【完結】子猫のいる生活

菊花

文字の大きさ
14 / 18

茶羽と黒羽の帽子

しおりを挟む

いつもの朝、いつものお手伝い、いつもの勉強。
そしていつも家の中に響いている茶羽さう黒羽くうの笑い合う声と走り回る足音。
二人が来てから俺の生活も変わった、今までは特に何かするわけではなくのんびりしては、健治の会社で人手が必要な時だけ働く生活だった。
二人が来てからは、何よりも二人を中心になっていた。
そんな生活も今日で三ヵ月になる。

などと考えていたら、茶羽と黒羽が俺の顔を覗き込んでいるのに気づく。

「「どうしたの?」」
「いや、茶羽と黒羽が来て今日で三ヵ月になるんだなって。」

そう言うと二人は俺の頭をなでてきた、お返しだと二人をなでるとキャッキャと楽しそうに笑う。
するとスマホが鳴る、ショッピングモールの服飾雑貨屋さんからだった。

「はい大空です。」
「突然のお電話すいません。」
「どうしました?」
「実は先日サイズを測らせていただいた帽子ができたので、お知らせしようかと。」
「はい、では明日にでもお店に行きます。」
「わかりました、お待ちしていますね。」

そう言うと通話を切る。

「茶羽、黒羽、前に頭測った時の帽子ができたって、明日取りに行こう。」
「「わーい」」

二人は早く明日になれ~と喜んでいた。

「明日はお昼から行って、帽子取りに行って、いつもの和食屋さんでご飯食べような。」
「「おさかな~」」


翌日、いつもの朝を迎えお手伝いを終えて勉強をしているが、茶羽と黒羽は帽子を取りに行くという事に気を取られて勉強は上の空だった。
時計を見ると11時になっていた。

「ちょっと早いけど、今から行くか。」
「「はーい」」

二人はいつものポシェットを取りに二階に走っていこうとする。

「行く前にドリルとノート片付けてからな。」
「「はーい」」

ドリルとノートを本棚に片付けると二階に走っていく。
二人が階段を降りてくる音が聞こえると俺も玄関に向かう。
車に乗るといつものように二人の「しゅっぱーつ」の掛け声に合わせて車を出す。

いつもの道は工事をしていたようで渋滞していた、ルームミラーを見るとなかなか進まない状態に窓の外をチラチラ見ている二人がいた。

今日は混んでるな、次の交差点で裏道行くか、と考え交差点で左折していつもは通らない裏道を進む、いつもと違う景色に二人は窓の外に夢中になっていた。
普段なら1時間もかからない距離だったのだが、今日は駐車場も混んでいて車を止めるのに2時間近くかかってしまった。

「お腹すいたろ、先にご飯にしようか。」
「「ごはん」」

二人の手を取りショッピングモールの入り口に向かう。
ショッピングモールに入ると二人に手を引っぱられながらレストラン街に着くと、先にトイレに行ってから和食屋さんに向かう。
和食屋さんに着くと昼を過ぎているからか、お客さんはまばらですぐ席に案内された。
焼き魚定食を3つ頼み来るのを待つ。
今日も骨を取ってほぐしてある焼き魚定食が来る、三人で「いただきます」と食べ始める。
茶羽と黒羽もがつがつと勢いよく食べなくなり、静かにゆっくりと噛んで食べるようになっていた。
それを見て二人も成長してるんだなと微笑みながら俺も食べる。

食事を終えると会計を済まし、茶羽と黒羽の手を引いて今日の目的の服飾雑貨屋に向かう。
お店に着くと犬人いぬひと猫人ねこひとを連れた人たちで混んでいた。
二人に「絶対手を離すなよ」と伝えて店に入る。
俺たちに気づいたオーナーが人混みをかき分けて声をかけてきた。

「大空さんお待ちしてました、こちらにどうぞ。」

そういうとカウンター奥のドアに案内される、関係者以外立ち入り禁止と書いてあるドアを抜けると、従業員の休憩と商品置き場にしてるのかテーブルがある奥の壁際に箱が積んである部屋に案内される。

「こんな場所ですいません。」
「いえいえ、お店ずいぶんと賑わってますね。」
「はい、犬人猫人用帽子が珍しくテレビで紹介されて、なにぶんオーダーメイドなので数が作れないのですが、予約とサイズを測りに来る方が増えまして。」

オーナーさんはそう言うと二つの帽子を出してきた、茶羽と黒羽に似合いそうな色でかわいいキャスケット帽だった。

「サイズは合うと思いますが、試着していただいていいですか?」

二人に帽子をかぶせて、最初見せられた時には見えなかった切り込みが入っているのに気づいた、耳を切り込みから出すと、

「お耳は大丈夫?痛くない?」
「「だいじょうぶ」」
「よかった、二人とも似合っててかわいい」

確かに二人に似合ってる。

「ありがとうございます。」
「後色違いでもう一つづつあるんです、これもどうぞ。」
「え、いや、二つ目は購入しますよ。」
「えっと、それなんですけど、もしよろしければですがサイトの商品画像に使いたいので、モデルとして写真撮らせていただけないですか?そのお礼というのでは駄目でしょうか?あ、載せるのは帽子だけですのでお二人だとは分からないようにしますので。」
「俺より二人に聞いてみてください、茶羽と黒羽はどうする?」

二人に聞くとちょっと考えた後、

「さうはいいよ」
「くうもいいよ」
「二人も良いらしいのでいいですよ。」
「ありがとうございます、では早速。」

そう言うと棚の奥からカメラを取り出してくる。
壁際に椅子を置いて二人を座らせて、角度を変えて数枚撮ると、写真を見せてくれた。

「こんな感じで、載せるときは目の上辺りで切ります。」
「茶羽、黒羽、見てみなかわいく撮れてるよ。」

結構かわいく撮れていたので二人にも見せると嬉しそうに笑っていた。

「あのもしよかったらこの写真頂けませんか?」
「それでは、後日プリントアウトしてご自宅にお送りさせていただきます。」
「ありがとう。」
「いえこちらこそ色々とお願いしてしまって、すいませんです。」

オーナーさんはもう一つの帽子を袋に入れてくれて、お店へのドアを出ると、また新作が出来たらご連絡させていただきます、とお辞儀して送ってくれた。
お店を出るときに他のお客さんから、二人はじろじろ見られて口々にあの帽子かわいいと言われていた、恥ずかしいのか俺にしがみついて隠れようとしていた。
宣伝効果も抜群だなと思いながらお店を後にする。

店を出てから二人はちょっと疲れた顔をしていたので自販機でジュースを買ってソファーで休憩することにした。

「大丈夫?、つかれたか?、少し休んだら帰ろうか。」
「「うん」」

ソファーで座っていても道行く人からあの子たちかわいいと言われてはじろじろみられていた、さすがにここだと目立って休めないかと思い、

「車で休むか。」

そう言うと二人の手を取り駐車場に向かった。







しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

王宮メイドは今日も夫を「観察」する

kujinoji
恋愛
「はぁぁ〜!今日も働くヴィクター様が尊すぎる……!」 王宮メイドのミネリは、今日も愛しの夫ヴィクターを「観察」していた。 ヴィクターが好きすぎるあまり、あますところなく彼を見つめていたいミネリ。内緒で王宮メイドになり、文官である夫のもとに通うことに。 だけどある日、ヴィクターとある女性の、とんでもない場面を目撃してしまって……? ※同じものを他サイトにて、別名義で公開しています。

異世界でまったり村づくり ~追放された錬金術師、薬草と動物たちに囲まれて再出発します。いつの間にか辺境の村が聖地になっていた件~

たまごころ
ファンタジー
王都で役立たずと追放された中年の錬金術師リオネル。 たどり着いたのは、魔物に怯える小さな辺境の村だった。 薬草で傷を癒し、料理で笑顔を生み、動物たちと畑を耕す日々。 仲間と絆を育むうちに、村は次第に「奇跡の地」と呼ばれていく――。 剣も魔法も最強じゃない。けれど、誰かを癒す力が世界を変えていく。 ゆるやかな時間の中で少しずつ花開く、スロー成長の異世界物語。

処理中です...