【完結】子猫のいる生活

菊花

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三人の出会い

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朝食を終えて、片付けが終わるとリビングのテーブルに座る。
正面には子供が二人、頭には猫耳、腰からは尻尾が生えている。
見た目は5歳くらい、
右の子は茶色の髪で肩まで伸びている、耳と尻尾も髪と同じ茶色だ、目は黒。
左の子は黒髪で耳と尻尾も同じ、髪はもう一人の子と同じで肩まで伸びている、目は同じく黒
耳が無ければ人間の子供と見分けがつかない。

「それで、お前らは昨日の子猫だという事か?」

二人は首を縦に振る。

「もしそうだとして、どうやって猫が人になったんだ?。」
「わからない、おきたらなってた」
「わからないか、お前ら自身が分からないなら俺も分からんわ。」
「ごめんなさい」
「いや、怒ってるわけじゃないから謝らなくていいんだけど。」
「うん」
「ところで元の子猫に戻れないのか?」
「わからない」

そこまで話すと二人は泣きそうな顔になる。

「別に責めたり怒ったりしてるわけじゃないから泣かなくていいんだけど。」
「またすてられる」
「捨てる?、お前らを?、何で捨てないといけないんだ?」
「だって、こまったかおしてる、」
「ああ、これは俺は結婚もしてないし身近に子供いたことないからな、それでどう育てたらいいのかわからなくてな。」
「「すてない?」」
「昨日の時点でお前らを飼う、そして幸せにしてやるって決めたからな、そう決めた以上、捨てる事はない、それにあの子猫はお前らなんだろ?」
「「ありがとう」」

それだけ言うと二人は泣き出してしまう。
どうしたらいいのか分からず近づきつつもオロオロしていると、二人は俺の足にしがみつきもっと泣き出してしまった。
俺はしゃがんで二人の頭に手を置き、顔を見ながら話しかけた。

「とりあえず自己紹介からかな、俺は達也だ、お前らの名前は何ていうんだ?名前判らないと困るだろ。」
「「ない」」
「無いのか、そうだな~。」

名前がないというので考えることにした。

「よし、茶髪のほうは茶羽さうで、黒髪のほうは黒羽くうでどうだ?」

数分悩んでそう告げると二人はお互いを指さし

「さう」
「くう」

とお互いの名前を言い合っていた、そして二人で俺を指さし、

「「たつや」」

とよんだ、その顔は笑顔になっていた、『良かった泣き止んでくれたよ』と喜びながら返事をする。

「お、おう、おぼえたか?」
「「うん、ありがと」」
「そっか、じゃあこの後の事話そうか。」
「「このあと?」」

二人は首を傾げながら聞いてくる。

「そうだ、茶羽と黒羽は子猫に戻れないなら、人として生活していかないといけないからな、人としての常識を覚えないとだめなんだぞ。」
「「わかった、おぼえる」」
「よしいい子だ。」

二人の頭をなでながらほめると尻尾がゆらゆら揺れているのが見える。
この耳と尻尾をどうにかしないとな、だがその前にどうにかしないとだめなものがある。
ぱっと見ひざ丈のワンピースに見えないことはないけれど、さすがにいつまでも俺のTシャツで居るわけにはいかないからな。

「よし、茶羽と黒羽の着る物とか必要な物を揃えようか。」

俺の言葉に二人が首を傾げるので、パソコンの前に行き二人に手招きする。
そして二人を膝の上に乗せ、大手通販サイトでいろいろ服を選んでいく。
そこで二人の服のサイズが分からないことに気づく、そしてネットで『子供服のサイズの選び方』を検索すると、子供服は大人と違い身長で選ぶと書いていた。
二人にリビングの壁に背中を付けて立ってもらい三角定規で印をつけてスケールで身長を測る、その後足のサイズも測った。
「これでサイズは大丈夫だな」とつぶやきパソコンに戻る
サイズも分かったので、ワンピースを中心に選んで色違いを数十着づつ選びカートに入れる、肌着も上下十枚づつほど選んで、靴は1足づつカートに入れていく。
他にも学習ノートや学習ドリル、他にも絵本や子供向けの本、生活用品も二人同じものを色違いで選んでいく。
そして決済が終わり時計を見ると、14時になろうかという時間になっていた。

「お昼すぎちゃったな、どうするか。」
「「おなかすいた」」
「そうだな、何か買って来るか。」
「「いく~」」
「じゃあ買い物行くか。」
「「うん」」

そういうと俺はパジャマを着替えて車のカギを持って玄関に来て気づく。

「そう言えばまだ二人の靴がない、それにその格好で外は大丈夫だろうか。」

そこまで考えたが、ちょっと離れたショッピングモール行けばとりあえずで揃えられるかと思い、二人を抱き上げ車の後部座席に乗せてシートベルトを付ける、三点ベルトだったので斜めの部分が顔にかかってしまうので腰の部分だけで固定して斜めの部分は背中に回す。
『これでよし』と俺は運転席に座り、後ろを振り返ると二人に向かって説明する。

「まずは着いたら車の中で待っててくれるか?靴と服買ってくるからそしたらご飯食べに行こう。」
「「わかった、まってる」」
「よしいい子だ、さあ出発だ。」
「「しゅっぱ~つ」」

二人の掛け声で俺の運転する車は少し離れたショッピングモールに向かい走り出す。
走ってる間、窓の位置が高いのか「窓から空しか見えない」と二人は不満たらたらだった。
外の景色を楽しみにしていた二人にとってはとっても重要な事なんだろう。
そんな抗議を聞きながら『チャイルドシートも買わないとな。』と笑いながら頭の中の買い物リストに追加していくのであった。

ショッピングモールに着くと車を駐車場に止めて、

「少し待っててな、絶対車から出ちゃだめだからな、二人だけだと危ない目に合うからな。」

と念を押して急いで子供用品のフロアに向かった。


フロアに着くと右に子供服や靴の売り場が見えた、女児向けの服や靴が売っている所に行く。
そしてサイズを確認しながら二着を色違いで選んで靴も色違いで二足選び、レジに向かう。
会計を済まして商品を受け取ると、駆け足で車に戻った。

「茶羽、黒羽、おまたせ、これに着替えてこの靴はいて。」

シートベルトを外してあげて、二人の着替えを手伝って靴を履かせると、二人は車から降りて辺りをキョロキョロと見ている。
『やばいまともな服着ると二人とも可愛い』と笑顔になってしまう。

「迷子にならないようにしっかりつかまってるんだよ。」
「「はーい」」

右に茶羽、左に黒羽、手を繋ぎながらショッピングモールに入っていく。





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