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樹神奉寧団編
59 樹神奉寧団編 遺体の扱い
しおりを挟む「あと、命を捧げる前に、どうしても教えて欲しいことがあるんですけど…」
教えて欲しいこと? なんですか?
生贄となる麻衣さんからの、人生最後の質問ですもんね。出来る限りお答えしますよ。
「解体された私の体は、儀式の供物とされるんですよね。そのことは理解しているのですが、その儀式の後、どうなるのかなって気になって・・・。
遺書とか失踪の書き置きみたいなのも書いてきたから、行方不明扱いでお葬式なんて無いですよね。単に焼いて灰にされるだけなのかな? それとも、どこかに埋められてしまう?
どうなるのか、もし御存じなら・・・」
ああそうか…。まあ、確かに気になることよね。私も最初疑問に思っていたこと。生贄になって死んじゃうって時も、心臓以外の内臓はどう処分されるのかって、とっても気になりましたよ。
えっと、教えちゃって大丈夫かな・・・。
彼女は自らの命を捧げてくれるのです。知る権利、ありますよね。
そして、私は斎巫で、実質の教団トップ。教えてあげる権限・・・ありますよね?!
彼女はもう死んでしまうのですから、情報漏洩の心配もありませんしね。
よし、教えてあげましょう!
彼女の心臓を私が食べることで私に宿っている鬼神様(樹神様)の力になることを伝えちゃいました。
「わ、私、食べられちゃうんだ、新瀬さんに・・・」
「そういうことです、ゴメンナサイ。あ、でも、儀式として私が食べるのは心臓だけですからね」
「じゃあ、後の部分は?」
「それがですね……。オサガリとして分配されて、教団関係者や信者に分けられてしまうの。あ、頭は私のところに残って、後で私が食べることになるけどね」
「じゃ、じゃあ、私の遺体は、何から何まで全て残らず食べられてしまうってこと?」
「そうです。ごめんね。ショックだよね」
「いえいえ、トンデモナイ。安心しましたよ。この私の肉体は、無駄なく全て利用してもらえるんだね! それ、ステキ! 嬉しいよ」
「え? う、嬉しい・・・?」
「そうよ。嬉しいわ」
食べられるのがステキ? 嬉しい??
“食べたい”ってのなら理解できるけどね・・・。
ああ、でも捨てられちゃうというよりは、そっちの方が良いかな…。
しかし、“嬉しい”ってのは、どうなんだろう??
「そっか、私の頭は新瀬さんが食べるのか。ねえ、頭ってどうやって食べるの?
バリッと割られて、脳味噌とか取り出されちゃうのかな? 生でってことは無いよね。調理とかされちゃうんだよね?
どんなふうに処理や調理するの? よかったらそれ、詳しく教えて!」
「えっ・・・、い、いや・・・。それ、すっごくグロイんだけど、大丈夫?」
内臓フェチの私も引いた、頭の解体ですもんね。
「大丈夫。平気です。是非、詳しく知りたいの。自分のことだから」
自分のことだからか・・・。そうだよね。それでは、教えてあげましょう。
「あの、ですね。まずは両の目玉ですが、スプーン状の器具を瞼と眼球の間にグッと突っ込んで、グリグリブチュッて抉り出してですね。視神経ごと抜き取ります」
一緒に聞いてる百合が、驚愕の顔してる。
される本人は・・・、別段平気みたい。
「次に脳味噌の摘出で、額の皮を横向きに切って、ベリベリ頭皮を剥いで頭蓋骨を剝き出しにしましてですね。小型の電気鋸で頭骸骨をガリガリ切って脳を露出させてですね。手を突っ込んで、後ろにひっくり返すようにグチャッと纏めて脳を抜き出しましてですね。そんでもってその脳は、ブツ切りにしちゃいます。
後は、口をこじ開けて舌を引っ張り出して根元で切り取って、鼻や耳も削いで、頬の肉も削ぎ取りましてですね。脳も目玉も、鼻も耳も舌も頬肉も、それらを削ぎ取った骨までも、全部一緒に大鍋に入れて、塩コショウで味付けした煮込みスープにして・・・」
百合ってば、気持ち悪そうに口を押えてる。
そうです。それが普通の感覚。
だって、これからそんな風に処理されてしまう本人が目の前にいるんですからね。リアルに想像しちゃいますよ・・・。
でも一方で、そう処分されちゃう本人はというと、明らかに喜んでる?!
ちょっと怖い。彼女、大丈夫?
これ、真正のマゾだよ・・・。
「そうなんだ。私、そんな風にされちゃって、全部無駄なく食べられちゃうのね。骨まで煮込まれるなんて、嬉しい。
うん、分かった。じゃあ、早速私を解体処理してください。私は、この世の為に、この肉体の全てを捧げます」
「は、はい・・・。麻衣さんの体、有難く使わせて頂きます・・・。宜しくお願いします」
う、う~ん。ナンダカナ・・・。真面目で清純な木藤さんのイメージが、ボロボロと崩れて行くような・・・。これじゃあ、ヘンタイの私とあんまり変わらない。
百合も同じ思いみたいです。奇妙な顔してます。
ところで・・・。
「えっと、百合。鍼麻酔は持ってきたの?」
「あ、うん、持って来てるよ」
「じゃあ、麻衣さん。麻酔をしますね」
「はあっ? 麻酔って、それはダメでしょう。生贄なんてものは、痛みで藻掻き苦しんで死んでいかなきゃ!」
おおっと、これも全く想定外の返答です。
苦しめられたいの??
ホント、意味わかんな~い!!
被虐嗜好もここまでくると、この私でも、どうかと思う・・・。
しかし、本人が麻酔は不要って言うんですから、無理にも出来ません。
「本当にいいの? とっても痛いし、凄く苦しいよ」
「大丈夫! 思いっきり苦しめながら、残酷に、情け容赦なく、解体してください。覚悟は出来てます。立派に生贄のお役目を務めさせて頂きます」
うう~ん、ご立派と言うか、なかなかの変態的回答です。調子狂いまくり…。
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