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この日の講義が終わり、麻美は綾音に手を引っ張られて例のチラシに書かれていた場所へと連行された。
性技研究会と紙が貼られた部屋。ノックするとすぐに中からドアが開かれ、「どうぞ、どうぞ」と引き込まれる。
中には八人のうら若き女性。その内七人は現在の会のメンバーだが、あと一人は…。
「よ、洋子…。なんで?」
そう、チラシを見て馬鹿にしていた服部洋子が居たのだ。
「い、いや、そ、その、ちょっと興味が出てきてしまいまして……。って、そういう麻美こそ!」
「わ、私は綾音に連れてこられたのよ」
少し興味もあったとは言わないでおこう。その方が絶対良い。…というのは麻美の心の声。
「なによ。馬鹿にしてたって聞いたけど? それで来るなんて、最低…」
ワザと周囲に聞こえるように言う綾音。彼女に、朝の洋子との話をしてしまっていた麻美は後悔した。まさか洋子が来るなんて思ってもみなかったから話したのだが…。
早速、二人の間に剣呑な空気が漂い始める。
「え~っと、お二人さん。見学に来たんでしょ。先輩方の前ですよ」
麻美は二人の間に割って入った。
「さあ、定刻だな。今年は三人か。まあ、こんなもんかな」
話し始めたのは背が高い女性。いかにも豪快なお姉様といった感じ。『姐御』という表現がピッタリくる。
「私が会長の松浦一美、四年生である」
なるほど会長なのか。納得以外の何モノでもない。
続いて隣の、小柄で細い女性が口を開く。
「私が副会長の池田麗、四年生です」
副会長の方は、生真面目そうな和風美女。こんな女性が、こんなサークルの副会長だなんて、意外でしかない。
そこからは池田副会長が進行をする。順番に会員が紹介され、三年生が三人、二年生が二人で、現会員は総勢七人というコトだ。
会員紹介の後には会長挨拶。それによると…。
現在、出生率の低下により子供が減り、高齢化社会となってきている。
このまま子供が減って行くのは国の危機・民族の危機。
子を産まない女は非国民。女を孕ませない男も非国民。
産めよ、増やせよ。どんどん子供を増やさなければならない。
その為に、性技を研究する。
・・・というのが、この会なのだそうだ。
カナリ問題ある発言が混じっていた。ネットに書き込めば大炎上しそうだ。
話もビューンと飛躍している。だって、性技研究したところで子供が増えるとは言えないだろう。
その上、やはり、チョットというか非常に、風紀上どうなのかという気がする。麻美としては…。
大学というと左系学者が教授となっている印象がないでもないが、この大学は違う。真逆の保守系研究者が集う大学である。
であるから、国と民族の繁栄のためにという理念の下に設立されたというこの会も容認されているということのようだ。
ただ、やはり、所かまわずそんな行為をするようでは、風紀的に困る。そこで、会員は女子限定。構内では男女の行為禁止。構内での裸での実技演習も禁止。そういう制約を受けて、許されているのだそうだ。
その後は、二年生二人による実技披露となった。
裸での実技演習は禁じられているため、半そでシャツに半パンの体操着姿。肌露出は少ないが、それでも若い女性二人が体をというか、股間を密着させて絡み合う姿は卑猥だ。
仏壇返し…名前だけは何となく聞いたことがある。が、あんな風に繋がるのはキツソウダ。
卍崩し…これも聞いたことある。が、「あれ、無理なんじゃない?」「繋がれないような…」との隣の友の声。
バージンの麻美は顔を赤くして見入っていた。
気が付くと、友人二人は渡された入会書にすでに署名済み。そしてそれは麻美にも渡された。
麻美は当然躊躇。興味なかったわけでは無いが、元から入る気などはない。見学の付き添いのつもりだったのだ。
が、仲の悪いはずの友人二人が、それぞれ麻美の左右の手を握る。
「麻美、私と洋子を二人にさせる気?」
「お願い。麻美も入ってよ。一年生がコイツと二人だけなんて、絶対ごめんよ。あなたが必要!」
勝手な言い分だ。いがみ合っているくせにこういう時は共闘してくる。卑怯である。
しかし、この二人だけにして問題を起こされても困る。保護者的立場となってしまっている麻美としては、放っておけない。
そして、何より……。麻美は頼み込まれると断れない性格なのであった。
渋い顔をし、躊躇いながらも、署名してしまったのであった。
さて、正式に三人の入会が決まり。姐御もとい会長から、新入会員に対して御下問があった。「彼氏はいるのか?」と。
綾音には彼氏がいる。彼女の入会動機は、彼氏とのエッチに刺激を加えたいというコトなのだ。この場でも恥ずかしげもなく、そのことを堂々宣言した。聞いている麻美の方が赤面だ。
で、洋子はというと、彼女も彼氏がいるのだ。そして、彼女の入会動機も綾音と一緒だという。なんということだ……。
最後になった麻美に視線が集まって…。
「わ、私はいません。男性とお付き合いしたこともないです」
事実を、そのまま述べる。
「「お~!!」」
上級生の会員たちから奇妙などよめきが上がった。
まあ、当然かもしれない。男性経験もない女子が性技研究会に入会。普通はありえないだろう。
麻美は場違いなところに入ることになってしまったと恐縮至極。
だけど本当は自分だって入る気などなかったのだ。成り行き上、仕方なかったのだから御勘弁願いし、ダメだと言うのであれば、今すぐにでも入会申し込み取り下げしたい…のだが・・・、
「オッケー、オッケー。大歓迎だ。君が今年度の主役だ」
「えっ、しゅ、主役??」
どういうことか意味不明。
そしてニヤニヤ笑うばかりで、その意味を教えてくれない会長はじめとする会員たち。
麻美は不安極まりなかった。
性技研究会と紙が貼られた部屋。ノックするとすぐに中からドアが開かれ、「どうぞ、どうぞ」と引き込まれる。
中には八人のうら若き女性。その内七人は現在の会のメンバーだが、あと一人は…。
「よ、洋子…。なんで?」
そう、チラシを見て馬鹿にしていた服部洋子が居たのだ。
「い、いや、そ、その、ちょっと興味が出てきてしまいまして……。って、そういう麻美こそ!」
「わ、私は綾音に連れてこられたのよ」
少し興味もあったとは言わないでおこう。その方が絶対良い。…というのは麻美の心の声。
「なによ。馬鹿にしてたって聞いたけど? それで来るなんて、最低…」
ワザと周囲に聞こえるように言う綾音。彼女に、朝の洋子との話をしてしまっていた麻美は後悔した。まさか洋子が来るなんて思ってもみなかったから話したのだが…。
早速、二人の間に剣呑な空気が漂い始める。
「え~っと、お二人さん。見学に来たんでしょ。先輩方の前ですよ」
麻美は二人の間に割って入った。
「さあ、定刻だな。今年は三人か。まあ、こんなもんかな」
話し始めたのは背が高い女性。いかにも豪快なお姉様といった感じ。『姐御』という表現がピッタリくる。
「私が会長の松浦一美、四年生である」
なるほど会長なのか。納得以外の何モノでもない。
続いて隣の、小柄で細い女性が口を開く。
「私が副会長の池田麗、四年生です」
副会長の方は、生真面目そうな和風美女。こんな女性が、こんなサークルの副会長だなんて、意外でしかない。
そこからは池田副会長が進行をする。順番に会員が紹介され、三年生が三人、二年生が二人で、現会員は総勢七人というコトだ。
会員紹介の後には会長挨拶。それによると…。
現在、出生率の低下により子供が減り、高齢化社会となってきている。
このまま子供が減って行くのは国の危機・民族の危機。
子を産まない女は非国民。女を孕ませない男も非国民。
産めよ、増やせよ。どんどん子供を増やさなければならない。
その為に、性技を研究する。
・・・というのが、この会なのだそうだ。
カナリ問題ある発言が混じっていた。ネットに書き込めば大炎上しそうだ。
話もビューンと飛躍している。だって、性技研究したところで子供が増えるとは言えないだろう。
その上、やはり、チョットというか非常に、風紀上どうなのかという気がする。麻美としては…。
大学というと左系学者が教授となっている印象がないでもないが、この大学は違う。真逆の保守系研究者が集う大学である。
であるから、国と民族の繁栄のためにという理念の下に設立されたというこの会も容認されているということのようだ。
ただ、やはり、所かまわずそんな行為をするようでは、風紀的に困る。そこで、会員は女子限定。構内では男女の行為禁止。構内での裸での実技演習も禁止。そういう制約を受けて、許されているのだそうだ。
その後は、二年生二人による実技披露となった。
裸での実技演習は禁じられているため、半そでシャツに半パンの体操着姿。肌露出は少ないが、それでも若い女性二人が体をというか、股間を密着させて絡み合う姿は卑猥だ。
仏壇返し…名前だけは何となく聞いたことがある。が、あんな風に繋がるのはキツソウダ。
卍崩し…これも聞いたことある。が、「あれ、無理なんじゃない?」「繋がれないような…」との隣の友の声。
バージンの麻美は顔を赤くして見入っていた。
気が付くと、友人二人は渡された入会書にすでに署名済み。そしてそれは麻美にも渡された。
麻美は当然躊躇。興味なかったわけでは無いが、元から入る気などはない。見学の付き添いのつもりだったのだ。
が、仲の悪いはずの友人二人が、それぞれ麻美の左右の手を握る。
「麻美、私と洋子を二人にさせる気?」
「お願い。麻美も入ってよ。一年生がコイツと二人だけなんて、絶対ごめんよ。あなたが必要!」
勝手な言い分だ。いがみ合っているくせにこういう時は共闘してくる。卑怯である。
しかし、この二人だけにして問題を起こされても困る。保護者的立場となってしまっている麻美としては、放っておけない。
そして、何より……。麻美は頼み込まれると断れない性格なのであった。
渋い顔をし、躊躇いながらも、署名してしまったのであった。
さて、正式に三人の入会が決まり。姐御もとい会長から、新入会員に対して御下問があった。「彼氏はいるのか?」と。
綾音には彼氏がいる。彼女の入会動機は、彼氏とのエッチに刺激を加えたいというコトなのだ。この場でも恥ずかしげもなく、そのことを堂々宣言した。聞いている麻美の方が赤面だ。
で、洋子はというと、彼女も彼氏がいるのだ。そして、彼女の入会動機も綾音と一緒だという。なんということだ……。
最後になった麻美に視線が集まって…。
「わ、私はいません。男性とお付き合いしたこともないです」
事実を、そのまま述べる。
「「お~!!」」
上級生の会員たちから奇妙などよめきが上がった。
まあ、当然かもしれない。男性経験もない女子が性技研究会に入会。普通はありえないだろう。
麻美は場違いなところに入ることになってしまったと恐縮至極。
だけど本当は自分だって入る気などなかったのだ。成り行き上、仕方なかったのだから御勘弁願いし、ダメだと言うのであれば、今すぐにでも入会申し込み取り下げしたい…のだが・・・、
「オッケー、オッケー。大歓迎だ。君が今年度の主役だ」
「えっ、しゅ、主役??」
どういうことか意味不明。
そしてニヤニヤ笑うばかりで、その意味を教えてくれない会長はじめとする会員たち。
麻美は不安極まりなかった。
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