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第二十四章 お兄ちゃんの官僚としての忙しい日々
六百九十八話 入園式と通信用魔導具
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今日は入園式なんですが、案の定リズ達は特別調査チームとして動いています。
その為、僕はローリーさんと近衛騎士の護衛と共に学園に向かう事になりました。
「アレク殿下が、入園式の挨拶をするのですよね?」
「僕は、五歳で入園式の挨拶をしましたから。もう四年前になりますよ」
「私もよく覚えています。小さな殿下が演台に上がって、立派な演説をされていました」
あっ、そうか。
ローリーさんはエマさんとオリビアさんと同級生だから、入園式にもいたんだ。
うう、僕のあの下手っぴな演説を聞いていたんだ。
「小さいのに凄い子だから、二つ名を持つのも当然だと言っていましたよ」
「そ、それはありがとうございます……」
「私はエマさんとオリビアさんとお友達になれて、アレク殿下の色々な話を聞いていました。クラスメイトは、ほぼアレク殿下の噂を知っておりますわ」
あの、エマさん、オリビアさん、一体クラスメイトにどんな事を話したのですか?
僕とリズの事が、色々と誇張されて話されていそうな気がしてたまらないのですが。
とほほと思いつつ、僕は体育館にある控室に向かいました。
「アレクの事を聞きたくて、私の所にも多数の学生が来たぞ」
「クラスメイトも、沢山私達の所に来ましたわ。そのお陰で、クラスメイトとも仲良くなれましたわ」
控室にいたルーカスお兄様とアイビー様からも、僕の噂の真相を聞く学生の話を聞きました。
目の前に未来の王様と王妃様がいるのだから、僕の事ではなくてそっちの話を聞けば良いのにと思ってしまいました。
「小さな男の子と女の子が打ち立てた偉業に、皆興味深々なのだよ。私は特に凄い事を成し得た事はないし、今でも普通の学園生だ」
「学園に入る前なのに、既に宰相補佐官として活躍していますからね。冒険者としても名高いですわよ」
うう、この世界は話題が少ないから、僕やリズみたいな存在は格好の話題のネタになっちゃうんだよね。
僕は思わずガクッてなっちゃいました。
「ううっ、早く冒険者活動をして日々のストレスを発散したいです……」
「うーん、中々難しい問題だね。夏頃になれば少しは時間が取れるはずだよ」
「気持ちはよく分かるけど、もう少しの辛抱ですわ」
こうして、おめでたい入園式前なのに、僕の気持ちはかなり落ち込んでしまいました。
そして三時間後……
「やっと終わった……」
「アレク殿下、お疲れ様です。もう演説は、ベテランの風格がありますわ」
僕は入園式を終えて、宰相執務室に戻ってきました。
卒園式入園式と何回もやっているので、もうやり方が分かってしまっています。
なので、特に問題なく終わりました。
演説にも、もう慣れちゃいました。
ルーカスお兄様が卒業したら、是非とも演説は変わって欲しいです。
「他の人の様子はどうですか?」
「宰相は、陛下との会議の為に席を外されております。特別調査チームの方は、贈収賄が見つかったので王妃様と共に調査を行なっております」
「という事は、いつも通りですね。じゃあ、少し休んだら書類整理を始めます」
特段凄いトラブルは起きていないので、僕はお菓子を食べてお茶を飲んだら書類整理を始めました。
カリカリ、ペラペラ。
カリカリ、ペラペラ。
「えーっと、これはこっちでこれはあっちで」
「次の書類をお持ちしました」
うーん、書類整理ばっかりだと、凄い面倒くさいよね。
タブレットに似た通信用魔導具を使って、直ぐに確認とかできたら楽なのになあ。
ガチャ。
「おお、ちょうど良い所で帰ってきたなのう」
「あっ、宰相御帰りなさい」
「うむ。実はのう、アレク君に通信用魔導具を渡す事になったのじゃよ。まだ書類整理などはできんが、最新の魔導具だ」
そういって、宰相は僕に通信用魔導具を手渡しました。
ティナおばあさまやカミラさんが持っている物よりも、一回り小さいですね。
「これで、アレク君に確認する事があれば直ぐに連絡が取れるというもんだ」
「それって、逆に僕はいつでも仕事モードになるって事じゃないですか?」
「ははは、御名答だ。外遊にも行くから、ちょうど良いだろう」
宰相、僕は二十四時間働けまけんよ。
しかも、まだ九歳なのですから。
がっくりとしている僕の事を、他の職員が思わず苦笑していたよ。
ピピピピ。
「えっ、いきなり通信だ。なになに? ティナおばあさまから、施設管理課でジンさんと職員が一触即発状態、って何で保護者役のジンさんが暴走しているんですか……」
一番最初の通信内容が、とっても酷かったです。
僕は今行きますと返事をして、現場に向かいました。
その為、僕はローリーさんと近衛騎士の護衛と共に学園に向かう事になりました。
「アレク殿下が、入園式の挨拶をするのですよね?」
「僕は、五歳で入園式の挨拶をしましたから。もう四年前になりますよ」
「私もよく覚えています。小さな殿下が演台に上がって、立派な演説をされていました」
あっ、そうか。
ローリーさんはエマさんとオリビアさんと同級生だから、入園式にもいたんだ。
うう、僕のあの下手っぴな演説を聞いていたんだ。
「小さいのに凄い子だから、二つ名を持つのも当然だと言っていましたよ」
「そ、それはありがとうございます……」
「私はエマさんとオリビアさんとお友達になれて、アレク殿下の色々な話を聞いていました。クラスメイトは、ほぼアレク殿下の噂を知っておりますわ」
あの、エマさん、オリビアさん、一体クラスメイトにどんな事を話したのですか?
僕とリズの事が、色々と誇張されて話されていそうな気がしてたまらないのですが。
とほほと思いつつ、僕は体育館にある控室に向かいました。
「アレクの事を聞きたくて、私の所にも多数の学生が来たぞ」
「クラスメイトも、沢山私達の所に来ましたわ。そのお陰で、クラスメイトとも仲良くなれましたわ」
控室にいたルーカスお兄様とアイビー様からも、僕の噂の真相を聞く学生の話を聞きました。
目の前に未来の王様と王妃様がいるのだから、僕の事ではなくてそっちの話を聞けば良いのにと思ってしまいました。
「小さな男の子と女の子が打ち立てた偉業に、皆興味深々なのだよ。私は特に凄い事を成し得た事はないし、今でも普通の学園生だ」
「学園に入る前なのに、既に宰相補佐官として活躍していますからね。冒険者としても名高いですわよ」
うう、この世界は話題が少ないから、僕やリズみたいな存在は格好の話題のネタになっちゃうんだよね。
僕は思わずガクッてなっちゃいました。
「ううっ、早く冒険者活動をして日々のストレスを発散したいです……」
「うーん、中々難しい問題だね。夏頃になれば少しは時間が取れるはずだよ」
「気持ちはよく分かるけど、もう少しの辛抱ですわ」
こうして、おめでたい入園式前なのに、僕の気持ちはかなり落ち込んでしまいました。
そして三時間後……
「やっと終わった……」
「アレク殿下、お疲れ様です。もう演説は、ベテランの風格がありますわ」
僕は入園式を終えて、宰相執務室に戻ってきました。
卒園式入園式と何回もやっているので、もうやり方が分かってしまっています。
なので、特に問題なく終わりました。
演説にも、もう慣れちゃいました。
ルーカスお兄様が卒業したら、是非とも演説は変わって欲しいです。
「他の人の様子はどうですか?」
「宰相は、陛下との会議の為に席を外されております。特別調査チームの方は、贈収賄が見つかったので王妃様と共に調査を行なっております」
「という事は、いつも通りですね。じゃあ、少し休んだら書類整理を始めます」
特段凄いトラブルは起きていないので、僕はお菓子を食べてお茶を飲んだら書類整理を始めました。
カリカリ、ペラペラ。
カリカリ、ペラペラ。
「えーっと、これはこっちでこれはあっちで」
「次の書類をお持ちしました」
うーん、書類整理ばっかりだと、凄い面倒くさいよね。
タブレットに似た通信用魔導具を使って、直ぐに確認とかできたら楽なのになあ。
ガチャ。
「おお、ちょうど良い所で帰ってきたなのう」
「あっ、宰相御帰りなさい」
「うむ。実はのう、アレク君に通信用魔導具を渡す事になったのじゃよ。まだ書類整理などはできんが、最新の魔導具だ」
そういって、宰相は僕に通信用魔導具を手渡しました。
ティナおばあさまやカミラさんが持っている物よりも、一回り小さいですね。
「これで、アレク君に確認する事があれば直ぐに連絡が取れるというもんだ」
「それって、逆に僕はいつでも仕事モードになるって事じゃないですか?」
「ははは、御名答だ。外遊にも行くから、ちょうど良いだろう」
宰相、僕は二十四時間働けまけんよ。
しかも、まだ九歳なのですから。
がっくりとしている僕の事を、他の職員が思わず苦笑していたよ。
ピピピピ。
「えっ、いきなり通信だ。なになに? ティナおばあさまから、施設管理課でジンさんと職員が一触即発状態、って何で保護者役のジンさんが暴走しているんですか……」
一番最初の通信内容が、とっても酷かったです。
僕は今行きますと返事をして、現場に向かいました。
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