74 / 87
第七十四話 さっそくダンスの訓練です
しおりを挟む
結局軍の施設での治療は午前中のうちに終えてしまい、私たちはやることが無くなってしまった。
なので、早めにノルディア公爵家に戻って早めに社交ダンスの練習をすることになった。
講師がノルディア公爵家にやって来る時間は午後からで変更がないので、それまでにある程度の基本動作を身に着けることになった。
アメリアさんも一緒に来てくれることになったが、正直なところかなりありがたい。
「お帰り、かなり早かったわね」
「ウォン!」
ノルディア公爵家に着くと、ちょっとビックリしたフレイア様が私たちを出迎えてくれた。
アメリアさんも同行していたので、何かあったのではと思ってしまったようだ。
先ずは応接室に移動して話をする事になった。
「はあ、もう負傷兵全員の治療を終えてしまったと。ついでだから、早めに社交ダンスの練習をしてしまおうとはね」
紅茶に口を付けつつ、フレイア様がちょっと呆れながら感想を口にしていた。
とはいえ、仕事をサボった訳ではないので何も問題はない。
「スラちゃんも、もう大魔法使いと言っていいわね。下手な軍の魔法兵では相手にならない強さになったわ」
「でも、本当にスラちゃんは凄いと思いますわ。治療もとても上手ですし、今日も大活躍でしたわよ」
そして、話はもの凄くパワーアップしたスラちゃんの話になった。
美女二人から手放しで褒められ、スラちゃんは触手で照れているポーズを取っていた。
もはや、その所作自体がスライム離れしているけど。
シルバもお利口に座っていて、お菓子のクッキーを美味しそうに食べていた。
シルバが軍の施設で行なったのはアメリアさんの護衛だけだけど、アメリアさんも今や王子妃となったのでかなりの重要人物なんだよなあ。
「では、折角だからホールに移動しましょう。今日の訓練もホールで行うから、感覚が掴みやすいはずよ」
「ウォン!」
フレイア様が席を立つと、シルバも私を急かすように立ち上がった。
私とアメリアさんは、少し顔を合わせてくすりとしてから席を立ち上がったのだった。
「改めて見たけど、やはりノルディア公爵家のホールはかなり広いなあ……」
「ウォン、ウォン!」
ノルディア公爵家でパーティーなどが行われるホールは、体育館なのかってくらい広い。
シルバの声が響いて聞こえそうなくらいだ。
「リンは王城の大部屋に行ったことがあるだろうけど、こういうのは本番に近い形で訓練した方がいいわ」
フレイア様の言う通り、アーサー様とアメリアさんの結婚式などで王城の大部屋に行ったことがある。
しかし、テーブルなどが設置してあったので、視覚的に狭く感じた。
本番は、たくさんの貴族がルーカス様の為に集まるという。
「ダンスには何種類かあるけど、貴族が集まるところで行われるのはワルツが殆どね。だから、基本ステップと基本姿勢を覚えてワルツの基本動作を覚えれば何とかなるわよ」
フレイア様曰く、殆どの貴族はワルツしか踊れないそうです。
そういう意味では、かなりホッとしたところがあった。
これで何種類ものダンスを覚えなければならないなんてなったら、絶対に覚えられない自信があった。
因みに、アメリアさんもフレイアさんも複数のダンスが踊れるという。
正直尊敬でしかない。
「背筋を伸ばして、姿勢よくするのがダンスの基本です。最初は慣れないかもしれませんが、がんばってやってみましょう」
アメリアさんの合図で、さっそくダンスの練習が始まった。
二人とも熱心に分かりやすく指導してくれたので、とてもありがたかった。
二人の熱意に負けないように、私も必死になって二人についていった。
「ワフー」
途中からシルバは飽きてしまって伏せの姿勢になっていたが、スラちゃんは触手を出してダンスのマネをしていた。
こうして、昼食までの短い時間をダンスの練習で費やしたのだった。
「はあはあ、中々難しいです……」
私は、荒い息を整えながらペタリと座り込んでいた。
戦闘などと違って、本当に大変な訓練だった。
「リンさんは身のこなしが軽いので、基本動作を覚えるのもあっという間ですね」
「元の運動神経が良いからなのか、軽やかに踊るわね」
何とかアメリアさんとフレイア様から午前中の訓練は合格点を貰えた。
いきなり講師から社交ダンスを習うよりも、基本動作だけでも触れて本当に助かった。
後は、ルーカス様に恥をかかせないためにも本気で社交ダンスの訓練をしないと。
多くの人が支えてくれているのが本当にありがたいし、幸せなことなんだと改めて感じたのだった。
なので、早めにノルディア公爵家に戻って早めに社交ダンスの練習をすることになった。
講師がノルディア公爵家にやって来る時間は午後からで変更がないので、それまでにある程度の基本動作を身に着けることになった。
アメリアさんも一緒に来てくれることになったが、正直なところかなりありがたい。
「お帰り、かなり早かったわね」
「ウォン!」
ノルディア公爵家に着くと、ちょっとビックリしたフレイア様が私たちを出迎えてくれた。
アメリアさんも同行していたので、何かあったのではと思ってしまったようだ。
先ずは応接室に移動して話をする事になった。
「はあ、もう負傷兵全員の治療を終えてしまったと。ついでだから、早めに社交ダンスの練習をしてしまおうとはね」
紅茶に口を付けつつ、フレイア様がちょっと呆れながら感想を口にしていた。
とはいえ、仕事をサボった訳ではないので何も問題はない。
「スラちゃんも、もう大魔法使いと言っていいわね。下手な軍の魔法兵では相手にならない強さになったわ」
「でも、本当にスラちゃんは凄いと思いますわ。治療もとても上手ですし、今日も大活躍でしたわよ」
そして、話はもの凄くパワーアップしたスラちゃんの話になった。
美女二人から手放しで褒められ、スラちゃんは触手で照れているポーズを取っていた。
もはや、その所作自体がスライム離れしているけど。
シルバもお利口に座っていて、お菓子のクッキーを美味しそうに食べていた。
シルバが軍の施設で行なったのはアメリアさんの護衛だけだけど、アメリアさんも今や王子妃となったのでかなりの重要人物なんだよなあ。
「では、折角だからホールに移動しましょう。今日の訓練もホールで行うから、感覚が掴みやすいはずよ」
「ウォン!」
フレイア様が席を立つと、シルバも私を急かすように立ち上がった。
私とアメリアさんは、少し顔を合わせてくすりとしてから席を立ち上がったのだった。
「改めて見たけど、やはりノルディア公爵家のホールはかなり広いなあ……」
「ウォン、ウォン!」
ノルディア公爵家でパーティーなどが行われるホールは、体育館なのかってくらい広い。
シルバの声が響いて聞こえそうなくらいだ。
「リンは王城の大部屋に行ったことがあるだろうけど、こういうのは本番に近い形で訓練した方がいいわ」
フレイア様の言う通り、アーサー様とアメリアさんの結婚式などで王城の大部屋に行ったことがある。
しかし、テーブルなどが設置してあったので、視覚的に狭く感じた。
本番は、たくさんの貴族がルーカス様の為に集まるという。
「ダンスには何種類かあるけど、貴族が集まるところで行われるのはワルツが殆どね。だから、基本ステップと基本姿勢を覚えてワルツの基本動作を覚えれば何とかなるわよ」
フレイア様曰く、殆どの貴族はワルツしか踊れないそうです。
そういう意味では、かなりホッとしたところがあった。
これで何種類ものダンスを覚えなければならないなんてなったら、絶対に覚えられない自信があった。
因みに、アメリアさんもフレイアさんも複数のダンスが踊れるという。
正直尊敬でしかない。
「背筋を伸ばして、姿勢よくするのがダンスの基本です。最初は慣れないかもしれませんが、がんばってやってみましょう」
アメリアさんの合図で、さっそくダンスの練習が始まった。
二人とも熱心に分かりやすく指導してくれたので、とてもありがたかった。
二人の熱意に負けないように、私も必死になって二人についていった。
「ワフー」
途中からシルバは飽きてしまって伏せの姿勢になっていたが、スラちゃんは触手を出してダンスのマネをしていた。
こうして、昼食までの短い時間をダンスの練習で費やしたのだった。
「はあはあ、中々難しいです……」
私は、荒い息を整えながらペタリと座り込んでいた。
戦闘などと違って、本当に大変な訓練だった。
「リンさんは身のこなしが軽いので、基本動作を覚えるのもあっという間ですね」
「元の運動神経が良いからなのか、軽やかに踊るわね」
何とかアメリアさんとフレイア様から午前中の訓練は合格点を貰えた。
いきなり講師から社交ダンスを習うよりも、基本動作だけでも触れて本当に助かった。
後は、ルーカス様に恥をかかせないためにも本気で社交ダンスの訓練をしないと。
多くの人が支えてくれているのが本当にありがたいし、幸せなことなんだと改めて感じたのだった。
94
あなたにおすすめの小説
不遇スキル『動物親和EX』で手に入れたのは、最強もふもふ聖霊獣とのほっこり異世界スローライフでした
☆ほしい
ファンタジー
ブラック企業で過労死した俺が異世界エルドラで授かったのは『動物親和EX』という一見地味なスキルだった。
日銭を稼ぐので精一杯の不遇な日々を送っていたある日、森で傷ついた謎の白い生き物「フェン」と出会う。
フェンは言葉を話し、実は強力な力を持つ聖霊獣だったのだ!
フェンの驚異的な素材発見能力や戦闘補助のおかげで、俺の生活は一変。
美味しいものを食べ、新しい家に住み、絆を深めていく二人。
しかし、フェンの力を悪用しようとする者たちも現れる。フェンを守り、より深い絆を結ぶため、二人は聖霊獣との正式な『契約の儀式』を行うことができるという「守り人の一族」を探す旅に出る。
最強もふもふとの心温まる異世界冒険譚、ここに開幕!
最強ドラゴンを生贄に召喚された俺。死霊使いで無双する!?
夢・風魔
ファンタジー
生贄となった生物の一部を吸収し、それを能力とする勇者召喚魔法。霊媒体質の御霊霊路(ミタマレイジ)は生贄となった最強のドラゴンの【残り物】を吸収し、鑑定により【死霊使い】となる。
しかし異世界で死霊使いは不吉とされ――厄介者だ――その一言でレイジは追放される。その背後には生贄となったドラゴンが憑りついていた。
ドラゴンを成仏させるべく、途中で出会った女冒険者ソディアと二人旅に出る。
次々と出会う死霊を仲間に加え(させられ)、どんどん増えていくアンデッド軍団。
アンデッド無双。そして規格外の魔力を持ち、魔法禁止令まで発動されるレイジ。
彼らの珍道中はどうなるのやら……。
*小説家になろうでも投稿しております。
*タイトルの「古代竜」というのをわかりやすく「最強ドラゴン」に変更しました。
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……
タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。
銀狼の花嫁~動物の言葉がわかる獣医ですが、追放先の森で銀狼さんを介抱したら森の聖女と呼ばれるようになりました~
川上とむ
恋愛
森に囲まれた村で獣医として働くコルネリアは動物の言葉がわかる一方、その能力を気味悪がられていた。
そんなある日、コルネリアは村の習わしによって森の主である銀狼の花嫁に選ばれてしまう。
それは村からの追放を意味しており、彼女は絶望する。
村に助けてくれる者はおらず、銀狼の元へと送り込まれてしまう。
ところが出会った銀狼は怪我をしており、それを見たコルネリアは彼の傷の手当をする。
すると銀狼は彼女に一目惚れしたらしく、その場で結婚を申し込んでくる。
村に戻ることもできないコルネリアはそれを承諾。晴れて本当の銀狼の花嫁となる。
そのまま森で暮らすことになった彼女だが、動物と会話ができるという能力を活かし、第二の人生を謳歌していく。
追放された回復術師は、なんでも『回復』できて万能でした
新緑あらた
ファンタジー
死闘の末、強敵の討伐クエストを達成した回復術師ヨシュアを待っていたのは、称賛の言葉ではなく、解雇通告だった。
「ヨシュア……てめえはクビだ」
ポーションを湯水のように使える最高位冒険者になった彼らは、今まで散々ポーションの代用品としてヨシュアを利用してきたのに、回復術師は不要だと考えて切り捨てることにしたのだ。
「ポーションの下位互換」とまで罵られて気落ちしていたヨシュアだったが、ブラックな労働をしいるあのパーティーから解放されて喜んでいる自分に気づく。
危機から救った辺境の地方領主の娘との出会いをきっかけに、彼の世界はどんどん広がっていく……。
一方、Sランク冒険者パーティーはクエストの未達成でどんどんランクを落としていく。
彼らは知らなかったのだ、ヨシュアが彼らの傷だけでなく、状態異常や武器の破損など、なんでも『回復』していたことを……。
【完結】そして異世界の迷い子は、浄化の聖女となりまして。
和島逆
ファンタジー
七年前、私は異世界に転移した。
黒髪黒眼が忌避されるという、日本人にはなんとも生きにくいこの世界。
私の願いはただひとつ。目立たず、騒がず、ひっそり平和に暮らすこと!
薬師助手として過ごした静かな日々は、ある日突然終わりを告げてしまう。
そうして私は自分の居場所を探すため、ちょっぴり残念なイケメンと旅に出る。
目指すは平和で平凡なハッピーライフ!
連れのイケメンをしばいたり、トラブルに巻き込まれたりと忙しい毎日だけれど。
この異世界で笑って生きるため、今日も私は奮闘します。
*他サイトでの初投稿作品を改稿したものです。
【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜
るあか@12/10書籍刊行
ファンタジー
僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。
でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。
どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。
そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。
家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる