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第15話
「でも、こんなことになるなら・・・・ちゃんと、話をしておけばよかった。悩みを、聞いてあげてればよかった・・・・」
「さっちゃんのせいじゃないよ。俺だって全然気付かなかったんだし・・・・それで、その政略結婚の相手には会ったの?久美ちゃん」
戸田くんの言葉に、皐月は頷いた。
「相手の名前は向井直人。向井洋一っていう政治家の息子で、今28歳。仕事は弁護士」
「向井洋一も、裏ではかなり力を持ってるっていう噂の政治家だよ」
浩斗くんが言った。
「2週間くらい前に初めてその向井直人に会って、直接話をしてるよ。でも、向井直人はその時久美ちゃんに言ってるんだ。乗り気じゃない結婚は、やめた方がいいって。親のためだからって、無理する必要ないって」
「え・・・・それって、善意で?だったら意外と話のわかるやつなのか?」
俺が言うと、皐月は首を傾げた。
「うん・・・・少なくとも、久美ちゃんは好印象を持ったみたい。俺は、直接会ったわけじゃないから久美ちゃんの受けた印象でしかわからないけど・・・・。物腰が柔らかくって、穏やかで・・・・ただ、やっぱりすぐに結婚なんて決められないって思った久美ちゃんは、正直に父親に言ったみたいだよ」
「父親は、納得した?わけ、ないよね?」
「うん・・・・いい人だと思ったなら、結婚してもうまくいくって。結婚してから、好きになることだってあるって、そんな風に説得されたみたいだね」
「そんなの、納得できるわけないよ」
戸田くんが、自分のことのように怒っていた。
「そう、久美ちゃんも納得いかなくって・・・・・父親のところを飛び出して、それから電話にも一切出てなかったみたいなんだけど・・・・2日前に、向井直人から直接、電話があったんだ。もう一度、話がしたいって」
「じゃあ、昨日久美ちゃんが行こうとしてたところって・・・・・」
「その、向井との待ち合わせ場所・・・・。品川にあるホテルだよ」
俺たちは、顔を見合わせた。
「そこに、久美ちゃんが向かったとして・・・・時間的にも、殺した可能性があるのはその向井直人ってことになるけど―――」
関の言葉に、皐月は曖昧に首を振った。
「それは、わからない」
「なぁ、皐月」
浩斗くんの声に、皐月はそちらの方を見た。
「直接、その向井直人に会えば・・・わかるのか?」
「うん・・・・わかると思うけど・・・・でも、俺の言葉だけじゃ、証拠には―――」
「それはもちろん、警察の仕事だ。でも、少なくとも稔くんと関は皐月の言葉を信じてくれるだろう?」
浩斗くんがにやりと笑い―――
「皐月がその向井に会って、そいつが犯人かどうかだけ分かれば、あとの証拠探しは警察に任せよう」
と言った。
関が、軽く溜息をつく。
「もちろん・・・・調べさせてもらいますよ」
関と浩斗くんの関係性は面白い。
どちらも頭の回転がよく、それでいてちょっとひねくれているところがある。
人の言葉を額面通りに受け取らず、裏の裏まで読み取ってさらにそれを目的のために利用しようとする。
2人はお互いにそんなことを考えながら、お互いを利用し合っているのだ。
俺にはよくわからないけれど、皐月のような能力はなくとも、お互いの考えていることがなんとなくわかってしまうらしい。
要するに、似た者同士なんだろうな。
「じゃあ、早速これから向かおう。皐月と戸田は、俺の車に乗って」
そう言って、浩斗くんが立ち上がった。
「え、浩斗くん、どこに行けばいいかわかってるの?」
驚いて聞くと、浩斗くんは持っていたスマホをちょっと上げて見せた。
「いろいろ、情報網を持ってるんでね。今日は日曜日だから仕事は休みだけど、仕事の付き合いでゴルフに行ってる。ここから車で1時間くらいだよ」
そうして、俺たちは戸田くんのマンションをあとにした。
「さっちゃんのせいじゃないよ。俺だって全然気付かなかったんだし・・・・それで、その政略結婚の相手には会ったの?久美ちゃん」
戸田くんの言葉に、皐月は頷いた。
「相手の名前は向井直人。向井洋一っていう政治家の息子で、今28歳。仕事は弁護士」
「向井洋一も、裏ではかなり力を持ってるっていう噂の政治家だよ」
浩斗くんが言った。
「2週間くらい前に初めてその向井直人に会って、直接話をしてるよ。でも、向井直人はその時久美ちゃんに言ってるんだ。乗り気じゃない結婚は、やめた方がいいって。親のためだからって、無理する必要ないって」
「え・・・・それって、善意で?だったら意外と話のわかるやつなのか?」
俺が言うと、皐月は首を傾げた。
「うん・・・・少なくとも、久美ちゃんは好印象を持ったみたい。俺は、直接会ったわけじゃないから久美ちゃんの受けた印象でしかわからないけど・・・・。物腰が柔らかくって、穏やかで・・・・ただ、やっぱりすぐに結婚なんて決められないって思った久美ちゃんは、正直に父親に言ったみたいだよ」
「父親は、納得した?わけ、ないよね?」
「うん・・・・いい人だと思ったなら、結婚してもうまくいくって。結婚してから、好きになることだってあるって、そんな風に説得されたみたいだね」
「そんなの、納得できるわけないよ」
戸田くんが、自分のことのように怒っていた。
「そう、久美ちゃんも納得いかなくって・・・・・父親のところを飛び出して、それから電話にも一切出てなかったみたいなんだけど・・・・2日前に、向井直人から直接、電話があったんだ。もう一度、話がしたいって」
「じゃあ、昨日久美ちゃんが行こうとしてたところって・・・・・」
「その、向井との待ち合わせ場所・・・・。品川にあるホテルだよ」
俺たちは、顔を見合わせた。
「そこに、久美ちゃんが向かったとして・・・・時間的にも、殺した可能性があるのはその向井直人ってことになるけど―――」
関の言葉に、皐月は曖昧に首を振った。
「それは、わからない」
「なぁ、皐月」
浩斗くんの声に、皐月はそちらの方を見た。
「直接、その向井直人に会えば・・・わかるのか?」
「うん・・・・わかると思うけど・・・・でも、俺の言葉だけじゃ、証拠には―――」
「それはもちろん、警察の仕事だ。でも、少なくとも稔くんと関は皐月の言葉を信じてくれるだろう?」
浩斗くんがにやりと笑い―――
「皐月がその向井に会って、そいつが犯人かどうかだけ分かれば、あとの証拠探しは警察に任せよう」
と言った。
関が、軽く溜息をつく。
「もちろん・・・・調べさせてもらいますよ」
関と浩斗くんの関係性は面白い。
どちらも頭の回転がよく、それでいてちょっとひねくれているところがある。
人の言葉を額面通りに受け取らず、裏の裏まで読み取ってさらにそれを目的のために利用しようとする。
2人はお互いにそんなことを考えながら、お互いを利用し合っているのだ。
俺にはよくわからないけれど、皐月のような能力はなくとも、お互いの考えていることがなんとなくわかってしまうらしい。
要するに、似た者同士なんだろうな。
「じゃあ、早速これから向かおう。皐月と戸田は、俺の車に乗って」
そう言って、浩斗くんが立ち上がった。
「え、浩斗くん、どこに行けばいいかわかってるの?」
驚いて聞くと、浩斗くんは持っていたスマホをちょっと上げて見せた。
「いろいろ、情報網を持ってるんでね。今日は日曜日だから仕事は休みだけど、仕事の付き合いでゴルフに行ってる。ここから車で1時間くらいだよ」
そうして、俺たちは戸田くんのマンションをあとにした。
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