女子切腹同好会 ~2有香と女子大生四人の“切腹”編・3樹神奉寧団編~

しんいち

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樹神奉寧団編

31 樹神奉寧団編 プロローグ<緒方由美>続き

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 彼=新教主の名前は鬼頭慎吾。「以後、二人だけの時には慎吾って呼んで欲しい」ですって。それじゃあ、私のことは由美って呼んでくださいね♡

 慎吾曰く、この後の儀式は次のよう・・・。

 前斎巫きのかんなぎ死亡後、一ヶ月半の内に12人の若い女を供物として捧げる。
 その12人目の供物を奉った後の、最初の新月の夜に、選定の儀が教団本部儀式殿で行われる。
 これは絶対の秘儀。参加できるのは、教主と斎巫候補者と生贄・・・。そう、生きたままの贄が必要になって来る。…その生贄は、誰でも良いというのではなく、鬼頭家の血を引く若い女というのが条件。
 儀式では、生贄の心臓を供えて鬼神様に祈りを捧げ、鬼神様の降臨を願う。そこで鬼神様を体に宿した候補者が、新たな斎巫ということになるのだと・・・。


 斎巫とは、鬼神様の仮の肉体となる存在。霊体である鬼神様は供物を捧げられてもそれから効率よくエネルギー(霊力?)を摂取出来ない。人に宿って供物の心臓を直接食べることによって、鬼神様は大きな力を一気に得ることが出来るんだそうです。
 前斎巫が亡くなったあとに12人の供物を捧げる…。これはつまり、斎巫に宿って心臓を直接摂取できなければ、その12倍もの供物が無いといけないというコトみたい。
 それは、さすがに効率悪過ぎよ・・・。


 取り敢えず彼から依頼されたのは、私が斎巫候補となり、最終的に斎巫となること。
 その為に、女子切腹同好会の現事務長として、一ヶ月半の内に供物12人を確保すること。
 ……あ、私、谷本美紀嬢の切腹時に功労者として彼女の頭部を賜り、同時に事務長に昇格したんですよね……
 それから、もう一つ。儀式の際の“生贄”の確保も依頼されました。

 急ぎ必要な12人の供物は、何とか確保できました。期限に間に合わなければ裏工作実行部隊の娘を出させるのが古来よりの取り決めになっているけど、そこまでしなくてもなんとかね。
 今回に関しては、必ずしも自死した者でなくても良いってことでしたので助かりました。同好会会員(ムリヤリ会員にしたのも含め)8人と、教団の秘密を探っていた“処罰対象者”の女4人で、なんとかギリギリセーフです。

 あとは、生贄として生きたまま儀式に使う、鬼頭家の血を引く若い女。
 実は、これ、もう確保済み。
 現、女子切腹同好会会長、新瀬有香。彼女は母方の方で鬼頭の分家と血の繋がりがある・・・。
 入会の事前審査でこれは分かっていたことで、この時期にこの子が会長だなんて、正に神の配材ですよ。

 問題は、私の他の候補なんだけど・・・。どんなヤツなのかしら?
 供物には“若い女”(35歳以下)という制約があるけれど、斎巫に年齢制限はない。前斎巫は、就任時で73歳だったからね。
 慎吾が10歳年上の私を妻にしたいと言うのだから、もしかすると私より年上の婆さんなのかな?
 ……なんて思っていたら。

 いや、驚いたよ。慎吾から紹介されたもう一人の候補。婆さんなんかじゃない。私よりずっと若い!
 それに、かなり綺麗な子・・・。

 更には、慎吾に関する良くない噂が耳に入ってきていた。何人もセフレが居て、とっかえひっかえシテルって・・・。だから、あんなに上手いんだよ。

 何なのよ。私を妻にするだなんて、きっと、もう一人の候補にも言っているでしょう!
 私が切腹同好会の事務長だから、必要な供物を集めさせるのに利用しているだけじゃない?!

 しかし、紹介を受けた直後、若い候補が別室へ下がった後…、弁明された。
 実は自分にはセフレが何人かいるんだって、彼、自分から話してくれた。
 その理由は、鬼神様の恩恵を受けると子が生まれにくくなるから・・・。
 彼は若いため、まだ鬼神様の恩恵…オサガリ…を頂戴していないけど、これを頂戴すると、寿命が延びるのと引き換えに、子ができにくくなってしまう。このために鬼頭の本家は途絶えてしまった。(…亡くなった公美子尊師で)
 鬼頭の血を確実に残す為に、一人でも多くの子を作る必要がある。
 それが為のセフレ。つまり、側室のようなモノ……。

 これは、血を絶やさない為の止むを得ない措置。産まれた子は全て認知して育てさせるから、鬼頭家の妻としてそのつもりでいて欲しいですって・・・。

 もう一つ・・・。私の他の、あの若く綺麗な候補。彼女も慎吾のセフレの一人で、既に妊娠しているんですって?!
 既に他の命を宿してしまっている女に鬼神様は降臨できないから、候補であっても彼女が選ばれることは絶対無いですって??

 慎吾が他の女たちとヤリまくっているってのは、ちょっと、というか物凄く不満だけど・・・、私もそれなりの経験を積んできたオトナなんです。
 教団存続の為に、鬼頭の血を残さなければいけないという切実な理由なんだし、許してあげましょう。
 だって私……、もうオサガリを頂戴している・・・。
 もしかすると、いや、かなり高い確率で、子供は出来ないだろうからね。

 それに……、もう次の斎巫は、私で決定ってことだしね!!





 儀式一週間前。慎吾が困ったような顔で私に言いました。もう一人の候補、流産したんですって。
 お腹の子が流れた。つまりこれは、彼女が斎巫に選ばれてしまう可能性が出て来たというコト。そして、実は私よりも彼女の方が鬼頭本家に近くて血が濃い……。
 彼女の方が選ばれる可能性が高くなってしまったって、そ、そんな!!

 ただ、彼はやっぱり私の方が良いみたい。彼女、我儘が過ぎて妻になんかできないですって…。

 そこでです。彼は謀り事を私に耳打ちしました。

 謀り事・・・。

 フムフム、なるほど。それならば、間違いなく私が斎巫だよ。

 フフフ・・・。


―――――――――

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