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The Never-Ending Story.
君は何もしらない
「ぶ、ぶいろぐ……?」
長い棒の持ち手がついたアクションカメラを手にした旭は、ソファに座りアイスを食べる慧士に向かって、何とも言えない顔をした。
世間を騒がせ、家族に騒がれたあの一件から一か月。二人は前までと変わらない生活を続けていた。
旭は上司の田中から「おめでとう」というお祝いの言葉と共に、憐れみを含んだ目で見られたし、てっきり何かしらお咎めがあると思っていた慧士の事務所からは「このまま行きましょう」と謎のゴーサインが出された。
旭の心配は見事に杞憂となり、二人の仕事もプライベートも恙なく過ごしていた。
そんな平和な日々に、一本のアイテムが降ってわいた。それが旭の手に持っているアクションカメラだ。
「そう。なんかそれでブイログ? 動画を撮ってこいって」
「誰が?」
「旭が」
「誰を?」
「俺。あとたぶんちょっと旭」
「……なんでだよ」
旭の意見はもっともだ。こういったブイログは、実際に住んでいる家ではなく、レンタルルームやスタジオで収録されることも多い。
それを自宅で。しかもど素人の自分が撮影係とはどういうことなのか。説明を求める視線に気づいた慧士が「……うーん」と言葉を濁した。
「まあ、SNSやるときの条件が色々あって」
「……なるほど。聞こうじゃないか」
「俺からの条件は虫よけのために、恋人がいることの開示。事務所からは積極的なSNS運用……みたいな?」
「みたいな? じゃないだろ。……まあ、俺のためってことでもあるんだから、協力するけどさ」
かなりオブラートに包んだが、事務所と慧士との間では、中々の攻防戦があったが、朝陽が納得したことで慧士はそれを口にはしなかった。旭に聞かれたら大抵のことは答えるが、聞かれていないことは濁す。慧士はそうやってこの平和な世界を築いてきた。
「でもこれなに? ブイログって流れてきたやつ見るけど、一日の過ごし方? とかを撮ればいいのか?」
「なんか事務所的にはカップルブイログ? を撮って欲しいって。でも旭がいやならやめよ。面倒だし、そこまでやる義理もないし」
「いや、義理はあるだろ。むしろ義理だらけだろ」
いくら鈍い旭だって、移籍や退社をちらつかせただろうことは想像できる。そんな容赦のない慧士の交渉に、泣きながらも応じてくれた事務所だ。久しぶりに会ったマネージャーの佐野が「五キロダイエットしちゃったあ」と青い顔で言っていたのを覚えている。
自分のためとは言え、慧士の我儘を聞き入れてくれた事務所の面々の望みなら、カップルブイログとやらを完璧に撮ってやろうではないか。
面倒くさそうに溶けたアイスをかき混ぜる慧士の手を取り「がんばるぞ!」と気合を入れる。
だがこの時の旭は、カップルブイログが何なのか、理解していなかった。
◇◆◇
「む、無理かも……」
決意表明から三十分。早くも旭は音を上げていた。
「だからやめとこうよ。面倒だし、別にやらなくても死なないし」
「い、いや、やる、やるんだけどお……」
ちょっと待って。と顔を赤くして、クッションを抱えた旭は唸っている。
なぜ旭がこんな面倒なことになっているのか──。それは決意表明直後に遡る。
まずはカップルブイログというものが何なのか、参考にするために二人でいくつか動画をピックアップした。世の中は結構なカップルや夫婦が、SNSを通してブイログとやらを発信しているらしい。
見るばかりで特に意識したことはなかったが、その多さに驚いた。更に結構な割合で同性カップルの動画もある。自分たちもそこに当てはまるのだから、きっと事務所の面々が求めているのはこういった動画なのだろう。
「よし、とりあえずこれ見てみよう」
「……やめといた方がいいと思うけどな」
「物は試しだろ? とりあえず見てみて、出来そうなのは取り入れていこう」
慧士の何か言いたげな視線を無視した旭は、膝にタブレットを置いてやる気満々だ。そして、見つけた動画の再生ボタンをタップした。どうやら温泉旅行の動画らしい。国内有数の温泉地に到着した二人が、観光スポットを巡るところから動画は始まった。
食べたものや見たもの、買ったものが、音楽と共にテンポよく流れていく様子は楽しく、同時にこんな動画が撮れるだろうかと不安になる。
『お部屋につきましたー! とってもきれい!』
そういって小柄な男性がくるくると回りながら、部屋の中ではしゃいでいる。
そして、やはりカップルブイログというだけあって、二人は手を繋いだり、部屋の中で抱き合ったりなど、親密な雰囲気がある。
男友達とも違う。独特な空気を纏う二人に、どぎまぎとしながらも動画は進む。
だが夜になると、雰囲気が一変した。夜ご飯を終えた浴衣姿の二人は、鏡の前で抱き合っている。ただその手は浴衣の合わせに忍びこみ、薄布一枚の下でいやらしくうごめいていた。
最初は擽ったそうに身をよじっていた小柄な男性も、徐々に息を乱していき、最後はベッドに放り投げられるところで終わった。
「む、無理かも……」
そして冒頭に至る。夜を匂わせるような終わり方に、旭は顔を真っ赤にし、手近なクッションを抱きしめた。カップル、温泉と言ったらそういった雰囲気になるのも理解できる。
ただ全世界に向けて、ああいったものを配信する勇気はない。一か月前にあれだけ世間を騒がせた人間が、何を言っているんだとも思うが、それはそれ、これはこれ。
うんうんと唸る旭の晒されたうなじを眺めていた慧士が、悪戯心の赴くまま、指先で背骨をなぞった。
「ひっ! ちょ、なに!」
「……やらないで良いって言っても、旭はやろうとするだろからさ」
「そりゃそうだろ。佐野さんだってあんなに瘦せちゃって」
「別に佐野は良いんだよ」
「良くないだろ!」
あれほど心を砕いてくれた人にこの発言。旭はクッションから顔を上げ「そういうことを言うな」と慧士を指さした。その指をやんわり握った慧士が、旭から奪ったタブレットで何やら検索して、一つの動画を見せた。
「こんな感じで、あんまり性的じゃないというか。食べたり寝たりしてるとこだけで良いんじゃない?」
どれどれ、と慧士の手元のタブレットを覗きこむと、先ほどとは別の同性カップルのブイログが流れている。どうやら日常を切り取った動画のようで、食事風景や昼寝をする相手の横顔、並んで洗濯物を干すといった日常風景が流れていて、最後はお揃いのパジャマに着替えて手を振って終わった。
BGMや編集方法の違いもあるのだろうが、先ほどの動画よりは平和で、旭はほっと息を吐いた。
「これならできるかも!」
「まあ、無理する必要はないし、旭は手元だけとか、あんま特定されないようなとこだけちょっと映ればいいから」
「わかった! そうしたら、ちょっとだけ試しで撮ってみよ」
「初期設定とかは済んでるらしいから、そのまま撮れるって」
旭はカメラを持つと、さっそく電源ボタンを押し、小さな液晶画面が明るくなると「わあ」と声を上げた。
「はーい、慧士くんこっち向いてくださーい」
「……結構のりのりだな」
「わは、これ楽しいな」
試しに左右にぶんぶんと振ってみるが、アクションカメラと呼ばれるだけあってブレない。そのあとも旭は「手振って」「歩いてみて」と被写体の慧士に指示を飛ばした。
これだけ楽しんでいるなら、別に良いかと、すっかりカメラマンを楽しんでいる旭に慧士も付き合う。
「今日これから撮る?」
「いや、もう夕方だし、明日からにしよう」
「おー、じゃあ明日は何か良さそうなごはんにするか」
せっかくなら動画映えする献立が良いだろう。ただ、そうは言っても良い献立が思いつかない。旭のレパートリーは和食を中心にした家庭料理が多い。中華や洋食も作るが、どれも華やかさとは無縁だ。
「いつもの旭の料理がいい」
うんうんと唸っていると、いつの間にかカメラを奪った慧士が、旭の旋毛のあたりを撮っていた。なぜ旋毛なんて。と思ったが、自由人のやることに理由はないだろう。
「こう……なんかおしゃれなのじゃなくていいのか? 難しいのじゃなければ、レシピがあれば作れるけど」
「いつものごはんが一番好き。リクエストできるなら、夜は餃子がいい」
「餃子かあ。まあ慧士がいいなら、餃子にしよ。あとバンバンジーと宙かコーンスープはどう?」
「最高」
なぜかまだ旋毛を撮られ続けているが、明日の夕飯が無事に決まった。朝から動画を撮るなら、買い物は今日中に済ませたい。
旭はまだ頭上でうろついているカメラを手で退けると、椅子にかけていたパーカーを羽織った。
「どっか行くの?」
「スーパー。朝から撮るなら、買い物行く時間が勿体ないし」
「俺も行く」
まただ。慧士は付き合ってから、以前よりも旭について回るようになった。
人の少ない場所なら、気分転換にもなるからと連れて行くが、いくら高級スーパーと言えど、夕方のスーパーに慧士を連れて行く勇気はない。
「だめだって。ほら、明日のために適当に掃除でもしといてよ」
「……ちぇっ」
「ぶすくれない、ぶすくれない。慧士の好きなクッキー買ってくるから。あのベーコンのしょっぱいやつ」
「コーラも飲みたい」
「それでよく腹出ないよな」
二人してアラサーと呼ばれる年齢ではあるが、慧士の腹筋は綺麗に割れている。もちろんモデルとして体型維持のため、マンションについているジムでトレーニングはしているが、同じく通い始めた旭の腹筋はストンと平らなままだ。
これ以上考えてはだめだ。旭は財布の入ったボディバッグにエコバッグを入れると、玄関で靴を履く。
「じゃあ行ってきます。俺が帰ってくるまでに掃除して、宿題終わらせておけよ」
「お前は俺の母ちゃんか」
端正な顔立ちの男から出た「母ちゃん」という言葉に、思わず笑ってしまう。そのままもう一度「いってきます」と手を振った。
◇◆◇
翌日始まった撮影は、思いのほか順調だった。唯一問題があったとすれば、裸で寝たがる慧士に服を着せ、寝起きのシーンを撮るのに手こずったところだ。それも旭の懸命な説得と、ちょっとしたご褒美のキスで解決した。
音声はあとからBGMがつくと言われたので「寝起きの慧士でーす」「ごはんたべまーす」など適当な旭のアテレコが入っている。メインの被写体は慧士で、たまに料理をする手元や、冷蔵庫を覗く後ろ姿の旭が混じる。
万が一顔や、個人が特定できるようなところがあればカットされると聞き、ずいぶん旭はリラックスしている。
「よっし、お昼完成。……本当に豚汁うどんでよかったのか?」
今は昼ごはんの撮影中。献立は豚汁うどん。日本人なら好きだろう一品だ。
ただ、香りづけに使った柚子を見つめながら、これで本当によかったのかと悩んでしまう。朝は大きなおにぎりに焼いたウィンナー、玉子焼き。澄まし汁と漬物という男子が喜ぶ献立だったが、映えを考えるならば微妙だ。この豚汁だって昨晩の残りもののアレンジだ。小さいころから翌日の豚汁うどんが好きで、つい多めに作るのが癖になっている。
寒い季節にはぴったりだが、ブイログにぴったりかと言われると、これもまた首を傾げてしまう。
確かに、昨日慧士から「いつもの料理がいい」と言われたが、こうして改めて見るとあまりに飾らなすぎる。
「いいじゃん、俺好きだよ」
カメラを持った慧士が「美味しいやつ」と言いながら、うどんを映している。世界のトップモデルの食事事情となれば、ファンだけでなくみんなが興味津々だろう。
それなのに豚汁うどん。
「まあ、美味しいけどさ」
「日常撮るんだろ? 俺は好きだし、これがいい」
早々に食卓に着いた慧士は、旭へ早く座れと視線を投げた。二人そろってから食べ始めるのは、いつ決めたことだろうか。物心ついた頃には習慣となっていて、好物のときはいつも急かされている気がする。
「はいはい、ほらお茶飲め」
「豚汁あるからいらない」
「豚汁を水分カウントするな。ちゃんと飲まないと浮腫むぞ」
「俺生まれて一度も浮腫んだことない」
「世界の敵だ~。いただきます」
「いただきます」
確かに慧士は今まで一度もビジュアルのコンディションを崩したことがない。ニキビができたこともなければ、肌荒れもダイエットも無縁だ。何だったらマンション内のジムですら「面倒」と言って、週に一度も行かないこともある。
芸能人の言う何もしてないです(化粧水、導入美容液、美容液、スチーマー、毎日のパック、定期的なエステを除く)とは違い、本当に何もせずにビジュアルを維持している稀有な男だ。
さすがにモデルになってからは、事務所命令でスキンケアは始めたが、忘れている日の方が多い。朝は目が覚めるからと冷水だけで洗った上に、タオルでごしごしと擦る。実に男らしいが、それでこの肌艶が維持できるのは人類の不思議だろう。
「ん、やっぱり美味い」
「柚子がきいてていいよな。あ、七味いる?」
「いる」
旭の隣に置かれたカメラは、七味を持って伸びる旭の手と、それをうどんを啜りながら受け取る慧士が映されている。
いつもの何でもないやりとりを記録する黒い眼は、二人をじっと見つめていた。
「あと今日は何する?」
「昼寝」
「昼寝ぇ? 食べてすぐ寝ると牛になるぞ。あれ? 豚だっけ?」
「牛で合ってる。でも俺牛になったこともないから大丈夫」
「慧士って本当に不思議だよな。ジャンクフードもスナック菓子も食べるのに、肌荒れしないし」
前髪が邪魔だからと、食事中はクリップを使っている慧士の、丸い額をじっと見つめてみる。真っ白で滑らかな肌はきめが細かく、陶器のようだ。
「それは旭のおかげでしょ」
「俺? なんで」
「毎日三食作ってくれるし、野菜摂れって怒るし」
そう言われてみればそうだった。旭は慧士の言葉にぽかんと口を開いたあと、むず痒そうにうどんに視線を落とした。
一人暮らしと言う名の二人暮らしを始めた頃。マンションを用意してくれた慧士の祖父への感謝と、自分自身に興味がないずぼらな慧士を心配する気持ちから、食事作りは自分が担当するようになった。
最初は少しの義務感が含まれていたが、今では日課となり楽しみでもある。
慧士は作った料理を美味しいと言って食べてくれるし「紫蘇がアクセントになって美味しかった」だとか「仕上げのごま油が美味しい」など、旭の創意工夫に対して毎回感想も伝えてくれる。
本当にできた男だ。多少王様気質なところはあれど、この顔と体と声で、更に愛情表現も惜しまない。たぶん前世で自分は世界を救った英雄だったのかもしれない。それくらい今世では怖いくらいに恵まれている。
「旭、うどん伸びる」
「……おやつはプリンにしような」
自分で言ってて、本当に単純な人間だと恥ずかしくなる。今の自分の美貌があるのは、旭のおかげだと言われて浮かれた結果のプリンだ。
「やった、旭特製のやつでしょ?」
子供のように目を輝かせて喜ぶ慧士に、旭は思わずセーターの胸元を掴む。
プリンは意外と作るのが面倒だ。特に旭の作るのは焼きプリンなので、天板に湯を張ったり気泡を消したり、意外と気を遣う。だから旭の機嫌がいいときや、暇なときにふと思い立って作ることが多い。
料理のリクエストとは違い、変に気を遣っているのか、昔からプリンはリクエストされたことがない。
こうやって慧士が喜ぶのなら、今度からはもう少し頻度を上げてもいいかもしれない。
旭は少し伸びてしまったうどんを啜りながら、そんなことを考えていた。
◇◆◇
昼食を食べ終えた二人は、ソファに並んで座っている。
いまは朝から撮りためた分をタブレットに転送し、撮れ高を確認しようという話になったところだ。
「転送ってこのアプリ?」
「そうそう、これ。なんか佐野が用意したって言ってた」
「何でも佐野さん任せだなあ」
すっかりやつれてしまった佐野のイメージが強く、今年は何かいいものをお歳暮で贈ろうと決めた。高級ハムやステーキ肉はどうだろうか。一人暮らしだと言っていたから、有名中華飯店の総菜セットなんかもいいかもしれない。
旭が頭の中でカタログを捲っていると、転送完了のポップアップが表示される。
「おお、すごい。やっぱり綺麗に撮れてるな」
「結構カメラ振り回してたもんな」
「性能テストですよ、性能テスト」
さすがはアクションカメラ。昨日のテスト動画のときもそうだったが、旭が適当に撮った映像もブレずに綺麗なものだ。
『寝起きの慧士でーす』
『……でーす』
無理やりスウェットを着せられ、ぶすくれた慧士が映っている。大手衣料品メーカーで買ったスウェットも、慧士が着るとまるで高級ブランドだ。
やはり顔の力と言うのは偉大だ。旭が感心していると、動画の中ではカメラが奪われ、揃いのスウェットを着ている旭が映し出された。
「ぎゃ! 寝癖ついてるじゃん、言えよ!」
「別に顔は映らないしいいじゃん」
「でも編集前の見られるんだろ? こんなアホ毛姿見られたくないじゃん」
「かわいいかわいい」
「絶対思ってない顔だな、おい」
慧士に向かって「おはよう」と笑いかける旭の頭上には、ぴょこりと跳ねる髪が一束。早く起きろと腕を引くたびに、ぴょこぴょこと跳ねるそれに目線が行ってしまう。
その後はやっと起きてきた慧士が身支度を済ませ、旭の用意した朝ごはんに目を輝かせている。
いつもはというよりも、旭以外には冷めた態度をとることの多い男が、少年のような顔を覗かせる。その瞬間が旭は好きだ。
これを優越感だとか、特別感と呼ぶんだろうか。この感情の名前はよく分からないけど、口角が緩くなったことだけは分かった。
『はーい、朝ごはんです。しゃけおにぎりと、こんぶおにぎり。米四合使いました』
『四合って多いの?』
『いくら男二人でも多いだろ。でも慧士燃費悪いから、食べさせておかないと』
『お手数おかけします』
『お手数かかってます』
ふざけた掛け合いをしながら、同時に澄まし汁を啜る。タイミングが完璧すぎて、見ていて笑ってしまった。これまた二人同時に笑ってしまい、それがおかしくて笑ってしまう。
「はー、笑った」
目尻に滲んだ涙を拭う慧士を、旭は横目で見やる。まさかあのケイシがこんなことで笑うなんて、家族以外は知らないだろう。
朝が弱くて、一人で起きるのが嫌な甘えん坊。好き嫌いはそんなにないが、冷麺やホルモンはいつ飲みこめば良いか分からなくて苦手。
ホラー映画が好きで、家でもポップコーンとコーラを用意して見る。作り立てのポップコーンにハマっているけど、破裂音が苦手でいつも少しだけびくついてる。
小さい頃は美少女な見た目と、男らしい性格のギャップが凄まじく、男女共に初恋モンスターだったこと。
恋人になってからは、抱きしめて眠ると、大人しく胸元にすり寄ってくるようになったこと。
全部、全部、旭が知っている慧士だ。
「……なんか、」
──やだな。
無意識のうちに、そんな言葉が零れ落ちていた。
慧士はずっと変わらない。でも最近は少しだけ変わった部分もある。ずっと片思いだった旭と付き合えたことで、纏う空気に余裕や温かさのようなものが含まれるようになった。
それを目ざとく感じ取る人間は多く、今まで感じていた壁が取り払われたと思うのも無理はない。だからこの前のように、仕事場で言い寄られるような事態になる。
変わった、確実に変わった。それが自分の影響だと理解しているし、悪いことではないと思う。それでも、心を重くするこの靄は、自覚した途端に勢いよく増殖した。
「何が嫌だった?」
「え? 何が?」
「旭が嫌だって言ったんじゃん。なに、どこか嫌なとこあった? だったらデータ渡す前に消しとくから言って」
どこ?と言いながら、すいすいとタブレットをなぞる慧士は優しい。いつだって自分を優先してくれる。少しでも躊躇ったり、怖がったりすれば手を引いてくれた。
幼いころから旭は面倒見が良いと言われてきたが、実際は逆だった。いつだって慧士が旭を引っ張ってきてくれた。
そんな自分にだけ見せていた優しさが、世界中に見られてしまう。きっと慧士の新たな一面にみんなが喜ぶだろう。熱狂するファンや、大慌てで特集を組むテレビ番組が目に浮かぶ。
喜ばしいことだ。見られること、注目されることが仕事なのだから、素直に喜ぶべきなんだ。それにこれだって仕事の一環であって、そこに自分の感情なんていらない。
──でも
「……俺だけの慧士だったのに」
モデルじゃない。素顔を見せるのは自分の前でだけだったのに。思わず零れ落ちた本音は、しっかりと慧士の耳まで届いたようだ。驚きに目を丸くしたその表情に、旭は自分が何を口にしたのか理解した。
「な、なし! 今のなし! なんでもない、大丈夫!」
何か言おうとする慧士を大声で遮り、ぶんぶんと手を振ってみる。そんなことで誤魔化されるはずはないが、この羞恥心を誤魔化すにはそれくらしか思い浮かばなかった。
「あs「トイレ!」……」
振っていた手を掴まれそうになった旭は、慌てて立ち上がると、大声で宣言してその場をあとにする。トイレに何時間も立て籠もるわけにはいかないが、今は煮えるように熱くなった頬を冷ますべく、洗面所へ飛び込んだ。
◇◆◇
『またしても、モデルのケイシのニュースです!』
そう言って声を張るニュースキャスターの姿は、すっかり見慣れてしまった。季節が変わったので、衣装も同じように暖かそうなものに変わっているくらいが、変更点だろうか。
あの動画撮影から二週間。失言を何とか誤魔化し、無事に餃子パーティーを終えてから、しばらく経っていた。
その間、旭の抱えたプロジェクトが火を噴き、更なる仕様変更を乗り越え、正にデスマーチ状態だったのを生還した。
リモートワークが基本の旭だが、取引先との打ち合わせのため出社が続き、リリースから三日経った今日。這う這うの体で帰宅すると、眩しい朝陽が差し込む慧士宅のリビングで、無意識のうちにつけたテレビから、慧士のニュースを聞くこととなった。
「なに、今度はなにしたの」
きゃあきゃあと騒ぐニュースキャスターを見れば、また何かスキャンダルだろうか。やはり慧士の雰囲気が柔らかくなったことで、障壁がなくなってしまったのか。
あの失言のあと、文字通りいやと言うほど慧士からの愛を注がれたおかげで、独占欲はすっかり和らいだが、やはり気分のいいものではない。
時刻は朝の七時。スケジュールアプリで休みになっていた慧士はまだ眠っている。
旭は徹夜続きの鈍くなった思考のまま、じっとテレビ画面を見つめていた。
『本日、深夜一時過ぎにアップされた動画が話題を呼んでいます! ではここで、もう一度見てみましょう』
そう言ってハイテンションなキャスターが引っ込むと、画面いっぱいに慧士のSNS画面が映し出される。そこには1DAYというタイトルのあと、ベッドに座る慧士の姿があった。
「ああ、あのブイログか。アップされたらやっぱり騒がれるよな」
事務所の狙い通り、話題性は抜群だ。あの謎の男だった慧士が素性を、それも柔らかな部分を晒すのだから、世界が放っておくはずがない。
「……あれ、顔映ってないじゃん」
ふと、違和感に気づいた。先ほどの寝起きのシーンでもそうだが、肩から下しか映っていない。手元のアップや、料理のアップはあれど肝心の慧士の顔が映っていない。
「なんで?」
アップテンポなBGMと共に、どんどんと進んでいく動画は見ていて楽しい。七味を持つ慧士の手だとか、皿洗いをする慧士の背中だとか。一切の私生活を公開していなかった男のそんな姿は、確かに貴重だが、肝心の顔が映っていないのはなぜだろうか。
こういったことは門外漢だが、一般人なら顔を隠すのもわかる。でも慧士はモデルだ。顔を出してなんぼと言われるような世界にいて、これはどうなのだろう。
疲れた頭に大量の疑問符を浮かべていると、ソファに並んで座って、何やらタブレットを弄っている。これはあの失言のときだ。
「う、うわ……ああ、カットしてよ」
見たくない、でも見たい。世間様に何が流れたのか、確認する義務がある。
旭は目元を染めながら、顔を覆いつつも指の隙間から最終判決を待った。
『……俺だけの慧士だったのに』
声が入っていない。旭への配慮だろう。
BGMを切った真っ暗な画面に、白で浮かんだ言葉に旭は息を飲んだ。
いやだ、世界にバレてしまう。自分の醜い独占欲や、嫉妬心、慧士をまるで自分の物のように扱う、最低な自分が見つかってしまう。
旭が震える唇を強く引き結ぶと、また画面が変わる。
『だってさ』
そこで初めて慧士の口元が映った。柔らかく上がる口角は嬉しそうで、心底その状況を楽しんでいた。きっと映っていない目元も、美しく弧を描いているだろう。見えなくても、唇で、弾む声で分かる。
「……、っ、あー、もう」
いつだって慧士は手を引いてくれた。迷う俺の、困惑する俺の、怯える俺の手をとっていた。そしていつも楽しそうに笑っていた。
こちらが泣いたり怯えていても、それを嬉しそうに眺める顔を覚えている。自分に縋る俺を待っているような、早く手を取れと願っているような笑顔。
「はあー、もう、ほんと、っ……くそ」
口が悪くなっている自覚はある。
ああ、でも仕方ないだろう。こちらの嫉妬やぐちゃぐちゃとした感情を楽しんでいる姿を見せられたら、口だって悪くなる。
こんな、とてつもない愛を見せられたら──。
「はあ、もう馬鹿みたいに好き。ほんと、ほんと馬鹿だ」
馬鹿みたいだ。きっとこの先も嫉妬したり、独占欲が顔を出すだろう。でもそのたびに、こうして愛を囁かれる。
いや、囁くなんて可愛いものじゃない。世界に向かって愛を公言されるんだろう。
これが自分の愛だぞと、思い知ったかと笑われる。
悔しい、心臓が痛い、顔が熱い。
旭は両手で顔を覆ったまま唸る。膝から力が抜け、ソファに座ると背後に気配を感じた。
「おはよ、旭」
「……みた」
「ああ、これ。最高だろ」
最低だ馬鹿野郎。そう言ってやりたいのに、振り向いた瞬間、柔らかく目を細める慧士を見てしまったらダメだった。愛が溢れて、胸の中に残っていた靄も何もかもが吹き飛んでいく。
「……ッ、最高だよ! 馬鹿野郎! 好き! あほ! 愛してる!」
「悪口か愛の告白かどっちかにしなよ」
「どっちも受け取れよ」
これが愛情だ、これが俺だ。
旭は可哀想になるほど顔を染め、頭上で笑う慧士を睨みつけた。
「受け取る、受け取る。ありがとう、俺も愛してる」
喉を撫でられて、旭が懐くように反らすと唇を柔らかいもので塞がれた。ああ、二週間ぶりの慧士だ。
軽いリップ音と共に目元や口端、鼻の先と唇が滑る。それが擽ったくて身を捩ると、猫のように喉を撫でられた。
しばらくそうしていると、興奮ですっかり遠くに追いやっていた眠気が戻ってきた。じわじわと霞んでいく思考の中で、何だか勿体なくてまだ眠りたくないなと思ってしまう。
「けいし、まだ、ねたくない」
「やっと帰ってきたんだから、ちょっとは休めよ」
「けいし、けいし……」
「んー?」
好きだなって思う。どうしたんだと細められた瞳も、自分を撫でる優しい手も、何もかも好きだ。何もかも、俺のものだ。
「おれの、けいし」
途切れる思考の中、旭が唯一口にできたのはそれだけ。たったの六文字。
でも慧士の胸を貫くには、それだけで十分だった。
きっと旭は知らないだろう。
旭が醜いとするすべての感情を、文字通り喉から手が出るほど欲した男がいたことも、ソファの背もたれに撃沈する男がいたことも。
深山旭は何も知らない。
長い棒の持ち手がついたアクションカメラを手にした旭は、ソファに座りアイスを食べる慧士に向かって、何とも言えない顔をした。
世間を騒がせ、家族に騒がれたあの一件から一か月。二人は前までと変わらない生活を続けていた。
旭は上司の田中から「おめでとう」というお祝いの言葉と共に、憐れみを含んだ目で見られたし、てっきり何かしらお咎めがあると思っていた慧士の事務所からは「このまま行きましょう」と謎のゴーサインが出された。
旭の心配は見事に杞憂となり、二人の仕事もプライベートも恙なく過ごしていた。
そんな平和な日々に、一本のアイテムが降ってわいた。それが旭の手に持っているアクションカメラだ。
「そう。なんかそれでブイログ? 動画を撮ってこいって」
「誰が?」
「旭が」
「誰を?」
「俺。あとたぶんちょっと旭」
「……なんでだよ」
旭の意見はもっともだ。こういったブイログは、実際に住んでいる家ではなく、レンタルルームやスタジオで収録されることも多い。
それを自宅で。しかもど素人の自分が撮影係とはどういうことなのか。説明を求める視線に気づいた慧士が「……うーん」と言葉を濁した。
「まあ、SNSやるときの条件が色々あって」
「……なるほど。聞こうじゃないか」
「俺からの条件は虫よけのために、恋人がいることの開示。事務所からは積極的なSNS運用……みたいな?」
「みたいな? じゃないだろ。……まあ、俺のためってことでもあるんだから、協力するけどさ」
かなりオブラートに包んだが、事務所と慧士との間では、中々の攻防戦があったが、朝陽が納得したことで慧士はそれを口にはしなかった。旭に聞かれたら大抵のことは答えるが、聞かれていないことは濁す。慧士はそうやってこの平和な世界を築いてきた。
「でもこれなに? ブイログって流れてきたやつ見るけど、一日の過ごし方? とかを撮ればいいのか?」
「なんか事務所的にはカップルブイログ? を撮って欲しいって。でも旭がいやならやめよ。面倒だし、そこまでやる義理もないし」
「いや、義理はあるだろ。むしろ義理だらけだろ」
いくら鈍い旭だって、移籍や退社をちらつかせただろうことは想像できる。そんな容赦のない慧士の交渉に、泣きながらも応じてくれた事務所だ。久しぶりに会ったマネージャーの佐野が「五キロダイエットしちゃったあ」と青い顔で言っていたのを覚えている。
自分のためとは言え、慧士の我儘を聞き入れてくれた事務所の面々の望みなら、カップルブイログとやらを完璧に撮ってやろうではないか。
面倒くさそうに溶けたアイスをかき混ぜる慧士の手を取り「がんばるぞ!」と気合を入れる。
だがこの時の旭は、カップルブイログが何なのか、理解していなかった。
◇◆◇
「む、無理かも……」
決意表明から三十分。早くも旭は音を上げていた。
「だからやめとこうよ。面倒だし、別にやらなくても死なないし」
「い、いや、やる、やるんだけどお……」
ちょっと待って。と顔を赤くして、クッションを抱えた旭は唸っている。
なぜ旭がこんな面倒なことになっているのか──。それは決意表明直後に遡る。
まずはカップルブイログというものが何なのか、参考にするために二人でいくつか動画をピックアップした。世の中は結構なカップルや夫婦が、SNSを通してブイログとやらを発信しているらしい。
見るばかりで特に意識したことはなかったが、その多さに驚いた。更に結構な割合で同性カップルの動画もある。自分たちもそこに当てはまるのだから、きっと事務所の面々が求めているのはこういった動画なのだろう。
「よし、とりあえずこれ見てみよう」
「……やめといた方がいいと思うけどな」
「物は試しだろ? とりあえず見てみて、出来そうなのは取り入れていこう」
慧士の何か言いたげな視線を無視した旭は、膝にタブレットを置いてやる気満々だ。そして、見つけた動画の再生ボタンをタップした。どうやら温泉旅行の動画らしい。国内有数の温泉地に到着した二人が、観光スポットを巡るところから動画は始まった。
食べたものや見たもの、買ったものが、音楽と共にテンポよく流れていく様子は楽しく、同時にこんな動画が撮れるだろうかと不安になる。
『お部屋につきましたー! とってもきれい!』
そういって小柄な男性がくるくると回りながら、部屋の中ではしゃいでいる。
そして、やはりカップルブイログというだけあって、二人は手を繋いだり、部屋の中で抱き合ったりなど、親密な雰囲気がある。
男友達とも違う。独特な空気を纏う二人に、どぎまぎとしながらも動画は進む。
だが夜になると、雰囲気が一変した。夜ご飯を終えた浴衣姿の二人は、鏡の前で抱き合っている。ただその手は浴衣の合わせに忍びこみ、薄布一枚の下でいやらしくうごめいていた。
最初は擽ったそうに身をよじっていた小柄な男性も、徐々に息を乱していき、最後はベッドに放り投げられるところで終わった。
「む、無理かも……」
そして冒頭に至る。夜を匂わせるような終わり方に、旭は顔を真っ赤にし、手近なクッションを抱きしめた。カップル、温泉と言ったらそういった雰囲気になるのも理解できる。
ただ全世界に向けて、ああいったものを配信する勇気はない。一か月前にあれだけ世間を騒がせた人間が、何を言っているんだとも思うが、それはそれ、これはこれ。
うんうんと唸る旭の晒されたうなじを眺めていた慧士が、悪戯心の赴くまま、指先で背骨をなぞった。
「ひっ! ちょ、なに!」
「……やらないで良いって言っても、旭はやろうとするだろからさ」
「そりゃそうだろ。佐野さんだってあんなに瘦せちゃって」
「別に佐野は良いんだよ」
「良くないだろ!」
あれほど心を砕いてくれた人にこの発言。旭はクッションから顔を上げ「そういうことを言うな」と慧士を指さした。その指をやんわり握った慧士が、旭から奪ったタブレットで何やら検索して、一つの動画を見せた。
「こんな感じで、あんまり性的じゃないというか。食べたり寝たりしてるとこだけで良いんじゃない?」
どれどれ、と慧士の手元のタブレットを覗きこむと、先ほどとは別の同性カップルのブイログが流れている。どうやら日常を切り取った動画のようで、食事風景や昼寝をする相手の横顔、並んで洗濯物を干すといった日常風景が流れていて、最後はお揃いのパジャマに着替えて手を振って終わった。
BGMや編集方法の違いもあるのだろうが、先ほどの動画よりは平和で、旭はほっと息を吐いた。
「これならできるかも!」
「まあ、無理する必要はないし、旭は手元だけとか、あんま特定されないようなとこだけちょっと映ればいいから」
「わかった! そうしたら、ちょっとだけ試しで撮ってみよ」
「初期設定とかは済んでるらしいから、そのまま撮れるって」
旭はカメラを持つと、さっそく電源ボタンを押し、小さな液晶画面が明るくなると「わあ」と声を上げた。
「はーい、慧士くんこっち向いてくださーい」
「……結構のりのりだな」
「わは、これ楽しいな」
試しに左右にぶんぶんと振ってみるが、アクションカメラと呼ばれるだけあってブレない。そのあとも旭は「手振って」「歩いてみて」と被写体の慧士に指示を飛ばした。
これだけ楽しんでいるなら、別に良いかと、すっかりカメラマンを楽しんでいる旭に慧士も付き合う。
「今日これから撮る?」
「いや、もう夕方だし、明日からにしよう」
「おー、じゃあ明日は何か良さそうなごはんにするか」
せっかくなら動画映えする献立が良いだろう。ただ、そうは言っても良い献立が思いつかない。旭のレパートリーは和食を中心にした家庭料理が多い。中華や洋食も作るが、どれも華やかさとは無縁だ。
「いつもの旭の料理がいい」
うんうんと唸っていると、いつの間にかカメラを奪った慧士が、旭の旋毛のあたりを撮っていた。なぜ旋毛なんて。と思ったが、自由人のやることに理由はないだろう。
「こう……なんかおしゃれなのじゃなくていいのか? 難しいのじゃなければ、レシピがあれば作れるけど」
「いつものごはんが一番好き。リクエストできるなら、夜は餃子がいい」
「餃子かあ。まあ慧士がいいなら、餃子にしよ。あとバンバンジーと宙かコーンスープはどう?」
「最高」
なぜかまだ旋毛を撮られ続けているが、明日の夕飯が無事に決まった。朝から動画を撮るなら、買い物は今日中に済ませたい。
旭はまだ頭上でうろついているカメラを手で退けると、椅子にかけていたパーカーを羽織った。
「どっか行くの?」
「スーパー。朝から撮るなら、買い物行く時間が勿体ないし」
「俺も行く」
まただ。慧士は付き合ってから、以前よりも旭について回るようになった。
人の少ない場所なら、気分転換にもなるからと連れて行くが、いくら高級スーパーと言えど、夕方のスーパーに慧士を連れて行く勇気はない。
「だめだって。ほら、明日のために適当に掃除でもしといてよ」
「……ちぇっ」
「ぶすくれない、ぶすくれない。慧士の好きなクッキー買ってくるから。あのベーコンのしょっぱいやつ」
「コーラも飲みたい」
「それでよく腹出ないよな」
二人してアラサーと呼ばれる年齢ではあるが、慧士の腹筋は綺麗に割れている。もちろんモデルとして体型維持のため、マンションについているジムでトレーニングはしているが、同じく通い始めた旭の腹筋はストンと平らなままだ。
これ以上考えてはだめだ。旭は財布の入ったボディバッグにエコバッグを入れると、玄関で靴を履く。
「じゃあ行ってきます。俺が帰ってくるまでに掃除して、宿題終わらせておけよ」
「お前は俺の母ちゃんか」
端正な顔立ちの男から出た「母ちゃん」という言葉に、思わず笑ってしまう。そのままもう一度「いってきます」と手を振った。
◇◆◇
翌日始まった撮影は、思いのほか順調だった。唯一問題があったとすれば、裸で寝たがる慧士に服を着せ、寝起きのシーンを撮るのに手こずったところだ。それも旭の懸命な説得と、ちょっとしたご褒美のキスで解決した。
音声はあとからBGMがつくと言われたので「寝起きの慧士でーす」「ごはんたべまーす」など適当な旭のアテレコが入っている。メインの被写体は慧士で、たまに料理をする手元や、冷蔵庫を覗く後ろ姿の旭が混じる。
万が一顔や、個人が特定できるようなところがあればカットされると聞き、ずいぶん旭はリラックスしている。
「よっし、お昼完成。……本当に豚汁うどんでよかったのか?」
今は昼ごはんの撮影中。献立は豚汁うどん。日本人なら好きだろう一品だ。
ただ、香りづけに使った柚子を見つめながら、これで本当によかったのかと悩んでしまう。朝は大きなおにぎりに焼いたウィンナー、玉子焼き。澄まし汁と漬物という男子が喜ぶ献立だったが、映えを考えるならば微妙だ。この豚汁だって昨晩の残りもののアレンジだ。小さいころから翌日の豚汁うどんが好きで、つい多めに作るのが癖になっている。
寒い季節にはぴったりだが、ブイログにぴったりかと言われると、これもまた首を傾げてしまう。
確かに、昨日慧士から「いつもの料理がいい」と言われたが、こうして改めて見るとあまりに飾らなすぎる。
「いいじゃん、俺好きだよ」
カメラを持った慧士が「美味しいやつ」と言いながら、うどんを映している。世界のトップモデルの食事事情となれば、ファンだけでなくみんなが興味津々だろう。
それなのに豚汁うどん。
「まあ、美味しいけどさ」
「日常撮るんだろ? 俺は好きだし、これがいい」
早々に食卓に着いた慧士は、旭へ早く座れと視線を投げた。二人そろってから食べ始めるのは、いつ決めたことだろうか。物心ついた頃には習慣となっていて、好物のときはいつも急かされている気がする。
「はいはい、ほらお茶飲め」
「豚汁あるからいらない」
「豚汁を水分カウントするな。ちゃんと飲まないと浮腫むぞ」
「俺生まれて一度も浮腫んだことない」
「世界の敵だ~。いただきます」
「いただきます」
確かに慧士は今まで一度もビジュアルのコンディションを崩したことがない。ニキビができたこともなければ、肌荒れもダイエットも無縁だ。何だったらマンション内のジムですら「面倒」と言って、週に一度も行かないこともある。
芸能人の言う何もしてないです(化粧水、導入美容液、美容液、スチーマー、毎日のパック、定期的なエステを除く)とは違い、本当に何もせずにビジュアルを維持している稀有な男だ。
さすがにモデルになってからは、事務所命令でスキンケアは始めたが、忘れている日の方が多い。朝は目が覚めるからと冷水だけで洗った上に、タオルでごしごしと擦る。実に男らしいが、それでこの肌艶が維持できるのは人類の不思議だろう。
「ん、やっぱり美味い」
「柚子がきいてていいよな。あ、七味いる?」
「いる」
旭の隣に置かれたカメラは、七味を持って伸びる旭の手と、それをうどんを啜りながら受け取る慧士が映されている。
いつもの何でもないやりとりを記録する黒い眼は、二人をじっと見つめていた。
「あと今日は何する?」
「昼寝」
「昼寝ぇ? 食べてすぐ寝ると牛になるぞ。あれ? 豚だっけ?」
「牛で合ってる。でも俺牛になったこともないから大丈夫」
「慧士って本当に不思議だよな。ジャンクフードもスナック菓子も食べるのに、肌荒れしないし」
前髪が邪魔だからと、食事中はクリップを使っている慧士の、丸い額をじっと見つめてみる。真っ白で滑らかな肌はきめが細かく、陶器のようだ。
「それは旭のおかげでしょ」
「俺? なんで」
「毎日三食作ってくれるし、野菜摂れって怒るし」
そう言われてみればそうだった。旭は慧士の言葉にぽかんと口を開いたあと、むず痒そうにうどんに視線を落とした。
一人暮らしと言う名の二人暮らしを始めた頃。マンションを用意してくれた慧士の祖父への感謝と、自分自身に興味がないずぼらな慧士を心配する気持ちから、食事作りは自分が担当するようになった。
最初は少しの義務感が含まれていたが、今では日課となり楽しみでもある。
慧士は作った料理を美味しいと言って食べてくれるし「紫蘇がアクセントになって美味しかった」だとか「仕上げのごま油が美味しい」など、旭の創意工夫に対して毎回感想も伝えてくれる。
本当にできた男だ。多少王様気質なところはあれど、この顔と体と声で、更に愛情表現も惜しまない。たぶん前世で自分は世界を救った英雄だったのかもしれない。それくらい今世では怖いくらいに恵まれている。
「旭、うどん伸びる」
「……おやつはプリンにしような」
自分で言ってて、本当に単純な人間だと恥ずかしくなる。今の自分の美貌があるのは、旭のおかげだと言われて浮かれた結果のプリンだ。
「やった、旭特製のやつでしょ?」
子供のように目を輝かせて喜ぶ慧士に、旭は思わずセーターの胸元を掴む。
プリンは意外と作るのが面倒だ。特に旭の作るのは焼きプリンなので、天板に湯を張ったり気泡を消したり、意外と気を遣う。だから旭の機嫌がいいときや、暇なときにふと思い立って作ることが多い。
料理のリクエストとは違い、変に気を遣っているのか、昔からプリンはリクエストされたことがない。
こうやって慧士が喜ぶのなら、今度からはもう少し頻度を上げてもいいかもしれない。
旭は少し伸びてしまったうどんを啜りながら、そんなことを考えていた。
◇◆◇
昼食を食べ終えた二人は、ソファに並んで座っている。
いまは朝から撮りためた分をタブレットに転送し、撮れ高を確認しようという話になったところだ。
「転送ってこのアプリ?」
「そうそう、これ。なんか佐野が用意したって言ってた」
「何でも佐野さん任せだなあ」
すっかりやつれてしまった佐野のイメージが強く、今年は何かいいものをお歳暮で贈ろうと決めた。高級ハムやステーキ肉はどうだろうか。一人暮らしだと言っていたから、有名中華飯店の総菜セットなんかもいいかもしれない。
旭が頭の中でカタログを捲っていると、転送完了のポップアップが表示される。
「おお、すごい。やっぱり綺麗に撮れてるな」
「結構カメラ振り回してたもんな」
「性能テストですよ、性能テスト」
さすがはアクションカメラ。昨日のテスト動画のときもそうだったが、旭が適当に撮った映像もブレずに綺麗なものだ。
『寝起きの慧士でーす』
『……でーす』
無理やりスウェットを着せられ、ぶすくれた慧士が映っている。大手衣料品メーカーで買ったスウェットも、慧士が着るとまるで高級ブランドだ。
やはり顔の力と言うのは偉大だ。旭が感心していると、動画の中ではカメラが奪われ、揃いのスウェットを着ている旭が映し出された。
「ぎゃ! 寝癖ついてるじゃん、言えよ!」
「別に顔は映らないしいいじゃん」
「でも編集前の見られるんだろ? こんなアホ毛姿見られたくないじゃん」
「かわいいかわいい」
「絶対思ってない顔だな、おい」
慧士に向かって「おはよう」と笑いかける旭の頭上には、ぴょこりと跳ねる髪が一束。早く起きろと腕を引くたびに、ぴょこぴょこと跳ねるそれに目線が行ってしまう。
その後はやっと起きてきた慧士が身支度を済ませ、旭の用意した朝ごはんに目を輝かせている。
いつもはというよりも、旭以外には冷めた態度をとることの多い男が、少年のような顔を覗かせる。その瞬間が旭は好きだ。
これを優越感だとか、特別感と呼ぶんだろうか。この感情の名前はよく分からないけど、口角が緩くなったことだけは分かった。
『はーい、朝ごはんです。しゃけおにぎりと、こんぶおにぎり。米四合使いました』
『四合って多いの?』
『いくら男二人でも多いだろ。でも慧士燃費悪いから、食べさせておかないと』
『お手数おかけします』
『お手数かかってます』
ふざけた掛け合いをしながら、同時に澄まし汁を啜る。タイミングが完璧すぎて、見ていて笑ってしまった。これまた二人同時に笑ってしまい、それがおかしくて笑ってしまう。
「はー、笑った」
目尻に滲んだ涙を拭う慧士を、旭は横目で見やる。まさかあのケイシがこんなことで笑うなんて、家族以外は知らないだろう。
朝が弱くて、一人で起きるのが嫌な甘えん坊。好き嫌いはそんなにないが、冷麺やホルモンはいつ飲みこめば良いか分からなくて苦手。
ホラー映画が好きで、家でもポップコーンとコーラを用意して見る。作り立てのポップコーンにハマっているけど、破裂音が苦手でいつも少しだけびくついてる。
小さい頃は美少女な見た目と、男らしい性格のギャップが凄まじく、男女共に初恋モンスターだったこと。
恋人になってからは、抱きしめて眠ると、大人しく胸元にすり寄ってくるようになったこと。
全部、全部、旭が知っている慧士だ。
「……なんか、」
──やだな。
無意識のうちに、そんな言葉が零れ落ちていた。
慧士はずっと変わらない。でも最近は少しだけ変わった部分もある。ずっと片思いだった旭と付き合えたことで、纏う空気に余裕や温かさのようなものが含まれるようになった。
それを目ざとく感じ取る人間は多く、今まで感じていた壁が取り払われたと思うのも無理はない。だからこの前のように、仕事場で言い寄られるような事態になる。
変わった、確実に変わった。それが自分の影響だと理解しているし、悪いことではないと思う。それでも、心を重くするこの靄は、自覚した途端に勢いよく増殖した。
「何が嫌だった?」
「え? 何が?」
「旭が嫌だって言ったんじゃん。なに、どこか嫌なとこあった? だったらデータ渡す前に消しとくから言って」
どこ?と言いながら、すいすいとタブレットをなぞる慧士は優しい。いつだって自分を優先してくれる。少しでも躊躇ったり、怖がったりすれば手を引いてくれた。
幼いころから旭は面倒見が良いと言われてきたが、実際は逆だった。いつだって慧士が旭を引っ張ってきてくれた。
そんな自分にだけ見せていた優しさが、世界中に見られてしまう。きっと慧士の新たな一面にみんなが喜ぶだろう。熱狂するファンや、大慌てで特集を組むテレビ番組が目に浮かぶ。
喜ばしいことだ。見られること、注目されることが仕事なのだから、素直に喜ぶべきなんだ。それにこれだって仕事の一環であって、そこに自分の感情なんていらない。
──でも
「……俺だけの慧士だったのに」
モデルじゃない。素顔を見せるのは自分の前でだけだったのに。思わず零れ落ちた本音は、しっかりと慧士の耳まで届いたようだ。驚きに目を丸くしたその表情に、旭は自分が何を口にしたのか理解した。
「な、なし! 今のなし! なんでもない、大丈夫!」
何か言おうとする慧士を大声で遮り、ぶんぶんと手を振ってみる。そんなことで誤魔化されるはずはないが、この羞恥心を誤魔化すにはそれくらしか思い浮かばなかった。
「あs「トイレ!」……」
振っていた手を掴まれそうになった旭は、慌てて立ち上がると、大声で宣言してその場をあとにする。トイレに何時間も立て籠もるわけにはいかないが、今は煮えるように熱くなった頬を冷ますべく、洗面所へ飛び込んだ。
◇◆◇
『またしても、モデルのケイシのニュースです!』
そう言って声を張るニュースキャスターの姿は、すっかり見慣れてしまった。季節が変わったので、衣装も同じように暖かそうなものに変わっているくらいが、変更点だろうか。
あの動画撮影から二週間。失言を何とか誤魔化し、無事に餃子パーティーを終えてから、しばらく経っていた。
その間、旭の抱えたプロジェクトが火を噴き、更なる仕様変更を乗り越え、正にデスマーチ状態だったのを生還した。
リモートワークが基本の旭だが、取引先との打ち合わせのため出社が続き、リリースから三日経った今日。這う這うの体で帰宅すると、眩しい朝陽が差し込む慧士宅のリビングで、無意識のうちにつけたテレビから、慧士のニュースを聞くこととなった。
「なに、今度はなにしたの」
きゃあきゃあと騒ぐニュースキャスターを見れば、また何かスキャンダルだろうか。やはり慧士の雰囲気が柔らかくなったことで、障壁がなくなってしまったのか。
あの失言のあと、文字通りいやと言うほど慧士からの愛を注がれたおかげで、独占欲はすっかり和らいだが、やはり気分のいいものではない。
時刻は朝の七時。スケジュールアプリで休みになっていた慧士はまだ眠っている。
旭は徹夜続きの鈍くなった思考のまま、じっとテレビ画面を見つめていた。
『本日、深夜一時過ぎにアップされた動画が話題を呼んでいます! ではここで、もう一度見てみましょう』
そう言ってハイテンションなキャスターが引っ込むと、画面いっぱいに慧士のSNS画面が映し出される。そこには1DAYというタイトルのあと、ベッドに座る慧士の姿があった。
「ああ、あのブイログか。アップされたらやっぱり騒がれるよな」
事務所の狙い通り、話題性は抜群だ。あの謎の男だった慧士が素性を、それも柔らかな部分を晒すのだから、世界が放っておくはずがない。
「……あれ、顔映ってないじゃん」
ふと、違和感に気づいた。先ほどの寝起きのシーンでもそうだが、肩から下しか映っていない。手元のアップや、料理のアップはあれど肝心の慧士の顔が映っていない。
「なんで?」
アップテンポなBGMと共に、どんどんと進んでいく動画は見ていて楽しい。七味を持つ慧士の手だとか、皿洗いをする慧士の背中だとか。一切の私生活を公開していなかった男のそんな姿は、確かに貴重だが、肝心の顔が映っていないのはなぜだろうか。
こういったことは門外漢だが、一般人なら顔を隠すのもわかる。でも慧士はモデルだ。顔を出してなんぼと言われるような世界にいて、これはどうなのだろう。
疲れた頭に大量の疑問符を浮かべていると、ソファに並んで座って、何やらタブレットを弄っている。これはあの失言のときだ。
「う、うわ……ああ、カットしてよ」
見たくない、でも見たい。世間様に何が流れたのか、確認する義務がある。
旭は目元を染めながら、顔を覆いつつも指の隙間から最終判決を待った。
『……俺だけの慧士だったのに』
声が入っていない。旭への配慮だろう。
BGMを切った真っ暗な画面に、白で浮かんだ言葉に旭は息を飲んだ。
いやだ、世界にバレてしまう。自分の醜い独占欲や、嫉妬心、慧士をまるで自分の物のように扱う、最低な自分が見つかってしまう。
旭が震える唇を強く引き結ぶと、また画面が変わる。
『だってさ』
そこで初めて慧士の口元が映った。柔らかく上がる口角は嬉しそうで、心底その状況を楽しんでいた。きっと映っていない目元も、美しく弧を描いているだろう。見えなくても、唇で、弾む声で分かる。
「……、っ、あー、もう」
いつだって慧士は手を引いてくれた。迷う俺の、困惑する俺の、怯える俺の手をとっていた。そしていつも楽しそうに笑っていた。
こちらが泣いたり怯えていても、それを嬉しそうに眺める顔を覚えている。自分に縋る俺を待っているような、早く手を取れと願っているような笑顔。
「はあー、もう、ほんと、っ……くそ」
口が悪くなっている自覚はある。
ああ、でも仕方ないだろう。こちらの嫉妬やぐちゃぐちゃとした感情を楽しんでいる姿を見せられたら、口だって悪くなる。
こんな、とてつもない愛を見せられたら──。
「はあ、もう馬鹿みたいに好き。ほんと、ほんと馬鹿だ」
馬鹿みたいだ。きっとこの先も嫉妬したり、独占欲が顔を出すだろう。でもそのたびに、こうして愛を囁かれる。
いや、囁くなんて可愛いものじゃない。世界に向かって愛を公言されるんだろう。
これが自分の愛だぞと、思い知ったかと笑われる。
悔しい、心臓が痛い、顔が熱い。
旭は両手で顔を覆ったまま唸る。膝から力が抜け、ソファに座ると背後に気配を感じた。
「おはよ、旭」
「……みた」
「ああ、これ。最高だろ」
最低だ馬鹿野郎。そう言ってやりたいのに、振り向いた瞬間、柔らかく目を細める慧士を見てしまったらダメだった。愛が溢れて、胸の中に残っていた靄も何もかもが吹き飛んでいく。
「……ッ、最高だよ! 馬鹿野郎! 好き! あほ! 愛してる!」
「悪口か愛の告白かどっちかにしなよ」
「どっちも受け取れよ」
これが愛情だ、これが俺だ。
旭は可哀想になるほど顔を染め、頭上で笑う慧士を睨みつけた。
「受け取る、受け取る。ありがとう、俺も愛してる」
喉を撫でられて、旭が懐くように反らすと唇を柔らかいもので塞がれた。ああ、二週間ぶりの慧士だ。
軽いリップ音と共に目元や口端、鼻の先と唇が滑る。それが擽ったくて身を捩ると、猫のように喉を撫でられた。
しばらくそうしていると、興奮ですっかり遠くに追いやっていた眠気が戻ってきた。じわじわと霞んでいく思考の中で、何だか勿体なくてまだ眠りたくないなと思ってしまう。
「けいし、まだ、ねたくない」
「やっと帰ってきたんだから、ちょっとは休めよ」
「けいし、けいし……」
「んー?」
好きだなって思う。どうしたんだと細められた瞳も、自分を撫でる優しい手も、何もかも好きだ。何もかも、俺のものだ。
「おれの、けいし」
途切れる思考の中、旭が唯一口にできたのはそれだけ。たったの六文字。
でも慧士の胸を貫くには、それだけで十分だった。
きっと旭は知らないだろう。
旭が醜いとするすべての感情を、文字通り喉から手が出るほど欲した男がいたことも、ソファの背もたれに撃沈する男がいたことも。
深山旭は何も知らない。
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まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
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