小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第十章 冒険者学校入学試験

第六百七十七話 試験開始前にカンニング発覚

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 迷子として兵に付き添われながら、目的の試験室に到着しました。
 兵も、いい仕事をしたといった表情をしていました。
 うう、全然見当違いのところに行っちゃったんですね。
 僕は、ちょっと恥ずかしくなりながら試験室に入りました。

「はい、受験票です」
「確認しました。真ん中の一番前の席に座って下さい」

 僕は部屋の入口にいた試験担当の職員に受験票を見せ、指定された席に座りました。
 部屋の中は四隅に兵が立っていて、更に時々部屋内を巡回していました。
 不正を行わないように、厳重警戒をしているんですね。
 机の上に受験票と筆記用具を置いて、時間まで復習しておこう。
 ちょうど僕の目の前に兵が仁王立ちしているし、試験室内にいる人も全員真面目に勉強していますね。

「げっ……」

 すると、僕に向かって何か声を上げた人がいました。
 入口の方を見ると、何とあのフーバー男爵家の三男が気まずそうな表情をしながら僕のことを見ていたのです。
 とはいえ、兵全員がフーバー男爵家の三男に注目しているし、座った席も一番後ろでこれまた兵の真ん前でした。
 流石にフーバー男爵家の三男はこの状況で騒ぎを起こすのは良くないと考えたみたいで、素直に勉強を始めていました。
 この前新兵採用試験で他のものが大騒ぎをしたのを見て、少しは大人しくなったのかもしれません。
 僕は、他のことに気を取られる程の余裕はないので、真剣に復習をしていきます。
 すると、更に凄い人が現れました。

「ははは、ここにいるものが将来の俺様の部下になるのか!」

 多分貴族の子弟っぽい男性なんだけど、この人誰ってはてなマークがいっぱい浮かんでいました。
 赤髪で腰に手を当てて俺様って感じなんだけど、あまり関わってはいけない人っぽいですね。

「試験室に入ったら、静かにするように。他のものへの妨害行為と捉えられたら、失格にする」
「オーケーオーケー、それくらいは分かっているよ。そんなことをして失格なんで、馬鹿みたいなことはやらないぞ」

 試験担当職員から注意を受けると、あっさりと引き下がって席に着いていた。
 うーん、全く掴みどころが分からない人ですね。
 あとは、兵っぽい人だったり商人っぽい人だったり貴族の子弟っぽい人だったりと、色々な人が試験室に入ってきました。
 うーん、どう見ても僕が一番年下ですね。
 すると、そろそろ時間ってことで試験担当の職員が試験室の一番前に行きました。

「それでは、これから試験説明を開始する。試験は、全試験室一斉に開始する。また、不正防止のために全ての問題を解いても試験終了まで試験室から出てはならない」

 冒険者学校の試験の時は試験を終えれば試験室から出られたけど、今回は受験者数が全然違うもんね。
 不正防止の為に、これだけの兵が試験室内に配置されているもんね。

「試験時間は一時間です。不正行為が発覚した時点で、即失格とします。何か不明なことがあったら、挙手にて試験官に申し出て下さい。また、本日は地下食堂が試験者に開放されております」

 試験ルールは、受験票にも書いた内容なので特に問題ありません。
 それに、地下食堂には行ったことがあるので、何となく雰囲気は分かっているんだよね。
 とっても美味しい料理が出てくるし、ちょっと楽しみだったりします。

「それでは、これから問題を配ります。机の上は受験票と筆記用具のみとし、他は全てしまって手は膝の上に置きましょう」

 いよいよ試験開始になるので、みんなゴソゴソと準備をしていました。
 僕も、魔法袋に全部入れて準備完了です。
 そんな時、とんでもない事態が起きてしまいました。

「おい、その両手首に書いた文字列は一体何だ!」
「ヒィィ……」

 何と、フーバー男爵家の三男が体に何かをしていて、兵に手首を掴まれていました。
 すぐさま、試験官がフーバー男爵家の三男の手首をチェックしました。

「ふむ、試験範囲の計算や文言が書かれていますね。ここまで堂々としたカンニングをするものは、ここ数年ではいませんね。連行して、取り調べをして下さい」

 そして、フーバー男爵家の三男は試験開始前に兵に両脇を抱えられながら退場していきました。
 うーん、なんでバレバレなカンニング行為なんてするのかね。
 試験室内には、思わず溜息が漏れていました。

「ちょうどいい例が出たので、皆さんにも改めて説明をしましょう。不正行為が発覚したら即退場です。また、翌年以降の受験禁止などの厳しい制裁を科されます。皆さんも、自分が勉強した知識で堂々と試験に臨んでください」

 目の前で兵に連行されるような行為を見たら不正はしたくないと思うけど、それでも毎年不正は見つかるそうです。
 そのためにも、試験側も色々と対策をしているそうです。
 それでも、フーバー男爵家の三男みたいにあからさまなカンニングをする人は居ないそうです。
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