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第16話
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「ただいま~」
夜の10時を過ぎたころ、瑞希が帰ってきた。
服を着替え、あのボストンバッグを手に持っていた。
今まではずっと海斗や俺の服を適当に選んで着ていたのだが、今は明るいピンクのヒョウ柄のボアブルゾンに膝に穴の開いただいぶ履き古したジーンズを履き、かなり見た目は派手だった。
「・・・・それ、お前の服?」
海斗の言葉に瑞希はにっこりと笑った。
「そ。いつまでも2人の服を借りるわけにいかないからね。友達に頼んで家から持ってきてもらったの」
「友達・・・・」
あのサングラスのおっさんが?
「そのバッグに服が入ってるのか?」
「そう。まあ後はパソコンとかもろもろ必要なもの―――と、これ」
そう言って瑞希はバッグの開け、中からちょっと古ぼけたカラフルなカエルのぬいぐるみを取り出した。
「これ!トミー!」
「・・・・とみー・・・・?」
トミーのオレンジ色の目がこっちを見ている・・・ように見えた。
「物心ついた時からこいつと一緒だったからさ、ようやくこれで落ち着いた!」
満足そうに笑うと、瑞希はそのぬいぐるみをソファーに座らせた。
「今日は、その友達と会ってたのか?」
俺が聞くと、瑞希はソファーに腰を下ろし頷いた。
「そ。そのまま友達とちょっと遊んでたら遅くなっちゃった。2人は?どっか遊びに行かなかったの?」
俺は海斗とちらりと視線を交わした。
「俺らは別に・・・・」
「用事もないし。家にいたよ」
「せっかくの日曜日なのに?もったいないなあ。じゃ、今度俺とデートしよ」
にこっと笑う瑞希になんだか気が抜ける。
「ずいぶんご機嫌じゃん。今日はその友達とデートだったんだ?」
海斗が瑞希をじろりと睨む。
「なに海斗くん、怖い顔して」
そう言いながらも瑞希は特に怖がる様子もなく肩をすくめた。
「別に俺は・・・・またその友達とデートするのかと思ったんだよ。俺たちと遊ぶ暇なんてないだろ」
「・・・その友達とはデートする関係じゃないし。せっかく休みの日にデートするなら2人みたいなイケメンがいいもん―――で、今日はどっちがお風呂手伝ってくれる?」
瑞希はまたぴょんと立ち上がると、海斗の腕を掴んだ。
とたんに海斗の頬が赤く染まる。
「昨日は兄ちゃんだったから俺、だけど・・・・」
「じゃ、行こ、海斗くん。楽しもうね」
海斗の手を取り楽しそうに風呂場へ向かう2人の背中を、俺はなんとなく目で追った。
楽しそうなのは瑞希だけだったけど。
それでも海斗の真っ赤な耳を見れば海斗の心中が分かるというもので・・・・。
なんとなく思ってはいたんだ。
海斗は―――
瑞希のことが、好きなんだ・・・・。
夜の10時を過ぎたころ、瑞希が帰ってきた。
服を着替え、あのボストンバッグを手に持っていた。
今まではずっと海斗や俺の服を適当に選んで着ていたのだが、今は明るいピンクのヒョウ柄のボアブルゾンに膝に穴の開いただいぶ履き古したジーンズを履き、かなり見た目は派手だった。
「・・・・それ、お前の服?」
海斗の言葉に瑞希はにっこりと笑った。
「そ。いつまでも2人の服を借りるわけにいかないからね。友達に頼んで家から持ってきてもらったの」
「友達・・・・」
あのサングラスのおっさんが?
「そのバッグに服が入ってるのか?」
「そう。まあ後はパソコンとかもろもろ必要なもの―――と、これ」
そう言って瑞希はバッグの開け、中からちょっと古ぼけたカラフルなカエルのぬいぐるみを取り出した。
「これ!トミー!」
「・・・・とみー・・・・?」
トミーのオレンジ色の目がこっちを見ている・・・ように見えた。
「物心ついた時からこいつと一緒だったからさ、ようやくこれで落ち着いた!」
満足そうに笑うと、瑞希はそのぬいぐるみをソファーに座らせた。
「今日は、その友達と会ってたのか?」
俺が聞くと、瑞希はソファーに腰を下ろし頷いた。
「そ。そのまま友達とちょっと遊んでたら遅くなっちゃった。2人は?どっか遊びに行かなかったの?」
俺は海斗とちらりと視線を交わした。
「俺らは別に・・・・」
「用事もないし。家にいたよ」
「せっかくの日曜日なのに?もったいないなあ。じゃ、今度俺とデートしよ」
にこっと笑う瑞希になんだか気が抜ける。
「ずいぶんご機嫌じゃん。今日はその友達とデートだったんだ?」
海斗が瑞希をじろりと睨む。
「なに海斗くん、怖い顔して」
そう言いながらも瑞希は特に怖がる様子もなく肩をすくめた。
「別に俺は・・・・またその友達とデートするのかと思ったんだよ。俺たちと遊ぶ暇なんてないだろ」
「・・・その友達とはデートする関係じゃないし。せっかく休みの日にデートするなら2人みたいなイケメンがいいもん―――で、今日はどっちがお風呂手伝ってくれる?」
瑞希はまたぴょんと立ち上がると、海斗の腕を掴んだ。
とたんに海斗の頬が赤く染まる。
「昨日は兄ちゃんだったから俺、だけど・・・・」
「じゃ、行こ、海斗くん。楽しもうね」
海斗の手を取り楽しそうに風呂場へ向かう2人の背中を、俺はなんとなく目で追った。
楽しそうなのは瑞希だけだったけど。
それでも海斗の真っ赤な耳を見れば海斗の心中が分かるというもので・・・・。
なんとなく思ってはいたんだ。
海斗は―――
瑞希のことが、好きなんだ・・・・。
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