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第五話 冒険者ギルドへ
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すると、やれやれと言いながら男性が私の前に座った。
うん、目の前に超美男子が座っても、精神年齢三十路前の私なら耐えられるはずだ。
すると、いきなり男性は軽く頭を下げてきた。
「聴取を行った兵が失礼な質問を行ったみたいだ。代わりにはならないかと思うが、この通り謝罪する」
「あの、私は大丈夫ですから。顔を上げてください」
「ありがとう。後で、キチンと対処しよう」
男性は、配慮のできるとても親切な人だった。
超美男子な上に気配りまでできるなんて、ただ者ではないと直感で感じた。
すると、男性は私に簡単な質問をしてきた。
「では、二つだけ質問に答えてくれ。このオオカミの親がどれくらいの大きさなのかと、人の言葉を話したかだ」
「えっと、三メートルは超えるような大きなオオカミでした。それこそ、二メートルはあろうかという大熊を倒していました。あと、意外と渋い声で人の言葉を話していました」
「ふむ、そうか。それなら、直ぐに判別ができる。このオオカミは、幻獣フェンリルで間違いないだろう」
シルバが幻獣フェンリルなんていう大層な種族だなんて一瞬思ったけど、良く考えるとあの大きなオオカミは普通に人の言葉を話していたよなあ。
というか、幻獣フェンリルっていったいなんだろうか。
当のシルバも、フェンリルってなにって表情だった。
訳が分からない私に、男性は苦笑しながら答えてくれた。
「まあ、とても強い魔物って思ってくれればいいだろう。比較するなら竜だね」
「り、竜……そんな存在だなんて……」
「少なくとも、リンはそのフェンリルに認められた存在だ。この子も、リンのことを信頼しているように見える」
とんでもない比較対象にびっくりしたけど、とりあえずはどうにかなりそうだった。
当のシルバも私に体をスリスリしているし、目の前にいる男性に全く敵意を見せていなかった。
男性は納得したかのように頷き、部下に何かを指示していた。
そして、私にあるお願いをしてきた。
「私から二つリンにお願いがある。一つは、早急に冒険者ギルドで冒険者登録をして欲しい。冒険者登録する際に簡易的な真偽チェックを行うことになっていて、問題ないと思うが念の為にチェックしてもらいたい」
これには私も直ぐに納得しました。
聴取で私が嘘を言っている可能性があると思っているので、真偽を確認したいのもあるのでしょう。
「もう一つが、明日で良いから軍の詰所に来てくれ。王城の隣にあるから、直ぐに分かるはずだ。強力な従魔を従えているものは、軍で把握をしないといけない決まりになっている」
次も規則で決まっているなら仕方ないでしょう。
危険とまで思っていないが、相手はフェンリルの子どもなので万が一を考えてでしょう。
二つのことに了承し、この場はお開きになった。
「では、さっそく冒険者ギルドに向かおう。親フェンリルが倒したという大熊の毛皮を確認すれば、更に信頼度は上がる」
なんというか、目の前の超美男子は頭もとてもきれるらしい。
何でも兼ね備えた人って実在するんだと、改めて思ったのだった。
準備を整えたところで、私たちは男性とともに取調室を出た。
多くの兵が私たちを見ているが、先ほど私を聴取した兵の姿はどこにもなかった。
何かがあったのは想像に難くないが、気にしても仕方ないと切り替えた。
そして、男性とともに複数の兵と冒険者ギルドに向けて歩き出した。
町の地理がさっぱり分からないので、道案内をしてくれるのはとても助かった。
「ワフワフ」
シルバも町並みをキョロキョロと見ていたが、私も少し周囲を見回していた。
通りは多くの人が行き交い、市場にはたくさんの品物が売られていた。
パン屋さんからは焼けたパンの良い匂いが漂っていて、肉屋さんでは大きな肉を豪快に解体していた。
「とても活気のある町ですね。人々の声が楽しそうです」
「そう言って貰えると、この町を守るものとしてとても嬉しく思うよ。リンのように他の地域から来る人も多く、王都は毎年のように人が増えていっているよ」
私の横にいる男性は、少し誇らしげに話してくれた。
国の中枢たる王都なので、多くの人だけでなく貴族や王族の存在もあり軍の警備も大変だという。
それでも、こうして人々の為に働くのはある意味使命だと言った。
やっぱりこの超美男子は凄いなと感心しながら、目的地である冒険者ギルドに到着した。
石造りの三階建ての建物で、思った以上に大きな建物だった。
建物に入ると、一階は受付ブースと買取ブースに分かれていて、多くの冒険者が手続きを行っていた。
そんな中、兵が受付の奥に声をかけると直ぐに一人の女性がやってきた。
「ルーカス様、お待ちしておりました。個室にご案内いたします」
髪の毛を短く切り揃えて如何にも仕事ができますって感じの女性が、多数の冒険者がざわめく中で私たちを別室に案内した。
品の良い調度品が置かれている部屋で、応接セットのソファーに私と男性が隣同士で座った。
兵はソファーの後ろに立っている中、シルバはスラちゃんを頭に乗せながら私の隣に来てお座りのポーズをしていた。
すると、先ほどの女性が野球ボールくらいの小さな水晶玉みたいなものをテーブルの上に置いた。
その上で、私に一枚の紙を差し出した。
「それでは、これから冒険者登録を行います。こちらの申請用紙に必要事項を記入して、書き終わりましたら私に渡して下さい」
ということでカリカリと申請用紙に必要事項を書き込んでいくけど、普通に文字が分かるし書けるなと内心驚いていた。
普通に会話もできているし、転生した際に何かしらの言語能力を得たのかもしれない。
能力や使える魔法などを書く欄もあり、更にはどんな従魔を連れているかという欄もあった。
全て書き終え、申請用紙を女性に手渡した。
暫く女性は申請用紙のチェックをしていたが、今度はスキャナーみたいな道具に申請用紙を置いた。
意外と色々な機械があるんだなと、内心感心していた。
「それでは、この玉の上に手を乗せて下さい。少しビリビリしますが、玉から手を離さないで下さい」
女性に言われるがまま、私は水晶玉みたいなものの上に手を置いた。
ちょっとだけ静電気が走ったようなピリピリとした感覚の後、水晶玉みたいなものが淡く白く光った。
それを見た男性が、満足そうに深く頷いていた。
「はい、これで全てのチェックが終わりました。問題ありませんので、このまま登録を進めます」
女性は淡々と話した後、タブレット端末みたいなものを操作し始めた。
暫く作業がかかりそうなので、その間に私は男性に話しかけた。
因みに、シルバは暇になったのでお座りから伏せのポーズをしていた。
「この水晶玉みたいなものが、真偽判定をするものなんですね」
「リンは鋭いね。嘘をついたら赤く光る。冒険者といえども一つの職業だ、疑念が残るものを登録することはできない」
意外としっかりとした職業登録を行っていて、思わずびっくりしてしまった。
自営業以外は、ほぼ全てで真偽判定をしているという。
嘘発見器よりも高性能みたいだし、あのスキャナーみたいなものに情報を読み込ませればいいから汎用性もある。
これは魔導具という魔力を込めた道具らしく、魔法って凄いなと改めて感じたのだった。
うん、目の前に超美男子が座っても、精神年齢三十路前の私なら耐えられるはずだ。
すると、いきなり男性は軽く頭を下げてきた。
「聴取を行った兵が失礼な質問を行ったみたいだ。代わりにはならないかと思うが、この通り謝罪する」
「あの、私は大丈夫ですから。顔を上げてください」
「ありがとう。後で、キチンと対処しよう」
男性は、配慮のできるとても親切な人だった。
超美男子な上に気配りまでできるなんて、ただ者ではないと直感で感じた。
すると、男性は私に簡単な質問をしてきた。
「では、二つだけ質問に答えてくれ。このオオカミの親がどれくらいの大きさなのかと、人の言葉を話したかだ」
「えっと、三メートルは超えるような大きなオオカミでした。それこそ、二メートルはあろうかという大熊を倒していました。あと、意外と渋い声で人の言葉を話していました」
「ふむ、そうか。それなら、直ぐに判別ができる。このオオカミは、幻獣フェンリルで間違いないだろう」
シルバが幻獣フェンリルなんていう大層な種族だなんて一瞬思ったけど、良く考えるとあの大きなオオカミは普通に人の言葉を話していたよなあ。
というか、幻獣フェンリルっていったいなんだろうか。
当のシルバも、フェンリルってなにって表情だった。
訳が分からない私に、男性は苦笑しながら答えてくれた。
「まあ、とても強い魔物って思ってくれればいいだろう。比較するなら竜だね」
「り、竜……そんな存在だなんて……」
「少なくとも、リンはそのフェンリルに認められた存在だ。この子も、リンのことを信頼しているように見える」
とんでもない比較対象にびっくりしたけど、とりあえずはどうにかなりそうだった。
当のシルバも私に体をスリスリしているし、目の前にいる男性に全く敵意を見せていなかった。
男性は納得したかのように頷き、部下に何かを指示していた。
そして、私にあるお願いをしてきた。
「私から二つリンにお願いがある。一つは、早急に冒険者ギルドで冒険者登録をして欲しい。冒険者登録する際に簡易的な真偽チェックを行うことになっていて、問題ないと思うが念の為にチェックしてもらいたい」
これには私も直ぐに納得しました。
聴取で私が嘘を言っている可能性があると思っているので、真偽を確認したいのもあるのでしょう。
「もう一つが、明日で良いから軍の詰所に来てくれ。王城の隣にあるから、直ぐに分かるはずだ。強力な従魔を従えているものは、軍で把握をしないといけない決まりになっている」
次も規則で決まっているなら仕方ないでしょう。
危険とまで思っていないが、相手はフェンリルの子どもなので万が一を考えてでしょう。
二つのことに了承し、この場はお開きになった。
「では、さっそく冒険者ギルドに向かおう。親フェンリルが倒したという大熊の毛皮を確認すれば、更に信頼度は上がる」
なんというか、目の前の超美男子は頭もとてもきれるらしい。
何でも兼ね備えた人って実在するんだと、改めて思ったのだった。
準備を整えたところで、私たちは男性とともに取調室を出た。
多くの兵が私たちを見ているが、先ほど私を聴取した兵の姿はどこにもなかった。
何かがあったのは想像に難くないが、気にしても仕方ないと切り替えた。
そして、男性とともに複数の兵と冒険者ギルドに向けて歩き出した。
町の地理がさっぱり分からないので、道案内をしてくれるのはとても助かった。
「ワフワフ」
シルバも町並みをキョロキョロと見ていたが、私も少し周囲を見回していた。
通りは多くの人が行き交い、市場にはたくさんの品物が売られていた。
パン屋さんからは焼けたパンの良い匂いが漂っていて、肉屋さんでは大きな肉を豪快に解体していた。
「とても活気のある町ですね。人々の声が楽しそうです」
「そう言って貰えると、この町を守るものとしてとても嬉しく思うよ。リンのように他の地域から来る人も多く、王都は毎年のように人が増えていっているよ」
私の横にいる男性は、少し誇らしげに話してくれた。
国の中枢たる王都なので、多くの人だけでなく貴族や王族の存在もあり軍の警備も大変だという。
それでも、こうして人々の為に働くのはある意味使命だと言った。
やっぱりこの超美男子は凄いなと感心しながら、目的地である冒険者ギルドに到着した。
石造りの三階建ての建物で、思った以上に大きな建物だった。
建物に入ると、一階は受付ブースと買取ブースに分かれていて、多くの冒険者が手続きを行っていた。
そんな中、兵が受付の奥に声をかけると直ぐに一人の女性がやってきた。
「ルーカス様、お待ちしておりました。個室にご案内いたします」
髪の毛を短く切り揃えて如何にも仕事ができますって感じの女性が、多数の冒険者がざわめく中で私たちを別室に案内した。
品の良い調度品が置かれている部屋で、応接セットのソファーに私と男性が隣同士で座った。
兵はソファーの後ろに立っている中、シルバはスラちゃんを頭に乗せながら私の隣に来てお座りのポーズをしていた。
すると、先ほどの女性が野球ボールくらいの小さな水晶玉みたいなものをテーブルの上に置いた。
その上で、私に一枚の紙を差し出した。
「それでは、これから冒険者登録を行います。こちらの申請用紙に必要事項を記入して、書き終わりましたら私に渡して下さい」
ということでカリカリと申請用紙に必要事項を書き込んでいくけど、普通に文字が分かるし書けるなと内心驚いていた。
普通に会話もできているし、転生した際に何かしらの言語能力を得たのかもしれない。
能力や使える魔法などを書く欄もあり、更にはどんな従魔を連れているかという欄もあった。
全て書き終え、申請用紙を女性に手渡した。
暫く女性は申請用紙のチェックをしていたが、今度はスキャナーみたいな道具に申請用紙を置いた。
意外と色々な機械があるんだなと、内心感心していた。
「それでは、この玉の上に手を乗せて下さい。少しビリビリしますが、玉から手を離さないで下さい」
女性に言われるがまま、私は水晶玉みたいなものの上に手を置いた。
ちょっとだけ静電気が走ったようなピリピリとした感覚の後、水晶玉みたいなものが淡く白く光った。
それを見た男性が、満足そうに深く頷いていた。
「はい、これで全てのチェックが終わりました。問題ありませんので、このまま登録を進めます」
女性は淡々と話した後、タブレット端末みたいなものを操作し始めた。
暫く作業がかかりそうなので、その間に私は男性に話しかけた。
因みに、シルバは暇になったのでお座りから伏せのポーズをしていた。
「この水晶玉みたいなものが、真偽判定をするものなんですね」
「リンは鋭いね。嘘をついたら赤く光る。冒険者といえども一つの職業だ、疑念が残るものを登録することはできない」
意外としっかりとした職業登録を行っていて、思わずびっくりしてしまった。
自営業以外は、ほぼ全てで真偽判定をしているという。
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