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第三章 ブルーノ侯爵領

第九十一話 役割分担とバスク領への出発

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 話し合いの後は食堂を出て、それぞれ活動を始める。
 俺達は、アルス王子が出発して炊き出しの準備とかが終わったら、バスク領へ向かう予定だ。
 炊き出しはアイテムボックスにはまだ食料があるしスラタロウもいるから、食料の準備をすれば大丈夫。

「殿下、関係者の護送準備が完了しました」
「よし、我々も行くとするか」

 飛龍部隊の騎士がアルス王子に、関係者の護送準備が完了したと報告した。
 飛龍で運べるように特殊な檻でできていて、檻の中からは一切攻撃が出来ないように工夫されている。
 アルス王子を見送るために庭に移動すると、檻の中から領主夫人とバカ息子が何か叫んでいた。
 檻の柵を掴んで叫んでいる様子は、どう見ても囚われたオークにしか見えない。
 もちろん高価な装飾品は没収され、囚人が着るような服に着替えている。

「ルキアよ、恐らく一週間は王都で関係者の尋問をしないとならない。その間は頼むぞ」
「はい、アルス王子も気をつけて」
「うむ、ビアンカにサトーよ。ルキアとブルーノ侯爵領の民を頼むぞ」
「こちらはまかせるのじゃ」
「道中気をつけて下さい」

 アルス王子は俺達に挨拶をして、飛龍への搭乗準備を開始した。
 
「お兄ちゃん、私には何かないの?」
「エステルはビアンカとサトーの言うことをよく聞きなさい」
「まあ、そうだと思ったよ」

 相変わらずエステル殿下には直接頼み事はしないなあ。

「では、出発する」

 アルス王子の合図で飛龍部隊が王都に向けて飛び立った。
 関係者はこれから厳しい尋問が待っているが、ちゃんと罪を償ってほしい。
 みんなで小さくなっていく飛龍を見つめていた。
 でも、未だに領主夫人とバカ息子の叫び声が遠くから聞こえてくる。
 いい加減黙って欲しい。
 
「さて、俺達も動こう」

 今日は領主邸の近くのスペースを使って炊き出しと救護所を作る。
 ルキアさんとオリガさんは執務室で仕事になるし、マリリさんも今日は違法奴隷の対応になる。
 なので、ケリーさんを中心として炊き出しと治療は行われることに。
 炊き出しは料理長スラタロウがやる気満々で、既に魔法を駆使して料理を始めている。
 違法奴隷の子どもの内、比較的軽症の子どもがスラタロウの料理を見て喜んでいる。
 スラタロウの料理風景は、相変わらず子ども達に大人気だ。

 治療はリーフとタコヤキが救護所で、タラちゃんとホワイトが巡回することに。
 リーフとタラちゃんがいるから、ケリーさん達との会話もバッチリだ。
 ヤキトリはルキアさんに付き添い、サファイアは巡回組と一緒で何かあったらルキアさんに直ぐに知らせる予定だ。

「ルキアさん、すみませんが後は宜しくお願いします」
「こちらこそサトーさんに色々任せてしまい申し訳無いないです。こちらはお任せ下さい」

 諸々の準備が終わったので、バスク領へ出発する。
 今回は滞在二日間のとんぼ返りになるけど、難民キャンプの件もあるのであと何回かはブルーノ侯爵領とバスク領を往復しないと。
 バルガス領にも難民キャンプの件で行かないといけないな。
 まだまだやることが多すぎる。
 ランドルフ伯爵領も不気味に沈黙しているし、アルス王子の調査も大変だろうな。

「お兄ちゃん早く行こ!」
「違う街に行くの楽しみ!」
 
 ミケとドラコは旅行気分で、早くも道中が楽しみで仕方ないようだ。
 では、バスク領へ出発だ。
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