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第四十九話 貴族はとにかく面倒くさい
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豪華な客室で一夜を明かした私たちは、ノルディア公爵家の食堂に案内された。
朝から豪華な食事がずらっと並んでいて、流石公爵家だと逆に緊張で胃が痛くなりそうだ。
「あうあう」
「ウォン!」
一足先に食事を終えたシルバとスラちゃんは、フレイヤ様の兄であるノルディア公爵の嫡男夫婦の赤ちゃんの相手をしていた。
まだハイハイで移動してつかまり立ちが辛うじてできるくらいだけど、シルバはそんな事を全く気にせずに新しい友達ができたと喜んでいた。
スラちゃんが赤ちゃんの様子を見ていたけど、当の赤ちゃんはシルバの毛並みを触ってみたり抱き着いたり大興奮だった。
「ここまで良くして頂き、本当に申し訳ありません」
「あら、このくらいは全然問題ないわよ。昨日も言ったけど王家からの要請だし、こうして孫の相手もしてくれるのだから全く問題ないわ」
ノルディア公爵夫人は、私の謝罪に全く問題ないとニコリとしていた。
人懐っこいシルバの性格が、ここでは生きていたみたいだ。
「それに、リンと親しいということは王家と軍との関係にも影響してくるわ。更にあの四家をリンが倒したとなると、保護した我が家の評価も高まるのよ」
フレイア様がノルディア公爵夫人の言葉に続いたけど、貴族って本当に面倒くさい生き物です。
とはいえ、協力してくれる貴族家がいるっていうのはとてもありがたいし、ここは素直に保護されることにした。
すると、朝食の終わりにノルディア公爵夫人がとんでもない事を言ってきた。
「グローリー公爵家がリンにドレスをプレゼントしたのだから、我が家も何かリンにプレゼントしないといけないわね」
「えっ、あの、その、保護して頂いているだけで十分です」
「リン、これも貴族家としての宿命よ。あの貴族家はこういうプレゼントをしたのに、この貴族家はプレゼント一つしないと影口を叩かれるのよ。それに、フレイアがリンに世話になっているし、何も問題はないわ」
うーん、更に貴族家の面倒くさいところを知ってしまった。
断れる雰囲気じゃないので、ドレス作りをお願いする事にした。
なお、今日は軍の施設で治療を行うのだが、どんなことをするのかフレイア様がついてくることになった。
私達は、準備を整えて手続きの為に冒険者ギルドに向かったのだった。
「ふふふ、これで私も冒険者なのね。いつか冒険者登録をしてみたいと思っていたのよ」
フレイア様は、私が今日の手続きをしている間にちゃっかりと冒険者登録をしていた。
フレイア様も魔法が使えるらしいが、攻撃魔法がメインなので今日の治療には適さない。
それでも、フレイア様は手伝いをするとやる気をみせていた。
馬車に乗って冒険者ギルドから軍の施設に着くと、やはりというかアメリアさんとルーカス様とアーサー様が私達の事を待っていた。
「リンさん、体調は大丈夫ですか? あの令嬢は、本当に心ないことを平気で言いますので……」
「私も、あの四人と家族には本当に辟易している。権力に群がるハイエナみたいな存在だから、そのハイエナの視線がリンに向いてしまったのだよ」
「まあ、リンがその四人の馬鹿をボコボコにしなかったのは良かったな。それに、リンを脅迫した程度ではあの馬鹿の家への強制捜査はできない。悩ましいものだ」
うん、何だかアメリアさん、ルーカス様、アーサー様は私の事を心配してくれているのは分かるが、色々と例えが酷すぎます。
私の横にいるフレイヤ様が、思わず笑いを堪えているではありませんか。
特にアーサー様の話は酷いけど、私はあの場面は怒りよりも呆れの方が強かったもんな。
殴り飛ばすとかは、全く考えていなかった。
「いずれにせよ、リンの事は毎回馬車で送る事にしよう。単独での薬草採取も禁止し、軍の行軍の際に薬草を集めて貰おう。恐らく、兄上とアメリアの結婚式の際に色々と決着しそうだ」
ルーカス様の方針に、私達は従わざるを得なかった。
それこそ私のことをあの四家のものが襲撃してきたら速攻で強制捜査になるけど、それは私が危険な目にあうので却下された。
というか、前に私が襲撃された時と同じように襲撃者をボコボコにするのではという逆の懸念もあったけど。
とにかく、私の周辺の警備はかなり強化されることになった。
なってしまったといった方が正しいのかも。
「じゃあ、私は軍の司令部で執務を行っている。何かあったら、直ぐに連絡してくれ」
「あと、軍の連中はリンに恩があるのもあってリンに同情的だ。あの四家の事を嫌っているって事もあるがな」
ルーカス様とアーサー様は、私に注意する様に伝えて足早にこの場を去って行った。
軍の兵が私に同情的なのはありがたいし、少なくとも軍の施設にいる間は安全を確保できそうだ。
何よりも、今日はフレイア様も一緒なので護衛の兵がいつも以上に多かった。
「じゃあ、早速軍の治療施設に向かうわよ。ふふふ、今日は楽しい事になりそうだわ」
「ウォン、ウォン!」
「あはは……」
アメリア様と側にいるシルバが、もの凄いやる気をみせていた。
一人と一匹が張り切りすぎないかなと、私は少し不安になってしまった。
しかし、実際に病棟に向かうとフレイア様はシーツを替えるなど頑張ってお手伝いをしていた。
普段やる事のない作業に、フレイア様もかなり楽しそうだった。
フレイア様は昼食も食堂で普通に食べていて、兵とも仲良く話をしていた。
フレイア様のコミュニケーション能力の高さに、私もアメリア様もかなり関心していたのだった。
朝から豪華な食事がずらっと並んでいて、流石公爵家だと逆に緊張で胃が痛くなりそうだ。
「あうあう」
「ウォン!」
一足先に食事を終えたシルバとスラちゃんは、フレイヤ様の兄であるノルディア公爵の嫡男夫婦の赤ちゃんの相手をしていた。
まだハイハイで移動してつかまり立ちが辛うじてできるくらいだけど、シルバはそんな事を全く気にせずに新しい友達ができたと喜んでいた。
スラちゃんが赤ちゃんの様子を見ていたけど、当の赤ちゃんはシルバの毛並みを触ってみたり抱き着いたり大興奮だった。
「ここまで良くして頂き、本当に申し訳ありません」
「あら、このくらいは全然問題ないわよ。昨日も言ったけど王家からの要請だし、こうして孫の相手もしてくれるのだから全く問題ないわ」
ノルディア公爵夫人は、私の謝罪に全く問題ないとニコリとしていた。
人懐っこいシルバの性格が、ここでは生きていたみたいだ。
「それに、リンと親しいということは王家と軍との関係にも影響してくるわ。更にあの四家をリンが倒したとなると、保護した我が家の評価も高まるのよ」
フレイア様がノルディア公爵夫人の言葉に続いたけど、貴族って本当に面倒くさい生き物です。
とはいえ、協力してくれる貴族家がいるっていうのはとてもありがたいし、ここは素直に保護されることにした。
すると、朝食の終わりにノルディア公爵夫人がとんでもない事を言ってきた。
「グローリー公爵家がリンにドレスをプレゼントしたのだから、我が家も何かリンにプレゼントしないといけないわね」
「えっ、あの、その、保護して頂いているだけで十分です」
「リン、これも貴族家としての宿命よ。あの貴族家はこういうプレゼントをしたのに、この貴族家はプレゼント一つしないと影口を叩かれるのよ。それに、フレイアがリンに世話になっているし、何も問題はないわ」
うーん、更に貴族家の面倒くさいところを知ってしまった。
断れる雰囲気じゃないので、ドレス作りをお願いする事にした。
なお、今日は軍の施設で治療を行うのだが、どんなことをするのかフレイア様がついてくることになった。
私達は、準備を整えて手続きの為に冒険者ギルドに向かったのだった。
「ふふふ、これで私も冒険者なのね。いつか冒険者登録をしてみたいと思っていたのよ」
フレイア様は、私が今日の手続きをしている間にちゃっかりと冒険者登録をしていた。
フレイア様も魔法が使えるらしいが、攻撃魔法がメインなので今日の治療には適さない。
それでも、フレイア様は手伝いをするとやる気をみせていた。
馬車に乗って冒険者ギルドから軍の施設に着くと、やはりというかアメリアさんとルーカス様とアーサー様が私達の事を待っていた。
「リンさん、体調は大丈夫ですか? あの令嬢は、本当に心ないことを平気で言いますので……」
「私も、あの四人と家族には本当に辟易している。権力に群がるハイエナみたいな存在だから、そのハイエナの視線がリンに向いてしまったのだよ」
「まあ、リンがその四人の馬鹿をボコボコにしなかったのは良かったな。それに、リンを脅迫した程度ではあの馬鹿の家への強制捜査はできない。悩ましいものだ」
うん、何だかアメリアさん、ルーカス様、アーサー様は私の事を心配してくれているのは分かるが、色々と例えが酷すぎます。
私の横にいるフレイヤ様が、思わず笑いを堪えているではありませんか。
特にアーサー様の話は酷いけど、私はあの場面は怒りよりも呆れの方が強かったもんな。
殴り飛ばすとかは、全く考えていなかった。
「いずれにせよ、リンの事は毎回馬車で送る事にしよう。単独での薬草採取も禁止し、軍の行軍の際に薬草を集めて貰おう。恐らく、兄上とアメリアの結婚式の際に色々と決着しそうだ」
ルーカス様の方針に、私達は従わざるを得なかった。
それこそ私のことをあの四家のものが襲撃してきたら速攻で強制捜査になるけど、それは私が危険な目にあうので却下された。
というか、前に私が襲撃された時と同じように襲撃者をボコボコにするのではという逆の懸念もあったけど。
とにかく、私の周辺の警備はかなり強化されることになった。
なってしまったといった方が正しいのかも。
「じゃあ、私は軍の司令部で執務を行っている。何かあったら、直ぐに連絡してくれ」
「あと、軍の連中はリンに恩があるのもあってリンに同情的だ。あの四家の事を嫌っているって事もあるがな」
ルーカス様とアーサー様は、私に注意する様に伝えて足早にこの場を去って行った。
軍の兵が私に同情的なのはありがたいし、少なくとも軍の施設にいる間は安全を確保できそうだ。
何よりも、今日はフレイア様も一緒なので護衛の兵がいつも以上に多かった。
「じゃあ、早速軍の治療施設に向かうわよ。ふふふ、今日は楽しい事になりそうだわ」
「ウォン、ウォン!」
「あはは……」
アメリア様と側にいるシルバが、もの凄いやる気をみせていた。
一人と一匹が張り切りすぎないかなと、私は少し不安になってしまった。
しかし、実際に病棟に向かうとフレイア様はシーツを替えるなど頑張ってお手伝いをしていた。
普段やる事のない作業に、フレイア様もかなり楽しそうだった。
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フレイア様のコミュニケーション能力の高さに、私もアメリア様もかなり関心していたのだった。
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