39 / 42
1章〜復讐へ〜
第三十七話 竜二とアリシャ
しおりを挟む「キーーーーーーン!」
どこからか剣の弾く音がした。
俺は閉じていた目を見開き前を見ると、アリシャはエリシアと剣を交えていた。
「アリシャ!!!」
俺は元気よく声を掛け、表情が和らぐ。
「竜二、話は後です!まずはエリシアをなんとかしなければいけません」
「アリシャやっと見つけたわ。早く戻りましょうよ!リューク様がお待ちよ」
エリシアはアリシャを見るや否やニヤリと不吉な笑みをし、目は吸い込まれそうなくらい闇に満ちていた。
「本当に貴方はリュークの言いなりになったのですね失望しましたよ。私は絶対に戻りません!リュークを殺してエリシアを取り戻します」
「ふっっふふ。アリシャが私を?出来るわけないでしょ魔女ごときの分際で!私は魔王よ。負ける訳がないのよ」
「えぇ。知ってます。だがら私は...逃げます!!」
アリシャは剣を流し、エリシアの剣を地面に落としつける。その隙を逃さず、アリシャは俺の手を取り、三層への下り階段を目指し、走り出す。
「ちょっっ、、、。アリシャ?」
俺は突然のアリシャの行動に少し驚く。
「今は逃げるのが優先です。まともに相手をしても竜二だって勝てないです。なので私の言うことを聞いてください」
「そうか...わかった」
俺はアリシャに従い、逃げることに全力を尽くす。
「アリシャ、ちょっと捕まってろよ」
地面を強く蹴り、光の速度ほどのスピードで三階への階段へと移動した。
だが、そんなにエリシアも甘くはなかった。
「私が貴方達を逃すと思う?リューク様が殺せと言ったのだから殺すのよ!でもアリシャは別だけどね」
エリシアは俺のスピードについてきて、すぐ後ろに迫っていた。
「我漆黒の闇に飲み込まれろ!ダークソウル・チャージ!!!」
アリシャがそう唱えると、洞窟全体が闇に包まれた。その隙に三階への階段を下り、二階への階段もすぐさま降りた。
エリシアは目を眩まし、俺たちを見失った。
「あーあ。見失っちゃったみたい。リューク様になんて言われるかなー。まぁしょうがないなー」
エリシアはそう言うと洞窟の奥へと姿を消した。
★
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
★
「はぁーはぁーはぁー。疲れた...。全速疾走はマナの消耗が激しいな」
俺とアリシャはエリシアから逃げ切り、螺旋迷宮ギルディアの入り口まで戻ってこれた。
「竜二!何で諦めたんですか!そんなの最低です...」
アリシャは俺に対し怒りを露わにする。
ー確かに仲間を置いて諦めたなんてクズすぎるよな俺は。
「い、いや。その、何て言うか。すまない」
俺は地面を見ながら謝罪をする。今はアリシャの顔もまともに見れない。本当に悪いことをしたのだから。
「私は竜二に謝って欲しいんじゃない!何でって聞いてるんですよ!本当に心配しましたよ...。竜二が死んだらまた私は一人に...」
さっきまで怒っていたアリシャだが、言葉を投げかけているうちにぽとぽとと涙が地面に落ちていく。
「俺は死にたかった。理由をつけて本当は死にたかった...んだと思う。まだやり残したことが色々あるのにな。それをもう無かったことにして忘れたかった...。俺の自己満足のためにエリシアを利用するなんて本当最低だよな...」
「本当最低です...。無責任です。竜二が死んだら...エリシアや明日香も悲しみます。私だって死ぬまで引きずります。もう二度とこんなことしないで下さい。もし辛いことや苦しいことがあれば私に相談して下さい。なんでも力になります。竜二の力になりたいんです。だがら心配かけないで下さいよーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
アリシャは言葉を口にすると声を荒げ、泣き噦る
。
ーこんなに泣いてくれる人を置いて俺は何をやっていたんだ。
俺は自分の醜さに怒りを覚えていた。
「あぁ、もう二度と諦めない。こんなに想ってくれるアリシャがいるもんな」
もう二度とあんな真似はやめる。戦うんだ。勝って、またエリシアと冒険するんだ!そのためだったら神だって魔王だって殺してみせる!
「そうですよ。しっかりしてくださいね。今回は本当に死ぬかと思ったんですよ!逃げれて良かったです」
アリシャは一通り泣き噦った後、涙を拭い、微笑を浮かべる。
「アリシャが助けてくれたお陰だ。ありがとな」
「い、いえそんなことないですよ。竜二も助けに来てくれたんですよね!その気持ちだけでも嬉しかったです」
「そうか...。それより、アリシャはなんであそこに居たんだ?」
「そうですね。えーと。色々ありましたけど、エリシアは私を逃すために自分の身を投げ打ってまで私を逃がしてくれました。だけど、エリシアを置いていけないと思い、助けに戻ろうと思ったらあんな姿になっていて、竜二も死にそうになっていたのであそこに居合わせた感じですね。まさかエリシアがあの本を読んでしまっていたなんて思いもしませんでした。もはや誰にもエリシアに勝てるものなんて居ないかもしれないですね」
エリシアのことを思い、アリシャの表情は曇る。
「やっぱりリュークが原因でエリシアがあんな姿になったのか!許せない!殺してやる!待てよ、、、今こうしている場合ではない。ティアを解放しないと。これ以上、ご主人様に酷い目に遭わされるなんて見て見ぬ振りは出来ない。ここは一先ず後回しにして、先にティアを助けに行こう。その後、エリシアを助ける作戦を練ろう」
「え?まさか門の入り口にいた奴隷を助けに行くんですか!奴隷なんていくらでもあんな風に扱われてますよ。それに奴隷解放なんて、第一級犯罪、死刑ですよ!」
「そうか、死刑か、阿呆らしい。俺は俺がやりたいようにする。助けて欲しい顔を俺は見た。だがら助けるんだ。それに俺はどうでもいいが明日香も捕まっている。アリシャも来てくれるか?」
俺は横にいるアリシャに手を伸ばす。
「私は竜二とずっと一緒にって決めています。それに明日香が危険とあらば行くしかありません」
アリシャは俺の差し出された手を握った。その手は暖かく心を穏やかにさせてくれた。
「ずっと一緒か...。良かった行くぞ!」
アリシャの言葉を聞いて俺は満面の笑みを浮かべた。
「はい!」
アリシャの威勢のいい返事とともに俺達は走り出した。
「しっかりと握っていろよ!」
「キャーーーーー!!!」
光のスピードにアリシャはまだ慣れていなかった。
★
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー★
俺達は瞬間移動の如く、貴族特区、スイーツシティーに来ていた。
このサガステラは貴族特区、市民街、貧民街とあり、貴族特区は貴族しか入ることは出来ないが市民街や貧民街は誰でも自由に出入りできる。
門の前には衛兵が一人ずつ両端に立っていた。
衛兵は鉄のような硬く光っている鎧を全身に身につけていて、右手には槍を持っている。
数秒間、その場に佇み、思考を巡らせていた時、後ろから声がかかった。
「おい、そこの愚民!門の前に居るんじゃない!邪魔だ!愚民は早く戻るのだ!けがわらしいぞ!」
少し太った三十代ぐらいのおっさんが綺麗な服装を身に纏い、俺達を追い払おうとする。
「ぐっっ、、、な、なんだと!見ず知らずの人にその態度...」
俺は突然浴びせられた言葉に殺意を剥き出しにして、貴族の人を見る。
「や、やめて下さい竜二。こんなところで騒ぎを起こしては明日香もティアちゃんも助けるのが遅くなります。ここは引きましょう」
アリシャが俺の腕を掴み、必死に止めに入る。
「き、貴様!今私に逆らったのか!これはー」
貴族の人が最後まで言う前にアリシャが遮る。
「すみません。まだこの人はこの街に来たばかりで何も知らないのです。どうかここはお許し願いませんか?」
「まぁ、そうだな。私も悪人ではない。土下座したら、このことは不問にしてやらんでもないぞ」
「貴、貴様ーー!!!」
貴族の人のその態度に俺は殴りかかろうとするが、すぐさまアリシャが止めた。
「竜二!やめて下さい。私は従います」
アリシャは膝をつき、貴族の人に向かい土下座をした。
俺はその哀れな姿を見て、怒りがこみ上げてくるのをただひたすら我慢するしかなかった。
ーなんでこんなにもアリシャは従うんだよ。
悔しくてしょうがなかった。
「ふん。これからは気をつけるのだな」
そう言うと貴族の人は俺達の横を通り過ぎ、衛兵の人に貴族の証、時計みたいなものを見せると中へと入っていった。
「あの野郎!一発殴らないと気が済まない!」
「すみません竜二」
「なんでお前が謝るんだよ!悪いのはあいつだろ!」
「竜二に我慢させてしまいました。でもそれで正解です。その国は貴族が全て。もしその貴族に逆らったり危害を加えたりすると、王国の騎士やこの国の全ての騎士が私たちを殺しにかかります。竜二は勝てると思いますが、時間はかかると思います。だがらなるべくこういうことは避けるようにしましょう...」
「なるほどな...アリシャに土下座までさせて悪かった。これからはなるべく関わらないようにするか」
「理解してもらえて良かったです。ではここからどうしますか?」
「うーん。まずあの衛兵を眠らすか」
「それなら大丈夫そうですね。さすが竜二!ではお願いします」
「我、眠り姫にお願い申す。力を与え給え!スリープ・コンプリー!!!」
俺の手から青い輪っかみたいなものが出て、それが衛兵二人に当たると鼾をかき、そのまま眠った。
「良し!上手くいった。では行くぞアリシャ!」
「待って下さい!竜二は何か聞かないんですか?」
「何をだ?」
「えーと、その、、、この国を知っていたこととか色々」
「今はそれどころじゃないだろ。それにアリシャが話したくないなら話さなくてもいい。アリシャが話したいと思ったら俺は聞くぞ」
「そうですか!ありがとうございます...。では行きましょう!」
アリシャは今日一番の笑顔を浮かべ、俺の後を追ったのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※お読みいただきありがとうございます。不思議な点や改善点など教えていただけたら嬉しいです。また感想を書いてくださるととても嬉しいです。これからもぼちぼちと更新していきますので応援の方よろしくお願いします。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生貴族の領地経営〜現代知識で領地を豊かにして成り上がる
初
ファンタジー
ネーデル王国の北のリーディア辺境伯家には天才的な少年レイトがいた。しかしその少年の正体は現代日本から転生してきた転生者だった。
レイトが洗礼を受けた際、圧倒的な量の魔力やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のレイトを辺境伯領の北の異種族の住むハーデミア領を治める領主とした。しかしハーデミア領は貧困に喘いだ貧乏領地だった。
これはそんなレイトが異世界の領地を経営し、領地を豊かにして成り上がる物語である。
転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜
まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、
専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活
現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。
しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。
彼は大陸一の富を誇る名門貴族――
ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。
カイルに与えられたのは
・世界一とも言える圧倒的な財力
・財力に比例して増大する規格外の魔力
そして何より彼を驚かせたのは――
彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。
献身的なエルフのメイド長リリア。
護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。
さらに個性豊かな巨乳メイドたち。
カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。
すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――
「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」
領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、
時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、
最強の御曹司カイルは
世界一幸せなハーレムを築いていく。
最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
最弱スライムに転生した俺、捕食スキルで無限進化していたら魔王軍すら支配してました
チー牛Y
ファンタジー
残業中に倒れた俺が次に目を覚ました時、なぜか異世界で最弱モンスターのスライムになっていた。
完全に詰んだ、戦う力もない。そう思っていた時、俺には一つだけ、とんでもないスキルがあった。
【捕食】
それは、倒した相手を取り込み、能力・スキル・力のすべてを奪うチート能力だった。
ゴブリンを食べれば腕力を獲得。
魔物を食べれば新スキルを習得。
レベルは爆速で上がり、進化は止まらない。
森の魔物を支配し、ダンジョンを制圧し、気づけば俺は魔物たちの王になっていた。
やがてその力は魔王軍すら飲み込み、世界の勢力図を塗り替えていく。
これは――
最弱スライムから始まる、無限進化の成り上がり無双譚。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる