった。ボールの弾む音とドサリと倒れ込んだ桜の体。近くに居たせいとが駆け寄る中、美堂はその輪に飛び込んでいった。
「桜!」
「夏目さん!!大丈夫!?」
口々に名前を呼ぶも桜は一向に気付かない様子だった。そんな桜をふわりと躊躇う事無く抱き上げた美堂抱き上げる美堂の腕の中で朦朧としたまま、くたっと力が無く、脳震盪を起こしたまま美堂の腕に抱かれた桜を優しいまなざしで見つめたままいる美堂を見て、その光景にまた別の意味でざわつきを見せた体育館内の空気…他の教師にひと言『保健室連れて行きます』と伝えた美堂は上着諸々をその場に残して、桜を抱き上げたまま体育館を出た。その姿を追うのは結子と望だった。
「桜!」
「…あぁ、牧野と塚原か。悪い、夏目欠場にしておいてくれ」
「大丈夫ですけど…」
「先生、大丈夫?」
「心配有難う」
そう伝えると、あまり揺らさず、しかし存分に急いで美堂は保健室へと向かっていった。
「桜、大丈夫か?」
「……」
そう呼びかけるものの、未だ意識は無かった。無言の回答を受け取る美堂は心配が隠せない様子だった。思いっきり空気が入ったボールが当たったのだ。余程大丈夫だとは思うが心配は拭いきれなかった。
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