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第二十五章 新たな脅威?
七百五十六話 一人芝居ならぬ二人芝居
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ブランデー子爵夫人は、突然息子に話をふられてちょっと戸惑っている。
そんなブランデー子爵夫人の下に、歩み寄る存在が。
「ミュゼリー、久しぶりね。何だか、学園の時に比べると随分と変わってしまったわね」
「び、ビクトリア!」
そう、ブランデー子爵夫人に近づいたのは王妃様だった。
まさか王妃様とブランデー子爵夫人が、学園の同級生だったとは。
王妃様は堂々とした態度でブランデー子爵夫人に近づいていたけど、当のブランデー子爵夫人自身はかなり慌てふためいていた。
「ミュゼリー、学園の頃のあなたなら理解できたはずよ。娘の婚約は、ただの婚約ではないということを。いわば王国と共和国の友好の証です。それを破棄することは、王国が共和国に喧嘩を売ることになりますわ」
「う、うう……」
「それを、私の目の前であなたの息子が娘に言うとは。王国貴族として、とても情けない話ですわね」
王妃様は少し悲しそうな表情をしているけど、その語気には少し怒りが込められていた。
一方で、ブランデー子爵夫人は蛇に睨まれた蛙状態で、腰を抜かした様に座り込んでしまった。
しかし、王妃様はブランデー子爵夫人に近づくのをやめなかった。
「そして、共和国の新しい政権と条約を改めて締結し、その際に娘の結婚の事は両国に広く周知されました。ミュゼリー、あなたが知らない訳が無いはずですよ」
「あ、あの、その……」
王妃様は、あくまでも残念そうな表情を崩していません。
だからこそ、ブランデー子爵夫人は王妃様の圧力に気圧されているんでしょうね。
「残念ながら、二人から少し話を聞かないといけません。体験入園は、後日行って貰うしかありませんね。もちろん、ブランデー子爵にも話を聞きます。近衛騎士、ブランデー子爵夫人と息子を軍の詰め所に連れて行き、聴取をして下さい」
「「「はっ」」」
「あわわわ……」
「なっ、くそ、離せ!」
ある意味、ブランデー子爵夫人と息子は自爆した形になりました。
元々はタイミングを見て贈収賄でブランデー子爵夫人だけを捕縛する予定だったのに、息子までついてきちゃいました。
二人は近衛騎士に連れられて、体育館の外に出て行きました。
現時点では、あくまでも聴取なので拘束はしません。
暴れる息子はともかくとして、ブランデー子爵夫人はガクリと項垂れていました。
「うーん、結局あの二人は何だったんだろうね」
「一人芝居ならぬ、二人芝居だったな」
「まあ、これでブランデー子爵に対する聴取をする理由が増えたぞ」
僕もルーカスお兄様もジンさんも、体育館から出ていく二人を見て苦笑していました。
ひと悶着あったけど、これで無事に体験入園はできそうです。
「皆さん、私の事で大変な騒ぎとなり申し訳ありません」
ルーシーお姉様は、周りに集まっている体験入園をする人々に頭を下げていました。
そんなルーシーお姉様に、大丈夫だとか心配しないでなどの声がかけられていました。
あのトラブルのお陰で、みんなの仲がとても良くなったみたいです。
更に悪いお手本が示されたので、あんなふうにはなりたくないって思いもあるのでしょう。
「はい皆さん、仲が良いところ悪いですけど席に着いて下さいね」
ここで、司会進行の先生がアナウンスをしていた。
どうやら、事の成り行きを見守ってくれていたみたいです。
「じゃあ、ランちゃん一緒に座ろうね」
「あっ、はい」
そしてルーシーお姉様は、ドサクサに紛れてランさんの手を引いて隣同士で座っていた。
他にも、この機会に仲良くなった人と男女関係なく楽しくお喋りをしているみたいです。
王妃様も保護者席に移動して、学園時代の同級生やシスターとお話していました。
僕も、ルーカスお兄様とアイビー様と一緒に司会の先生の方に移動します。
ジンさんも壁際に移動しました。
全員が移動し終わったタイミングで、司会の先生が話し始めました。
「皆さん、おはようございます。王立学園へようこそ。本日は、来年入園予定の皆さんの体験入園です。この体験入園を通じて、学園生活のイメージを持つと共に自分に足りない課題などを見つけて自己研鑽をしましょう」
全員が静かにしている中、司会の先生の言葉が体育館に響きます。
アテンド役の生徒が色々な事を話すので、今後の勉学において非常に役に立つでしょう。
そんな中、体験入園の最初にして最大の試練が行われる事になった。
「それでは、学園長先生よりご挨拶を頂戴します」
そうです、入園式でも卒園式でも恒例の学園長によるながーいお話です。
ルーシーお姉様を含む何人かは学園長の長い話を知っているけど、何も知らない人たちは真面目な表情で壇上に上がった学園長を見ていた。
「ルーカスお兄様、アイビー様、まさか体験入園でも学園長の長い話があるんですか?」
「そのまさかだ。私とアイビーの体験入園の時にもあったぞ」
「あの時は真剣に話を聞いてしまったので、私もかなり疲れてしまいましたわ」
ルーカスお兄様とアイビー様の体験入園の時にも、学園長の長い話が止まらなかったらしい。
かくいう僕も、入園式と卒園式で散々学園長の長い話を聞いているけどね。
「皆さん、おはようございます。皆さんにとって、体験入園が有意義に行われる事を切に願います。さて、我が学園は……」
そして、学園長による数十分に及ぶ話が始まった。
個人的には、最初の言葉だけで十分じゃないかなと思ってしまった。
そんなブランデー子爵夫人の下に、歩み寄る存在が。
「ミュゼリー、久しぶりね。何だか、学園の時に比べると随分と変わってしまったわね」
「び、ビクトリア!」
そう、ブランデー子爵夫人に近づいたのは王妃様だった。
まさか王妃様とブランデー子爵夫人が、学園の同級生だったとは。
王妃様は堂々とした態度でブランデー子爵夫人に近づいていたけど、当のブランデー子爵夫人自身はかなり慌てふためいていた。
「ミュゼリー、学園の頃のあなたなら理解できたはずよ。娘の婚約は、ただの婚約ではないということを。いわば王国と共和国の友好の証です。それを破棄することは、王国が共和国に喧嘩を売ることになりますわ」
「う、うう……」
「それを、私の目の前であなたの息子が娘に言うとは。王国貴族として、とても情けない話ですわね」
王妃様は少し悲しそうな表情をしているけど、その語気には少し怒りが込められていた。
一方で、ブランデー子爵夫人は蛇に睨まれた蛙状態で、腰を抜かした様に座り込んでしまった。
しかし、王妃様はブランデー子爵夫人に近づくのをやめなかった。
「そして、共和国の新しい政権と条約を改めて締結し、その際に娘の結婚の事は両国に広く周知されました。ミュゼリー、あなたが知らない訳が無いはずですよ」
「あ、あの、その……」
王妃様は、あくまでも残念そうな表情を崩していません。
だからこそ、ブランデー子爵夫人は王妃様の圧力に気圧されているんでしょうね。
「残念ながら、二人から少し話を聞かないといけません。体験入園は、後日行って貰うしかありませんね。もちろん、ブランデー子爵にも話を聞きます。近衛騎士、ブランデー子爵夫人と息子を軍の詰め所に連れて行き、聴取をして下さい」
「「「はっ」」」
「あわわわ……」
「なっ、くそ、離せ!」
ある意味、ブランデー子爵夫人と息子は自爆した形になりました。
元々はタイミングを見て贈収賄でブランデー子爵夫人だけを捕縛する予定だったのに、息子までついてきちゃいました。
二人は近衛騎士に連れられて、体育館の外に出て行きました。
現時点では、あくまでも聴取なので拘束はしません。
暴れる息子はともかくとして、ブランデー子爵夫人はガクリと項垂れていました。
「うーん、結局あの二人は何だったんだろうね」
「一人芝居ならぬ、二人芝居だったな」
「まあ、これでブランデー子爵に対する聴取をする理由が増えたぞ」
僕もルーカスお兄様もジンさんも、体育館から出ていく二人を見て苦笑していました。
ひと悶着あったけど、これで無事に体験入園はできそうです。
「皆さん、私の事で大変な騒ぎとなり申し訳ありません」
ルーシーお姉様は、周りに集まっている体験入園をする人々に頭を下げていました。
そんなルーシーお姉様に、大丈夫だとか心配しないでなどの声がかけられていました。
あのトラブルのお陰で、みんなの仲がとても良くなったみたいです。
更に悪いお手本が示されたので、あんなふうにはなりたくないって思いもあるのでしょう。
「はい皆さん、仲が良いところ悪いですけど席に着いて下さいね」
ここで、司会進行の先生がアナウンスをしていた。
どうやら、事の成り行きを見守ってくれていたみたいです。
「じゃあ、ランちゃん一緒に座ろうね」
「あっ、はい」
そしてルーシーお姉様は、ドサクサに紛れてランさんの手を引いて隣同士で座っていた。
他にも、この機会に仲良くなった人と男女関係なく楽しくお喋りをしているみたいです。
王妃様も保護者席に移動して、学園時代の同級生やシスターとお話していました。
僕も、ルーカスお兄様とアイビー様と一緒に司会の先生の方に移動します。
ジンさんも壁際に移動しました。
全員が移動し終わったタイミングで、司会の先生が話し始めました。
「皆さん、おはようございます。王立学園へようこそ。本日は、来年入園予定の皆さんの体験入園です。この体験入園を通じて、学園生活のイメージを持つと共に自分に足りない課題などを見つけて自己研鑽をしましょう」
全員が静かにしている中、司会の先生の言葉が体育館に響きます。
アテンド役の生徒が色々な事を話すので、今後の勉学において非常に役に立つでしょう。
そんな中、体験入園の最初にして最大の試練が行われる事になった。
「それでは、学園長先生よりご挨拶を頂戴します」
そうです、入園式でも卒園式でも恒例の学園長によるながーいお話です。
ルーシーお姉様を含む何人かは学園長の長い話を知っているけど、何も知らない人たちは真面目な表情で壇上に上がった学園長を見ていた。
「ルーカスお兄様、アイビー様、まさか体験入園でも学園長の長い話があるんですか?」
「そのまさかだ。私とアイビーの体験入園の時にもあったぞ」
「あの時は真剣に話を聞いてしまったので、私もかなり疲れてしまいましたわ」
ルーカスお兄様とアイビー様の体験入園の時にも、学園長の長い話が止まらなかったらしい。
かくいう僕も、入園式と卒園式で散々学園長の長い話を聞いているけどね。
「皆さん、おはようございます。皆さんにとって、体験入園が有意義に行われる事を切に願います。さて、我が学園は……」
そして、学園長による数十分に及ぶ話が始まった。
個人的には、最初の言葉だけで十分じゃないかなと思ってしまった。
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