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第2章 学園1年編
第22話 なんか面白そうな教師が担任だった
しおりを挟むしばらくして、教室のざわつきをかき消すように、始業の鐘がなる。
カーンカーンと二回鳴るだけだ。でもよかった、前世の学校のようなキンコンカンコンのメロディーだったら発狂してたかもしれん。しないけど。
鐘とともに壇上に教師が入ってくる。後ろに縛った黒髪が長くサラサラとなびき、背は高く、目はキリっとしていて、全体的に凛々しいといった感じの女性だ。
背中には鞘に収まった剣を身につけているので多分、剣士だろうか。なんか、めっちゃ速く動いて相手を翻弄しそう。
そしてとある部分に目が行く。そう。果実がでかい。視線が自然と、あの果実に吸い寄せられる。俺も含めて。
まあそりゃ、女性のシンボル的箇所が、でかくて目立つんだから目が行くのは仕方ない。女だって男の筋肉やそういうところを見たりするのと同じだ。大きいものに目が行くのは当然のことだ。何が悪い。
教師は軽く咳ばらいをした後、教卓に手を置いて寄りかかって、大声で話し始める。
「さて、諸君、入学おめでとう。私は今日からお前たちの担任となる、リーファだ。今日からお前たちは成人に向けていろんなことを学んでいく。まあえっと、そのだな……つまり、頑張れ」
あ、絶対言うこと考えてなかったやつだ。最後締めたな。でもこれ位がちょうどいいよな、ガチガチな熱血教師よりは適当な方が。
リーファは思い出したように言葉を続けた。
「あ、そうだ、この後に入学式がある。特に準備するようなことも無いが、心の準備くらいはしておけ。まあ、それまでは、顔合わせでも雑談でもしておけ。以上」
顔合わせ?雑談?陰キャの俺にそんな酷なことを……。まあ、強制や必要なこと以外は絶対関わらんけど。
リーファはやり切った!って顔をした後、椅子に座って教卓に突っ伏した。いやお前自由だなあ。
なんて思っていると、隣のユリアが俺の机をこんこんと叩く。何か言いたげにジト目でむくれていた。
「むぐ~、あのさ、チー君はその……大きいほうが好き?」
「え、はい?何の話っすか」
「その、胸、っていうか。あ、でもチー君男の人が好きなんだっけ」
俺は机におでこを思いきりぶつける。痛い。夢じゃないな。おいおい、ユリアさんいきなりセンシティブな話題を振るとは、セクハラだぞ?ってまず俺はゲイじゃねえからな!?
「これだけは言っておきますが、俺はゲイじゃない」
あ、でもゲイって言っとけば性犯罪の冤罪に巻き込まれることないのでは???
「え、だって、街中歩く時も、女の人を避けて男の人の後ろ歩くし、さっきはレッド君の握手は何の抵抗もなかったし」
「違う。自己防衛をしているに過ぎない。もしユリアに触れられたり触ったりしてユリアが俺を訴えない可能性は0じゃない」
「何度も言うけどそんなことしないから!私の騎士のチー君を陥れて、私に何のメリットがあるのさ!」
言われてみれば確かに?でも可能性は0じゃないだろう。こちとら疑われた時点で人生詰みなんだぞ?
「ところで、もう一回聞くけど、大きいほうが好きなの?」
ちっ。忘れてなかったか。絶対言わなきゃいけないの?それ。どう答えても俺詰んでない?その質問。
「え、なんすか、俺を試してんすか?なんなんですか?」
「だって、男子って、あの先生みたいな大きい人が好きだってメイドから聞いたんだけど、男子のチー君の意見が気になるんだよね」
メイドめ。ユリアにそんな不健全なことを教えやがって。感謝する。
さて、なんて答えればいいか。この返答次第で、俺の変態認定が決まる。ノーコメント、そうだ、こういう時のノーコメントだ。
「ノーコメントで」
「教えないと今日の夕飯抜くから」
「は?」
なぜそこまで?どっかで聞いたことがあるが、男女ともに自分にないものに魅力を感じるとかなんとか。胸とか筋肉とか、男女で違うわけだし。
う~ん、なんて言う?数秒考えて導き出された無難な回答は……。
「普通くらいがちょうどいい」
「へえ、本当?まあそういうことにしよっかな」
ユリアは納得したようだ。にしても、清楚なユリアからそんな、下ネタ系の質問されるとは思わなかった。
にしても、美人には慣れるなんて言うが、2,3年以上ユリアと遊んだり会ったりしてきたけど、俺はいまだに慣れないものだ。
これだから一生非モテの童貞なんだ。
少しセンシティブな会話をして気まずいので、何となく周りを見渡す。
なんか、横の席の方にハーレム形成してるのか、1人の男子に数人の女子達が群がっているのが見えた。
スッとした明るめの青髪に、眼鏡をかけていて、何となくインテリっぽいクールな雰囲気を醸し出している。顔はシュッと爽やかな感じ。結局どの世界でもイケメンがモテるんよな。
雰囲気的には魔法系か?いや、剣を背負っているから、剣士か。まさか、魔剣士?
う~ん、でもああいうモテるやつには関わりたくない。プライド高そうだし。何より女子が群がってるところに行きたくない。あとうざい。
でもよく見ると、青髪の青年は無表情で女子たちを煙たがっているというかなんというか、無反応を貫いている。視線はどこを向いているでもなく、虚ろだ。
あれ、でも、俺もイケメンなのに俺のところに女子が群がってこないのはなぜだ?やっぱ覇気のないオーラとかなのかなあ。
女子ではないけどレッドは声かけてくれたし……。
ふと、隣を見る。あ、分かった、ユリアが隣にいるからだ。俺が彼女持ちって思われてるから。だから女子たちは気を遣って俺のところに来ないのか……。
っておい、おいおいそれはそれで嫌だぞ?ユリアみたいな高根の花が俺の彼女?冗談じゃねえ。
まあ落ち着け。どちらにしても俺に大勢近づいてほしくない。ちょうどいいじゃないか。とりあえず引き続きあいつの様子を伺う。
周りの女子の声から推測するに、あの青髪はブルーという名前のようだ。よし、関わらない奴リストに入れておこう。メモメモ。
しばらくして、教卓に突っ伏していたリーファがスッと体を起こした。
「静まれ!これから移動する!とりあえず私に付いてこい!」
リーファは指示した後、シュッと背を伸ばして歩いて廊下に出ていった。廊下を見ると、隣の2組のクラスメイト達もぞろぞろ移動を始めていた。
「行こ?チー君」
「はい」
ユリアと俺も立ち上がり、リーファについていく。先ほどまで雑談していた周りのクラスメイトも移動を始めた。ついに入学式が始まるのだろう。はあ、普通にだりい、こういう形式的な堅苦しいイベントは暇で暇で仕方ないからな。とりあえず寝る準備だけはしておこう。
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