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本編
大軍を前に、死ぬ気は全くないと自信満々におっしゃいます。
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予想通り、数週間後に帝国から宣戦布告状が届けられた。
直ちに最寄りの直轄地に届けられ、駐在武官によって王都へ運ばれる。
「来ましたね。」
「来たな。」
アレスタ様とつぶやく。
「国王陛下への親書だから内容は分からないが…まぁ適当な名目だろう。
嫌がらせが出来ればいいんだ、帝国は。」
「その理由で死ぬ私たちは、たまったものじゃないですね。」
「死ぬのか?」
私たちは、領館近くの平野に来ている。
戦争の準備は着々と…進んでいるのだろうか…
何種類かある”鉄の棒”っぽいものを手に、”鍋”っぽいヘルメットを被った兵士たちが動いている。
あちこち土嚢が積み上げられたり塹壕が掘られたりしているものの、相変わらず軍馬もいない。
「逆にお聞きしますが…生き残れるんですか?」
「さぁな。
どのみち逃げたら敵前逃亡で斬首だ。
兵士はアファーム商会に逆戻り。
しばらくは代官が統治するだろうが、やがて別のやらかした貴族が男爵位でここへ来る。
ま、これが最善の策だろう。」
「はぁ…」
死ぬまで、あと何日だろう。
「アレスタ様、一つお聞きしても?」
「聞くだけなら。」
「アレスタ様は…どうしてそこまでお強いのですか?」
私の言葉に、アレスタ様はキョトンとされ。
「過去の例からすると、おそらく今回も帝国は1万人規模です。
アレスタ様はどうか分かりませんが、私は、戻れる実家もありません。
差し出された先の筆頭公爵様の顔を蹴ったのですから。」
「マティスを蹴り上げた話は、聞いて痛快だった。
まぁ仕方あるまい、17歳の乙女だ。」
「あなたも13歳の乙女じゃないですか。
…たった400人の犠牲で、何がそこまでの自信を与えるのですか?」
目線を外したアレスタ様。
大きくため息をつき、椅子から立ち上がり、窓から外を眺める。
「フィーナ、その心配は当然だ。
けどな、諦めは生きる力を奪う。
奴隷たちも、最初はそうだったよ。
特に亜人は虐げられることに民族として慣れ切ってしまっていた。」
一拍。
「私は最初に、それを叩き直した。
資金面から、連れてこられたのがヒトより亜人が圧倒的に多かったのも、幸いだった。
後は、とにかく帝国兵に打ち勝つことだけに特化して、徹底的に教練した。
おはようからおやすみまで、3人一組。
”お前は独りではなく、お前のミスも仲間は見捨てない”ことを、”お前の怠慢が仲間を殺す”ことを教え込み。
反射神経のごとく、命令には徹底的に従うことを叩き込み。」
「道具、ということですか?」
「今はそれでいい。」
アレスタ様は繰り返し。
「今は、それでいい。
生き残れば、それ以外の役割も与えていかなければ領地経営が成り立たないが、それは生き残ればの話だ。」
「公爵令嬢は凄いですね。
私は家令の実務は出来ても、アレスタ様のような強さも考え方も持ちえません。」
「そうでもないさ。
私が失敗すれば、フィーナと、兵士が死ぬ。
その重圧が、これほどとは思わなかったさ。
…ただ、そうだな。」
いつものニヤリとした笑いを浮かべ、アレスタ様は両手を広げた。
「そんなフィーナの想像を。
フィーナをこんな辺境に追いやった連中のしたり顔を。
一方的な婚約破棄を行った無礼なバカ王子と、そのバカ親を。
あと直接の恨みは無いが、まぁこの領地を一方的に蹂躙しに来た帝国兵と。
纏めてぶっ飛ばせば、愉快痛快極まりないだろうな。
筆頭公爵を蹴り飛ばしたフィーナが”心底惚れました、抱いてください”と言い出しかねん程に、帝国兵のシリを蹴り上げてやろう。」
「私、異性愛者ですよ?」
荒唐無稽すぎるアレスタ様に、私は笑い。
「そうだ、笑っていろ。
いい女には笑う義務がある、私のようにな。
じゃあ今日も色々任せる。
私は帝国兵のシリを蹴り上げるように、兵士どものシリを叩いてくる。」
直ちに最寄りの直轄地に届けられ、駐在武官によって王都へ運ばれる。
「来ましたね。」
「来たな。」
アレスタ様とつぶやく。
「国王陛下への親書だから内容は分からないが…まぁ適当な名目だろう。
嫌がらせが出来ればいいんだ、帝国は。」
「その理由で死ぬ私たちは、たまったものじゃないですね。」
「死ぬのか?」
私たちは、領館近くの平野に来ている。
戦争の準備は着々と…進んでいるのだろうか…
何種類かある”鉄の棒”っぽいものを手に、”鍋”っぽいヘルメットを被った兵士たちが動いている。
あちこち土嚢が積み上げられたり塹壕が掘られたりしているものの、相変わらず軍馬もいない。
「逆にお聞きしますが…生き残れるんですか?」
「さぁな。
どのみち逃げたら敵前逃亡で斬首だ。
兵士はアファーム商会に逆戻り。
しばらくは代官が統治するだろうが、やがて別のやらかした貴族が男爵位でここへ来る。
ま、これが最善の策だろう。」
「はぁ…」
死ぬまで、あと何日だろう。
「アレスタ様、一つお聞きしても?」
「聞くだけなら。」
「アレスタ様は…どうしてそこまでお強いのですか?」
私の言葉に、アレスタ様はキョトンとされ。
「過去の例からすると、おそらく今回も帝国は1万人規模です。
アレスタ様はどうか分かりませんが、私は、戻れる実家もありません。
差し出された先の筆頭公爵様の顔を蹴ったのですから。」
「マティスを蹴り上げた話は、聞いて痛快だった。
まぁ仕方あるまい、17歳の乙女だ。」
「あなたも13歳の乙女じゃないですか。
…たった400人の犠牲で、何がそこまでの自信を与えるのですか?」
目線を外したアレスタ様。
大きくため息をつき、椅子から立ち上がり、窓から外を眺める。
「フィーナ、その心配は当然だ。
けどな、諦めは生きる力を奪う。
奴隷たちも、最初はそうだったよ。
特に亜人は虐げられることに民族として慣れ切ってしまっていた。」
一拍。
「私は最初に、それを叩き直した。
資金面から、連れてこられたのがヒトより亜人が圧倒的に多かったのも、幸いだった。
後は、とにかく帝国兵に打ち勝つことだけに特化して、徹底的に教練した。
おはようからおやすみまで、3人一組。
”お前は独りではなく、お前のミスも仲間は見捨てない”ことを、”お前の怠慢が仲間を殺す”ことを教え込み。
反射神経のごとく、命令には徹底的に従うことを叩き込み。」
「道具、ということですか?」
「今はそれでいい。」
アレスタ様は繰り返し。
「今は、それでいい。
生き残れば、それ以外の役割も与えていかなければ領地経営が成り立たないが、それは生き残ればの話だ。」
「公爵令嬢は凄いですね。
私は家令の実務は出来ても、アレスタ様のような強さも考え方も持ちえません。」
「そうでもないさ。
私が失敗すれば、フィーナと、兵士が死ぬ。
その重圧が、これほどとは思わなかったさ。
…ただ、そうだな。」
いつものニヤリとした笑いを浮かべ、アレスタ様は両手を広げた。
「そんなフィーナの想像を。
フィーナをこんな辺境に追いやった連中のしたり顔を。
一方的な婚約破棄を行った無礼なバカ王子と、そのバカ親を。
あと直接の恨みは無いが、まぁこの領地を一方的に蹂躙しに来た帝国兵と。
纏めてぶっ飛ばせば、愉快痛快極まりないだろうな。
筆頭公爵を蹴り飛ばしたフィーナが”心底惚れました、抱いてください”と言い出しかねん程に、帝国兵のシリを蹴り上げてやろう。」
「私、異性愛者ですよ?」
荒唐無稽すぎるアレスタ様に、私は笑い。
「そうだ、笑っていろ。
いい女には笑う義務がある、私のようにな。
じゃあ今日も色々任せる。
私は帝国兵のシリを蹴り上げるように、兵士どものシリを叩いてくる。」
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