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恋してる
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『俺が好きなのは―――今、目の前にいる、4人だよ』
梨夢の言葉に、俺らは一瞬ピタリと動きを止めた。
いや、好きだと言ってくれるのは嬉しい。
だけど、梨夢はいつも俺たち4人のことを好きだと言ってくれている。
あの時、母さんたちに報告した『好きな人』と言うのは、そういう『好き』ということなのか・・・・?
俺らの微妙な表情に気づいたのか、梨夢がちょっと首を傾げた。
「あれ?伝わらない?」
「いや・・・ていうか、梨夢が俺らのことを好きでいてくれるのは知ってるって言うか、わかってるって言うか・・・」
どう言ったらいいかわからない。
そんな俺を、周が呆れたように見る。
「しっかりしてよ、護。長男でしょ」
「んなこと言われても・・・・てっきり、知らない女の子の名前とか言われるのかと思ってたから」
「護は・・・・てか、みんなそう思ってたの?俺が誰か女の子の名前言うって」
梨夢の言葉に、みんなが頷く。
「・・・その方がよかった?」
『いや、よくないけど』
即答した俺たちに、梨夢がふっと笑う。
「よくないの?」
「いや、だって、俺らずっと考えてたんだよ!梨夢の好きな人って誰だろうって。俺ら4人、誰も何も気づいてなくて、梨夢にそんな好きな人がいるなら絶対気付くはずなのにって思ってたんだよ」
俺の言葉に、他の3人も頷く。
梨夢は、そんな俺らの顔をじっと見ていたけれど―――
「―――だって俺、4人よりも好きな人なんて、いないもん」
「梨夢、けどそれは、兄弟としてって意味で―――」
「ちがうよ」
『え?』
4人の声が重なる。
梨夢の目が、微かに潤んでいた。
「違うんだ・・・・。俺、本当に・・・・4人が好きなんだ」
「梨夢?それってどういう意味で・・・・」
梨夢は、ふっと短く息を吐き、再び椅子に座った。
「―――前に、俺、護に聞いたでしょ?俺がどんな人間でもここにいていいかって」
「うん」
「俺ね・・・・気付いちゃったんだ。あの時―――久保田の盗撮騒ぎの時」
プールで梨夢を盗撮していた体育教師の久保田。
その久保田が、それまでにも梨夢の体を触っていたことを知って俺らは激怒した。
あの時、梨夢はとてもショックを受けていた。
それは、その前に渋木から告白されていたという出来事もあり、余計に動揺していたんだと俺は思っていたけれど―――
「俺ね・・・・たぶん、ゲイなんだ」
意を決したようにそう言った梨夢に、俺たちはすぐに言葉を発することができなかった。
「・・・前から、女の子から告白されたときに感じてたんだ。俺、女の子を恋愛対象として見れないって。小学生の頃までは、まだ自分が子供だからだと思ってた。でも・・・中学生になって、何度か男の子から告白されて」
「何度か?」
慎が、顔を上げたが。
「慎、今はちょっと待て」
廉くんにそう言われ、慎はまた黙った。
「俺・・・男の子から告白されたときの方がどきどきしてることに気づいたんだ。付き合う気なんてなくても、好きって言ってもらえることが嬉しかった。断る罪悪感はあったけど・・・それでも、好意を持ってもらえることが嬉しかったんだ。だから、もしかしたら男の子に対して思わせぶりな態度取ってたかもしれないって思った。和也に対しても―――」
「―――は?和也?梨夢くんそれどういう―――」
「周、お前もとりあえず聞けって」
周をたしなめる廉くんが、ちらりと俺を見る。
―――あれ、廉くんも知ってる・・・?
「あ、ごめん、そのことはまた今度ね。とにかく―――自分が、男の子に対してそういう態度取ってたかもしれないって思って。だから、美術の岡田とか体育の久保田にも付け入られたのかもしれないって思って・・・」
「梨夢、それはちげえよ。あいつらはただの変態だから、そんな風に思う必要ない」
そう俺が言うと、梨夢は泣きそうな顔で俺を見て笑った。
「ん・・・。でも、自分がゲイかもって思ったら、今までの自分の気持ちが全部腑に落ちたって言うか・・・。それで、俺がゲイだって知ったらみんながどう思うだろうって思ったら、すごい不安になって」
―――だから、『俺がどんな人間でも』って言ったのか・・・。
「みんなに、嫌われたらどうしようって・・・・」
梨夢の目から、涙がポロリと零れ落ちた。
「何言ってんだよ、梨夢」
俺は梨夢の頭を撫でた。
周が立ち上がり、タオルを持って梨夢のそばに行く。
「泣かないで、梨夢くん。俺らが梨夢くんを嫌いになるなんて、ありえないから」
そう言いながら、優しく梨夢の涙をふく。
「そうそう。どんな梨夢だって、俺らは梨夢が好きだよ」
と、廉くん。
そして、慎も
「俺らの方が、梨夢を好きだから!」
と、その言葉に、梨夢が一瞬きょとんとする。
「慎、ちょっと黙ってようか」
廉くんに肩を叩かれ、慎が「え~」と口をとがらせ椅子に座り直す。
その様子を見て、梨夢がちょっと笑う。
「ありがと・・・。今は、わかるよ。俺が引きこもってる時、みんながすごい心配してくれてたのもわかってる。でも、不安だったんだ。気持ち悪いって思われるんじゃないかって。あの岡田とか久保田に対してみんなが思ってたみたいに・・・・」
「そんなわけ、ないじゃん。梨夢くんのこと気持ち悪いなんて思うはずない」
周の言葉に、梨夢は嬉しそうにうなずいた。
「ん・・・・。あの、引きこもってる間、なにが一番辛かったかって言ったら、みんなといつもみたいにふざけたりできなかったことなんだ。おかしいでしょ?自分で引きこもったのに・・・・」
「梨夢・・・・」
「それで・・・・気付いたの。俺、みんなの弟して、兄弟としてみんなが好きだけど―――でも、そうじゃなくて・・・その、俺、もしかして4人に恋してるのかなって・・・」
『!!!!』
梨夢の頬が染まり、その瞳は潤み―――
俺たち4人がどうして固まってるか、絶対わかってない不安げな表情で、俺たちを見つめたのだった・・・・。
梨夢の言葉に、俺らは一瞬ピタリと動きを止めた。
いや、好きだと言ってくれるのは嬉しい。
だけど、梨夢はいつも俺たち4人のことを好きだと言ってくれている。
あの時、母さんたちに報告した『好きな人』と言うのは、そういう『好き』ということなのか・・・・?
俺らの微妙な表情に気づいたのか、梨夢がちょっと首を傾げた。
「あれ?伝わらない?」
「いや・・・ていうか、梨夢が俺らのことを好きでいてくれるのは知ってるって言うか、わかってるって言うか・・・」
どう言ったらいいかわからない。
そんな俺を、周が呆れたように見る。
「しっかりしてよ、護。長男でしょ」
「んなこと言われても・・・・てっきり、知らない女の子の名前とか言われるのかと思ってたから」
「護は・・・・てか、みんなそう思ってたの?俺が誰か女の子の名前言うって」
梨夢の言葉に、みんなが頷く。
「・・・その方がよかった?」
『いや、よくないけど』
即答した俺たちに、梨夢がふっと笑う。
「よくないの?」
「いや、だって、俺らずっと考えてたんだよ!梨夢の好きな人って誰だろうって。俺ら4人、誰も何も気づいてなくて、梨夢にそんな好きな人がいるなら絶対気付くはずなのにって思ってたんだよ」
俺の言葉に、他の3人も頷く。
梨夢は、そんな俺らの顔をじっと見ていたけれど―――
「―――だって俺、4人よりも好きな人なんて、いないもん」
「梨夢、けどそれは、兄弟としてって意味で―――」
「ちがうよ」
『え?』
4人の声が重なる。
梨夢の目が、微かに潤んでいた。
「違うんだ・・・・。俺、本当に・・・・4人が好きなんだ」
「梨夢?それってどういう意味で・・・・」
梨夢は、ふっと短く息を吐き、再び椅子に座った。
「―――前に、俺、護に聞いたでしょ?俺がどんな人間でもここにいていいかって」
「うん」
「俺ね・・・・気付いちゃったんだ。あの時―――久保田の盗撮騒ぎの時」
プールで梨夢を盗撮していた体育教師の久保田。
その久保田が、それまでにも梨夢の体を触っていたことを知って俺らは激怒した。
あの時、梨夢はとてもショックを受けていた。
それは、その前に渋木から告白されていたという出来事もあり、余計に動揺していたんだと俺は思っていたけれど―――
「俺ね・・・・たぶん、ゲイなんだ」
意を決したようにそう言った梨夢に、俺たちはすぐに言葉を発することができなかった。
「・・・前から、女の子から告白されたときに感じてたんだ。俺、女の子を恋愛対象として見れないって。小学生の頃までは、まだ自分が子供だからだと思ってた。でも・・・中学生になって、何度か男の子から告白されて」
「何度か?」
慎が、顔を上げたが。
「慎、今はちょっと待て」
廉くんにそう言われ、慎はまた黙った。
「俺・・・男の子から告白されたときの方がどきどきしてることに気づいたんだ。付き合う気なんてなくても、好きって言ってもらえることが嬉しかった。断る罪悪感はあったけど・・・それでも、好意を持ってもらえることが嬉しかったんだ。だから、もしかしたら男の子に対して思わせぶりな態度取ってたかもしれないって思った。和也に対しても―――」
「―――は?和也?梨夢くんそれどういう―――」
「周、お前もとりあえず聞けって」
周をたしなめる廉くんが、ちらりと俺を見る。
―――あれ、廉くんも知ってる・・・?
「あ、ごめん、そのことはまた今度ね。とにかく―――自分が、男の子に対してそういう態度取ってたかもしれないって思って。だから、美術の岡田とか体育の久保田にも付け入られたのかもしれないって思って・・・」
「梨夢、それはちげえよ。あいつらはただの変態だから、そんな風に思う必要ない」
そう俺が言うと、梨夢は泣きそうな顔で俺を見て笑った。
「ん・・・。でも、自分がゲイかもって思ったら、今までの自分の気持ちが全部腑に落ちたって言うか・・・。それで、俺がゲイだって知ったらみんながどう思うだろうって思ったら、すごい不安になって」
―――だから、『俺がどんな人間でも』って言ったのか・・・。
「みんなに、嫌われたらどうしようって・・・・」
梨夢の目から、涙がポロリと零れ落ちた。
「何言ってんだよ、梨夢」
俺は梨夢の頭を撫でた。
周が立ち上がり、タオルを持って梨夢のそばに行く。
「泣かないで、梨夢くん。俺らが梨夢くんを嫌いになるなんて、ありえないから」
そう言いながら、優しく梨夢の涙をふく。
「そうそう。どんな梨夢だって、俺らは梨夢が好きだよ」
と、廉くん。
そして、慎も
「俺らの方が、梨夢を好きだから!」
と、その言葉に、梨夢が一瞬きょとんとする。
「慎、ちょっと黙ってようか」
廉くんに肩を叩かれ、慎が「え~」と口をとがらせ椅子に座り直す。
その様子を見て、梨夢がちょっと笑う。
「ありがと・・・。今は、わかるよ。俺が引きこもってる時、みんながすごい心配してくれてたのもわかってる。でも、不安だったんだ。気持ち悪いって思われるんじゃないかって。あの岡田とか久保田に対してみんなが思ってたみたいに・・・・」
「そんなわけ、ないじゃん。梨夢くんのこと気持ち悪いなんて思うはずない」
周の言葉に、梨夢は嬉しそうにうなずいた。
「ん・・・・。あの、引きこもってる間、なにが一番辛かったかって言ったら、みんなといつもみたいにふざけたりできなかったことなんだ。おかしいでしょ?自分で引きこもったのに・・・・」
「梨夢・・・・」
「それで・・・・気付いたの。俺、みんなの弟して、兄弟としてみんなが好きだけど―――でも、そうじゃなくて・・・その、俺、もしかして4人に恋してるのかなって・・・」
『!!!!』
梨夢の頬が染まり、その瞳は潤み―――
俺たち4人がどうして固まってるか、絶対わかってない不安げな表情で、俺たちを見つめたのだった・・・・。
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