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第41話
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検査のためにたびたび看護師や医師が様子を見に来たり病室を出たりするので、直くんは自分の家へ、渉くんも会社へいったん帰ることになった。
それから、夕方の5時半を過ぎたころにイチ、龍也くんと一緒に再び渉くんがやってきた。
「悠太くん、よかった。思ったより元気そうで」
イチが俺の顔を見てほっと息をついた。
「ありがと。ごめんね、みんなに心配かけちゃって。もう熱も下がったし全然大丈夫だから」
「安心したよ。けど、今週いっぱいは休んだ方がいい。有休もまだあるだろ?」
龍也くんも笑顔でそう言ってくれる。
2人の気持ちが嬉しくて、俺も笑顔になったけれど―――
「渉くん、何その顔?」
2人の横で、なぜか微妙な顔で黙っている渉くん。
何か言いたそうな―――
「いやだって・・・・悠太には無理してほしくないけど、会えないのは嫌だし・・・・」
ぶつぶつ言いながら腕を組む渉くんに、イチと龍也くんが呆れた顔をする。
「あなたね、子供じゃないんだから」
「そうだよ。俺らだって悠太に早く会いたかったのに今日は仕事終わるまで我慢してたってのに―――」
「わかってるよ。それに、悠太には悪いことしたと思ってるし」
「え?悪いことって、何が?」
俺が驚いて聞くと、渉くんはちょっと眉を下げて俺を見た。
「悠太が熱出したのって・・・・俺らのせいじゃない?俺らに告白されて、すげえ悩んだんじゃない?それで―――」
「渉くん・・・・」
「それで、階段からも落ちちゃって・・・・打ち身で済んだからいいっていうけど・・・・もし悠太に何かあったら、俺、きっと耐えらんない」
渉くんの言葉に、イチと龍也くんはちょっとはっとしたように顔を見合わせた。
「好きだから好きって言ったけど、でもそのせいで悠太が怪我でもしたらって考えたら・・・・ごめんな、悠太」
「そんなこと・・・・」
「悠太にはいつだって笑っててほしいし元気でいてほしい。俺らのせいで悩んだり、具合悪くなったり・・・・そんなのは、嫌だ。そんな想いをさせるくらいなら俺は・・・・悠太と付き合えなくてもいいよ」
淡々と、穏やかにそう話す渉くんは、とても真剣で、なんだかすごく大人に見えて―――
俺は、なんだか胸が熱くなるのを感じていた・・・・。
それから、夕方の5時半を過ぎたころにイチ、龍也くんと一緒に再び渉くんがやってきた。
「悠太くん、よかった。思ったより元気そうで」
イチが俺の顔を見てほっと息をついた。
「ありがと。ごめんね、みんなに心配かけちゃって。もう熱も下がったし全然大丈夫だから」
「安心したよ。けど、今週いっぱいは休んだ方がいい。有休もまだあるだろ?」
龍也くんも笑顔でそう言ってくれる。
2人の気持ちが嬉しくて、俺も笑顔になったけれど―――
「渉くん、何その顔?」
2人の横で、なぜか微妙な顔で黙っている渉くん。
何か言いたそうな―――
「いやだって・・・・悠太には無理してほしくないけど、会えないのは嫌だし・・・・」
ぶつぶつ言いながら腕を組む渉くんに、イチと龍也くんが呆れた顔をする。
「あなたね、子供じゃないんだから」
「そうだよ。俺らだって悠太に早く会いたかったのに今日は仕事終わるまで我慢してたってのに―――」
「わかってるよ。それに、悠太には悪いことしたと思ってるし」
「え?悪いことって、何が?」
俺が驚いて聞くと、渉くんはちょっと眉を下げて俺を見た。
「悠太が熱出したのって・・・・俺らのせいじゃない?俺らに告白されて、すげえ悩んだんじゃない?それで―――」
「渉くん・・・・」
「それで、階段からも落ちちゃって・・・・打ち身で済んだからいいっていうけど・・・・もし悠太に何かあったら、俺、きっと耐えらんない」
渉くんの言葉に、イチと龍也くんはちょっとはっとしたように顔を見合わせた。
「好きだから好きって言ったけど、でもそのせいで悠太が怪我でもしたらって考えたら・・・・ごめんな、悠太」
「そんなこと・・・・」
「悠太にはいつだって笑っててほしいし元気でいてほしい。俺らのせいで悩んだり、具合悪くなったり・・・・そんなのは、嫌だ。そんな想いをさせるくらいなら俺は・・・・悠太と付き合えなくてもいいよ」
淡々と、穏やかにそう話す渉くんは、とても真剣で、なんだかすごく大人に見えて―――
俺は、なんだか胸が熱くなるのを感じていた・・・・。
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