14 / 15
学院編
第13話 作戦会議
しおりを挟む帰宅した俺たちはテーブルを囲み、情報収集を行っていた。
「エル、何か気づいたことがあったか?」
一日中学院を監視していたエルはもしかしたら気づいたことがあるかも知れない。
「まず、最初にギルガと言う人物は、勇者候補の一人だわ。ずば抜けて魔法や剣術のセンスがあって、この学院の上位クラスだわ。ただ、なぜFクラスにいるのかわ不明ね」
「こんなに近くに勇者候補がいたのか」
Aクラスに行く手間が省けた。それに同じクラスということもあり、狙えやすい。
「ま、まさか龍太郎、勇者候補も狙うつもり!?」
テーブルを叩き、驚いた表情を浮かべる。
「何かまずいか?」
「勝てるわけないわ!やめときなさい」
そんなに否定しなくても。それほどまでに強いのか。
「無理だ。俺は世界で最強にならなければいけない。こんな勇者候補一人殺せないで、最強にはなれない」
世界最強の暗殺者になるためにはやるしかないのだ。全ては復讐のため。亜人のため。
「はーー。勝手にしなさい。私は知らないから」
エルは呆れながら承諾してくれた。
「そしてね、後一つあるの。転入試験でいたじゃない?」
「誰が?あ、あいつか強かったな」
転入試験でとてつもない魔法を繰り出した奴がいたな。
「そいつが今、Aクラスにいる。そして、たった1日でクラスを支配していたの」
「どういうことだ?」
「いわゆる、力でね。力で強者どもをねじ伏せていって、完膚なきまでに叩きつけていって、Aクラスの頂点になってしまったのよ」
「Aクラスはそいつの支配下ってことかよ」
「えぇ、後そいつも暗殺者よ」
「え?今さらっととんでもないこと言わなかったか?」
「だから暗殺者って言ったのよ。バカなの?」
「目的は?」
「バカすぎて笑えるわ。そんなこともわからないの?えーとね。龍太郎と同じでリリネ・ヴァレンシアを狙っているわ」
「猶予はあまりないってことかよっ!」
そいつも同じ依頼を受けて暗殺しに来たのか。リリネを取り合う形になってしまう。面倒だな。
「そうよ。もしかしたら明日かも知れない。どうするかは龍太郎次第だけどね」
「エルはどうすれば良いと思う?」
俺は暗殺者の先輩であるエルに聞いてみた。
「どうにかしてリリネの懐に入る。そして、二人で逃げるってところね。そうなれば私も全力で協力するわ」
「俺も同じことを思っていた。リアはどうだ?」
いわゆるリリネを彼女にするってことだろ。そしたら懐に入るなんて余裕だ。
「私もそれがいいと思います。それに龍太郎が決めていたことならそれが一番です!」
「それじゃ、明日はリリネの懐に入れることを中心にやっていくか。あ、、エル。理事長に関しては何か掴んだか?」
「わからないわ。調べようにも全く情報がない。変なくらいに」
「理事長は何かあるよな。エル、理事長の動向を引き続きよろしく」
話し合いが終わり、夕ご飯を食べに行くことにした。
「みんな何が食べたい?金は沢山ある。なんでも言ってくれ」
「私はハンバーグがいいわ!とても高級のやつ!」
「私は龍太郎が食べたいやつならなんでも好きです」
「リア、そう言ってくれるのは有り難いが、本当に好きなものはないのか?」
「龍太郎の好きなものが、です」
「リアがそう言うならそうするか、そしたらみんなでハンバーグ食べに行くか。それも飛びっきり高級なやつ!」
「楽しみ!」
「行きましょう!」
「おう!」
高級レストランに着いた俺たちは中に入ろうとした時、店員に声をかけられた。
「き、君たち。まだ子供じゃないか。親御さんは一緒かい?」
「いや、いない。お金は沢山ある」
俺は袋にぎっしりと入っている聖金貨を見せる、すると、目を見開き、態度が急変した。
「さ、3名様ご来店です。び、VIP席を直ちに用意しなさい!」
店の奥へと走り去り、他の店員に呼びかける。
「かしこまりました!」
俺たちは案内されるままVIP席とやらに腰をかけた。そびえ立つレストランの最上階、窓からはこの国の夜景が見渡せる。月も綺麗だ。
「こういうのもいいですね」
リアが夜景を眺め、そう呟く。
「あぁ。そうだな」
リアは儚そうに外を見ていた。
「そういえばエル。聖金貨500枚どうしたんだ?」
聖金貨500枚もあれば、なんだって買えるはずだ。エルのボロい家だって、ハンバーグをこんなにも楽しみにしなくたって。使い道が気になって聞いてみた。
「龍太郎、私が何に使おうだって関係ないわ。って来たわよー。高級ハンバーグ!!」
タイミングよく頼んでいたハンバーグが運ばれて、話を逸らされてしまった。エルは何か隠していること、触れてはいけないことがあるのではないだろうか。
運ばれて来たハンバーグはとても美味しそうで、銀紙に包まれたハンバーグにデミグラスソースがかかっている。横には小さいステーキも添えられいて、思わず腹がなってしまう。リアもエルも目を輝かせていて、よだれを垂らしていた。
「こちらヴァナンガルドが誇る自家製ハンバーグになります。ナイフを入れると肉汁が飛ぶこともあるのでご注意下さい。ではごゆっくりお楽しみ下さいませ」
黒スーツを着た店員が下がっていった途端俺たちはすぐさまハンバーグを食べ出した。店員の言う通り中からは肉汁が溢れ出し、味も凄く美味かった。
「美味すぎるわ!こんなの食べたの初めて!」
「龍太郎!凄く美味しいです!」
「だよな!今まで食べてきた中で一番だ」
そして、あっという間に完食した。
リアとエルは満足している様子で俺も嬉しくなる。俺はいくらでも食べれるが、リアとエルは満腹そうなので今日はこれで十分だ。
「あ!龍太郎とリア、変身魔法が」
「変身魔法は時間が経つと元に戻るんだったな。エルお願いできるか?」
「私もお願いします!」
「任せなさい私にかかれば余裕よ!」
エルが手をかざし、魔法を使おうとした時、扉が開いた。
「失礼します。こちらサービスの、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、!!!!!あ、あ、亜人だーーーー。誰か来てくださーーーい。こんなところに亜人が隠れていまーす!」
「あ、、」
「え、、」
「に、、逃げろーーーー!」
俺は聖金貨一枚を机に置き、そのままレストランを猛スピードで逃げ出した。悲鳴は上がるが、気にせず、外まで逃げ出せた。そのまま家まで走り、なんとか無事に生還できたのだ。
「はー、、、」
「つ、疲れた」
「や、やばかったな」
俺たちは疲れた身体を休めるためにベッドに潜る。変身魔法は学校行く前にやってもらおう。今日もベッドが一つなので密着度が高く、寝るのが遅くなったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
《完結》当て馬悪役令息のツッコミ属性が強すぎて、物語の仕事を全くしないんですが?!
犬丸大福
ファンタジー
ユーディリア・エアトルは母親からの折檻を受け、そのまま意識を失った。
そして夢をみた。
日本で暮らし、平々凡々な日々の中、友人が命を捧げるんじゃないかと思うほどハマっている漫画の推しの顔。
その顔を見て目が覚めた。
なんと自分はこのまま行けば破滅まっしぐらな友人の最推し、当て馬悪役令息であるエミリオ・エアトルの双子の妹ユーディリア・エアトルである事に気がついたのだった。
数ある作品の中から、読んでいただきありがとうございます。
幼少期、最初はツラい状況が続きます。
作者都合のゆるふわご都合設定です。
日曜日以外、1日1話更新目指してます。
エール、お気に入り登録、いいね、コメント、しおり、とても励みになります。
お楽しみ頂けたら幸いです。
***************
2024年6月25日 お気に入り登録100人達成 ありがとうございます!
100人になるまで見捨てずに居て下さった99人の皆様にも感謝を!!
2024年9月9日 お気に入り登録200人達成 感謝感謝でございます!
200人になるまで見捨てずに居て下さった皆様にもこれからも見守っていただける物語を!!
2025年1月6日 お気に入り登録300人達成 感涙に咽び泣いております!
ここまで見捨てずに読んで下さった皆様、頑張って書ききる所存でございます!これからもどうぞよろしくお願いいたします!
2025年3月17日 お気に入り登録400人達成 驚愕し若干焦っております!
こんなにも多くの方に呼んでいただけるとか、本当に感謝感謝でございます。こんなにも長くなった物語でも、ここまで見捨てずに居てくださる皆様、ありがとうございます!!
2025年6月10日 お気に入り登録500人達成 ひょえぇぇ?!
なんですと?!完結してからも登録してくださる方が?!ありがとうございます、ありがとうございます!!
こんなに多くの方にお読み頂けて幸せでございます。
どうしよう、欲が出て来た?
…ショートショートとか書いてみようかな?
2025年7月8日 お気に入り登録600人達成?! うそぉん?!
欲が…欲が…ック!……うん。減った…皆様ごめんなさい、欲は出しちゃいけないらしい…
2025年9月21日 お気に入り登録700人達成?!
どうしよう、どうしよう、何をどう感謝してお返ししたら良いのだろう…
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
チートスキルより女神様に告白したら、僕のステータスは最弱Fランクだけど、女神様の無限の祝福で最強になりました
Gaku
ファンタジー
平凡なフリーター、佐藤悠樹。その人生は、ソシャゲのガチャに夢中になった末の、あまりにも情けない感電死で幕を閉じた。……はずだった! 死後の世界で彼を待っていたのは、絶世の美女、女神ソフィア。「どんなチート能力でも与えましょう」という甘い誘惑に、彼が願ったのは、たった一つ。「貴方と一緒に、旅がしたい!」。これは、最強の能力の代わりに、女神様本人をパートナーに選んだ男の、前代未聞の異世界冒険譚である!
主人公ユウキに、剣や魔法の才能はない。ステータスは、どこをどう見ても一般人以下。だが、彼には、誰にも負けない最強の力があった。それは、女神ソフィアが側にいるだけで、あらゆる奇跡が彼の味方をする『女神の祝福』という名の究極チート! 彼の原動力はただ一つ、ソフィアへの一途すぎる愛。そんな彼の真っ直ぐな想いに、最初は呆れ、戸惑っていたソフィアも、次第に心を動かされていく。完璧で、常に品行方正だった女神が、初めて見せるヤキモチ、戸惑い、そして恋する乙女の顔。二人の甘く、もどかしい関係性の変化から、目が離せない!
旅の仲間になるのは、いずれも大陸屈指の実力者、そして、揃いも揃って絶世の美女たち。しかし、彼女たちは全員、致命的な欠点を抱えていた! 方向音痴すぎて地図が読めない女剣士、肝心なところで必ず魔法が暴発する天才魔導士、女神への信仰が熱心すぎて根本的にズレているクルセイダー、優しすぎてアンデッドをパワーアップさせてしまう神官僧侶……。凄腕なのに、全員がどこかポンコツ! 彼女たちが集まれば、簡単なスライム退治も、国を揺るがす大騒動へと発展する。息つく暇もないドタバタ劇が、あなたを爆笑の渦に巻き込む!
基本は腹を抱えて笑えるコメディだが、物語は時に、世界の運命を賭けた、手に汗握るシリアスな戦いへと突入する。絶体絶命の状況の中、試されるのは仲間たちとの絆。そして、主人公が示すのは、愛する人を、仲間を守りたいという想いこそが、どんなチート能力にも勝る「最強の力」であるという、熱い魂の輝きだ。笑いと涙、その緩急が、物語をさらに深く、感動的に彩っていく。
王道の異世界転生、ハーレム、そして最高のドタバタコメディが、ここにある。最強の力は、一途な愛! 個性豊かすぎる仲間たちと共に、あなたも、最高に賑やかで、心温まる異世界を旅してみませんか? 笑って、泣けて、最後には必ず幸せな気持ちになれることを、お約束します。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる