転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ

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第三十三章 二年生

千二百九十八話 新郎新婦の入場

 程なくして、新郎新婦の準備ができたと連絡があり、アリア様も教会内に入ってきました。
 司会のリズとサンディのところにも聖職者が話しかけ、準備を整えていきます。
 そして、リズとサンディがマイク型の魔導具を手にしました。

「お待たせしました、間もなくルーカス殿下の結婚式を開始いたします」

 おお、いつもの明るいリズの声と違って、落ち着いた雰囲気で話しています。
 リズの隣にいるサンディも、いつもと違うリズの声にビックリしていました。
 というか、僕もビックリです。
 何故かティナおばあさまだけニコリとしていたけど、もしかしたらリズはティナおばあさまと何か話をしたのかな。

「それでは、新郎の入場です。大きな拍手で出迎えて下さい」

 今度はサンディのアナウンスですね。
 いつもと同じ、落ち着いた良い声です。
 大教会の扉がギギギと音を立てながら開き、新郎のルーカスお兄様が一礼してから祭壇に向かってゆっくりと歩いていきます。
 落ち着いたシルバーのフロックコートに身を包み、髪の毛もビシッと決めていてもの凄くカッコいいですね。
 でも、緊張しているのか表情は少し固い感じがします。
 そして、参列者は皆拍手をしながら笑顔でルーカスお兄様を迎えました。
 流石に、ジンさんの結婚式の時の様に冷やかしたりする人はいません。
 若い令嬢などは、ルーカスお兄様のキリリとした姿に思わずうっとりしている程です。
 王妃様は、息子の立派な姿に既に目尻に涙を浮かべていました。

「アレク、よろしく頼むよ」

 祭壇の前に到着したルーカスお兄様は、小さな声で僕にそう言ってきました。
 もちろん、僕もニコリとしながら小さく頷きました。
 そして、いよいよお待ちかねの新婦の入場です。

「お待たせしました。いよいよ新婦の入場です。大きな拍手で新婦を出迎えましょう」

 リズのアナウンスで、再び大教会の扉が開きました。
 純白のウェディングドレスに身を包んだ二人の女性に二人の男性が寄り添っていて、共に深々と礼をしました。
 アイビー様には祖父で当主でもあるカーセント公爵が、そしてカレン様には教皇猊下が付き添っています。
 なお、前教皇猊下は教皇国からの来賓と共に席に座っていて、既にカレン様に拍手を送りながら大粒の涙を流していました。

「「「わーい!」」」

 そして、ミカエル、リルムを先頭にフラワーボーイ、フラワーガールが新婦の前を笑顔で歩いていて、いつも以上にもの凄く張り切りながら花びらをまいていました。
 もちろん一緒にいるスラちゃんが風魔法を使って良い感じに花びらが舞うようにしています。
 しかも、大教会で一緒にやりたいという貴族の子どもがたくさん出て来て、問題ないことをスラちゃんが確認した上でフラワーボーイ、フラワーガールに加わりました。
 もちろんティナおばあさま経由で王妃様にも伝わっていて、問題ないのならやりましょうということになりました。

「国内外から、結婚式を祝福するために多くの子どもたちが集まりました。小さな子どもにも、拍手をお願いします」

 すかさずサンディが補足を入れるけど、本当にたくさんの子どもたちが張り切っていますね。
 そして、フラワーボーイ、フラワーガールの最後尾では、ニコニコ顔のエリちゃんが結婚指輪が乗っているリングピローをしっかりと持っていました。
 特別な役目を与えられて、エリちゃんもとても嬉しそうですね。
 因みに、アイビー様のベールガールをメアリが、カレン様のベールガールをブリットが務めます。
 こちらは、二人ともとっても真剣な表情です。
 ルーカスお兄様も、笑顔でフラワーボーイ、フラワーガールを見送った後、新郎新婦のところに歩み寄ります。

「殿下、娘を頼みましたぞ」
「どうか、カレンを頼みますぞ」
「はい、任せて下さい」

 ルーカスお兄様は、カーセント公爵、教皇猊下と言葉を交わしながらガッチリと握手をしました。
 そして、アイビー様、カレン様を受け取ると、腕を組んでゆっくりと祭壇に向かって歩いていきます。
 美男美女の新郎新婦が歩く様子に、大教会中からため息が漏れていました。
 祭壇前に無事に新郎新婦が到着し、いよいよ結婚式が始まります。
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